時代をリードする精鋭:アフルエンサーを活用するマーケティングとは
- 第三者に圧倒的な影響力をもつアフルエンサー。インフルエンサーとは桁違いの消費額で経済を回している。
- 若年層アフルエンサーは諸刃の剣。行き過ぎた富が、彼らを危うい道に走らせることも。
- アフルエンサー・マーケティングのポイントは、活発な消費行動。その頂点は「ウルトラ・アフルエンサー」と呼ばれる。
時代の先駆者アフルエンサーとは?インフルエンサーとの違い
インフルエンサーとは
アフルエンサーを理解するためには、まずインフルエンサーについて知る必要があります。インフルエンサー(influencer)とは、不特定多数の第三者に影響を与える人のこと、感化させる側の人のことをいいます。冬になると注意報が出されることも多いウィルス性の急性感冒インフルエンザと、語源は同じものです。
アフルエンサーとは
アフルエンサー(affluencer)は、富裕層のインフルエンサーをさす言葉です。ちなみに、このキーワードの名付け親は、世界第3位のグローバル・マーケティング・リサーチ社である「イプソス(Ipsos)」のトップであるとされています。アフルエンサーは、さまざまなカテゴリに存在し、なおかつ独自のネットワークと大きな影響力をもつ有力な富裕層グループ。米国の調査によれば、彼らは高級志向で、いち早く新たなサービスやアイテムを試す傾向があり、一般の富裕層よりも消費額が高額とのことです。
つまり、アフルエンサーは商品の売れ行きや認知の波及について、非常にパワフルな影響力をもっているといえるのです。
アフルエンサーの存在が、デジタル・マーケティングの次なる鍵だと考えられています。
アフルエンサーの頂点「ウルトラ・アフルエンサー」とは
アフルエンサーは、特定のカテゴリにおいて有力な存在であることは先ほど述べた通りです。例えば、インスタグラムにいち早くさまざまなコスメブランドの商品のレビューを投稿し続ける「コスメのカリスマ」、頻繁に世界中へ旅行へ出かけ、その様子をブログにアップする「旅のカリスマ」など‥‥。これらは、一つの分野に特化したアフルエンサーといえます。
しかし、アフルエンサーのなかにはこうした分野を複数掛け持ちし、どの分野においてもそのトピックの中心的な存在として君臨する人物もいます。マーケティング業界では、5つ以上のカテゴリにおいて圧倒的なパワーをもつ人物を「ウルトラ・アフルエンサー」と位置づけ、デジタル・マーケティングにおける重要な存在とみなしています。
ウルトラ・アフルエンサーは、一般的な富裕層よりもさらに高額な所得を有しており、なおかつSNSのヘビーユーザーという傾向があります。
自身の発信だけでなく、デジタルコンテンツやメディアの購読度も高く、複数のメディアを閲覧する機会が一般のインフルエンサーや富裕層よりも多いのが特徴。発信力だけでなく、収集能力にも長けているということになります。
アフルエンサーをどのように活用するか
アフルエンサー・マーケティングとは
アフルエンサーは、デジタル・マーケティングにおいて圧倒的な力を発揮します。もともと、インフルエンサー/アフルエンサーは、ある特定の分野に精通している専門家やその分野におけるリーダー的存在を意味する言葉でしたが、現在では、SNSやネットの世界で多大な影響力をもつ人物を示す言葉として使われています。
膨大な数のフォロワーをもつ彼らは自ら新しい商品やサービスを試し、その様子を投稿することで、消費者の購買意欲を刺激し、市場を活発化させます。そのため企業はこうしたアフルエンサー、インフルエンサーと契約して商品のプロモーションをおこなうことも。従来のデジタル広告よりも、はるかに効果的と考えられているからです。
デジタル・マーケティングの複雑化はとまらない
ネット広告は、実際に消費者にプロモーションが届いているのかどうかといった効果が感じられにくくなっています。ネットサーフィンの邪魔だと考えるユーザーが、広告ブロックウェア導入するといった背景もあり、広告やサイトのPVが売上につながっているかどうかは、分かりづらくなる一方です。グーグルのSEOに関するアルゴリズムは頻繁に変更されるようになり、デジタル・マーケティングの複雑化は止まる気配がありません。むしろ、テクノロジーの発達でより複雑になっていく一方ではないかというのが、多数派の意見です。
視聴されずにスキップされる広告にコストをかけるよりは、圧倒的か拡散力をもち、不特定多数にキャラクターを認知されている影響力をもったアフルエンサーを活用しようと考えるのは、自然なことといえるかもしれません。
頭に入れておきたいアフルエンサーのニュース
アフルエンザと呼ばれる現代の闇
アフルエンサーは若年層に偏りがちなのが特徴です。SNSを始めとする現代のツールを使いこなすバランス感覚と、新しい商品やサービスに飛びつくスピード感は若い世代だからこそ可能なものなのかもしれません。しかしその一方で、豊かさや時代の寵児といった感覚は、時に危険なものになることを知っておくべきでしょう。
米国では、若年層の「アフルエンザ」が社会問題として取り上げられています。これはアフルエンスとインフルエンザを合わせた言葉で、昔でいう金持ち病、金満病にあたります。
親の所得が一般のそれの何倍にも相当する裕福な家庭で育ったティーンエイジャーは、時に行き過ぎた非行に走り、重大な飲酒運転事故やトラブルを引き起こすことがあります。
有識者は、裕福で多忙な親のネグレクト(育児放棄)や、エリートとして過度な期待をかけられることへのプレッシャーなどを問題点として挙げています。
アフルエンサーとして影響力をもつ若年層のなかには、こうした問題を抱える人物が一定数存在していることも、知識として知っておくとよいのではないでしょうか。
1件100万円の影響力?子どものアフルエンサーもいる
影響力のあるアフルエンサーは、ティーンエイジャーだけではありません。世界的な経済誌「フォーブス」は、最年少で「最も稼ぐユーチューバー」にランクインした7歳の少年が、昨年12億円の推定年収を得ていることをトピックとして取り上げました。オモチャのレビューをおこなう彼のチャンネルは、登録者1,000万人超の人気チャンネル。玩具メーカーにとっては、売り上げに絶大な影響力をもつアフルエンサーといえるでしょう。いうまでもないことですが、こうした子どものユーチューバーやアフルエンサーは、保護者の存在が要でもあります。
巨額なお金が動くアフルエンサーは、実の親がマネージャーを担っていることも多く、プロモーションを依頼する際には、家族ぐるみでの交渉が必要になるでしょう。
参考:Forbes ビジネス「世界のインフルエンサー子供版 YouTubeで年収12億円の小学生も」
https://forbesjapan.com/articles/detail/19120
まとめ
富裕層インフルエンサーのアフルエンサーは、米国で熱いまなざしを注がれていますが、まだ日本ではメジャーな存在とはいえません。今後、人気インスタグラマーやユーチューバーのなかでも一握りのインフルエンサーが、国内のアフルエンサーとして脚光を浴びるようになるのかもしれません。
EC業界においても、次世代デジタル・マーケティングの大黒柱となりうる彼らの手を借りて、積極的なプロモーションを展開することは充分実現性のある話といえるのではないでしょうか。