小売業が「ショールーミング」対策するための5つの方法
「ショールーミング」という言葉が小売業界を賑わせています。
ショールーミングとは、商品購入の際に実店舗に訪れて現物を確かめ、その店舗では買わずにオンラインショップで購入することです。
(引用元:『 http://www.pod1.com/news/best-in-showrooming/』)
出典
http://www.retailcustomerexperience.com/blog/10007/The-five-ways-retailers-can-beat-showrooming
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37263
(店内でWeb上の商品レビューを見る買い物客の割合 引用元:『http://www.retailcustomerexperience.com/blog/10007/The-five-ways-retailers-can-beat-showrooming』)
上記のように特に家電業界で、このショールーミングは顕著です。
店舗を持たないオンラインショップは、低コスト販売において実店舗を上回っているため、同じ商品ならばオンライン上で安いものを、という消費者心理は当然と言えます。
こうした状況の中で、実店舗を展開する小売業はどうすれば良いのでしょうか?
今回は、ショールーミングに対抗する5つの対策方法を紹介したいと思います。
顧客がショールーミングをする目的
米国の調査会社Nielsenによると、顧客は店舗内でショールーミングを行っているが、より多くの情報やレビューを手に入れるのが目的で、別の場所(=オンラインショップ)で購入するためではないとのことです。
店舗内で商品情報を検索するのは、購入を決断するためであり、これまで叫ばれていたほどショールーミングの影響はないという見方です。ショールーミングが行われているのは事実として、最終的にその店舗で買うことを目的としているのであれば、ショールーミングに対策する方法は変わってきます。
ショールーミングに対抗する5つの方法
1. 正面から価格対決する
家電量販のベストバイは、ホリデーセールに限っていた最低安値保証を永続的な制度にしました。
狙いは、「Amazonが一番安い」という顧客の認識を変えることですが、価格対決を続けるのは多大な労力と犠牲が強いられるでしょう。
2.ショールーミングを受け入れ、顧客をサポートする
「顧客が自宅に帰る前に、店舗内でデバイスやテクノロジーを提供しなくてはならない」とMacy’sの消費者インサイト部門Cheryl Berinatoは語ります。
顧客の情報検索行動を受け入れ、むしろWiFiを提供するなどして情報検索の環境を整える方針です。一例として、イギリスの百貨店ジョンルイスはインターネット対応のキオスク端末を店中に配置して、顧客の情報検索をサポートしています。
3.店舗スタッフを強力なツールにする
小売業の店舗スタッフは、買い物体験のパーソナライズのための最も強力なツールです。
それにはまず、スタッフの理解と準備が必要になります。
スタッフは最低限、顧客が扱うテクノロジーを身につけなければなりません。スマホやタブレットを持ち、顧客のためにレビューを検索したり、店舗やオンラインショップの在庫状況を調べられるのが理想的です。
4.アプリを使った簡単検索で、利便性を向上させる
自社ブランドの商品を簡単に検索ができるようなアプリを提供しましょう。Macy’s、ターゲット、ベストバイ、ウォルマートなどは、すでに独自アプリを提供しています。
アプリによって利便性の向上だけでなく、購買意欲のある顧客への的を絞った宣伝や値引きの提供も可能です。
5.オムニチャネルで最適なサービスを提供する
Amazonなどのeコマースサイトの長所は“ロングテール”と呼ばれる、ニッチ商品の多品種少量販売ですが、小売店舗の長所は店舗で購入した商品の自宅発送や、オンラインで買った商品の店舗引き取りなど、店舗とオンラインを組み合わせた多様なサービスを展開できることです。オンラインとオフラインの垣根を越えて、顧客にとってベストなサービスを提供するオムニチャネル思考が求められます。
顧客へ“サービス”を高め続ける
Amazonは迅速な発送サービスや簡易な返品サービスを展開している一方で、修理や相談窓口サービスなどは行っていません。
鍵となるのは、顧客が価格よりも価値を見出せる要素を提供できるかどうか。
ショールーミングをした後に選んでもらえるよう、既存のサービスをブラッシュアップしたり、新しいサービスの開始を検討してみてはいかがでしょうか。