マーケティングには欠かせないRFM分析の使い方
マーケティングにおける顧客管理とは
商品を少しでも多く売り、多く利益を出すためには商品のクオリティはもちろん、売りたい商品を適切な人たちに紹介し、販売する必要がありますが、そのために必要なのがデータ分析を用いたマーケティングです。顧客を予想し、商品を買ってくれそうな人たちを予想するためには様々な手法が用いられ、それぞれに異なる役割が割り振られています。
役割が違うということはデータに対するアプローチも大きく異なってくるということですが、今回は中でも顧客管理の部門で使われるRFM分析に注目し、どう活用していくのかを、以下のポイントで見ていきます。
- マイクロマーケティングで活躍するRFM分析
- 三つの視点を複合的に見ていくことで多様な推測が可能に
- RFM分析は様々な分析と合わせて使うことで効果を発揮する
マイクロマーケティングとRFM分析
RFM分析は顧客管理に利用するということですが、RFM分析の話に入る前に、マイクロマーケティングにおける話であることを前提として覚えておくと良いでしょう。マイクロマーケティングというのは顧客一人一人に注目したマーケティング手法のことを指しており、消費者の個性にフォーカスを当てた「ワン・トゥ・ワンマーケティング」のことです。RFM分析はこの文脈の中で使われています。
対して「マスマーケティング」とは顧客の平均をとり、標準化された商品を大量に生産し、大量に流通させる手法で、売れば売るほど利率が上がる規模の経済にフォーカスを置いています。
個人レベルでの事業を考えるとき、少なくともマスマーケティングで勝負することは難しく、必然的にマイクロマーケティングのアプローチを取っていくことになります。
そのような理由があって、RFM分析は中小レベル企業には欠かせない手法となっているのです。
顧客関係性マネジメント(CRM)について
顧客管理の上で覚えておきたいのは顧客関係性マネジメント、通称CRMの考え方です。供給する側である企業が需要を担う顧客との良好な関係を構築・維持・育成することで長期的な利益を図る経営手法で、マイクロマーケティングの要となります。ここでは顧客と消費者が少し異なった意味で用いられ、顧客はすでに自社製品を買ったことのある人を指し、消費者は顧客も含めた購入可能性のある人や組織といったターゲット市場全体のことを表しています。
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CRMの施策として行われるのが、
1、優良顧客の維持
2、顧客を優良顧客へランクアップさせること
3、新規顧客の獲得
の三つになり、難易度は上から順に難しくなるのが特徴です。
RFM分析の役割について
顧客全体の2割を占める優良顧客の存在が、売り上げ全体の8割を占めるというパレートの法則に従うと、顧客を分類し、適切な施策を行うことが重要になってきます。優良顧客には維持の施策を、一般顧客には育成の施策を、そして消費者全体には新規顧客獲得のための施策を行うといった分類が、効率的・効果的なマーケティングを行うには不可欠になってくるのです。
この分類に用いられるのが、RFM分析というわけです。
RFM分析の三つの視点
RFM分析は3つの視点から顧客を分ける分析手法です。Recency(最新購買日)
一つ目はRecency(最新購買日)、つまり特定の顧客の最終購入日を顧客識別の判断材料にします。購入日が新しいほど、優良な顧客であると考えることができます。
Frequency(累積購買回数)
二つ目にFrequency(累積購買回数)がありますが、これは顧客がどれくらいの頻度で商品を購入しているかを判断材料にします。一般的に購入頻度が高いほど、優良な顧客であると考えることができます。
Monetary(累積購買金額)
三つ目にMonetary(累積購買金額)があります。これは顧客がこれまでに商品の購入にいくら費やしたかを判断材料にする見方で、これもやはり購買金額が高いほど優良な顧客であると考えます。3つの視点を組み合わせて判別できること
これら3つの視点は個別に見るだけでなく、組み合わせて顧客を判別することでより詳細な判断材料を得ることができます。まずRecencyについてですが、基本的にRecencyのランクが高ければ、将来的な企業の利益に貢献する可能性が高く、ランクが低くなっていれば、たとえFrequencyやMonetaryが高くとも他の競合ブランドに顧客を取られてしまっている可能性が高いと判断することができます。
逆にRが競合ブランドと同じランクである場合、FやMが高いほど優良な顧客を抱えているということになります。
Fのランクに注目すると、購入頻度の低い顧客へのアプローチが分かりやすくなります。Fのランクが低く、Mが高い顧客には一回あたりの購入金額が高いという判断ができますし、そこにRを絡めて考えると、Rのランクが高い顧客をより優良な顧客と見ることができるようになります。
Fのランクが高く、Mが低い顧客には購入金額を増やす施策が必要であることがわかります。またFが上がらない、あるいは下がっている顧客は、他社製品に流れてしまっていると考えることもできます。
R・F・Mのいずれも低い顧客は思い切って切り捨ててしまうという考え方もありますので、RFM分析を通じて取捨選択に関する合理的な判断も行うこともできるでしょう。
RFM分析の活用方法
RFM分析ではRFMのスコアを用いて顧客をグループ化する手法で、このグループ分けによって将来の購買金額や購入の有無は異なるのかを統計的に分析します。ここで用いられるのが分散分析とロジスティック回帰分析です。分散分析
分散分析は3つ以上のグループ間に差があるかどうかを識別する手法で、各グループ間の平均値に差があるかどうかを調べるものです。各グループを比較する際にその水準が意味のあるものかどうかを調べることができます。ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析はRFMのランク付けが目的変数、例えばメルマガ購読者とどのような関係があるかを調べたい時に活用することができます。Rはメルマガ購読数と関連があるのか、あるなら購入頻度が高いほど読まれるのか、低いほど読まれるのか、FやMとの関連はどうかなど、多くの情報をこの分析から得ることができます。
RFM分析ではカバーできないこと
RFM分析からは多くの推測や情報を得ることができますが、マーケティングに関わる全ての情報を得られるわけではありません。顧客はデータ上では数字にすぎませんが、そのデータの元となっている人間の行動は常に変化するものです。データが古くなってしまうと、途端に分析結果が何の役にも立たなくなることもあるわけです。
データの更新サイクルが加速し続ける現代
ビッグデータの概念は、インターネットの普及によって生まれたものです。現在のように情報のやり取りが頻繁に、膨大になってくると、データを解析する側だけでなく、データを提供する消費者の中でも消費のサイクルや流行は加速し、トレンドが読みにくくなってきているとも言えます。
手元にあるデータをがむしゃらに分析するのではなく、今必要なデータは何かを的確に読み取り、必要最小限のデータ解析に時間をかけることが必要とされています。
AIの登場はデータ分析に影響を与えるか
最近では人工知能をデータ分析に積極的に活用していくムーブメントもあり、データサイエンスのあり方は確実に変化し続けていると言えます。データ分析は一つのデータに対して一つの手法だけでなく、様々なやり方を複合的に活用しながら有力な解を模索するものです。なかなか手間のかかるものではありますが、AIをうまくデータ分析に活用できるようになれば、情報の更新が加速し続ける流れにも難なくついていくことができるとも言われています。
全てのデータ分析をAIに任せてしまう時代の到来には、もう少しの時間を必要とするでしょう。それでもトレンドを追いかけ続けるにはAIの存在は不可欠であり、AIを使いこなすためにデータサイエンスに詳しい人間が増えることはAIの登場以上に世間が期待していることと言えるのではないでしょうか。
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