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無料化したYahoo!ショッピングに出店した後を考えてみる

Yahoo!ショッピング無料化。10月7日の発表以降、EC界隈はこの話題で持ちきりです。

発表によると、発表の翌日から出店希望者が従来の数百倍に達し、新たに募集を開始した個人向けの出店申し込みは、16,000件にも登ったといいます。(※1)

既に多くのまとめ記事が出ていますが、実際のショップ運営者にとって手放しで喜んで良いものでしょうか。改めてこの無料化について、考察してみたいと思います。

Yahoo!のEコマース革命

改めて今回の取り組みで行われることをおさらいしてみます。(※2)
・出店料としての初期費用21,000円と月額費用25,000円の無料化。(2013年10月請求分より)

・売上に対するロイヤリティ1.7~6.0%(売上高によって異なる)の無料化。(2013年10月請求分より)
⇒出店料・月額費用および、売上に対するロイヤリティが全て無料となります。出店希望者が従来の数百倍になったことからも、モールへ出店のハードルは大きく下がったと言えます。
・Yahoo!ショッピングからの外部リンクを解放
⇒外部リンクの開放により、Yahoo!ショッピング内の店舗から、自社で運営する独自ドメインのサイトへ誘導することもできますし、極端な話、他のモールの店舗へ飛ばすことも可能となります。楽天では外部リンクは禁止されているため、大きな差別化のポイントとなります。
・個人による出店が可能に(本人確認手続きおよびYahoo!プレミアム会員登録を完了した方なら誰でも)
⇒これにより、CtoC(顧客間)の売買が可能となります。CtoC売買のプラットフォームとしては、「Stores.jp」や「BASE」といったサイトがあり、個人が無料で自分のオンラインショップをもつことができます。(※3)しかし、「Stores.jp」や「BASE」は、楽天やYahoo!のようにモールではないため、「集客」という観点から見ると弱い部分がありました。少し前にLINEがCtoCでEコマースへ参入することが話題になりましたが、Yahoo!もそこへ参入する形と言えます。

運営コストの増加

では、無料化に伴い出店することで、店舗は手放しで喜んで良いのでしょうか。

多くの事業者にとって、出店のハードルは格段に下がりましたが、出店後の運営コストも念頭に置いておく必要があります。

運営業務は増加する

当然ながら、1店舗新しく出店するということは、その運営業務が追加されることとなります。実際、独自ドメインのサイトを持っていたり、複数のモールへ出店している企業は多いですが、その場合商品登録や在庫管理といった運営業務は、モール毎に行う必要があり、2重、3重の作業が必要となります。売上規模の大きい店舗は、複数店舗間で在庫を自動調整したり、商品データを移行できるように、システムで対応を進めることができます(※4)が、中小規模の店舗ではなかなか導入に踏み切れないでしょう。

広告出稿の手間が増える

今回、収益の大部分を占めていた出店料、及び手数料を無料にしたYahoo!ですが、今後は広告料が収益の中心としていくとの見方が広まっています。

出店する店舗、品数が増加することにより、自分の店舗の商品が見つけられる確率は低くなります。見つけてもらうためには、人々の目につくようにする、つまり「広告を打つこと」が必要です。広告料を支払えば広告は打てますが、広告出稿の「手間」が増えるということも忘れてはなりません。

以上のように、出店することで業務量は増加します。実際にモールに出店をしている大半の中小規模店舗は、日々の注文の処理をはじめ、商品画像の撮影、商品登録業務や、在庫管理、商品の梱包・発送作業等、多大な業務をぎりぎりの人数でこなしているのが現状です。そこに新たに1店舗分の運営業務の追加、さらには広告出稿の業務が追加されるわけですから、運営側としては、多少なりとも負担が強いられるようになります。現状の運営サイトの注文量、スタッフ数等を考えた上で、検討する必要があります。

まとめ

出店料、手数料が「無料化」された一方で、広告料や運営コストを考えるとやはり負担は増加します。

広告料に関しては、必須になると言えます。出店するだけで売れるほど希少性が高い商品であれば話は別ですが、今後同じ商品を扱う店舗が増えるとなると、いかに「目につくか」というところがポイントになります。今回は外部リンクも許可されているので、Yahoo!ショッピング上で目玉商品の広告を打ち出し、そこから独自ドメインサイトへの導線を用意することも可能です。

運営コストも仮に出店するだけであれば、大きな負担にはなりません。しかし、商品を販売し、利益を上げることをゴールとするなら、運営コストの増加は避けられないでしょう。特に今回は無料ということもあり、出店するだけでまともに運営・更新をしない店舗も少なくないと考えられます。その中で店舗の差別化に必要となるのは、顧客への丁寧なフォローだったり、小さなサービスだったりします。Yahoo!が掲げる「自由」というテーマのもと、独自ドメインサイトとの連携や他モール間での連動がしやすくなれば、多くの中小店舗が課題としている運営負担も下がっていくかもしれません。

Yahoo!ショッピングへの新規出店の受付は、12月からとなっていますが、まだまだ新しい発表が控えていそうです。今後も「Eコマース革命」の動向に注目したいところです。
【参考】

※1「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」への新規出店希望が爆増Yahoo! JAPANの新戦略「eコマース革命」発表で数百倍にも」
http://pr.yahoo.co.jp/release/2013/1009a.html
※2「ヤフーショッピングの無料化で、EC業界にはどんな影響がでるのか・・?」

http://www.ecmj.co.jp/%E3%83%A4%E3%83%95%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AE%E7%84%A1%E6%96%99%E5%8C%96%E3%81%A7%E3%80%81ec%E6%A5%AD%E7%95%8C%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%82%93%E3%81%AA/

※3「CtoC -Amazon、楽天は「時代遅れ」になるか」
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130717-00009967-president-nb
※4 ネットショップ向け受注管理/在庫管理ソフトのまとめ
http://matome.naver.jp/odai/2131469645691418101
この記事を書いた人
大工 峻平

エスキュービズム・テクノロジー ソリューション事業部開発部にて、タブレットPOSシステム導入を担当。タブレットPOS、Handyシステムの導入営業からはじまり、納品・教育・保守まで幅広い業務領域に携わっています。