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ストライプデパートメントが提供する百貨店ECのプラットフォーム「DaaS」、地方百貨店ECサイトの課題解決なるか

2019年9月12日、株式会社ストライプデパートメントが百貨店向けに新サービス「DaaS(ダース)」の提供を発表しました。「DaaS」とはDepartment EC as a Serviceを意味し、百貨店、主に地方百貨店のECサイト事業を支援するサービスです。
地方百貨店が抱えるECサイトの課題を解決し、オムニチャネル化による売り上げ増を可能にする百貨店ECプラットフォーム「DaaS」は、どのような未来を見せるのか。

折しも、ZOZOの前澤社長が退任というニュースが飛び込んだその日に行われた記者発表会の模様をお伝えします。
【目次】

ストライプデパートメントとは

2017年にオープンした「ストライプデパートメント」は、製造小売を行うストライプインターナショナルのマーケティング力と、ソフトバンクのITテクノロジーが組み合わされたECサイトです。

当初より三越伊勢丹といった百貨店や、百貨店に多く店舗を出しているアパレル企業などと提携しており、ストライプデパートメントを通して顧客と接点をつなげるという目的もありました。


DaaS(Department EC as a Service)のメリット

今回発表された「DaaS」は、さらに一歩進んだビジネススキームです。顧客、百貨店、ブランド、ストライプインターナショナルの4者が四方良しとなる提携メリットを提示しています。
特に、自社独自でのファッションECサイト構築及び運用をおこなうことがコストと人材の面で難しかった地方百貨店にとっては、「イニシャルコスト、ランニングコストが0円」という魅力があります。また、ストライプデパートメントの擁する1000ブランドの商品を自社のECサイトで販売することができ、オムニチャネル化も可能になるということです。

地方百貨店の現状課題を解決するDaaSの仕組み

ストライプインターナショナルの石川社長は、地方百貨店の課題として「ECサイトに対する投資額が大きく、投資に踏み切れない」こと、「開発リソースがない」ことを挙げました。
DaaSと提携することで、イニシャルコストをかけずに短期間でスタートでき、ささげ業務や発送業務、サプライチェーンの運用、ブランド開発といったMD業務もストライプデパートメントが代行するため、人材の確保も必要ありません。

また、CRMに関するメリットがあります。「実店舗だけのマーケティングから、ECサイトと連携させることによってロイヤルカスタマー化し、売上増と収益向上を狙える」という点です。
オムニチャネル化がもたらすのは、新規チャネルのECサイトでの売上増だけでなく、実店舗への送客増加、つまり顧客単価の向上と言われます。「オムニチャネルを行うことで、顧客単価が4倍になる」ことは、世界的な傾向となっています。

(株)ストライプインターナショナル/(株)ストライプデパートメント 代表取締役社長 石川康晴氏


地方百貨店が持つ既存顧客のロイヤルカスタマー化

イニシャルコストやランニングコストをストライプデパートメントが負うメリットは、地方百貨店が持っている既存顧客を新規会員として獲得できることです。
ストライプデパートメントがこれまで新規顧客獲得のためにおこなってきたのは、SEO、SNS、デジタル広告といったデジタルマーケティング施策でした。ここで実店舗(百貨店)の既存顧客という新しいチャネルの会員を得ることが「最大のメリット」と捉えていることが、石川社長のコメントから伺えました。

登壇者の一人、株式会社トキハの植山常務は、「地方百貨店のECサイトは、地産品やギフト、カタログ販売などが中心となっています。しかし、やはりファッション・アパレルが顧客に期待されているカテゴリなのです」

今回ストライプデパートメントのDaaSと提携した大分県のトキハ、石川県の大和のECサイトともにファッションカテゴリの扱いが小さい、またはそもそもない状態でした。

馴染みのある百貨店のロゴを冠したファッションECサイトでの購入は、既存顧客にとって安心感があり、これまで取り扱いのなかったブランドとの出会いなど、新しい顧客体験を提供することになります。

画像提供:ストライプデパートメント


植山常務はDaaS提携に際し、「地方百貨店の再生の解は一つではありません。DaaSとの提携がお客様の購買行動の課題を解決してくれるのではないでしょうか」と期待を寄せました。

実店舗でショールーミング、ECサイトで購入

ストライプデパートメントの近内(こんない)常務は、「地方百貨店の実店舗内でテナント展開をしていないブランドがショールーミングを行い、購入する場合はECサイトを利用してもらうなど、出店ブランドと地方百貨店の接点を創出できます」とブランド側のメリットも取り上げました。

実店舗に出店していないブランドの商品に対しても、売上動向を反映したブランド開発が行え、売れ筋商品の実店舗展開なども視野に入れているといいます。

双方の客層にギャップは?

地方百貨店の客層とストライプデパートメントの客層にギャップがあるのでは、という質問に対し、「高齢者など、ECサイトで買い物をすることに躊躇する顧客が一定層いますが、そうした方に対しては百貨店の外商担当が丁寧に説明することで使ってもらえるようになると思います」と石川社長は語ります。


DaaSの目指すミライ

2019年に店舗が閉店する、あるいは閉店した地方百貨店の数は10店舗。実は筆者の故郷でも、市内で営業していた百貨店が今年閉店しました。
高度成長期には「商店街では買えない高級品がなんでも揃う、街の文化の中心」として機能していた百貨店は、徐々にロードサイドの量販店に顧客を奪われ、ドーナツ化現象に食われるような形で営業を終えていきます。
三越伊勢丹といった大手の有名百貨店の支店であっても、状況は変わりません。前述の閉店予定の店舗には三越伊勢丹の支店も含まれるのです。

百貨店の市場規模は6兆円を割り込み、縮小傾向が続きます。対してECの市場規模は2020年には15兆円に及ぶと予測され、コンビニの市場規模を超えるとされています。

ECサイトと百貨店の市場が食い合うのではなく、相互送客と顧客単価の増加を見込む百貨店ECプラットフォーム「DaaS」。「今後は会員ポイントの統合や在庫データ統合もゆるやかに進めていく(石川社長)」とし、「百貨店をサポートし、日本のオムニチャネル化に貢献したい」というメッセージを携え、今後は50の地方百貨店との提携を目指すということです。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000132.000036659.html

PR:ORANGE OMNI:店舗システムとECシステムを統合するオムニチャネル化によって次世代の販売システムを構築します