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2024年のSEO対策は生成AIに注目。AIと人からの可読性を高めるECサイト構築とは


アルゴリズムの変化に応じてアップデートされてきたSEO対策ですが、これからのSEOはAIツールの台頭によって、新たな局面を迎えています。



生成AIによる新しい検索体験「SGE」が試験的に導入され、Webサイトは人にリーチしやすいだけでなく、AIの可読性も高める必要が出てきました。



生成AIが参照し、推奨ページとして提示すれば、サイトの流入が大幅に高まる可能性があるからです。



本稿では、「SGE」の概要解説からスタートして、SEOとAIの関連性について最前線の状況をリポートしています。さらに、ゼロクリックサーチなどの不利益を避けながら、近い未来のECサイトがAIをどのように活用していくべきなのか、という道筋を示します。


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SEO対策としてAIをどう捉えるか



結論として、これからのSEO対策は、AIツールの導入や活用が不可欠になっていきます。



AI技術は、今はまだ進化の途上にありますが、社会に浸透していくに従って進化もますます加速度的になり、SEO指標は、AIが関わるものへと変化していくことが予測されています。



現在と少し先の未来は、生成AIが生み出したコンテンツとユーザーの使い勝手がどのように作用するかを見る、学習と実証実験のような時間です。



やがて、あまり時間をおかずにAIツールがSEO対策にしっかりと組み込まれるのが当たり前の社会になっていくと考えられます。



上記のように生成AIをはじめとするAI技術で検索結果を充実させることを、「SGE」と言います。



次世代のSEO対策には、このSGEについて理解し、ChatGPTのようなAIの強みは何かということを理解しておく必要があるでしょう。



検索結果に影響を与えるとされるSGE



SGEは、Search Generative Experienceの頭文字をとった略称です。



Googleでは、2023年8月から試験的にSGEの運用が開始されました。



SGEは、Googleで何かを検索した時に、情報が載っているサイトより先に、AIによって生成された検索結果が表示されるという検索体験です。



実際にGoogleで検索した際に、「生成AIは試験運用中です。」というメッセージと共にAIによる回答が表示されたのを目にした方も多いでしょう。



SGEと類似している機能には、Googleの提供するチャットボット型生成AI「Bard」があります。



「Bard」は検索エンジンから独立しているのに対して、SGEは、検索エンジンと連動して質問に対して回答を返すのが特徴になっています。



SGEは、会話形式で連続して質問することができて、関連ページのリンクも表示されます。これによって、ユーザーの検索体験は向上すると考えられています。



一方でSGEによって、Webサイトを訪問せずに検索結果上だけでリサーチを止めてしまう「ゼロクリックサーチ」を行うユーザーが増えることを懸念する声もあります。



ゆえに、検索から流入するユーザーが減る可能性を考慮して、今後は検索以外のタッチポイント作りが重要になると考えられています。



これと同時に、生成AIに推奨リンク先として選ばれるようなサイトづくりをするのも重要です。



生成AIは、多くのサイトから情報を検索して、良質なコンテンツと判断されるサイトを提示します。



ゼロクリックサーチが当たり前になると、生成AIに回答として表示されるだけで競合サイトよりも優位に立つ可能性が高まります。



AIが推奨しやすいコンテンツ、すなわちAIの可読性を高めるサイトづくりがこれからのトレンドになっていくと考えられます。



オウンドメディアなどのコンテンツ制作にAIを活用



ChatGPTのような生成AIは、アイデア出しを得意としています。



オウンドメディアは、コンスタントに良質なコンテンツを生み出すことが重要です。



アクセス数を高めたり、企業への好感度を育成したりするためにはトレンドに沿ったスピード感のある発信が必要ですが、人力のみでアイデアを出すには限界があります。



しかし、例えばChatGPTのような生成AIを活用すれば、適切な条件を与えることで、数十秒の間に何十個ものアイデアを出すことができます。



さらにコンテンツの目指すべきターゲット層(ペルソナ)の設置、SEO評価や効果的な強調スニペットの作成、読みやすい文章への改善などもAIが得意とする分野です。



とはいえ、SEO対策やコンテンツづくりをすべてAIに任せてしまうのは時期尚早です。



生成AIが作成したコンテンツはかなり自然な文章になっていて、エンゲージメントスコアも高くなっていますが、信頼度の点では人が作成したものの方がはるかに高いというデータがあるからです。



さらに、文章が一見整然としているように感じられても、よく読むと誤りがあったり、正確ではない記述が見られたりします。



内容が正しく、全体を通して矛盾が生じていないかどうかは、現段階ではまだ人力でチェックを行わなければなりません。



また、AIが生成したコンテンツは、一ヶ月程度の流入数は順調であるものの、その後持続的な流入が見込めなくなるというデータもあります。



持続的な閲覧数を維持するためには、こまめに内容をアップデートさせる必要があります。



つまり、まだ現段階では、生成AIを活用しながらも、人の手を入れて良質なコンテンツを作っていくことが重要なのです。



使用した画像はShutterstock.comの許可を得ています




これからECサイトがSEOで考慮すべきポイント



前提として、GoogleのSGEはこれから変化していくことが予測されます。



ChatGPTが登場して数ヶ月で世界を席巻し、EUをはじめとした各国で法整備が急速に進んだことを考えると、生成AIの進化スピードもまた未知数と考えられます。



このまま人の手によるチェックやブラッシュアップが必要な状態を維持する可能性もあれば、盤上の形勢を一気に変えるようなブレークスルーが突然起こる可能性もあります。



確実に言えるのは、変化は一瞬であるということでしょう。



こうした前提をふまえた上で、これからのECサイトにおけるSEOを検討するならば、キーワードになるのは、「AI最適化」と「正確性」です。



AI最適化に対応



これからのSEO対策は、AIとどのような関係を構築して進めていくべきか、この問いに対して、米国ではあるニュースサイトが「AIO最適化(Artificial
Intelligence Optimization)」という一つの考えを表明しています。



前提として、米国の多くの新聞社やニュースサイトは、自社の掲載するWeb記事が生成AIの学習材料にならないよう、クローラーのブロックを行っています。



クローラーは、ネット上の文章や画像の情報を取得して自動的に検索データベース化するプログラムのことで、生成AIはこの検索データベースを元に文章を生成しています。



新聞社やニュースサイトは、SGEによって「ゼロクリックサーチ」が横行し、自社サイトへの流入が減少することを懸念してクローラーをブロックしているわけですが、「AIO最適化」を掲げる、米国のあるニュースサイトは、クローラーのブロックをせず、反対にAIの可読性を高める施策を行なっています。



この施策の背景には、多くのネットユーザーにとって、まだAIが提示する情報への信頼性が不十分であるという点が関係しているとみられています。



すなわち、生成AIによって一定の検索結果を得た後も、ネットユーザーは自社のニュースサイトを閲覧するだろうという予測を立てて、クローラーのブロックを行っていないということです。



事実、カナダのIT企業が行った調査では、生成AIに精通している人ほど「ネット上に正しくない情報が蔓延する事態」を懸念していることが分かっています。



不正確な情報は、生成AIがもたらす幻覚のようなもので、日本でも、生成AIの利便性は認めつつもそれが生み出す情報が100%正確ではないと考える人が多数派となっています。



このことから、AI最適化は、うまく機能すればゼロクリックサーチによる流入減少を防ぎ、ユーザーの信頼を得られる施策と言えるでしょう。



商品データを正確に伝えることが重要に



AI関連の急速な進化によって、ECサイトの業務効率化も進んできました。



画像をAIで処理して色違いの商品画像を生成するテクノロジーや、過去にオペレーターやチャットボットが対応してきた内容を学習データとして活用して、自然な対話を成り立たせる顧客対応に特化した生成AIなど、バックオフィスの負担を軽減するAIツールが次々に登場しています。



米国では、すでに90%以上の小売業者がAI投資を行っているなど、小売業界でもAIに対応した施策が進んでいます。



投資は、AI、機械学習、コンピュータービジョンなど新しいテクノロジー全般に対して行われています。コンピュータービジョンは、撮影した画像を処理して必要な情報を得る技術で、ECサイトには欠かせない商品画像の進化が期待されます。



国内でも、商品画像に関する業務効率化を実現する技術として、画像処理技術によって色違いやスタイリング違いの商品画像を簡単に出力するというテクノロジーがすでにリリースされています。



これは、1枚の画像から色やスタイリングのバリエーションを生み出せる技術で、色を変えるだけでなく、背景のモチーフを春から冬へ変更したり、持っている小道具をバッグから傘に変更したりすることが可能です。



海外では、バーチャル試着をAIの技術でさらに高めて、着用感、サイズ感をよりリアルに体感できるサービスが試験的に展開されるなど、ECでのショッピング体験はAIによって急速に進化しています。



ECサイトのショッピング体験は、実際の商品を手に取ったり試着したりできないことが最大のネックですが、生成AIの活用によってそれを克服できる未来も、そう遠くはないかもしれません。



生成AIと社会の関わり方



2024年のEC業界は、ライブコマースと生成AIがキーワードになると予測されています。



ライブコマースは、TikTokにコマース専用のアカウントを作り、外部ECサイトへ誘導する動きがすでに活発化していて、その動きが今後も加速すると考えられています。



生成AIがECで活用される分野は、よくある質問や対応の学習がしやすい「顧客対応」、そして、アイデア出しやリサーチを生成AIで行い人力で仕上げることで作成時間を大幅に短縮できる「広告」です。



クレーム対応や注文履歴の確認といった顧客対応、広告作成は、業務効率化につながる生成AIです。



商品ページの改善など、顧客の目にふれるところで生成AIが活躍するのは少し先の未来になりそうですが、バックオフィスには着実にAIの技術が活用され始めています。



ChatGPTの登場と普及があっという間だったように、一旦小売業界にAIが活用され始めれば、瞬く間にその用途は広がっていくでしょう。



2024年を後の時代から振り返れば「生成AI元年」、「AI投資元年」と位置づけられるのかもしれません。