リテールメディアとは?メリットから事例、活用方法まで徹底解説
最近耳にすることが増えた「リテールメディア」という言葉。
なんとなく小売店のメディアであることはわかるものの、具体的な意味や使い方まではわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では以下の順に、リテールメディアについて解説します。
- リテールメディアとは?
- リテールメディア広告の市場規模
- リテールメディアの活用事例
横文字でなんだか難しそうと感じるかもしれませんが、順番に噛み砕いて解説しますので、まずはご一読ください。
リテールメディアとは?
リテールメディアとは、商品の販売データや顧客データなど、実店舗での情報をもとに広告を配信する手法のことです。
直訳では「リテールメディア=小売の情報媒体」であり、実店舗での広告(サイネージやフライヤーなど)を指すように思えます。
しかし、リテールメディアの定義にはアプリやウェブサイトなどのデジタル領域も含まれるのです。
また小売業者は自社の広告スペースを「リテールメディアネットワーク(RMN)」として他社に提供することもあります。
リテールメディアが注目されている理由
リテールメディアが注目を集めるのには、以下のような理由があります。
- お客さまの生の行動データが利用できるから
- 実店舗のデジタル化が進み、データが取りやすくなったから
- テレビ離れが進み、お客さまがウェブに流れたから
- GoogleがサードパーティCookieのサポートを終了するから
- ファネル(商品の認知から購入までの流れ)を網羅できるから
実店舗のデジタル化や人々のテレビ離れなど、店舗と人が両方とも変化している昨今。
その時代背景にそったメディアとして、リテールメディアは注目を集めているのです。
リテールメディアのメリット
リテールメディアのメリットは以下の通りです。
- 小売企業は広告枠からの収益が得られる
- ブランド企業は小売業者のもつ顧客データを利用できる
- 消費者は自分の興味・好みにあった商品を紹介してもらえる
リテールメディアは広告媒体である小売企業にも、広告主となるブランド企業にも、ターゲットとなる消費者にもメリットがある広告手法です。
もしこれから「リテールメディアに参入したい」とお考えの場合は、小売企業とブランド企業、および消費者のメリットを理解しつつ参入を進める必要があります。
リテールメディア広告の市場規模
株式会社CARTA HOLDINGSの調査によると、リテールメディア広告の市場規模は2026年に805億円まで拡大すると予測されています。
その要因として、同社は「小売企業のDX化」の進展を挙げています。DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、飲食店での注文がタッチパネルでできるようになったように、これまで紙などで行っていたことをデジタル化して効率よくしていく流れを指します。
これまでの小売店でも、店内にポスターや看板が増えるほど、広告によるお客さまへの接点は増えますよね。
これがモニターやサイネージ、タッチパネルなどのデジタル媒体であれば、お客さまによって表示する広告を変えるなど、柔軟な宣伝が可能です。
店内のデジタル媒体だけでなく、お客さまのスマートフォンでも情報を発信できれば、より多様な宣伝が実現します。
ゆえにリテールメディア広告はその市場拡大が期待されているのです。
【海外】企業におけるリテールメディアの活用事例
ここからは海外企業のリテールメディア活用事例として、以下2社を紹介します。
- Amazon
- ウォルマート
Amazon(アメリカ)
実は、アメリカのリテールメディア市場における約8割のシェアを誇るのが「Amazon」です。
例えば、Amazonで商品を検索したさいに出る「スポンサー」のラベル。これは広告枠です。
商品の検索ワードに対して広告を出すため、例えば「サッカーボール」と入れたユーザー(=サッカーボールが欲しいとわかっている人)にサッカーボールの広告を出すなど、確度の高い広告出稿ができます。
また商品を検索している人はすでに購入の直前であるため、広告から商品を買ってもらいやすいです。
商品検索という強い購入意欲に対して、広告を出せるのはAmazonの大きな強みといえます。
ウォルマート(アメリカ)
アメリカの大手スーパーマーケット「ウォルマート」も、リテールメディア市場において存在感を放っています。
ウォルマートは実店舗での購買データを豊富に持っているため、その情報を生かした広告の展開が可能です。
リアル店舗でのお客さまの動きを把握しているのは、ウォルマートの長所ですね。
【日本】企業におけるリテールメディアの活用事例
次は日本の企業におけるリテールメディア活用事例として、以下3社を紹介します。
- 株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
- イオンリテール株式会社
- 株式会社ファミリーマート
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン
コンビニ大手の株式会社セブン‐イレブン・ジャパンでは2022年9月にリテールメディア推進部をつくり、リテールメディアに本腰を入れています。
日々の膨大な購買データを分析し、セブンイレブンのスマートフォンアプリ「セブン‐イレブンアプリ」を起点として広告を配信。
お客さま一人ひとりに紐付いたPOS(販売情報)を持っているため、ピンポイントでの宣伝ができます。
イオンリテール株式会社
イオングループの総合スーパー事業を担うイオンリテール株式会社では、Googleと協業してリテールメディア広告に取り組んでいます。
まずイオンのチラシやクーポンが配信される「イオンお買物アプリ」のデータを、Googleのクラウドにまとめることで情報を管理・利用しやすくしました。
そのうえで、データに基づいたターゲティングでメーカーの広告を効率よく届けられる「イオンAD」を構築し、リテールメディア事業を展開しています。
株式会社ファミリーマート
コンビニ大手の株式会社ファミリーマートも、リテールメディア事業に力を入れている木魚の1つです。
具体的にはレジの上部にサイネージ(大型のモニター)を設置して、売れ筋商品や広告、ニュースなどの情報を流しています。
サイネージにはカメラが設置されており、視認率を計測して改善につなげているのも特徴的です。
リテールメディアを活用して売上アップを目指す!
ここまでリテールメディアについて、概要から具体的な事例まで紹介しました。
おさらいすると、リテールメディアは小売業界の実店舗からECまでを幅広く含めた、情報媒体で広告を配信する方法です。
限られた予算の中から成果を出さなければならない広告出稿において、オンラインだけでなくオフラインにも消費者との接点があるリテールメディアは、売上アップの有効な手段といえます。
これからリテールメディア広告を出稿したい場合、まずはデータを正しく取得できる仕組みづくりが重要です。
来店を漏れなく計測できるビーコン(端末)や、ID-POSによる個人に紐付いた購買データの利用ができるかどうかチェックしたうえで、リテールメディアを活用していきましょう。