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オムニチャネルとマルチチャネル:80:20の法則

世界の様々な複雑な現象が実はある法則に則っていることがあります。 生活やビジネスにおいてしばしば直面するのがパレートの法則として有名な「80:20の法則」です。これは全体の数値の8割は、全体を構成するうちの2割の要素が生み出しているという説です。言い換えればほとんどの物事、成果は公平に分配されていないということです。

このような例があります。

・2割の問題に対し、解決に8割の時間がかけられている ・2割の供給元が在庫のうち8割の量を供給している ・2割の人員が全体の成果の8割を出している
イギリスの高級品の小売りの売上げの8割は2割の顧客が生み出しているという話があります。しかし小売りやCRMに従事する人にとってはこれは納得のできないことかもしれません。
そこでパレートの法則に基づいてこれを考察してみます。8割の売上げが2割の顧客によるものとした場合、その2割とは誰を指すのでしょうか。そして小売りは残りの8割の顧客を2割の顧客のようにするためにどうすればよいのでしょうか。
こうした2割の顧客はお金持ちであるケースが多いです。さらに興味深いデータがあります。複数チャネルを利用する顧客の方がひとつのチャネルしか利用しない顧客よりも多くの金額を費やす、というものです。アパレルのSaksのCIO/COOであるMike Rodgersは「Saksは複数チャネルで利用する顧客は単一チャネルしか利用しない顧客の3~4倍のお金を使う」と語っています。
これが本当であれば問題は「どうすれば顧客をマルチチャネルに呼び込めるか」となります。答えは明白であり、マルチチャネルでの存在感を増すということです。
オムニチャネルとマルチチャネルが混同される理由がここにあります。オムニチャネル環境を構築するためにマルチチャネルは必須ですが、マルチチャネル環境を構築するためにオムニチャネルは求められません。マルチチャネルでは全てのチャネルを顧客は利用できますが、チャネル自体は統合していません。オムニチャネルにおいては、チャネル同士がつながり、顧客はその中心的存在としておかれます。
小売りが顧客により多くの消費を促したい場合、オムニチャネル環境の創造が必要です。真のオムニチャネル体験は顧客にチャネルとチャネルの継ぎ目を感じさせることなく(気にすることなく)、デジタルとリアルにおいてブランド体験を可能にします。
問題はこうしたシームレスな体験を創出するためには多くの労力が費やされるということです。トレンドを占いながら顧客体験の最先端でなくてはなりません。

ここでパレートの法則を思い出してください。オムニチャネルとは2割の顧客を操り、より彼らに集中できるようにすることでしょうか?もしくは8割の顧客への動機付けを可能にするものでしょうか?どちらにしてもオムニチャネルとは身元を特定するものであり、正しく実施するためにはデータを統合し、顧客情報を知ることで顧客の経験を結びつける必要があります。
この記事はOmnichannel vs multi-channel and the 80/20 rule をOrange Blogが日本向けに編集したものです。