Eビジネスを推進するORANGEシリーズ

EC-ORANGE
お役立ち資料ダウンロード ニュースレター登録

Amazonに対抗するための4つの戦略

米国の過去20年のeコマースの歴史において、真に独立したeコマース企業はAmazonとeBayしかありません。創業はそれぞれ1997年と1998年です。過去15年間に数百億はもちろん、20億ドルを超える時価総額のeコマース企業が新規株式公開した例はありません。
eコマースにおける問題は、独立したeコマース企業の強固な経営基盤により、他の企業による顧客経験の喜び、や桁外れの成長、市場の奪取を実現できていないことにあります。

他ブランドの商品を販売する場合、一部のライバルと競合するのではなく、業界全体と競合することになります。このような市場では唯一絶対的な勝者が出現します。そしてその企業は往々にして規模やコストに無関心かつ長期的なビジョンを持ったリーダーに率いられます。こうした企業は長い間利益を生まないことが多いのですが、ある時を境に絶大な影響力を持ち始めます。将来ライバルになるであろう企業を買収し、ロイヤリティ・プログラムを活用し、物流を改善する企業であり、Amazonがまさにその最たる例です。

Amazonはモノだけでなく、Amazon Web Serviceのようにeコマースの技術、ノウハウを販売するビジネスにも進出しています。このままeコマースが従来の小売りからシェアを奪っていけば、Amazonが小売りのトップであるWal-Martを超える日もいずれ訪れると思われます。

これまでAmazonに適切な方法で挑んだのはZapposとDiapersの2企業だけでした。そしてAmazonは抜け目なく両方の企業を買収しました。Amazonとの低価格競争に直面し、利益を上げることの難しさに直面した両企業は「勝てないのであれば参加してしまえ」と決断を下したのです。
Amazonと競い合うにはどうすればよいのでしょうか。eBayはオークションサイトというAmazonとは異なる分野を持ち、さらにPayPalを買収することで競合しています。

答えはAmazonと他社ブランドの商品の価格競争を行わないことです。Amazonの何分の一かのスケールで粗利益を押し下げるのであればニッチ市場をとらえなくてはなりません。他社ブランド商品を販売するeコマースのままでは充分に営業利益を上げられません。

Amazonには尊敬すべき点が多くあります。目標に向かって進む粘り強さ、競争に対する貪欲さ、新領域を切り開く姿勢などです。CEOのBezos氏は設立当初は世間からの嘲笑に耐えねばなりませんでしたが、今や世界最大の小売りを率いています。まさに世紀をまたぐ企業であり、Amazonについて不満を語る人は珍しいほどです。

Amazonに対抗するための4つの戦略

Amazonに対抗する手段として4つの戦略が考えられます。それは、独自の価格設定、独自のセレクト、独自の体験、そして独自のマーチャンダイズです。



独自の価格設定

独自の価格設定とはフラッシュセール(期間限定で、割引価格などの特典が付いた商品を販売する方式)のことです。これによりeコマースは急速に成長することが可能です。価格の誘因力は強く、期間限定割引はコンバージョンを増加させるには最善策といえます。フラッシュセールを用いて利益を上げてきたのが会員制ショッピングサイトのHauteLookやJackThreadsです。RueLaLaは既に二度の買収を経験しています。他にもGilt、Fab、Zulily、One King’s Lane、そしてIdeeli.など様々なeコマース企業がフラッシュセールを行っています。今後これらの多くの企業がM&Aや自社製造を通して低価格販売に乗り出すと思われます。また独自の品揃えやオフラインに進出するなどして価格競争から離脱することが考えられます。

独自のセレクト

これは特定少数の顧客に向けて狭く深い品揃えの商品を展開する戦略です。独自のマーチャンダイズと似た戦略ですが、この場合のマーチャンダイズが他社ブランドであるのに対し、セレクトは分類の問題です。マーチャンダイズが独占的でないのに対し、こちらは独占的に感じられます。その理由は細かな分類、オフライン、オンラインを問わずに見つけにくい商品であること、コミュニティとして機能を果たしていることの3つです。
ブランドはどこでも入手可能ですが、整然と分類されていたりコミュニティとしての機能は果たしません。この分野で強いのがModClothとNastygalです。共通点は顧客のことを研究し尽くしていることです。他社ブランドを扱っていてもまるで独自ブランド商品のように感じられる世界観を構築しています。

独自の体験

eコマースは以前では考えられなかったモデルを創出しています。靴販売のJustFabや ShoeDazzle、コスメ関連のBirchbox、貸しドレスのRent the Runway、有名人をマーケティングに用いるBeachMintなどがそれです。他の戦略と重なる部分もあります。Birchboxは狭く深い他ブランドの商品を提供しており、ShoeDazzleは自社製品を販売しています。これらの企業は急速に拡大しながら、リピーターになりたくなる喜びを基本戦略としています。

独自のマーチャンダイズ

独自のマーチャンダイズとは企業がeコマースを中核として独自のブランド商品を構築することです。他のどこでも手に入らない商品を提供することで顧客を独占します。これにより利益を確保し、自社商品を販売する他社と競合しなくてすみます。メンズファッションのBonobosや眼鏡類販売のWarby Parkerはこれを戦略の中心に据えています。この戦略の難点はブランド構築に時間がかかることです。
最終的にeコマース企業を作るのではなく、eコマースをコア・チャネルに置いたブランドを創造することが時代の流れです。両者の違いは小さなものに見えますが非常に重要です。

eコマースの真の貢献利益


eコマースの損益計算書ではEBITDA(税引前利益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値)を生み出すことはほとんど不可能です。
通常では粗利益と純収入の間でリターン・ラインを設けます。それから粗利益を上げるために利益は薄いが手堅い方法として他社ブランドの商品を売るか、利益は大きいが高コストの自社ブランド商品を創出するかします。
どちらの場合でも売れた商品から費用を引けば粗利益かというと、従来の小売りではそうですがeコマース企業の場合は違います。なぜなら無料配送の費用も差し引かねばならないからです。
粗利益は本当の意味で貢献利益ではありません。eコマースには様々なタイプの販売管理費が必要です。写真撮影費用、商品手数料、顧客サービス費(最近のeコマースにおいて重要度が高まっている)、自社、委託を問わずフルフィルメントセンターにおける配送費以外の費用と様々です。本当の貢献利益を知るにはマーケティングに要した費用も差し引く必要があります。

総収益-返品=純売上高
純売上高-売上原価=製品マージン
製品マージン-配送費=売上総利益
売上総利益-顧客サービス費-商品手数料-写真撮影費用-フルフィルメントセンターにおける配送費以外の費用=貢献利益
貢献利益-マーケティング、プロモーション費用=真の貢献利益
このように貢献利益は導き出されます。
そして真の貢献利益が人件費を上回らないと赤字になります。ブランド、サービス、技術といった3部門が必要なため人件費は高まります。そして配送チャネルのことも念頭に置かなくてはなりません。

この記事はE-Commerce is a BearをOrange Blogが日本向けに編集したものです。