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ヤマダ電機の取り組みに見る「ネットとリアルの融合」の行方

みなさんは家電を買う時、どのお店へ行くでしょうか?
いきなりですがこちらは日本の家電量販店の売上ランキングです。

1位のヤマダ電機は売上高1兆8000億円、まさに家電量販店の覇者です。

そんな業界第1位のヤマダ電機ですが、その座にあぐらをかいているわけではありません。
業界でもまったく新しい試みを仕掛けてきました。

(引用元:『http://imgcc.naver.jp/kaze/mission/USER/20120626/73/784973/37/~』)

▽社員お届けサービス| -ヤマダ電機WEB.COM-
「ネットで購入した商品を販売員が当日配送」という試みです。
http://www.yamada-denkiweb.com/contents.php/special/guide3/

販売員の当日配送でAmazonに対抗

ネット通販で注文があった商品を店舗の販売員が当日配送するサービスで、

・通販サイトから商品を注文すると、住所から一番近い店舗の販売員が商品を送り届ける
・15時までの注文で当日配達 ※追加料金なし
・大型家電の設置
・梱包材などの廃棄

がサービスの概要となります。
現時点では関東の一部店舗に限られていますが、今後全国760店舗に広げていくとのことです。

有料での当日配送を実施しているAmazonに対抗する手段として、ヤマダ電機はこのような当日配達サービスに乗り出したと思われます。

この取り組みは、「販売員が直接商品を届ける」ということが大きなポイントです。

ネットからはじまる新たな「御用聞き」

商品を届ける販売員は購入者とコミュニケーションを取り、購入者が他に必要なものはないか、困っていることはないかとニーズを掘り起こし、次の注文につなげることができます。

商品知識を備えた販売員ですから、大型家電の設置はもちろん、手持ちの電化製品の不具合、購入を考えている商品の相談、家族構成などの情報から最適な商品の提案、と様々な面から顧客をケアすることができるため、いわゆる「御用聞き」が可能になります。ここまでの顧客支援は現在のネットショップ単体では、実現することができません。

こうした役割はこれまで街の電器屋が担ってきたのですが、それに業界の覇者、ヤマダ電機が乗り出したのです。

実店舗販売からオンライン販売に乗り出し、さらにそこからリアルな接客につなげる、この試みは、まさにリアルとネットの境目が曖昧になっていく中での一つの象徴的な出来事だと言えます。

すべての小売はネットスーパー化する?

食料品を買うときはスーパーマーケットに行くことが一般的ですが、こちらもネット化が進んでいます。
インターネットで注文を受け付け、商品を近くの店舗から個人宅まで配送するサービスで、米・野菜などの生鮮食品から日用雑貨、肌着、家電の一部まで即日配達されています。

イトーヨーカドーのネットスーパー会員数の推移(2009~2012)

(引用元:『http://www.dalahast.jp/2012/05/13/~』)

ネットスーパーが人気を集める背景には
・高齢化
・共働き世帯の増加
・車離れ

などがあると言われています。

高齢者にとって買い物をして重い荷物を持って帰るのは大変なことです。
共働きの世帯にとっても、買い物に行く時間の確保は大きな負担になります。

また、車がないと(特に雨の日に)大きな荷物を自宅まで持って帰る手間は結構なものです。

買い物に出る必要がなく、自宅まで商品を配送してくれるネットスーパーは「労力
」と「時間」を削減してくれるため、実店舗の売上が縮小する一方、2ケタ台の成長が続き既存店舗の売上にとって代わる勢いとなっています。

そして、こうしたメリットはどの小売にも当てはまるのではないでしょうか?

ネットでの注文を販売員が届けてくれ、「御用聞き」のように顧客に応じた対応をしてくれる今回のヤマダ電機の取り組みが、今後家電量販店のみならず、業種を越えて広がっていく可能性は大いにあります。

ネットの利便性とリアルのきめ細やかなサービスが融合したとき、ネットスーパー化する小売が増えてくるかもしれません。