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D2C(DtoC)は商品をダイレクトに消費者に届けるビジネスモデル!成功させる要因を解説


自社が開発、製造した商品を直接消費者へ届けるビジネスモデルを、D2C(Direct-to-Consumer)といいます。SNSの活用によって自社ECの宣伝やフォロワーの獲得が容易になったと思われる一方で、そのマーケティングや運用方法を間違えるといくら努力しても売上が伸びないという事態に陥りかねません。
今回は、日本の事例と海外の事例を見ながら、D2Cを成功させる要因についてチェックしてみたいと思います。






【目次】





D2C(DtoC)とは



D2Cとは、Direct-to-Consumerを略したもので、DtoCという表記をすることもあります。
D2Cとは卸売業者や小売店舗を仲介させず、自社が企画・製造した商品を直接消費者へ販売するビジネスモデルのことです。従来の小売取引とは違い、中間マージンをなくし無駄なコストをカットしてスピーディに商品を販売できることがメリットとされています。



OEMやPB(プライベートブランド)など、メーカーが大手小売販売企業を介して安価で大量に流通させるビジネスモデルとは異なり、ECサイトを通じて小規模メーカーでも消費者に直接販売できるため、自社ブランドでの展開が可能になってきているのです。



D2C(DtoC)とBtoCの違いとは



類似のキーワードには、BtoCやBtoBがあります。アルファベットだけでは違いがよく分からない!という方もいるかもしれません。これらの大文字は、それぞれ次の単語の頭文字をさしています。



  • B(Business):企業
  • C(Consumer):消費者
  • D(Direct):直接
  • G(Government):政府
  • E(Employee):従業員


つまり、BtoCは企業対消費者間の取引、いわゆる小売全般をさします。
BtoCは、デパートやスーパーマーケットといった小売店と消費者間でおこなわれる商取引を意味しますが、DtoCはそうした小売店を通さずに開発元、企画元の会社が直接消費者とやり取りします。これがD2C(DtoC)とBtoCの違いです。






D2C(DtoC)での取り扱いに向いている商品



SBペイメントサービス社の調査によると、以下の商品が店舗よりもECサイトで購入されている傾向がありました。



  • サプリメント・健康食品
  • 本・専門誌
  • PC・カメラ・オーディオ
  • キッズ用品・おもちゃ


さらに、ブランドサイトや公式サイト、公式アプリなどで購入している商品は以下のような商品群でした。



  • サプリメント・健康食品
  • 化粧品
  • PC・カメラ・オーディオ
  • 洋服
  • インナー・下着


  • D2C(DtoC)では外部の大手モールではなく自社サイトからの購入となるため、自社サイトで購入されている商品はD2Cでの取り扱いに向いていると考えられます。



    D2C(DtoC):日本における事例



    では、日本でのD2C(DtoC)の成功事例をみてみましょう。






    日本のD2C(DtoC)事例1. 再春館製薬所「ドモホルンリンクル」



    メーカー直販の通信販売としてよく知られている「ドモホルンリンクル」。TVコマーシャルでブランドイメージの普及につとめ、実績と信頼を築き上げています。



    https://www.saishunkan.co.jp/domo/




    日本のD2C(DtoC)事例2. セイバン「ランドセル通販」



    「天使のはねランドセル」を製造・販売しているセイバンは、直販オンラインストアを運営しています。
    直営店限定モデルをリリースし、6年間の修理保証、修理中のランドセル貸し出しなどさまざまなアフターサービスや特典を用意しているのが特徴です。



    https://store.seiban.co.jp/shop/pages/six.aspx




    日本のD2C(DtoC)事例3. バッファロー



    1975年創業のパソコン周辺機器メーカー、株式会社バッファローも直販サイトを運営しています。
    型落ち上位モデルの値下げ品販売や、中古品の取り扱いもおこなっているのが特徴です。



    https://www.buffalo-direct.com/directshop/




    日本のD2C(DtoC)事例4. エレコム



    パソコンやデジタル機器関連の製品を開発、製造しているエレコム株式会社もD2C(DtoC)を採っています。2,160円以上で送料無料、直営ダイレクトショップならではの在庫処分セールやパッケージ不良のアウトレット商品販売など、お得な商品を積極的に販売しています。



    https://shop.elecom.co.jp/store/top.aspx




    日本のD2C(DtoC)事例5. ソニー



    D2C(DtoC)を成功させる要件として重要なことのひとつに知名度があります。世界にその名を知られるソニーは、直販サイトを運営するに充分すぎる知名度を得ている企業といえるでしょう。
    しかし、そうした商品は一方で、小売の実店舗だけでなく楽天市場やAmazonといったECモールにも多くが出回っているため、小売との差別化が難しいところです。



    https://www.sony.jp/




    海外ではアパレルブランドが強い?D2C(DtoC)海外の事例



    海外では、SNSやブログなどの現代のツールを活用することによって、企業とそのフォロワーが直接コミュニケーションをとり、D2Cを成功させている例が多く見受けられます。



    海外のD2C(DtoC)事例1. Glossier(グロッシアー)



    米国NYのコスメブランド「Glossier(グロッシアー)」は、D2C(DtoC)の有名な成功事例として知られています。



    創業者のエミリー・ワイズは、世界のファッショントレンドをリードするVOGUE(ヴォーグ)社に勤務した経験を活かしてファッションブログを運営、月間140万人を獲得しました。
    このブログを運営しフォロワーと交流するなかで、生の声を反映させたコスメブランドを着想し、ブランド立ち上げを実行したといわれています。2010年にブログを立ち上げてから、4年後の2014年に早くもブランドを起業、現在では米国のコスメ市場に大きな影響力をもつまでに急成長しています。



    商品が良質であることはいうまでもありませんが、インスタグラムなども積極的に活用し、コスメに関心のある見込み客をしっかりと囲い込んだことが、この急成長の大きな要因といえます。






    https://intothegloss.com/




    海外のD2C(DtoC)事例2. ROCKETS OF AWESOME



    子供服販売を手がける米国のスタートアップ企業「ROCKETS OF AWESOME」は、子供服の定期購入で話題になりました。
    事前のアンケート結果を元に、サイズや好みの傾向の把握がなされており、商品が年に4回、シーズンごとに定期配送される仕組みです。気に入らない商品は着払いで送り返し、必要なものだけを購入できるというシステムが支持され、創業から半年で23億円を調達しました。



    このような形態を、D2C(DtoC)の定期購入ビジネスといいます。






    定期購入ビジネスには、サプライズ型サブスクリプションと消耗型サブスクリプションがあり、「ROCKETS OF AWESOME」はサプライズ型サブスクリプションに該当します。
    サプライズ型サブスクリプションは、毎回異なる商品が入っている定期便スタイルをいいます。企業にとってはさまざまな商品を消費者に届けることができるというメリットがあり、消費者にとっては送られてくるものから必要なものだけを取って、不要だと感じたら着払いで送り返せるという利便性が魅力です。
    事前アンケートのほか、AI技術を活用して消費者のニーズを探る試みも積極的におこなわれています。






    https://secure.rocketsofawesome.com/shop




    海外のD2C(DtoC)事例3.ダラーシェイブクラブ



    消耗型サブスクリプションのスタイルで大きく成長を遂げたのが、米国のカミソリメーカー「ダラーシェイブクラブ」です。



    2012年からメンズカミソリ業界に参入した「ダラーシェイブクラブ」は、いちはやく定期購入のメリットに着目し、300万人の会員に向けてカミソリやシェービングクリームを届けるようになりました。
    徹底的にシンプルな製造を心がけることでコストをカットし、安価な商品を実現。大手他社のおよそ20分の1という低価格で会員数を伸ばしました。



    YouTubeの動画制作もコストカットを追求し、小売店への営業マンも必要なし、という効率を徹底的に追求する姿勢は、D2Cを成功させる重要なポイントのひとつといえるでしょう。



    https://www.dollarshaveclub.com/


    D2C(DtoC)を成功させるポイントとは



    ただ自社ECを作成するだけでは、D2C(DtoC)を成功させることはできません。D2C(DtoC)で高い売上を達成している企業はいずれも、成功させる要因を満たしています。



    D2C(DtoC)を成功させるポイントその1. 製品の特性を客観的にみる



    D2C(DtoC)を成功させる大前提として、自社が企画・製造している商品について「客観的に特性を知り、アピールできる」という点が挙げられます。いくら商品が優れていても、その良いポイントを客観的かつ効果的にアピールできなければ消費者には伝わりません。
    また、「魅せ方」も重要です。豊富な商品のラインナップを売りにするのか、こだわりの一品を徹底的に押し出すのか、その姿勢がブレてしまうとブランドイメージを確立することも難しくなります。



    D2C(DtoC)を成功させるポイントその2. 動画やSNSの活用



    TwitterやInstagramといったSNSは、商品に興味をもっている人や、自社のことを知らない潜在的な購買層にアピールできるツールです。
    米国では、商品が家に届いてから箱を開け、実際に使用するところまでを一連の動画にまとめる「Unboxing」というSNSを使ったコンテンツマーケティングがあり、実際に好評を博しています。
    「Unboxing」は、有名なインフルエンサーを企業が雇って投稿してもらうケースと、クーポン付与などを見返りとして口コミ投稿のよう一般消費者から募集するケースがあります。



    同様の手法は、中国のインフルエンサーもよくおこなっている手法であり、時に広告よりも消費者に信頼感を抱かせるマーケティングとなっています。
    新聞やTVコマーシャルと比較すると、マーケティング費用が安くおさえられることも、SNSが活用される背景となっています。





    D2C(DtoC)を成功させるポイントその3. 楽天市場やAmazonとの関係性を認識する



    日本では、多くの消費者が欲しいものを検索する時、まず楽天かAmazonを検索します。
    この傾向は米国も同様で、2016年の調査によるとネットで商品を購入する時、およそ52%の人がまずAmazonで検索をするといわれています。



    日本では、食品やファッションアイテムは楽天、家電製品や安価な消耗品はAmazonなど、大まかに検索するフィールドの住み分けがおこなわれています。



    楽天とAmazonという巨大ECモールの強大なパワーを前に、どのように自社ECを構築していくのかが、D2Cを成功させる上では重要です。なぜなら、今後もよほどの大きな改革がない限り、このモールの強力な求心力が衰えることはないと考えられるからです。



    楽天やAmazonに出品すると、検索されやすくなる、消費者の目にとまりやすくなるというメリットはありますが、同じような商品と比較されるため、不本意であっても価格競争をせざるを得なくなるというデメリットもあります。
    現代のECマーケティングにおいて、楽天やAmazonを無視することはできません。しかし、マーケティングによって自社製品のファンを増やすことで、価格競争の存在しない自社ECで商品を販売できるようになるでしょう。





    D2C(DtoC)を成功させるポイントその4. ブランドイメージを確立する



    楽天やAmazonといった巨大なモール型ECサイトでかんたんに商品が購入できる現代において、D2C(DtoC)を成功させるにはファンを作るということが重要です。ファンを獲得するには、まず自社のブランドイメージを確立しなければなりません。そのブランドイメージに対してポジティブな印象をもってくれる消費者層、SNSでこのブランドを広めたいと感じてもらう消費者層が自社のファンということになります。



    いくら優れた商品を作っても、おしゃれで使いやすい自社ECを構築しても、検索する人が少なければ売上は伸びません。一過性の広告や、ただ新商品を羅列するだけのブログ運営などでは自社製品に惚れ込んでくれる熱狂的なファンを育てることはできないのです。事例として紹介した日本の企業、海外の企業は、いずれも優れた商品を作るだけでなく、そのイメージの確立や情報拡散を丁寧におこなっています。
    ブランドイメージを確固たるものにするためには、計画的なWebマーケティングが必須となるでしょう。









    D2C(DtoC)の市場はどこにあるのか



    2020年代のトレンドはD2C(DtoC)である、という声は日本だけでなく世界でもよくきかれます。
    メーカー直販は、販売にかかるさまざまな手数料を最小限におさえられるため、小売店に卸すよりもコストカットすることができます。



    一方で、企画や開発をおこなった企業や商品にブランド力や知名度、宣伝力がなければ商品を消費者に周知させることが難しく、売上につながりにくいという課題もあります。
    また、ECサイトを構築してもWebマーケティングの知識がなかったり、ノウハウが乏しかったりするために思うように売上が伸びないというケースもあります。





    まとめ



    D2C(DtoC)は現在のトレンドであり、今後ECの主流となっていくのではないかと予想されています。しかし、その効果的な施策とは即効性のあるものではないので、自社ECの構築にあたっては専門家のスキルやWebマーケティングの手法が必要になるでしょう。