買えるAbemaTV社の戦略を紐解く【動画コマース】
「買えるAbemaTV社はどんな戦略で動画コマースを展開しているんだろう…」
と思っている方。
買えるAbemaTV社とは株式会社サイバーエージェントが提供する動画コマースサービスです。
2018年2月に開始されたため、最新の動画コマース事例として注目を集めており、今後も市場を引っ張るサービスとされています。
では、買えるAbemaTV社の戦略がどのようなものか。
この記事では
- 買えるAbemaTV社が誕生した背景
- 買えるAbemaTV社の戦略
- 動画コマース業界の収益モデル
- 買えるAbemaTV社の競合となる動画コマース企業
の順に、買えるAbemaTV社について解説します。
動画コマースというと最新のビジネスで難しそうに感じますが、概要をつかむだけなら簡単です。
まずはこの記事で、買えるAbemaTV社の戦略について大まかに理解しましょう!
買えるAbemaTV社が誕生した背景
まずは買えるAbemaTV社が誕生した背景についてお伝えします。
買えるAbemaTV社は、株式会社サイバーエージェントの動画配信サービス「AbemaTV」から生まれた会社およびサービス名です。サイバーエージェント、テレビ朝日、ロッピングライフ(テレビ朝日のテレビ通販子会社)の3社が共同で立ち上げました。
今のところはテレビショッピング的な役割がメインで、買えるAbemaTV社はいわば「ネットで見れるテレビショッピング」です。
また、立ち上げ当初は「売れるAbemaTV社」としていたのですが、「売れるネット広告社」との交渉の結果、”買える”に変更することとなりました。
そもそもAbemaTVとは
ここまで先に「買えるAbemaTV社」について概要を紹介しましたが「そもそもAbemaTVって何?」という方もいるかと思います。
AbemaTVとは株式会社サイバーエージェントが提供する、スマートフォン向け動画配信サービスです。サイバーエージェントとテレビ朝日が共同で出資・運営しています。
また、初期投資として200億円を出資したことが話題になりました。
AbemaTVではドラマやアニメ、音楽、格闘技、釣りなど多くの専門チャンネルがあり、生放送は無料で見ることが可能です。録画を見たいという場合は、「月額960円」のプレミアムプランユーザーになれば視聴ができます。
続いては、買えるAbemaTV社の戦略について紹介します。
買えるAbemaTV社の戦略
筆者が考える「買えるAbemaTV社」の戦略は、
- 購買力のある動画視聴者層を取り込むこと
- 楽しくきちんと商品説明をすること
の大きく2つです。
どういうことか、以下説明していきます。
購買力のある動画視聴者層を取り込むこと
筆者が考える「買えるAbemaTV社」の戦略の1つめは、購買力のある動画視聴者層の取り込みです。AbemaTVの利用者層は若者が多いというイメージがありませんか?
ただ実際は30代、40代の利用者が多くを占めます。
そしてこの年代は購買力があり、さらにはネットショッピングの利用者層と同じでもあるんです。
- 購買力がある
- ネットショッピングに抵抗も少ない
30~40代を多く取り込めているAbemaTVでインターネット商品販売を進めていけば、かなりの購入が見込めます。
楽しくきちんと商品説明をすること
ECサイトにおいては「お客様に商品紹介を読んでもらうこと」が大きな難関です。というのも、ネットショッピングをするお客様はかなり「せっかち」な場合が多いから。
この記事を読んでくれている皆さんも、ネットショップでお買い物をするとき、隅々まで商品説明を読んで買い物をしている方はどのくらいいるでしょうか?特にスマホで外出中に買い物をするときなどは、ポイントだけを軽く読む傾向が強まります。
何故なら、お客様は「買うこと」が目的であって、「説明文を読むこと」が目的ではないからです。
この点、動画コマースであれば、お客様は「視聴することそのもの」を目的とすることができるので、高い購買率を見込むことが可能です。
買えるAbemaTV社の具体的な方針
これまでAbemaTVの収益源は「CM」「オンデマンド視聴」の2つでした。「買えるAbemaTV社」はAbemaTVにおける3本目の柱として、規模を拡大させていく見込みです。
では何をしていくか。
買えるAbemaTV社では、お笑い芸人などのタレントが商品を紹介します。商品によってはタレントに直接会えるチケットが付属していたりと、今までのテレビショッピングにはなかった特典が特徴です。
また、山田孝之さんと山口友敬さんプロデュースするグラス「FORIEDGE」のように、タレントが商品のプロデュースから行ったものもあります。
現在は買えるAbemaTV社の販売サイトが用意されており、視聴者はサイト上で商品を買うことが可能です。しかし、スムーズな購買のためにゆくゆくはAbemaTV上から直接買い物できるようにする予定とのことです。
さて、ここまで「買えるAbemaTV」の戦略についてご説明をして来ました。
ただ、そもそも一般的に動画コマースというものはどうやって収益をあげているかわかりにくいかと思いますので、業界全体の収益モデルについて紹介します。
動画コマース業界の収益モデル
動画コマース業界における収益モデルは、
- 商品を販売するモデル
- 動画への広告を挿入するモデル
- オンデマンド配信を有料にするモデル
があります。
商品を販売するモデル
商品を販売する方法は
- テレビショッピングのように「一方的な放送をする方法」
- ライブコマースのように「視聴者とコミュニケーションをとる方法」
の2つです。
動画への広告を挿入するモデル
また、動画への広告を挿入するモデルでは、
- 番組の属性に合わせて出す広告を変える方法
- 視聴者のウェブ閲覧履歴を参考に広告を出す方法
の2つが伸びてきています。
オンデマンド配信を有料にするモデル
これまでのテレビには「録画でCMを飛ばされると広告収益が上がらない」という問題がありました。
そのため、AbemaTVなど、コンテンツに投資しているサービスは、オンデマンド(過去動画)配信を有料にしています。
これにより今まで収益化できていなかった部分も、しっかりとマネタイズすることが可能です。
次は、買えるAbemaTV社の競合となる動画コマース企業を紹介します。
買えるAbemaTV社の競合となる動画コマース企業
ここからは、
- メルカリチャンネル
- Yahoo!ショッピングLIVE
- MUUU
の順に、AbemaTV社の競合となる動画コマース企業を見ていきます。
1. メルカリチャンネル
フリマアプリの代表とも言えるメルカリが提供する動画コマースサービスが、こちらの「メルカリチャンネル」です。
メルカリチャンネルはライブ動画で配信しながら商品を販売できるフリマアプリ。視聴者は配信者に直接質問などをしながら買い物を楽しむことができます。
現在メルカリチャンネルは、配信機能を一部のユーザーのみに絞っており、機能の拡大については追って行っていくとのことです。
2. Yahoo!ショッピングLIVE
「Yahoo!ショッピングLIVE」はYahoo!ショッピングが運営する動画コマースサイトです。放送中にユーザーのコメントをもらえるライブコマース機能も備えており、個人でも法人でも出店できます。
現在はiOSとAndroidに対応していますが、将来的にはWeb版への対応を予定しています。
3. MUUU
「MUUU」は、Youtuberのプロデュースなどを手がける株式会社UUUMが提供する動画コマースサービスです。
Youtuberのオリジナルグッズを中心に、テレビよりも若い年代の視聴が多い、Youtubeならではの商品を紹介しています。
買えるAbemaTV社、今後の戦略はライブコマースへの参入か
ここまで、買えるAbemaTV社の戦略についてまとめました。おさらいすると、買えるAbemaTV社の戦略はいわば「ネットで見れるテレビショッピング」で、
- お笑い芸人などのタレントが商品を紹介する
- タレントに直接会えるチケットなど、今までにない特典がある
- 芸能人がプロデュースした商品を買うこともできる
が特徴です。
動画コマース業界における収益モデルには、
- 商品を販売するモデル
- 動画への広告を挿入するモデル
- オンデマンド配信を有料にするモデル
の3つがありますが、買えるAbemaTV社では「商品を販売するモデル」で収益化をはかっています。
また、買えるAbemaTV社の競合として
- メルカリチャンネル
- Yahoo!ショッピングLIVE
- MUUU
の3サービスを紹介しました。買えるAbemaTV社はタレントを起用するなど「よりテレビに近い形」で差別化をはかっていると考えられます。
今後は、ライブコマースへの参入が予想できる「買えるAbemaTV社」の動向に目が離せません。