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フェイク広告の仕組みとなくならない理由

インターネットの広告市場はテレビ広告市場に迫り、やがて追い抜くといわれています。
消費者の情報収集がテレビからネットに代わり、娯楽コンテンツ提供先もテレビからネットに変わったことでネットの価値が高まったからです。

しかし、市場が大きくなるにつれて、テレビ業界では見られなかった、ネット広告特有の問題が出始めています。その中でも特に深刻な問題がフェイク広告です。

フェイク広告とは

フェイク広告とは芸能人や著名人などの画像を無断で使用、加工して、うその体験談を作って商品を宣伝する広告を言います。完全に著作権違反や名誉棄損などに該当する違法行為ですが、ネット広告業界ではこの違法行為が後を絶ちません。

それはなぜかといえば、フェイク広告の効果が絶大で、楽に儲けられる手法だからです。

フェイク広告の仕組み

フェイク広告は、どのようにして生まれてしまうのか。また、誰がフェイク広告を作成する当事者なのかを考えてみようと思います。

まず、商品を作るメーカーがいます。メーカーは商品を作った後は、基本的に第三者に販売を代理してもらいますので、メーカーが自らフェイク広告を作成するケースは稀です。自社でフェイク広告を作って投稿するメリットがないからです。

次に、メーカーから販売依頼を受けた第三者、一般的には販売代理店やアフィリエイターがこの第三者に該当しますが、この販売請負業者は、自ら顧客に売り込むだけでなく、広告を出稿して商品を販売することもします。売れれば売れた分だけメーカーからはフィーが入るので、何が何でも販売しようとします。販売がゼロだとフィーもゼロですが、販売数が増えれば、増えた分だけフィーが入ってきます。

フェイク広告が生まれるのはこのタイミングであり、フェイク広告の当事者はこうした販売請負業者たちです。売上を直接手にする販売請負業者がフェイク広告を作成しています。メーカーは無数の販売請負業者に販売を依頼しているので、販売請負業者は他の業者に負けないように対策をしなければなりません。本来は丁寧な接客や商品説明に力を注ぐべきなのですが、努力の向き先を間違えた販売請負業者は、フェイク広告という違法行為に手を染めてしまうのです。
ちなみに、広告を掲載するサイト運営者は、ただ掲載するだけなので、基本的にはフェイク広告の当事者ではありません。

アフィリエイトの仕組みがフェイク広告を誘発する

フェイク広告は販売請負業者が行ってしまうことがほとんどですが、その中でもアフィリエイトを行う業者は、フェイク広告に手を染めやすい傾向があります。
メーカーと直接、販売代理契約を結ぶような代理店は、契約内容にもかかわるためフェイク広告は作れません。

フェイク広告を見たユーザーにはその商品を作っているメーカーがフェイク広告の当事者だと印象付けてしまうので、メーカーにもブランドイメージの棄損という多大な損害を発生させてしまうからです。
直接的な販売代理店はフェイク広告を作る可能性は低いでしょう。

一方でアフィリエイトはメーカーとアフィリエイターの間にアフィリエイトASPと呼ばれる、アフィリエイト広告の配信事業者が入ります。
アフィリエイターはメーカーと直接顔を合わせません。メーカーのことは置いておいて、何よりも商品を売ることを優先してしまい、フェイク広告に抵抗が少ないアフィリエイターを生み出してしまいます。

アフィリエイトの仕組みがフェイク広告のハードルを低くしてしまっている可能性は否定できません。

フェイク広告はダイエット商品、美容商品に多い

フェイク広告に使われやすい商品は、ダイエット系や美容系、出会い系などが多い傾向にあります。これらのジャンルは、周りに相談しづらい、いわゆる、「お悩み系ジャンル」の商品です。気になった商品がある場合は周りに相談することなく、自分の意思で購入を決めることが多いのです。

本来ならば、購入にあたっては友達や家族に相談したりするものですが、お悩み系ジャンルはあまり相談できる内容でもありませんので、フェイク広告にとっては格好のえさとなります。
さらに、「お悩み系ジャンル」の商品はフィー(収益)が高いので、アフィリエイターも優先的にプロモーションしています。フィーの高さも「お悩み系ジャンル」の商品がフェイク広告で使われやすい理由かもしれません。

あらゆるサイトにフェイク広告は登場する

ネット広告は今やあらゆる方法で出稿できます。yahooやgoogleなどのppcアフィリエイトでフェイク広告を出稿することもできますし、SNS広告でも可能です。

また、検索サイトやSNS以外の大手サイトにフェイク広告を出すことも可能です。(サイト運営者が許可するかは別ですが)あらゆるWebサイトにはフェイク広告が出稿可能です。「大手サイトだから、フェイク広告が掲載されるはずはない」という論理は成り立ちません。どんな大手サイトでもフェイク広告が登場する可能性はあるのです。

むしろ、フェイク広告主はユーザーが信頼している大手サイトほどフェイク広告を出そうとします。

フェイク広告の実例

では、実際に過去にあったフェイク広告の実例を紹介します。フェイク広告では、著名なタレントさんや旬な女優さんの画像が何の許可もなく使われています。

マツコ・デラックスさんがダイエットサプリを紹介

マツコ・デラックスがあるテレビ番組でダイエットサプリを紹介しているフェイク広告が掲載されました。その番組でこのダイエットサプリが紹介されたことは一度もありませんが、実際にその番組でマツコさんが映った画面のスクリーンショット画像をベースにフェイク広告を作成したようです。

そのフェイク広告には、このダイエットサプリがすごい!というような字幕まで表示されていますが、この字幕ももちろん、後で加工されたものです。

土屋太鳳さんがダイエットサプリを紹介

土屋太鳳さんがダイエットサプリを持って映っている画像をベースにしたフェイス広告が掲載されました。まるで土屋太鳳さんがそのダイエットサプリを普段から愛用しているかのようでしたが、実際は、土屋太鳳さんご自身のSNSにアップしてあった画像をフェイク広告作成者がダウンロードして、その画像を加工し、フェイク広告を作成したようです。

テレビ広告ではフェイク広告が発生しない理由

このようにネット広告の世界では、フェイク広告が横行していますが、一方でテレビ広告では、明らかなフェイク広告は見たことがありません。この違いは何なのでしょうか。

広告倫理が徹底しているから

テレビは、NHK以外は民間の放送局が運営しているとはいえ、放送倫理委員会があったり、行政からの指摘を受けたりするなど、半官半民に近いマスメディアです。
テレビで放映する番組や広告は、少なからず第三者のチェックを受けます。フェイク広告のような倫理的にも法律的にも大きな問題がある広告を作成して、万が一出稿できたとしてもすぐにストップされ、大問題になります。
基本的にはテレビ広告ではフェイク広告が生まれる可能性は相当低いといえるでしょう。

直感的な購入が不可だから

ネットの便利さがフェイク広告を生み出している可能性もあります。何と言ってもネットの特徴は、広告をクリックすればそのまま商品購入ページに飛び、購入できてしまうこと。
わざわざ店舗に出向いて購入する必要がなく、冷静に考える時間をスキップしてしまうのです。

しかし、テレビ広告で気になった商品を見つけた場合は、テレビ広告を見てから商品を購入するまでに、他のプロセスが必ず必要です。
お店に電話したり、直接お店に行ったり、ECサイトで購入する場合でも「検索する」というワンクッションを挟みます。そのため一度、冷静になるタイミングが生まれます。

仮にテレビ広告でフェイク広告が流れても、ユーザーがフェイク広告に騙される確率はネット広告よりも低いのではないでしょうか。
フェイク広告の制作者はそれが分かっているので、ネット広告で大量にフェイク広告を出稿するのでしょう。

広告主がフェイク広告を辞めない理由

罰金や汚名のリスクを背負ってでもフェイク広告を出すのはネットの広告出稿費用が安価なためです。参入障壁が低く儲かりやすいのが理由の一つでしょう。

テレビ広告は製作費も含めると数千万円規模のことが多いので、小規模な会社ではなかなかテレビに広告出稿ができません。ですが、ネット広告は数千円程度で出稿できることもあります。

例えば、アフィリエイターにとって、原価は広告費だけです。アフィリエイト料から広告費を引いた残りが自分の手元に残るので、できるだけアフィリエイト料の高い商品を安い広告費で販売するのがアフィリエイトの鉄則です。テレビ広告では費用対効果が悪いのです。

SNS広告は広告費が特に安く、まだ市場も成熟していないので、フェイク広告の的になりやすいという土壌があります。

サイト運営者がフェイク広告を取り締まれない理由

先ほど申し上げたようにネット広告は費用が安く、参入障壁が低いためあらゆる業者がネット広告を利用しています。

広告内容を審査しようにも、すべては審査できないのが実情です。さらに、広告が掲載されているサイト運営者がそのサイトに掲載される広告内容を知っているわけではありません。

実は、多くのサイトでは外部の連携サービスを使って自社のサイトに広告が表示されるようにしています。広告の内容を審査するのはサイト運営者ではなく、外部の連携サービスを提供している会社なのです。

企業はフェイク広告を自社サイトに載せたいはずがありませんが、知らないうちにフェイク広告を載せてしまっているケースも多々あります。

フェイク広告はユーザーが取り締まる

サイト運営者がどれだけ審査しても、行政が処分を与えてもフェイク広告はおそらく今後も存在し続けるでしょう。
サイト運営者は審査を厳格化するということはそれだけチェックする人件費が発生するわけですし、審査基準も審査担当者によってまちまちです。

さらにフェイク広告主は仮に行政に罰せられても、罰金を払って商品名や会社名を変えてしまえば、また手を変え品を変え、フェイク広告を永遠に出稿し続けることができます。

しかし、このままフェイク広告が続くと損をするのは私たち一般のネットユーザーです。ネットを快適に使い続けるためにはフェイク広告を少しでも少なくしなければなりません。では、どうすればフェイク広告主を減らせるのか。

それは、フェイク広告を見たらサイト運営者に通報するとともに、怪しいと思った広告からは絶対に商品を購入しないことです。

この判断が難しくはありますが、怪しいと感じる広告はたいていフェイク広告と考えていいと思います。
怪しいと思ったら、他のサイトで調べたり、身内に相談したりして、本当にウソの情報ではないか、第三者の判断を仰ぎましょう。時間はかかるかもしれません。でも、ネット広告で売上が増えないと広告主に思わせてしまえば、徐々にフェイク広告は減っていくでしょう。

ネットの自由を少し不自由に

ネットは、テレビよりも自由な点が魅力です。テレビでできないことがネットではたくさん実現できます。ネット配信映像サービスのコンテンツがテレビよりも面白いと言われているのは、自由度が高いからでしょう。

広告にバリエーションがあるのもネットの自由度のおかげといえます。

しかし、自由がゆえのマイナスな側面も顕在化してきています。フェイク広告がその一例です。
ネット世界の取り締まりをワンランク上げて、少しだけ自由度を抑えるのも、継続的に快適なネット環境を構築するためには大事な選択肢かもしれません。

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