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キーワードは「受け入れる」こと?-ショールーミング対策事例4選

2014年がはじまりました。

日本の小売業の2013年を振り返ってみると「ショールーミング」が議論された1年であったように思います。

ショールーミングとは、店舗で商品の現物を確認した上で、店舗では商品を購入せず、自宅のPCやスマートフォンからECで商品やサービスを購入することを指します。この言葉の知名度以上に「店舗で見て、ネットで買う」という行動をしている方は増えているように感じます。

ショールーミングによって、リアル店舗は売上をWeb(ECサイト)に奪われる形になるため、小売業全般にとって大きな課題であると認識されていますが、この流れは今後も一層進展すると考えられています。

野村総合研究所は、2013年7月に「ECで購入した商品やサービスについて、購入前にリアル店舗で実物の確認をした比率」を調査しています。その結果、家電やパソコンでは30%以上が、EC全体でも約20%がショールーミング後の購買だったと発表しています。(※1)

今回は、このショールーミングに対する小売各社の対策の中から、特にショールーミングの流れを「受け入れ」ている事例を紹介したいと思います。

1.スタートトゥディのアプリ『WEAR』の活用-パルコ

「WEAR」のアプリ画面

2013年10月、ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイが「WEAR」(http://wear.jp/)というサービスを開始しました。これは、スマホのアプリで商品のバーコードをスキャンすると、その商品の詳細情報や、他の人の着こなしを見ることができたり、その商品をECで購入することができるというものです。
このサービスは、ショールーミングを一層推進するものとして、アパレル業界だけでなく小売業界全体へ大きな衝撃を与えました。

そしてこのWEARを商業施設で初めて採用したのが、パルコです。パルコがWEARを採用した背景には、店頭を経由して、EC(ZOZOTOWN)で商品が売れた場合、スタートトゥディからパルコへ手数料が支払われることが挙げられます。

パルコとは対象的に、ルミネは全館店舗での写真撮影禁止をすることで、事実上WEARを利用できないようにしているようです。同業態でも、ここまで対応が異なることからも、ショールーミング対策はまだ正解が導かれていない段階だとわかります。

(参考)O2Oショッピングの新しい形!?WEAR(ウェア)をパルコで体験してきた!(※2)

http://realid-inc.com/column/2013/11/14-131512.html

2.店頭での商品検索をより自由に-ヨドバシカメラ

ヨドバシカメラで設置されているスマホアプリ用バーコード

早くからショールーミング化が叫ばれてきた家電業界において、ショールーミングを受け入れる対策をとっているのが、ヨドバシカメラです。ヨドバシカメラでは、店頭の全ての商品にスマホのアプリでスキャンするためのバーコードを設置し、スキャンすると店頭で商品情報の検索、価格・商品レビューの確認、オンラインでのご注文などができるサービスを提供しています。(※3)

消費者が価格.comやAmazonで商品の比較をする前に、自らその機会を提供している姿勢はまさにショールーミングを受け入れていると言えるのでは無いでしょうか。

こちらも、安いネット価格に対して、値下げで徹底して対抗するヤマダ電機とは対照的な取り組みと言えるでしょう。

3.店舗ならではのサービスの充実を図る-PCデポ

PCデポのお助けメニューサイト
http://www.pcdepot.co.jp/cm_g/otasukemenu.html#menuPc

パソコン専門店のPCデポは、店舗ならではのサービスを充実させていますが、パソコンの診断や操作説明、カメラの初期設定等、その内容は多岐に渡ります。機械に強い消費者にとっては、これでこんなにかかるの?と感じることもあるでしょうが、高齢者をはじめとして、こうした「対面」でのサービスを求める消費者も多いのでしょう。実際にPCデポでは、全体の売上の内、約30%がサービスによる売上とのことです。(※4)

また、こちらは無償ですが年末に話題となった百度(Baidu)のIMEの問題にも無料診断を行なっています。

(参考)Baidu IME(Windows)およびSimeji(Android)に関する店頭緊急無料診断を実施いたします-PCデポ(※5)

http://www.pcdepot.co.jp/info/baidu.html

4.O2Oサービスを活用して、来店を促す-株式会社せーの

来店するだけでポイントがたまるCメンバーズポイント

http://ceno.jp/cmembers/app/

VANQUISH等アパレルブランドを運営する株式会社せーのでは、2013年9月より、来店することで、自動的にポイントが付与されるサービスの提供を始めています。

ポイントというインセンティブを顧客に提示することで、来店を促しています。

「来店=店舗の売上」というわけではありませんが、来店のきっかけを促すという意味では効果的な施策ではないでしょうか。

まとめ

今回は、ショールーミングの流れを受入れた上で、対策を行なっている企業を紹介しました。

ショールーミングが今後も進む背景には、価格が安いことや、商品を持って帰る必要が無いことなど、消費者にとっての大きなメリットがあります。ショールーミングによる、店舗の売り上げ減少を防ぎたいという発想では、以下のような対策が必要です。

■Webの方が安いなら値下げをして対抗する。
■店舗からの配送料を無料にする。

ただし、このような値下げ、無料化には限界があります。

値下げによる徹底対抗姿勢を表明したヤマダ電機は営業赤字となりました。ショールーミングが業績要因の1つであることは間違いなさそうです。(※6)

また、2013年春、伊勢丹新宿店は頓智ドット社のO2Oサービス「tab」、タイムアウト東京と共同でキャンペーンを実施していますが、現場の担当者はショールーミングに対して下記のように語っています。

「店舗で実物を確認した後、ほかのネット通販で買われてしまう。それならば、伊勢丹の通販サイトで買ってほしい。」

「最終的に伊勢丹の売り上げになればいい。」

(参考)伊勢丹の挑戦!次世代O2Oでおもてなし tabが描く、攻めのショールーミングの秘策(※7)

http://toyokeizai.net/articles/-/17092

この言葉は、ある意味本質をついています。リアル店舗の売上であろうと、ECでの売上であろうと、自社の売上であることに変わりはありません。リアル店舗の売上に固執せず、リアルとWEBの相乗効果をどう生み出すか。こうした視点で考えると、ショールーミングへの対策も変わってくるのかもしれません。

果たして2014年、ショールーミングへの正解は導かれるのでしょうか?

各社の対策に注目して行きたいと思います。

この記事を書いた人
大工 峻平

エスキュービズムにて、タブレットPOSシステム導入を担当。タブレットPOS、Handyシステムの導入営業からはじまり、納品・教育・保守まで幅広い業務領域に携わっています。

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