OMOとは:O2Oとの違いとアフターデジタルのマーケティング
数年前までは、O2O、オムニチャネルというキーワードが流行していましたが、急速にオンラインの世界が大きくなりはじめてから、昨今「OMO」というワードに注目が集まっています。
OMOはアフターデジタルにおいて主軸となる考え方で、デジタル時代の先進国である中国で積極的に用いられています。
従来いわれてきたO2Oやオムニチャネルとの違い、そしてアフターデジタルとOMOの関わり、OMO最前線といえる中国ビジネスにおけるオンラインの実情などをご紹介します。
【目次】
日本語に訳すと、「オンラインとオフラインの融合」という意味になります。
長らく、オンラインとオフラインは分断されたものであり、それぞれの施策やシステムが作られ、運用されてきました。
しかし、さまざまな技術革新によってオンラインとオフラインのボーダーは徐々に曖昧になっています。くわえて、ビジネスの基盤はオフラインにありオンラインは付属しているに過ぎないという考え方も過去のものになりつつあります。
つまり、オフラインをベースとしてビジネスを組み立てることは時代遅れになってきており、今後はオンラインを起点としてオンラインとオフラインを融合させる「OMO」という観点が重要になってくるのです。
■特集:ECから考えるオムニチャネル・OMO■
O2Oについて、また両者の違いについて順番にみていきましょう。
これは、オンラインからオフラインへ、あるいはオフラインからオンラインへユーザーを誘導する施策を意味します。
オンラインとオフラインをそれぞれ別のものと位置づけて一方からもう一方への流入を促すマーケティングやプロモーションのことで、具体的には次のようなものです。
O2Oはこのように互いを異なるものと見なしてそれぞれの流入をうながす施策であり、OMOとは性質が違っています。
両者を別々にせず、同一線上にあるととらえてビジネスを展開していくのがOMOです。
では、具体的にどのような媒体を融合していくのか、掘り下げてみましょう。
また、ダイソーやヨドバシカメラ、ビックカメラといった大手家電量販店などを中心に今まで暗黙のうちに禁止していた写真撮影を許可する店舗が出てきたのも、消費者のSNS上での口コミ効果を狙った動きです。ECではありませんが、オンラインからオフラインの送客を狙う試みとしては一般的にとられている手法といえるでしょう。
オムニチャネルが最先端とされた時には、オンラインとオフラインの在庫管理を一元管理して、余剰在庫や品切れをゼロにするソリューションが多く実施されました。ECサイトの顧客情報と実店舗の顧客情報を統合することによって、双方の買い物でポイントを貯めて使えるようにするシステムも、現在では当たり前になりつつあります。
では、これらの施策からさらに進化を遂げたOMOの事例は、一体どのようなものなのでしょうか。
サイネージの前に立った人のプロフィールを判断し、チャットボットがアンケートを問いかけることによってその人の潜在的なリクエストを分析することで最適な商品や店舗を提示できるかもしれません。
サイネージの前に立つ顧客が、分析結果として提示された商品などに対して付与されるQRコードのクーポンをスマホで読み取れば、顧客情報とアンケートの内容が紐づけられ、結果を顧客データとして保存することができます。
クーポンが実際に使われれば、該当店舗のシステムによってさらにデータベースに情報をくわえることができるようになります。
クーポンが使われなかった場合も、チャットボットの精度向上などにその結果が役立てられることになります。
PARCOがテナントの買い周りを目的として、チャットボットとサイネージの実証実験をおこなうなど、すでに取り組みが進められています。
ビッグデータは、「20代男性の一般的な昼食スタイル」というような傾向を分析するために用いられますが、平安は個別のユーザー情報を分析し、「20代男性」ではなく、「20代男性のユーザーA」、「20代男性のユーザーB」を分析して顧客体験の質を高める手法をとっています。
平安保険は、個人データを徹底的に紐づけるシステムによって、2017年の1年間で時価総額をそれまでの2倍である約21兆円にまで伸ばしました。
アプリ、コールセンター対応、ウェブサイトといったオンライン、オフラインすべての接点で得られるデータを会社全体が共有し、的確な分析をおこなうことで顧客体験を高めることができます。
これをスムーズにおこなえるように、株式会社ビービットはデジタル行動解析
ツール「ユーザグラム(Usergram)」を開発しました。
ユーザグラムはAIと行動データを活用したアクセス解析ツールの一種で、顧客のモーメントつまり特徴的な行動をデータ分析できます。ガリバーやドゥーダ、ユーキャンなど200社以上ですでに導入。PCやスマホだけでなく、コールセンターでの対応履歴、ダイレクトメールの発送履歴、実店舗での購入などリアルチャネルのデータも総合的に分析できるのがポイントです。
データ共有を、分析専門のメンバー以外ともおこなうことで、全社横断的にデータ活用の可能性が広がる点もOMO的な点といえるでしょう。
つまり、実店舗という場はオフラインであっても、POSシステムによって常時デジタルとつながることは可能です。また、店舗を訪れる消費者もスマホによってデジタルとつながった状態であることがほとんど。システムさえ整えれば、購買データや消費者の店舗における動線分析をおこない、売上アップや業務効率化にデータを反映させることが可能です。
こうした状態が「常にオンラインに接続している」、つまりアフターデジタルといえるのです。
OMOを成立させ、また効果的なマーケティングを展開するためにはこうした前提となる思考方法を理解する必要があります。
彼らをターゲットとするために今後の考え方でポイントになってくるのが、UX(User Experience:ユーザー体験)と「x Commerce(クロスコマース)」です。
「x Commerce」は顧客体験と購買を分断せずに扱う考え方で、要するにワクワクしたり特別なストーリーを体感したりしたことを「買う理由」に結びつける企業戦略をいいます。
インスタグラムに投稿された写真に写っているアイテムを遷移することなしに購入できるようにするシステムや、ファッションショーの動画を見ながら「かわいい」と感じた服を衝動買いできるシステム、プロモーション動画を見て「便利」と感じたアイテムをすぐに購入できる仕組みなども、この「x Commcerce」のひとつです。
中国は、アリペイやWeChatPayといったモバイル決済が浸透しており、スーパーマーケットでの買い物だけでなく、電車賃の支払い、シェアサイクルや車といった移動に関する支払いにも使われています。
そのためにオンラインで銀行の残高や購買履歴などがほぼすべて蓄積されるようになり、それが個人の評価、いわゆる信用スコアとして使われています。
信用スコアが高い場合はシェアサイクルのデポジットが不要になるなど、さまざまなメリットがあります。モバイル決済と信用スコアの浸透が、中国のOMOを大きく後押ししている要素といえるでしょう。
例えば、中国のビットオート(易車)は、顧客中心のカーライフサイクルを提唱しています。
ビットオートのカーライフサイクルとは、顧客が免許を取り、車を買い、車を使い、そして車を売る、さらに新しい車を買うというプロセスで成り立っています。
ビットオートはこのサイクルの効率化を目標として、さまざまな企業と連携をおこないました。サイクル達成のポイントとして何より重要なのは、オフラインとオンラインを分けないOMOが意識されている点です。
ビットオート曰く、オンラインとオフラインとを分けるO2Oは、企業の目線による考え方。つまり、消費者にとって本来オンラインかオフラインかという選択はあまり問題ではありません。その時にもっとも便利な方法を選んで購入するのが、一般のユーザーの自然な姿です。
商品やサービスに関わるすべてのデータを、店舗の担当者とEC担当者が制限されることなく横断的に閲覧できる環境作りをしなければならないことはいうまでもありません。OMOの第一歩は、データの横断的な管理と活用です。
実店舗、ECサイト、SNS、メルマガ、DMなどは引き続きユーザーとの接点として役目を果たします。チャネルごとにポイント付与や満足度の高い購買体験などといった「買う理由」を用意してユーザー体験を積み重ねていくこともOMOの基本的な姿勢です。
そのデータを素早く分析して、スピード感をもってサービスに反映させていけるか、それがこれからの企業で求められていくでしょう。
日本企業は、現場の人間の権限があまり大きくなかったり決済を下すまでに比較的長い時間がかかったりすることが多く、アイデアや施策の承認が遅いという特徴があります。一方で、
現在急成長を遂げる中国企業の多くは、スピード感と力技ともいえる決断力をもって進化してきました。
どのように業務を効率化して、スピード感をもってPDCAを回せるか、これもOMOの要件です。
オンラインとオフラインのそれぞれに分断されたマーケティング手法は過去のものになり、両方を融合するためのコンサルティングや施策が必要となってくるでしょう。
OMOはアフターデジタルにおいて主軸となる考え方で、デジタル時代の先進国である中国で積極的に用いられています。
従来いわれてきたO2Oやオムニチャネルとの違い、そしてアフターデジタルとOMOの関わり、OMO最前線といえる中国ビジネスにおけるオンラインの実情などをご紹介します。
【目次】
- OMO(Online-merges-offline)とは
- OMOとO2Oの違いとは
- 小売におけるOMOの代表的な施策例
- OMOの前提:常時オンラインでつながる「アフターデジタル」
- OMO先進国、中国の事例について
- OMOによる相互送客のための要件
OMO(Online-merges-offline)とは
OMOとは、Online Merges with Offlineを略したワードです。この言葉は、以前にGoogleの中国トップを務め、ベンチャーキャピタルであるSINOVATION VENTURESを創業した李開復(リ カイフ)によって提唱されました。日本語に訳すと、「オンラインとオフラインの融合」という意味になります。
長らく、オンラインとオフラインは分断されたものであり、それぞれの施策やシステムが作られ、運用されてきました。
しかし、さまざまな技術革新によってオンラインとオフラインのボーダーは徐々に曖昧になっています。くわえて、ビジネスの基盤はオフラインにありオンラインは付属しているに過ぎないという考え方も過去のものになりつつあります。
つまり、オフラインをベースとしてビジネスを組み立てることは時代遅れになってきており、今後はオンラインを起点としてオンラインとオフラインを融合させる「OMO」という観点が重要になってくるのです。
■特集:ECから考えるオムニチャネル・OMO■
OMOとO2Oの違いとは
OMOとO2Oは、文字の見た目が似ていますが考え方は異なります。O2Oについて、また両者の違いについて順番にみていきましょう。
O2Oとは
2013年頃から2017年頃までの期間によく聞かれていたのが、O2O(Online To Offline)です。これは、オンラインからオフラインへ、あるいはオフラインからオンラインへユーザーを誘導する施策を意味します。
オンラインとオフラインをそれぞれ別のものと位置づけて一方からもう一方への流入を促すマーケティングやプロモーションのことで、具体的には次のようなものです。
- ショップのSNSを更新して実店舗への来店を促す
- 紙のチラシを配ってECサイトを広告する
- 実店舗にSNSのURLやQRコードを載せたPOPを設置する
O2Oはこのように互いを異なるものと見なしてそれぞれの流入をうながす施策であり、OMOとは性質が違っています。
O2OとOMOの違い
O2OとOMOの違いを一言であらわすならばそれは「分断から融合へ」シフトしていること、といえるでしょう。両者を別々にせず、同一線上にあるととらえてビジネスを展開していくのがOMOです。
では、具体的にどのような媒体を融合していくのか、掘り下げてみましょう。
小売におけるOMOの代表的な施策例
OMOの独自性として、今まで独立していたチャネル同士の融合や、オンラインでの顧客体験により新しいフィードバックを作れるという点があります。- O2O:ECから店舗への送客
- オムニチャネル:店舗在庫や顧客管理といったデータベース統合
- OMO:店舗の行動分析や新しい顧客体験とフィードバック作成
また、ダイソーやヨドバシカメラ、ビックカメラといった大手家電量販店などを中心に今まで暗黙のうちに禁止していた写真撮影を許可する店舗が出てきたのも、消費者のSNS上での口コミ効果を狙った動きです。ECではありませんが、オンラインからオフラインの送客を狙う試みとしては一般的にとられている手法といえるでしょう。
オムニチャネルが最先端とされた時には、オンラインとオフラインの在庫管理を一元管理して、余剰在庫や品切れをゼロにするソリューションが多く実施されました。ECサイトの顧客情報と実店舗の顧客情報を統合することによって、双方の買い物でポイントを貯めて使えるようにするシステムも、現在では当たり前になりつつあります。
では、これらの施策からさらに進化を遂げたOMOの事例は、一体どのようなものなのでしょうか。
OMO施策:チャットボットとサイネージ
チャットボットとサイネージを連携させ、IoTも関連づけることで、個人に合わせた情報の提供およびその人個人のデータ蓄積ができる可能性があります。サイネージの前に立った人のプロフィールを判断し、チャットボットがアンケートを問いかけることによってその人の潜在的なリクエストを分析することで最適な商品や店舗を提示できるかもしれません。
サイネージの前に立つ顧客が、分析結果として提示された商品などに対して付与されるQRコードのクーポンをスマホで読み取れば、顧客情報とアンケートの内容が紐づけられ、結果を顧客データとして保存することができます。
クーポンが実際に使われれば、該当店舗のシステムによってさらにデータベースに情報をくわえることができるようになります。
クーポンが使われなかった場合も、チャットボットの精度向上などにその結果が役立てられることになります。
PARCOがテナントの買い周りを目的として、チャットボットとサイネージの実証実験をおこなうなど、すでに取り組みが進められています。
OMO施策:中国平安保険グループの個票データ
ビッグデータとは正反対のデータ、いわゆる個票データを活用しているのが、中国の平安保険グループです。ビッグデータは、「20代男性の一般的な昼食スタイル」というような傾向を分析するために用いられますが、平安は個別のユーザー情報を分析し、「20代男性」ではなく、「20代男性のユーザーA」、「20代男性のユーザーB」を分析して顧客体験の質を高める手法をとっています。
平安保険は、個人データを徹底的に紐づけるシステムによって、2017年の1年間で時価総額をそれまでの2倍である約21兆円にまで伸ばしました。
アプリ、コールセンター対応、ウェブサイトといったオンライン、オフラインすべての接点で得られるデータを会社全体が共有し、的確な分析をおこなうことで顧客体験を高めることができます。
OMO施策:ユーザグラム
平安保険のようなユーザー1人1人のデータを分析するやり方は、ログ加工と会員データの結びつけという複雑な処理を必要とします。これをスムーズにおこなえるように、株式会社ビービットはデジタル行動解析
ツール「ユーザグラム(Usergram)」を開発しました。
ユーザグラムはAIと行動データを活用したアクセス解析ツールの一種で、顧客のモーメントつまり特徴的な行動をデータ分析できます。ガリバーやドゥーダ、ユーキャンなど200社以上ですでに導入。PCやスマホだけでなく、コールセンターでの対応履歴、ダイレクトメールの発送履歴、実店舗での購入などリアルチャネルのデータも総合的に分析できるのがポイントです。
データ共有を、分析専門のメンバー以外ともおこなうことで、全社横断的にデータ活用の可能性が広がる点もOMO的な点といえるでしょう。
OMOの前提:常時オンラインでつながる「アフターデジタル」
OMOについて真に理解するためには、今の時代は常時オンラインにつながっている「アフターデジタル」であると認識することが必要です。つまり、実店舗という場はオフラインであっても、POSシステムによって常時デジタルとつながることは可能です。また、店舗を訪れる消費者もスマホによってデジタルとつながった状態であることがほとんど。システムさえ整えれば、購買データや消費者の店舗における動線分析をおこない、売上アップや業務効率化にデータを反映させることが可能です。
こうした状態が「常にオンラインに接続している」、つまりアフターデジタルといえるのです。
OMOを成立させ、また効果的なマーケティングを展開するためにはこうした前提となる思考方法を理解する必要があります。
OMOのポイント「UX」と「x Commerce」
アフターデジタルを享受するこれからの若者は、いわゆるデジタルネイティブ世代、生まれた頃からデジタル機器にふれる機会があり、スマホやパソコンを直感的に使いこなす世代です。彼らは企業側から見ると、チャネルホッパーであり、OMOという概念が提唱される以前からオンラインとオフラインを自由に行き来し、便利なサービスを享受するユーザーでもあります。彼らをターゲットとするために今後の考え方でポイントになってくるのが、UX(User Experience:ユーザー体験)と「x Commerce(クロスコマース)」です。
「x Commerce」は顧客体験と購買を分断せずに扱う考え方で、要するにワクワクしたり特別なストーリーを体感したりしたことを「買う理由」に結びつける企業戦略をいいます。
インスタグラムに投稿された写真に写っているアイテムを遷移することなしに購入できるようにするシステムや、ファッションショーの動画を見ながら「かわいい」と感じた服を衝動買いできるシステム、プロモーション動画を見て「便利」と感じたアイテムをすぐに購入できる仕組みなども、この「x Commcerce」のひとつです。
OMO先進国、中国の事例について
OMO先進国といわれているのが中国です。中国は、アリペイやWeChatPayといったモバイル決済が浸透しており、スーパーマーケットでの買い物だけでなく、電車賃の支払い、シェアサイクルや車といった移動に関する支払いにも使われています。
そのためにオンラインで銀行の残高や購買履歴などがほぼすべて蓄積されるようになり、それが個人の評価、いわゆる信用スコアとして使われています。
信用スコアが高い場合はシェアサイクルのデポジットが不要になるなど、さまざまなメリットがあります。モバイル決済と信用スコアの浸透が、中国のOMOを大きく後押ししている要素といえるでしょう。
例えば、中国のビットオート(易車)は、顧客中心のカーライフサイクルを提唱しています。
ビットオートのカーライフサイクルとは、顧客が免許を取り、車を買い、車を使い、そして車を売る、さらに新しい車を買うというプロセスで成り立っています。
ビットオートはこのサイクルの効率化を目標として、さまざまな企業と連携をおこないました。サイクル達成のポイントとして何より重要なのは、オフラインとオンラインを分けないOMOが意識されている点です。
ビットオート曰く、オンラインとオフラインとを分けるO2Oは、企業の目線による考え方。つまり、消費者にとって本来オンラインかオフラインかという選択はあまり問題ではありません。その時にもっとも便利な方法を選んで購入するのが、一般のユーザーの自然な姿です。
OMOによる相互送客のための要件
中国社会のあり方をみると、OMO実現のためにはいくつかの要件と社内環境の整備ポイントがみえてきます。5つにまとめました。OMO実現の要件その1:1DB(データベース)
1DB(データベース)は、店舗とECの商品情報や得られる顧客データを分断することなく包括的に管理することをさします。商品やサービスに関わるすべてのデータを、店舗の担当者とEC担当者が制限されることなく横断的に閲覧できる環境作りをしなければならないことはいうまでもありません。OMOの第一歩は、データの横断的な管理と活用です。
OMO実現の要件その2:マルチデバイス
メーカーやブランドのサービスやサイトを、PCとスマホ、タブレットなどどのデバイスでも同様に使えるようにすることも重要です。顧客が単一のIDでストレスなくサービスを利用できることは、ユーザーの満足度だけでなくデータ管理の点でも効率的といえます。OMO実現の要件その3:マルチチャネル
O2Oが施策の中心的な考え方だった頃から同様のことがいわれてきたかもしれませんが、可能な限り多くのチャネルを展開して消費者との接点を増やすことはOMOでも引き続き大切です。実店舗、ECサイト、SNS、メルマガ、DMなどは引き続きユーザーとの接点として役目を果たします。チャネルごとにポイント付与や満足度の高い購買体験などといった「買う理由」を用意してユーザー体験を積み重ねていくこともOMOの基本的な姿勢です。
OMO実現の要件その4:データとサービスの戦略的連携
現在、日本企業の多くが抱えているとされる課題が、このデータとサービスの戦略的連携です。ほとんどの企業が取得したビッグデータを的確に分析、活用できていないといわれるなか、数字を読み取り、データとデータの間いわゆる「行間」をよみとって予測と分析をおこなう人材が今の企業では求められています。OMO実現の要件その5:高速PDCA
アフターデジタルの時代においては、企業、顧客は常時デジタルにつながり、互いの動きがリアルタイムでデータとして可視化されていきます。そのデータを素早く分析して、スピード感をもってサービスに反映させていけるか、それがこれからの企業で求められていくでしょう。
日本企業は、現場の人間の権限があまり大きくなかったり決済を下すまでに比較的長い時間がかかったりすることが多く、アイデアや施策の承認が遅いという特徴があります。一方で、
現在急成長を遂げる中国企業の多くは、スピード感と力技ともいえる決断力をもって進化してきました。
どのように業務を効率化して、スピード感をもってPDCAを回せるか、これもOMOの要件です。
まとめ
OMOの先進国は中国ですが、日本でもキャッシュレス決済の推進などによって着実にアフターデジタル化に向かっています。オンラインとオフラインのそれぞれに分断されたマーケティング手法は過去のものになり、両方を融合するためのコンサルティングや施策が必要となってくるでしょう。