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未来の店舗のヒントがここに?ショールーミング特化型イベント「Amazon Bar Tasting Fest」体験レポート

「Amazon Bar Tasting Fest」は、アマゾンジャパンが東京・天王洲キャナルエリアにオープンした6日間限定(2019年9月18日〜23日)のポップアップバーです。2017年に銀座で初開催して以来2年ぶり2回目となる今回は規模感が大幅にアップされています。

このイベントは、Barの名に相応しく720種類ものお酒と36種類のおつまみが楽しめるテイスティングイベントとなっているわけですが、あのAmazonが仕掛けてくるものだけに、会場はどんなあしらいで、参加者にどんな体験を提供してくれるのか、そしてイベントに込められた意図はなんなのか、色々と気になることが満載です。

そこで今回、オープン初日に実際に会場に足を運び、体験してきたイベントの様子をレポートしたいと思います。

【目次】

最大11杯のお酒を選んで楽しめるテイスティング体験

「Amazon Bar Tasting Fest(以下Amazon Bar」の入場には、Amazon.co.jpで事前の予約とチケット購入が必要です。入場料金は2,500円で、Amazon Payで事前に決済まで済ませるシステムとなっています。

会場は天王洲アイル駅から徒歩5分程度、運河沿いの天王洲キャナルエリアです。周囲には、イノベーティブな取り組みが度々話題となる寺田倉庫のオフィスや、醸造所を併設したレストラン「T.Y. Harbor」、ストックフォトサービスや広告制作などでおなじみのアマナなどが集まっています。以前はナイキのエンプロイストアもあった場所です。

行くのにやや不便と感じる場所ですが、ウォーターフロントでお酒とともに非日常な空間を体験できると思えば、なかなかいい雰囲気でワクワク感が醸成されます。

オープン初日の早い時間帯だったこともあり、そこまで並ばずに入場することができました。

受付を済ませるとまず、「A 冒険」「B 革新」「C 人気」「D 伝統」の4つの中から好きなタイプを選択するよう促されます。そして、選んだタイプに応じたパンフレットを渡されます。筆者は「A 冒険」を選択しました。

パンフレットを開くと、そこにはビール、焼酎、日本酒、ウイスキー、赤ワイン、白ワイン、スパークリングワイン、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラ、梅酒、テキーラ、酎ハイ、とにかくありとあらゆる種類のお酒が並んでいます。参加者は、この中から各カテゴリーごとに1セット3杯のお酒を選んでテイスティングできます。

テイスティングの権利は全部で3回、合計9杯のお酒を飲み比べることができるのです。ただし、1セットのテイスティングでは、お酒のカテゴリーを跨ぐことはできません(ビールならビールだけで3杯、日本酒なら日本酒だけで3杯、という具合です)。

1セットのテイスティングには厳選されたおつまみも1種類ついてきます。さらに、会場で行われているSNS投稿キャンペーンに参加すると、ビールやスパークリングワインなど4種類のお酒から好きなものを1杯無料で提供されます。さらにさらに、3つの箱に分かれた会場のうち2箇所で行われている「プレミアム体験」でも、日替わりで様々なお酒が1杯無料で提供されています。

つまり、2500円の入場料を支払えば、合計で最大11杯の各種お酒と、3種類のおつまみが楽しめるというわけです(それでも足りない人は、追加のテイスティングチケットを1セットずつ購入可能です)。

選択したタイプごとに選択できるお酒の種類が違いますから、友人や同僚同伴で参加した場合、それぞれが違うタイプを選択すれば、さらに多くの種類のお酒を楽しむことが可能です。

会場の入り口には、720種類のボトルが勢揃いした圧巻の空間が来場者を出迎えてくれます。この空間に触れた来場者は皆一様に感嘆の声を上げ、写真を撮っていました。SNSへの投稿を意識した上手い演出です。

お酒ほどショールーミングが有効な商材はない

このイベントの最大の目的は、Amazon.co.jpでは取り扱っているお酒の種類が豊富であることを認知させること、そして、食品を扱うECの弱点とも言える「味を伝える」部分を補完することです。

会場入り口ではお酒の種類の多さに圧倒されましたし、配布されるパンフレットに掲載されたお酒やおつまみの写真の下にはAmazon.co.jpに飛ぶことができるQRコードが付いています。SNSでは「その場で購入した」という投稿も見られました。
このパンフレットを開いただけでもAmazon.co.jpの品揃えの豊富さを実感できましたし、筆者もイベント終了後、気になったお酒を実際にAmazon.co.jpのページ上で確認したりもしました。

そう考えると、Amazon Barは完全に「ショールーミング」に特化し、それを実際に人々に体感してもらうためのイベントであると言えます。なぜなら、お酒ほどショールーミングに適した商材もないだろうと思うからです。

もちろん、実際に飲んでみないとお酒の味が分からない、というのも大きな理由の一つですが、このようなイベントには必ずお酒に詳しい人が一定数現れます。すると、その豊富な知識に触れることによって、単にサイト上で文字情報を眺めているよりも、圧倒的にお酒に興味を持つ熱量が上がります。

実際、会場のそこかしこでお酒にまつわるウンチクを披露する声が聞こえていましたし、パンフレットだけでは情報としては物足りないところを、熱の帯びた会話で補完する、というのは、シンプルながら非常に有効でした。物理的に心を緩ませることができるお酒ならではの体験でしょう。

加えて、これはテイスティングイベントであるため、参加者に種類の豊富さを「見せる」ためのお酒さえ用意できればよく、会場内に大量の在庫を抱える必要はありません。したがって、会場の作り自体も、滞留する空間として快適に感じられるように、ゆったりと作ってあったという印象です(もともと広い空間ではありますが)。

前回(2017年)からかなりUXを改善してきた?

2017年のAmazon Barも、基本的には同様の目的(お酒の取り扱いが豊富であることの認知と、実際に味わわせる)で開催されたものでしたが、オペレーションが少々違っていました。

「メニューがないバー」というコンセプトで、参加者は会場に10台ほど備え付けられたタブレットを操作しながら「今の気分は?」といった質問に答えていきます。回答に基づいたレコメンドに従ってそれを一杯ごとに購入するスタイルで、購入したレシートとともに、Amazonco.jp上のその商品ページへリンクするQRコードが発行される仕組みだったのです。しかし、今年の「テイスティングスタイル」の方が、多くのお酒に触れる機会を創出できますし、紙のパンフレットの方が一覧性が高く、手元に情報が残ります。レシートで発行されるQRコードよりも後ほどECサイトを訪れる際の使い勝手もいいでしょう。

会場の規模も含め、かなりUXを改善して開催されているのが今回のAmazon Barであると言えるのではないでしょうか。

ただ一点、あえて難点を挙げるとするならば、フードの扱いです。テイスティングに特化しているので、Amazon側から提供されるのは、テイスティングセットに付いてくる一口大のおつまみのみ。少量ずつとはいえ、それだけのおつまみで9杯も飲むと酔いが回り、もう少ししっかり食べたくなります。会場内には、イベントで出店を許されているキッチンカーが2台ほど出てはいるのですが、会場が広いこともあり、ほろ酔い状態で席を何度も立つのは億劫です。なので、ワゴン販売のような形で、会場内を回ってくれるフード販売があれば最高だったと思います。
もちろん、フードが充実すると回転率が悪くなる可能性もありますが、顧客のファン化に結びつく質の高いUXとは、そうした細かいことの積み重ねではないでしょうか。

Amazon BarのさらなるUXの向上を勝手に考えてみる

Amazon Barは現時点でも十分に素晴らしいイベントなのですが、あえて、もっと素晴らしくするにはどんな方法があるか、軽く考えてみました。

コンシェルジュを配置する

先ほども少し書きましたが、会場で配布されるパンフレットに記載されている情報だけでは、興味を持ったお酒のことを知るには少々物足りません。それは、Amazon.co.jpの商品ページ上の説明も同様です。お酒は知識が深まれば深まるほど買いたい気持ちが高まるタイプの商材だと思うので、会場内に各カテゴリーのお酒にとことん詳しいコンシェルジュ的な人がいるといいなと思いました。

同伴者に詳しい人がいればいいですが、全員がお酒は好きだけど、そんなに詳しくない、というグループもたくさんいるでしょう。そこで、お酒を深掘りしたい人が自由に席に着けるテーブルをいくつか用意するというのは、このイベントであれば需要が高いのではないでしょうか。

TIGコマースを使ってみる

上記のコンシェルジュと同様の発想ですが、お酒の情報を動画という形で配信する、という方法も考えられます。例えばパンフレットのQRコードからAmazon.co.jpへ直接飛ばすのではなく、そのお酒のPV的な動画へリンクさせ、さらに、その動画をTIGコマース(動画に写っている商品に直接触れて、フリックすれば購入できる仕組み)仕様にすることで、特定のお酒に興味を持った人により豊かな情報を届けて「買いたい」という気持ちを高めることと、高まった気持ちのまま購買する手段を提供することが可能になります。

TIGcommerceについてはこちら

VRコマースを使ってみる

お酒のボトルに囲まれた会場入り口は、ある意味アイコニックな空間でした。どんなお酒があるのか、博物館のようにじっくり眺めたくなるのです。今後Amazon Barが繰り返し開催されるようになるのであれば、この雰囲気を、VRコマースで再現することで、Amazon Barに直接来ることができない人々へ提供する、ということも面白いかも知れません。そうすれば、例えば毎回Amazon Barを楽しみにしているけれど今回はどうしても行けない、というような常連客が、Amazon.co.jpで新しく取り扱うようになったお酒をVRコマースでチェックする、というような体験を提供することも可能になるかも知れません。

VRコマースについてはこちら

さいごに

ほんの1時間程度、と思って参加したAmazon Barでしたが、気づけば3時間半ほど滞在してすっかり楽しんでしまいました。仕組みとしては非常にシンプルなイベントでしたが、とても質の高いUXを提供していると感じましたし、上述したように、これはショールーミング型のリアル店舗の一つの形としても、ヒントがたくさん詰まっているのではないかと思いました。

例えば、まだまだ知名度が低いD2Cブランドが、小規模でもいいから定期的にこのようなショールーミング特化型のポップアップストアを展開するのも面白いでしょう。お酒でなくても、提供する体験は工夫次第で色々なことが考えられそうです。

表立っては何か最新のテクノロジーを使っている、というようなものではありませんでしたが、これから訪れるOMO時代、リアル店舗とECの相関関係を深く考える機会として、Amazon Barは非常に近未来的なイベントだったと感じました。

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この記事を書いた人
池 有生

広告会社コピーライター、ウェブメディアライター等を経てエスキュービズム入社。趣味はサーフィン。3姉妹の父。ワーク・サーフ・ライフバランスの最適化を模索中。

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