総重量10億ポンド分のリサイクル回収目標を達成したBest Buyの次なるゴールは20億ポンド達成!
今から5年前に、家電量販店Best Buyが総重量10億ポンド分の電子機器・家電のリサイクル回収を2014年までに実現するという目標を掲げた際には、その可能性に我々の多くが疑問を持ったものでした。ところが、Best Buyは今夏の時点でその目標を軽々と達成しただけでなく、アメリカ国内1400店舗において実施する独自プログラムを通して、2020年までにさらに20億ポンド分のリサイクル回収を目指すと発表しました。
同社の環境管理部シニアディレクター、スコット・ウィースロー氏は「前回と同じ期間で今回は2倍の量をリサイクル回収したいと考えています」と話します。
ところで、このプログラムを通してBest Buyが回収する対象には、企業で使用されたアイテムは含まれていません。また、統計によると2013年に家電業界全体が回収したリサイクルは前年の2倍にあたる6億2000万ポンドにのぼり、2016年までに業界として毎年10億ポンドのリサイクル回収を目指しています。
このようなBest Buyのプロジェクト同様、 Dellも2020年までに総重量20億ポンド分のリサイクル回収を目指しています。ちなみに一般家電のリサイクルに関してはDell以外にBest Buyに対抗できるほどの規模を持った企業は現在見当たりません。
Best Buyとリサイクル業務提携を結び、アメリカ国内に8つの施設をもつElectronics Recyclers International (ERI)の共同創設者であり、同社CEOでもあるジョーン・シゲリアン氏は「(リサイクル回収目標達成の)成功は難しいだろうとする我々の予想に反して、Best Buyは予定よりも早く目標を達成しただけでなく、これ以降同様のプロジェクトを行う際の新しいガイドラインを設定することにも成功しました。このように当初の目的をしっかりと達成し、今後にもつながる成果を上げた功績に関しては本当に頭が下がります」と賛辞を送っています。
このBest Buyのリサイクル回収システムですが、基本的には至ってシンプルです。例えば必要の無くなったテレビ、携帯電話、プリンターなどを店舗に持っていくと、無料で引き取ってくれる仕組みです(現在は各機器のハードドライブに保存されている個人的なデータを事前に消去することは個人の責任となっています)。また、ケーブルや充電器などの小さなアイテムは店内の専用キオスクで対応しています。洗濯機やワイドスクリーンテレビなどの大型アイテムは自宅まで有料で引き取りに来てくれますが、この際にBest Buyで代わりの商品を購入する場合は引き取り手数料が無料になります。前出のウィースロー氏によると「よほどのことが無い限り、どんなものでも引き取りいたします」ということです。
Best Buyの取り組み
このようにリサイクル事業において大きな成功を収めたBest Buyですが、リサイクル回収の実施と関連コスト削減の取り組みにおいては常に試行錯誤を繰り返してきたことは忘れてはなりません。例えば2001年に電子機器の回収を始めた後、2008年に正式なリサイクル回収システムを設立した際にはあえてリサイクル・製品再生専用施設の建設は見送りました。この決断に対し、ウィースロー氏は「施設を一体化して自社管理するというアプローチは、採算性を考慮した際にベストとは言えなかったのです」と説明しています。
その代わりにResponsible Recycling (R2)認定済み、ならびにe-Stewardsプログラム認証を取得している約6社の電子廃棄物処理専門業者と提携を結び、古くなったり破損した廃棄物から再利用可能な金属や各パーツを回収するというスタイルで事業を展開してきました。Best Buyのホームページによると、現在ERI、Sims Recycling、Regency Technologies、Jaco Environmental、Call2Recycleといったところと業務提携を結んでいるという事です。
「まずは回収したアイテムをこれらの企業が修理して再販売できるかどうかをチェックし、それが不可能な場合でも再利用できる部品が無いかどうかを調べます」(ウィースロー氏談)
またBest Buyは地域別対応を徹底し、特にリサイクル回収を奨励または義務付けしている州や、提携企業の処理施設があるエリアに絞って施設投資を展開しています。ちなみにここ数年での大きな変化と言えば「リサイクル対象アイテムが施設に回収されるまでの流れ」が挙げられ、以前は第三者企業に依頼して回収作業を実施していたのが、現在は新品の製品を販売店舗へ配達するトラックを利用してリサイクル可能品の引き取り業務を行うようになっています。
ウィースロー氏は「以前の事業形態ではコストがかかり過ぎ、作業効率も最適とは言えませんでした」と話し、続けて「ところが、せっかく店舗商品運搬用のトラックがあるのだから、リサイクル用品の施設配送もこのトラックでまかなってしまおうということになったのです」と説明しています。
Best Buyの今後
さて、Best Buyは先に触れたリサイクル回収における大きな目標を達成する上でどのような展望を持っているのでしょうか。
18歳から65歳までの成人200人を対象に、調査機関Millward Brownによって2か月間に渡って実施された同社の独自調査では、実際に電子機器をリサイクルする消費者は39%ほどしかいないということが分かっています。
このデータから分かるのは、まだまだリサイクル業務には成長の余地がたくさん残されているという事です。事実、回答者の70%は将来的にこういった電子機器をリサイクルするつもりでいると答えています。
一般的に回収されるアイテムとしてはこれまでのところテレビが圧倒的ですが、ウィースロー氏はこの先Best Buyにおいては携帯電話やデスクトップコンピュータなどの回収量が増加してくると見込んでいます。また、最近は消費者が下取りサービスを利用するケースも増えてきており、調査対象となった回答者のうち半数以上が、携帯電話の買い替えの際にはこれまで使用していた古い携帯電話を下取りに出して新機種を特別価格で購入をしていると答えています。
このことに関連したデータとしては、不要となった携帯電話などの買い取りを行うecoATMが去る9月に発表したレポートがあり、それによると同社は2008年以降に携帯電話、タブレット、そしてMP3プレーヤーを約300万個回収したという事が報告されています。これはおよそ87万9000ポンド相当のプラスチックや金属が回収されたということになり、その量はボーイング747-400クラスの旅客機2機分に匹敵します。
また、今年だけでecoATMはすでにアメリカ国内のショッピングモールや大手小売店に設置されたおよそ1100箇所の回収用キオスクを通して、これまでに100万台を超える電子機器を回収処理しています。
同社の環境管理部シニアディレクター、スコット・ウィースロー氏は「前回と同じ期間で今回は2倍の量をリサイクル回収したいと考えています」と話します。
ところで、このプログラムを通してBest Buyが回収する対象には、企業で使用されたアイテムは含まれていません。また、統計によると2013年に家電業界全体が回収したリサイクルは前年の2倍にあたる6億2000万ポンドにのぼり、2016年までに業界として毎年10億ポンドのリサイクル回収を目指しています。
このようなBest Buyのプロジェクト同様、 Dellも2020年までに総重量20億ポンド分のリサイクル回収を目指しています。ちなみに一般家電のリサイクルに関してはDell以外にBest Buyに対抗できるほどの規模を持った企業は現在見当たりません。
Best Buyとリサイクル業務提携を結び、アメリカ国内に8つの施設をもつElectronics Recyclers International (ERI)の共同創設者であり、同社CEOでもあるジョーン・シゲリアン氏は「(リサイクル回収目標達成の)成功は難しいだろうとする我々の予想に反して、Best Buyは予定よりも早く目標を達成しただけでなく、これ以降同様のプロジェクトを行う際の新しいガイドラインを設定することにも成功しました。このように当初の目的をしっかりと達成し、今後にもつながる成果を上げた功績に関しては本当に頭が下がります」と賛辞を送っています。
このBest Buyのリサイクル回収システムですが、基本的には至ってシンプルです。例えば必要の無くなったテレビ、携帯電話、プリンターなどを店舗に持っていくと、無料で引き取ってくれる仕組みです(現在は各機器のハードドライブに保存されている個人的なデータを事前に消去することは個人の責任となっています)。また、ケーブルや充電器などの小さなアイテムは店内の専用キオスクで対応しています。洗濯機やワイドスクリーンテレビなどの大型アイテムは自宅まで有料で引き取りに来てくれますが、この際にBest Buyで代わりの商品を購入する場合は引き取り手数料が無料になります。前出のウィースロー氏によると「よほどのことが無い限り、どんなものでも引き取りいたします」ということです。
Best Buyの取り組み
このようにリサイクル事業において大きな成功を収めたBest Buyですが、リサイクル回収の実施と関連コスト削減の取り組みにおいては常に試行錯誤を繰り返してきたことは忘れてはなりません。例えば2001年に電子機器の回収を始めた後、2008年に正式なリサイクル回収システムを設立した際にはあえてリサイクル・製品再生専用施設の建設は見送りました。この決断に対し、ウィースロー氏は「施設を一体化して自社管理するというアプローチは、採算性を考慮した際にベストとは言えなかったのです」と説明しています。
その代わりにResponsible Recycling (R2)認定済み、ならびにe-Stewardsプログラム認証を取得している約6社の電子廃棄物処理専門業者と提携を結び、古くなったり破損した廃棄物から再利用可能な金属や各パーツを回収するというスタイルで事業を展開してきました。Best Buyのホームページによると、現在ERI、Sims Recycling、Regency Technologies、Jaco Environmental、Call2Recycleといったところと業務提携を結んでいるという事です。
「まずは回収したアイテムをこれらの企業が修理して再販売できるかどうかをチェックし、それが不可能な場合でも再利用できる部品が無いかどうかを調べます」(ウィースロー氏談)
またBest Buyは地域別対応を徹底し、特にリサイクル回収を奨励または義務付けしている州や、提携企業の処理施設があるエリアに絞って施設投資を展開しています。ちなみにここ数年での大きな変化と言えば「リサイクル対象アイテムが施設に回収されるまでの流れ」が挙げられ、以前は第三者企業に依頼して回収作業を実施していたのが、現在は新品の製品を販売店舗へ配達するトラックを利用してリサイクル可能品の引き取り業務を行うようになっています。
ウィースロー氏は「以前の事業形態ではコストがかかり過ぎ、作業効率も最適とは言えませんでした」と話し、続けて「ところが、せっかく店舗商品運搬用のトラックがあるのだから、リサイクル用品の施設配送もこのトラックでまかなってしまおうということになったのです」と説明しています。
Best Buyの今後
さて、Best Buyは先に触れたリサイクル回収における大きな目標を達成する上でどのような展望を持っているのでしょうか。
18歳から65歳までの成人200人を対象に、調査機関Millward Brownによって2か月間に渡って実施された同社の独自調査では、実際に電子機器をリサイクルする消費者は39%ほどしかいないということが分かっています。
このデータから分かるのは、まだまだリサイクル業務には成長の余地がたくさん残されているという事です。事実、回答者の70%は将来的にこういった電子機器をリサイクルするつもりでいると答えています。
このことに関連したデータとしては、不要となった携帯電話などの買い取りを行うecoATMが去る9月に発表したレポートがあり、それによると同社は2008年以降に携帯電話、タブレット、そしてMP3プレーヤーを約300万個回収したという事が報告されています。これはおよそ87万9000ポンド相当のプラスチックや金属が回収されたということになり、その量はボーイング747-400クラスの旅客機2機分に匹敵します。
また、今年だけでecoATMはすでにアメリカ国内のショッピングモールや大手小売店に設置されたおよそ1100箇所の回収用キオスクを通して、これまでに100万台を超える電子機器を回収処理しています。
この記事はBest Buy hits billion-pound recycling goal, doubles pledgeを海外小売最前線が日本向けに編集したものです。