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デジタルマーケティングのトレンド「OMO」の海外最新事例

これまで実店舗とウェブサイト/ECサイトの両方を運営している企業はオンラインからオフラインへの集客や購買行動を高めるO2O(Online to Offline)に関する施策を行ってきましたが、近年ではこのトレンドが新しいものに取って代わろうとしています。
その新しいトレンドは、「OMO」と呼ばれています。

OMOとは

OMOの意味は「Online Merges with Offline(オンラインとオフラインの融合)」の略称です。OMOはオンラインとオフライン両方のチャネルを独立したものとして運用するのではなく、両方のチャネルから買い物しやすい環境を整える施策のことを指します。

世界で最もOMOを促進している中国では、大手ECサイトや小売企業がこぞってオフラインとオンラインの障壁をなくすOMOの施策に注力しています。

中国の大手EC運営企業である唯品会のストラテジー・ディレクターのXing Gao氏は、OMOに関してLinkedinに以下の興味深い記事を投稿しています。

Xing氏は2017年後半から大手ECサイト運営企業が伝統的な小売企業の買収が相次いだ点に触れ、「これは単なる株式投資ではありません。彼らは顧客と購買プロセスを著しく高めています。これはオムニチャネルを超えた、オムニプラットフォームです。」と述べており、何がOMOを活気づけているのかという点について触れました。(以下引用)

So what drives Online-Merge-Offline? It evolves around technology-driven sales and cost efficiency. The merges enable offline retailers to tap into existing e-commerce platform instead of building their own. It allows for better utilization of the last-mile delivery network, driving unit cost down. It simplifies and saves time for the consumer’s shopping experience. And it allows for better data collection and data analytics for big retailers. With this trend, by the end of 2018, the China retail industry will no longer separate online vs. offline, instead, will see it as a whole.
引用元:Linkedin
(以下筆者訳)「何がOMOを促進させているのでしょうか?
それは、技術主導の販売と費用効果を主軸に置いているからです。このふたつの融合により、実店舗の小売業者は自らのECプラットフォームを持つことなく、既存のECプラットフォームに参入することを可能にしました。これはラストマイル配送ネットワークと、配送単価のコストダウンの有効活用に役立ちました。これにより、消費者の買い物体験を単純化し、時間を節約します。また、大企業の小売企業にとってはより良いデータ収集とデータ分析を可能にしました。この傾向により、2018年終わりまで、中国の小売業界ではもはやオンラインとオフラインを別のものとして分離せず、両方を全体的に見るでしょう。」

要約すると、実店舗がオンラインサイトを立ち上げる際、既存のEC構築プラットフォームに参入することによってコストカットと顧客の買い物体験を向上させ、同時に企業の費用対効果も上がり、データ収集・分析をやりやすくしたということです。

高級品を購入する顧客は、8割がオンラインから影響を受ける

話は変わり、高級ブランドはいまだに店舗での販売が多い印象があります。
高級品は実店舗販売に注力している企業がほとんどです。しかし、高級品の販売方法は実店舗だけではなくオンラインも密接に関わっています。高級品を購入する顧客は、事前にオンラインで商品について調べたあとに購入に至っています。

マッキンゼーによると、高級ブランドの商品を購入する際にオンラインから影響を受ける消費者は8割を超えると報告されています。

画像出典:McKinsey


こちらのグラフではアクセサリー、アパレル、美容商品や香水、フットウェア、ジュエリー、時計、革製品といった高級品を対象にして算出されたものですが、マッキンゼーは2025年までにこれらの高級商品をオンラインで購入する消費者は2016年と比較すると3倍以上に増えると予測されています。しかしグラフからもわかるように依然として高級品は実店舗による購入がほとんどを占めています。(2020年と2025年は予測値)

またJing Dailyによると、2018年に10万ドルを超える商品をオンラインから購入した消費者は徐々に増えていると述べられています。特に、中国では高級品をオンラインから購入することがわかっており、高級品をオンラインで購入する世代はGenerationZ (2000年以降に誕生した世代)が約60%を占め、ざっくりと40%はミレニアル世代(1980年から2000年にかけて誕生した世代)、25%はGeneration X(1960年から1980年に誕生した世代)と言われています。しかし、オンラインでの購入が実店舗での購入に取って代わるものではないとも述べられており、商品をオンラインから購入するのは、中国の全消費者の1%にしか満たないと推定されています。

全体的な売上からすると高級品をオンラインから購入する割合は小さいかもしれませんが、今後伸びていく可能性も否定できません。高級品は実際に目で見て、触って使い心地や見た目を確認する顧客が多いのは昔も今も変わりませんが、スマホなどのデジタルデバイスが一人に一台の時代では企業と顧客とのタッチポイントは以前よりも多くなっていることは明らかです。高級品を販売するためにデジタル広告が大きな役割を果たすことは今後も続くでしょう。

オンラインでも実店舗で買い物している新感覚、HelpJess

画像出典:HelpJess


一時期中国でインフルエンサーが動画を配信しながらECサイトで商品を購入することを可能にした「ライブコマース」が爆発的な人気になりましたが、本社がアメリカにある「HelpJess」というアプリはライブコマースとは少し異なる新しいショッピングのかたちを提案しています。
HelpJessはアプリをインストールすることで世界中の提携店舗とオンラインでつなぎながら買い物をすることができます。


HelpJessはアメリカ・オースティンで毎年開催される「サウス・バイ・サウス・ウエスト(SXSW)」に2017年に参加しており、実際の買い物プロセスについて紹介しました。この動画のなかでは、アメリカからシンガポールにある店舗での買い物のようすを映しています。


オンラインショッピングでは欲しい商品があったとしても詳細な説明が欲しいときにアドバイスを得づらいというデメリットがありますが、HelpJessは実店舗のスタイリストやデザイナー、店員と会話しながらオンラインで買い物ができるという画期的なアイデアを実現しました。
画面上では顧客が気になる商品をタブレットなどで操作しながら選択・閲覧することができ、実際の見た目がどのようなものかその場で店員に見せてもらい質問をすることができます。
HelpJessはまだ開発中の技術ではありますが、ユニークなアイデアであることは間違いないでしょう。

OMOはオンラインとオフラインの相互作用を生み出す

OMOはオンラインとオフライン双方のネガティブポイントを解決することで、相互作用し売上を伸ばしたり顧客関係を高めることにつながります。OMOではスマホアプリやITデバイスを活用し、これがオンラインとオフラインの架け橋的存在を果たしています。

最近までオンラインからオフラインに顧客を誘導するO2Oがこれまでのトレンドでしたが、効率的に売上を伸ばしたり顧客関係改善を行いたいのであればOMOのための施策に舵を切ったほうが得策かもしれません。
顧客の行動は予測することが難しいですが、オフライン・オンラインから買い物しやすい環境をあらかじめ整えておくことで顧客が好きなときにサービスや商品を購入することにつながりやすくなります。

売上が伸びたあとは、なぜ売上が伸びたのか、顧客は何を魅力に感じたのかといった分析が必要で、これを繰り返すことでさらなる売上アップにつながっていくでしょう。

※この記事はThe New Era of Retail – Online Merge Offline (OMO)Luxury in the age of digital DarwinismOnline or Offline? It’s All the Same for Millennials and Gen Zの海外記事を元に本ブログが日本向けに翻訳・編集したものです。

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