Eビジネスを推進するORANGEシリーズ

EC-ORANGE
お役立ち資料ダウンロード ニュースレター登録

【体験レポート】老舗スーツブランド・KASHIYAMAのオンラインオーダー「Smart Taylor」の実力

ほんの少し前まで、ちゃんと似合うスーツを手に入れるならオーダーメイドが必須で、質は高いけれど、それと比例して時間もお金もかかる、敷居の高い存在でした。

しかし、デジタルの進化は、スーツをかなり気軽なものにしてくれました。なぜなら、「オンラインオーダー」でスーツを購入できるサービスが続々と登場しているから。

もちろん、気軽さの要因として総じて「価格が安い」というのは大きいのですが、一度オーダーすれば2回目以降はいつでもどこでもスマホを操作するだけでジャストフィットするスーツが作れてしまうというのも魅力です。

今回、そんなサービスの中の一つ、国内スーツブランドの老舗であるKASHIYAMAが展開している「Smart Taylor」で実際にスーツをオーダーしてみました。
【目次】

KASHIYAMA Smart Taylorとは

オンラインオーダーができるスーツ市場には、様々なバックグラウンドを持った企業が参入していますが、KASHIYAMAは「オンワード樫山」として創業以来、ずっとスーツを日本人に最適化し続けてきた老舗。いわば日本人に似合うスーツを知り尽くしたブランドです。

そのKASHIYAMAが、これまで培ってきたスーツのナレッジとテクノロジーを駆使して2017年の秋より提供を始めたのが「Smart Taylor」というわけです。

スーツブランドとしての信頼が厚いため、このサービスへの期待感も自然と高まります。


Smart Taylorの利用方法

オンラインオーダースーツの中には、テクノロジーファーストで採寸のために来店する必要がないZOZOの2Bスーツのようなものもありますが、Smart Taylorは最初の一着をオーダーする際、しっかりと採寸する必要があります。

ただ、採寸する場所が色々と選べるようになっており、利便性は高そうです。

出張採寸

 職場や自宅など、指定した場所に「フィッター」と呼ばれる採寸技師を派遣してくれるサービス。店舗に出向く時間が取れない人には嬉しいサービスですね。※自宅出張採寸は男性用スーツに限ります。

来店採寸

 KASHIYAMAのショップに出向いて採寸を行う、オーソドックスなサービスです。特徴は全国各地にある「ガイドショップ」と呼ばれる採寸専用のショップで、中にはWeWorkなどのコワーキングスペースのような場所も存在します。

画像出典:https://kashiyama1927.jp/



「日本人に最適化されたスーツ」を実感できるか

KASHIYAMAのフィッターは一人当たり年間約300人の採寸を行っており、そこで磨かれた技術と「目」で寸法だけでなく、顧客の身体のクセまで測りとるのだとか。

そんなフィッターたちが半世紀かけて集めた年間約20万人分の採寸データをもとに日本人に最適なサイズマスタを作成し、160パターンものサイズデータパターンを保持しているため、あらゆるタイプの顧客にフィットしたスーツを提供できるということです。

仕上がりクオリティにかなりの期待が高まる中、今回、Smart Taylorを体感する人物は、こちら。

株式会社エスキュービズム 営業部長のS氏です。

S氏は元々スーツにはこだわりを持っていたのですが、昨年部長職になったこともあり、ちょうど、「より洗練された印象」を与えてくれるスーツを新調しようと考えていたそうです。

普段からスーツはONWARD系のブランドを好んで購入しているとのことで、ちょうど良い機会なので「Smart Taylor」を体験してもらうことに(もちろん自腹です)。


ちなみにこちらはオーダー前の「ビフォー写真」、スーツは5、6年前に購入した海外の有名デザイナー系ブランドのものです。


S氏のこだわり、お悩み

S氏は普段スーツを買う店を決めているそうです。なぜなら、そこにはS氏のサイズや好みを知り尽くしたスタッフがいて話が早いから。裾上げやちょっとした直しは即対応してくれるし、都度わざわざサイズを測る必要もないのだとか。

それだけに、今回初体験するSmart Taylorには一抹の不安があると言います。

S「僕は体型にかなり特徴があって、サイジングが難しいと思うんですよ。胸板が厚いわりに “撫で肩”で、既成品だと胸元はパツパツなのに肩が余ってバランスが悪くなるんです。それに、昔モーグルをやっていたので腿が太く、そこでパンツのサイズを合わせようとするとお尻がゆるくなっちゃいますし」
——なるほど、今までは行きつけのお店で、時間をかけて、それらの特徴を店舗スタッフに覚えてもらったというわけですね。

S「そうですね、心地よく買い物ができるまでに15年ぐらいかかりましたね」
——スーツを買うときのこだわりはあるのですか?

S「僕は3ピースが好きなので、スーツを買うときは必ずベストと2パンツをセットで購入しています」
——そのあたりのオプション対応もSmart Taylorがどんな感じになるか楽しみですね!

S「楽しみでもあり、不安でもありますね。自腹なので(笑)」

「来店採寸」を体験!

S氏が選択したのは「来店採寸」、場所は京橋駅に直結したWeWorkを利用したガイドショップでした。

最初にお断りしておきますと、今回「ノーアポ突撃取材」だったため、採寸中の写真撮影はNGとなってしまいました……。可能な限りテキストで臨場感をお伝えさせていただきますので、ご容赦ください。

採寸現場となるWeWork東京スクエアガーデンに足を踏み入れると、そこはクリエイティブな雰囲気で溢れていました。

S「スーツはある意味、ビジネスに向かう気分を高めてくれる存在ですから、その一歩目である採寸からこのような雰囲気の中でやるのはアリですね」
KASHIYAMAは、ここのフリーワークスペースの一角をガイドショップとして契約しているようです。アポを取ると、その時間に合わせてフィッターが派遣されてくる仕組みとなっています。

採寸するスペースには、デスクが一つ、店員と客が対面するテーブルが一つ、あとは試着のためにカーテンで区切られた場所と、何着かのサンプルスーツがかかったラックがあるのみ。そして、今回のフィッターさんは推定40代ぐらいのパリッとした男性でした。

S「いや、担当してくれたフィッターさん、第一印象からやり手な雰囲気を出てましたね。決して嫌味な感じでなく、まさに職人といった感じで」
スーツのオーダーは、採寸に先駆けて生地を選ぶところからスタートしました。安いものだと3万円から選ぶことができますが、S氏がセレクトしたのは、KASHIYAMAが2018年の秋から取り扱いを開始した、イタリアのラグジュアリーファブリックメーカーの生地。

それでも出来上がりはミニマム7万円からと言うことで、クオリティを考えればリーズナブルな値段と言えそうです。

次に、ベント(背中の切込み)やボタンの素材・つけ方、ポケットの数・デザイン、裏地の素材・柄、ベストの有り無し、パンツの裾など、たくさんのディティールを、サンプルや図を参考にしながら次々と決めていきます。

さすがS氏はスーツへの造詣が深く自分の好みを知っているため、比較的スムーズに進行します。そんな中、S氏が迷ったとき、フィッターさんがS氏の好みを考慮しつつ的確にアドバイスを入れていきます。

なんでも、KASHIYAMAには「ビスポーク(bespoke)」という哲学があるそうで、自然と会話する中で顧客の要望や悩みに応えていくのだとか。それを見事に実践している、という雰囲気でした。
ベースが決まると、いよいよ採寸です。フィッターさんがあらゆる場所のサイズをテキパキと測り、シートに記入していきます。

正直なところ、採寸自体にもテクノロジーを駆使しているのでは?と密かに期待をしていたのですが、ここについてはまさにアナログな職人技という感じでした。

採寸しながら、フィッターさんがKASHIYAMA流「フィットするスーツ10ヶ条」を伝授してくれました。

  1. ウェストのちょうど良いゆとり
  2. 襟が肩と接している
  3. 前襟が胸に吸い付く
  4. ボタンを閉めても引っ張られない
  5. 足の甲に裾が少しかかる
  6. お尻下の生地が余らない
  7. 袖口からシャツの1cm見える
  8. 裾がお尻のアンダーラインにかかる
  9. 肩の収まりがいい
  10. 肌心地が良い


S「知っていたことももちろんあるけれど、これはかなり参考になりますね。これまで感覚的だったり、鏡で見ても何がしっくり来ないかわからなかった部分を言語化してくれているので。これを教えてくれたおかげで、信頼度が上がりました」
サイズが一通り決まったところで、今度はサンプルのジャケットを着て、スーツのどこに補正を加えるかを細かく確認していく作業に移ります。

これは、まさにテーラーメイドで「自分だけに似合う服」を仕立てる醍醐味の部分でもありますね。

S「僕は左右の腕の長さが違うため、袖丈を調整したのと、胸板が厚いため胸部分に余裕を持たせ、撫で肩対応の補正をしました。さすがフィッターさんも手馴れたもので、僕の身体のクセをすぐに飲み込んで具体的なスーツのサイズ調整に落とし込んでいましたね。これは出来上がりが楽しみです!」


これで、全ての工程が終了しました。オーダーにかかった時間は約90分。サクッと済ませるという感じではないのですが、本当にクオリティの高いスーツを仕立てるためには必要な時間ということでしょう。

S氏のスーツは、これから中国のKASHIYAMA専用工場へデータが送られ縫製されるそうです。

出来上がったスーツは?

オーダーから1週間後、S氏の元に仕上がったスーツが届けられました。

S「本当に1週間で届きました※。嬉しくてすぐに着たかったのですが、中国から圧縮された状態で届くため、実際に袖を通すまでは1日以上ハンガーに吊るしておく必要がありましたね。それが厄介といえば厄介ですが、モノはめちゃくちゃいいです。着心地も抜群。見てくださいこれ」
——確かに、ビフォーの既成スーツに比べて、S氏にビシッとフィットして「やり手感」がアップしているような。

S「いいスーツを着ると、俄然モチベーションが上がるんですよ。クライアントのオシャレな役員の方とお会いする時も堂々としていられますしね」
——2回目以降も利用したいと思います?

S「全然アリですね。だってもうサイズを測らなくてもいいんですよね?2回目以降がオンラインオーダーの利便性の醍醐味ですから、ぜひまた近々購入したいと思います」
※オプションの量などが多い場合は納品までに2週間程度かかることもあるそうです。

まとめ

いかがでしたか?

KASHIYAMAのSmart Taylorで活かされているテクノロジーは、オペレーションの部分より、膨大な顧客のサイズデータから導き出されたスーツそのもののクオリティに反映されているのだと感じました。

S氏も言うように、現時点ではオンラインオーダーの利便性の醍醐味は2回目以降のオーダーでしか感じられないのが正直なところです。

今、「オンラインフィッティング」の精度をいかにして上げていくかがアパレルECの未来を作る一つのポイントとして議論されていますが、そこがブレイクスルーすれば、テーラーメイドのスーツはさらに身近になり、誰もがビシッとしたスーツを気軽に着こなすようになるのかも知れませんね。

PR:貴社のオムニチャネル化は完了していますか?その答えをエスキュービズムが持っています。