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なぜ店舗小売りであるNordstromは「ショールーミング」後押しするのか?

通常であれば実店舗の小売りは顧客が店舗で商品を閲覧し、ネットで安く買う「ショールーミング」を何としても阻止しようとします。しかしNordstromはこのショールーミングを顧客に促すという新たな試みを始めています。
シアトルを基盤とするBlue Nileはダイヤを始めとする宝石類のオンライン販売を展開しており、実店舗を持っていません。しかし2013年11月、Blue Nileは百貨店のNordstromのウェディング部門であるWedding Suiteの中にカウンターとディスプレイを設けました。

百貨店Nordstrom内のブライダルサロン「Wedding Suite」


75種類のエンゲージリングと40種類のマリッジリングを紹介するこのディスプレイはNordstromとの新たなパートナーシップのもとに導入されました。
Blue NileのスタッフはiPadを常備しており、質問に答えるとともにカスタムメイド注文にも対応します。「店舗の中の店舗」というコンセプトはBest Buy やJ.C. Penneyといった小売りにも導入されていますが、NordstromとBlue Nileの場合は2つの点が特徴的です。
1.Nordstrom自体も宝石を販売しており、Blue Nileは実質上ライバルであること
2.顧客はBlue Nileの商品をNordstromの支払カウンターで購入することができず、購入するためにはBlue Nileのウェブサイトを訪問しなければならないこと

Blue Nileのウェブサイト


Nordstromが他の小売事業者のためにショールームのような役割を担おうとする理由は何なのでしょうか。
ひとつは正式に公表されていませんが、Blue Nileからデパート側にテナント料を支払っていることが挙げられます。
もうひとつはNordstromがWedding Suiteの売り場で新たな購買層を獲得しようとしていることが挙げられます。そこで顧客がBlue Nileの宝石を購入する前後にWedding Suiteの商品を顧客に閲覧してもらうことが狙いです。
Nordstromのウェディング部門担当者はこの取り組みについて「Nordstromの一番の狙いは新たな顧客層を開拓し、Wedding Suiteを宣伝すること」と語っています。
Blue Nileにとっては実際に間近で宝石類を見てもらい、人による接客の場を持つことが利益となることは明白です。「顧客に宝石を見て、触ってもらい将来的な購入への意欲を持ってもらうことが狙い」とBlue Nileの担当者は語っています。

現在のところこの取り組みは一店舗で半年間の期間限定で行われています。しかし成功を収めればこの取り組みは他の17のWedding Suiteにも広がっていくと思われます。
この記事はNordstrom Wants You to Browse in Store, Then Buy Somewhere ElseをOrange Blogが日本向けに編集したものです。