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AI、ビッグデータを小売の現場で活用する

AIやビッグデータという言葉をよく聞くようになりました。人工知能が進んで、生活に取り込まれるようになる日も遠くないかもしれません。
実は、単純なAIであればもう日常には溶け込んでいるのです。
また、GoogleやFacebookといったアメリカの巨大企業は、サービスの裏側でビッグデータを利用したAIを導入しつつあります。
【目次】

AIのレベルについて

AI(人工知能)には4つのレベルがあります。

レベル1・・・単純な制御プログラム

温度変化を検知して操作を制御するエアコンや冷蔵庫など、単純な人工知能を搭載したもの。すでに導入されているケースが多い。

レベル2・・・応答のパターンがとても多いもの

将棋や囲碁のプログラム、複雑なルートをたどる掃除ロボット、質問に回答する人工知能のAIなど、弱いAIなどが該当する。


レベル3・・・対応パターンを自動学習するもの

検索エンジンやビッグデータ分析など、機械学習と取り入れて過去の経験から学んでいくもの。人間が動作させる。


レベル4・・・対応パターンの学習も自分で獲得するもの

ディープラーニングを取り入れた人工知能。高度な分析ができる。

また、「弱いAI」「強いAI」という分類もあり、限られた枠の範囲内で考えるAIを「弱いAI」、それを超えた、あらかじめプログラムされた範囲以上のもので考えるAIを「強いAI」とも分類します。
強いAIは、人間のようにものを考えたり認識したりして、価値判断をもって物事を自律的に学んだり、意思決定を行ったりすることができます。

個人的な検索データや行動のデータを蓄積し、データを使って最適な作業を機械で行うことができるようになったのが、AI時代の特徴です。
これまでに何度かブームがあり、1956年には早くも「人工知能」という言葉が生まれています。

テクノロジーが進化することによって、PepperやSiriなどのパーソナルアシスタントも生まれています。

小売業界での導入事例

では、人工知能は小売業界ではどのように導入されているのでしょうか。
人工知能の仕事は多岐にわたり、一部で人間の仕事を代替しています。
小売業界では購買のレコメンドを行ったり、接客ツールとしてAIが利用されたりしています。

これまで勘に頼っていたものが戦略的な値下げが可能に!

小売店の特売品情報は、お客様の流れをコントロールするための重要な情報です。
ですが、これまでどの商品を値下げして特売にまわすかは、数値データを基にした分析と、担当者の長年の勘と経験で行われてきました。しかしキャンペーン商品の売上が伸びると他の商品のマイナスが大きかったり、総利益が下がってしまったりなどの欠点がありました。

そこで、より合理的に迅速にキャンペーンの内容を決定するためにAIが登場します。

NECの予測型意思決定最適化技術というAIで予測シミュレーションを使えば、その勘に頼っていた値下げの判断が、AIであっというまに行うことができるようになります。
どのように値下げをどの商品に対して行えば、売上が最大化するかなどを瞬時に計算し、数日間の特売を行うことができるか、考えることができます。

これによって、ライバル店との競争に差をつけることができるようになります。
従来は担当者の権限で行っていた勘だよりのこれらの特売品選定にAIを使うことによって、より戦略的に値下げのキャンペーンを行うことができるのです。

参考:http://jpn.nec.com/press/201511/20151102_03.html

靴の内寸データと足のデータを照合

伊勢丹新宿本店では、未来志向でファッションとデジタルの融合を目指した企画を行っています。
テクノロジーを利用した新しい販売サービスで、お客様の足のデータを自動で収集し、売り場にある靴の情報と照らし合わせて、実際の靴の内寸データと照合し、履き心地をセッティングします。
店頭のスタイリストによる接客と、システムをどう組み合わせるかなどはまだまだ実験過程です。
コンピュータがはじき出した提案データと、実際のフィット感の違いなどを検証して、実際に常設できるサービスとして展開していくかを考えています。

AI利き酒

新宿伊勢丹本店の地下では、AIが利き酒を行ってくれるサービスも展開されていました。
基本となる3種類の日本酒を試飲した感想をタブレットに入力し、甘味、酸味、うま味、余韻、コク、の5要素を入力すると、レーダーチャートでヴィジュアル表示されたお客様の味覚の好みが表示されます。

また、気にいったつまみなども選択することによって、日本酒とあわせて食べたい料理の両方をチョイスしてくれます。
ワインでも同様の試みが行われており、日本酒よりも多岐にわたる提案が可能となります。

ダイレクトメールに人工知能搭載

紳士服大手のはるやま商事では、ダイレクトメールに人工知能を導入しています。
人工知能がセレクトしたアイテムを掲載し、好みに応じた提案で顧客満足度を高めています。

人工知能を搭載したダイレクトメールは、開封率も高く、また来店率も高かったということです。
レコメンドをパーソナライズすることによって、一定の成果がでていることが確認されています。

参考:http://www.haruyama-co.jp/news/pdf/201606_62124_1.pdf

バーチャルショッピング

VRコマースを利用したバーチャルショッピングも広がっています。
実在する洋服を、VRを利用して試着することができ、3Dスキャンされた洋服を試すことで、実際の質感やディテールなどを細部まで体験することができます。
目の前に洋服があるかのように試着することができて、新しい接客、新しい買い物体験を行うことが可能となります。

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チャットBOTによる接客

ECでショッピングができるようになって、ユーザーは自由度が増えた代わりに、自分で検索しなくてはならない負担が増えました。その負担を軽減させて、自店舗で接客して購入を促すのが、チャットによる接客です。
最初に検索する段階をチャットに任せて、人に対応を引き継ぐことで、AIと人との融合を行っています。検索は自動で代替できても、実際に購入につなげるには非常に難しいのです。
そのため、無理をせず検索の段階だけはAIにまかせて、あとは購入の段階では人にバトンタッチします。

ですが、店頭とECサイトで同じ接客をしていても購買にはつながりません。一人ひとりのニーズが異なり、コミュニケーションの好みもあるからです。
しかしチャットによる接客を行えるようになることで、人の働き方も変化します。これまでは妊娠出産で現場を離れたり、加齢による接客ができなくなったりしていたのが、チャットによって在宅でも勤務が可能となるのです。
AIが購買意欲を促進し、人による接客で購買につなげる。働き方にも変革が訪れようとしています。


接客をAIで代替

AIによる接客は難しいと書きましたが、海外では実際に成功している事例もでてきています。
The North Faceでは、オンラインショップにてAIが利用者との質疑応答形式で顧客の好みを把握し、最適なファッションをレコメンドする機能が搭載されています。
どこで使うか、いつ使うか、どんな素材が好きか、かんたんな質問に答えるだけで、好みに応じたアイテムを選定してくれます。
トライアル期間中の反応も上々で、利益率の高い商品をよりレコメンドすることによって、顧客に働きかけることができるようになっています。

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これからはもっと進む。小売業のAI化

いかがでしたでしょうか。今後はさらに小売業のAI化が進むと見込まれます。
従来はオンラインショップに接客という概念がなかったのですが、人工知能の特性を活かした接客を持ち込むことで、従来の店頭接客とは異なったかたちの接客をユーザーに提供することができるようになります。

ECサイトが増えたことで、ユーザーは多くの商品から自分で好きなものを見つけなくてはなりません。
それがAIによってレコメンドされることによって、ユーザー自身も自分の新たな好みに出会えることでしょう。