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小売にテクノロジーを融合させた総合的マーケティング

はじめに、小売業者間での共通理解として以下に述べるような兆候が挙げられます。

1.販売実績全体に対するオンラインセールスの割合は全ての小売業者において上昇傾向にある。

2.全ての小売業者にとって最大のライバルといえばAmazonである。

3.店舗では実際の商品を下見するだけで、実際にはオンラインで安く購入するという通称「Showrooming」という行為がますます広く浸透してきている。

実際のところは、オンラインと実店舗での販売戦略は全く異なるものであり、現在オンラインで販売されている商品の大半はすでに以前から実店舗で売られているものであるということも影響して、この2つの販売チャネルを上手に融合させたデジタル化対応サービスを提供することに苦戦している企業は非常に多く存在します。

Appleほどの会社ですらこの融合を実現したのは2013年の下四半期になってからで、その際にはオンライン・実店舗両方におけるマネジメントの責任者として前バーバリー取締役のアンジェラ・アーレンツ氏を登用して万全を期したほどです。しかしその結果このAppleのケースは実店舗にオンライン要素を付加させることに成功した企業としては大変良い例として認知されるようになりました。

インターネットが普及した後に始めたビジネスであれば、確かにデジタル化への対応という面ではより簡単ではありますが、それでも基本的には効果的なデジタル販売戦略はオンライン販売に特化しているAmazon、Kayak、もしくはFresh Directといったような企業のみが実践可能であるというわけではありません。従って、実店舗とデジタル販売の融合への動きが進む中で、企業としては双方の利点をいかに十分に活用することができるかどうかが勝敗の分かれ目となってくるのです。

デジタル・オンライン販売に特化した場合の利点

販売方法をデジタル・オンラインに限定している企業のケースでは、実店舗も構える場合と違い販売戦略の計画・実施の方向性は明らかで、特にマーケティングにおける顧客データの活用などは比較的容易に行うことが出来ます。

また、オンラインと実店舗両方を運営する場合であっても、オンラインで得られた顧客情報を実店舗での売り上げに結びつけるということは(プロセスはシンプルではないものの)可能です。

最近では実店舗で得られた販売関連データをオンライン販売にも活用する動きが当たり前になってきていますが、これまでも企業側は手元に入ってくるデータを使用しながら常に消費者とのコミュニケーションを図ってきました。一方で、例えばサイトへのアクセスを販売実績に結びつけるためだけに焦点を絞った場合は利用するデータの種類も限られたものとなり、その結果広い視野で考えたデータの活用が出来ないために広告効果や個人レベルでのコミュニケーション実現といった利点を最大限に生かすことが出来なくなってしまいます。

実店舗での販売技術をオンライン販売へ適応

実店舗を運営する企業の多くがデジタルメディアを利用した販促を行っていますが、この背景には消費者はオンラインに比べて実店舗で買い物をする際により多くの商品を購入するという傾向があります。しかし、食料品をオンラインで販売するFresh Directなどはショッピングカートに商品を入れる度に新しいおすすめ商品を表示するなど、オンラインショップ上でも実店舗と同様の販促効果を実現させています。

つまり基本的に消費者の購買傾向は千差万別であり、実際にお店の中を何時間も隈なく見て回りながら買い物をするのを好む人もいれば、わざわざお店に足を運ぶのを嫌い、オンラインでリサーチをしながら手早く商品の購入をする方を選ぶケースもあるのです。このような違いを踏まえて効果的なマーケティングを行うためにはターゲットとする消費者をカテゴリー分けしたうえで、必ずしも店舗に来店させようとするのではなく、代わりにオンラインショップでの購買を促すようにしていく意識が大切です。

ただしここで大きく重要になってくるのは、デジタル・オンライン販売部門と店舗販売部門の担当者同士が上手に連携を取りながら、オンラインと店舗両方から得られた顧客データを駆使してカスタマーサービスの向上を実現させるという事になります。

また小売販売と広告とは切っても切れない密接な関係にあり、消費者にはできるだけ自社の広告に目を通してもらいたいものです。このことを踏まえて、実店舗運営に工夫を凝らすことで商品の販売だけでなく広告媒体としてもその効果を発揮させているケースも増えてきています。

実店舗にこそ最大のマーケティングチャンスがあるという事実

例えばAppleの実店舗などは商品販売としてだけでなく同社のブランドイメージの広告媒体としての機能も果たしている好例です。またその反対のケースとしては衣料品や生活雑貨を取り扱うUrban Outfittersのオンラインショップが挙げられ、ここでは購入を考えているアイテムをカートに保存する際にその商品がオンラインもしくは店舗引取りという形で購入可能かどうかを表示するだけでなく、イメージ写真のモデルや着用している服のサイズを表示することで購入者にとっては自分が着た際の感じがイメージしやすくなっています。このような工夫は全てオンラインショップでの購入や最寄りの店舗へ足を運ばせるため広告効果として機能することになるのです。

結論としては、実店舗の持つどのような弱点であってもそれらを強みに変えることが可能であり、このことはオンラインショップにおいても同様です。したがって小売業界に携わる者としては小売販売は全ての分野が密接に関わりながらスムースなサービスを実現することが第一で、「デジタルにおけるEコマース販売対実店舗での小売販売」などといった図式にはとらわれすぎないことが重要です。

この記事はPutting The “R” Into E-Tail: Adopt A Holistic Retail Marketing Approachを海外小売最前線が日本向けに編集したものです。

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