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ネクストカスタマーZ世代とは?次世代ECはモバイルが主軸に

Z世代は、1990年代後半~2000年代生まれをさす呼称です。デジタルネイティブのセカンドジェネレーション、真のデジタルネイティブとして、ミレニアル世代の特徴を受け継ぎながら、また独自の新たな特徴をそなえています。
次のECは、このZ世代の消費行動やトレンドをおさえることが重要。この記事では、世界的なZ世代の特徴と、日本のZ世代独自といえる特徴、さらにZ世代を取り込むためのECについて、今後求められる戦略やトレンドを紹介します。

目次:

ミレニアル世代とは違う?Z世代の定義

Z世代という名称は、米国で生まれました。
米国では、1960〜1974年生まれをX世代と呼びならわし、1975〜1990年代前半生まれをY世代といいます。このY世代はいわゆるミレニアル世代(ジェネレーションY)です。幼い頃からパソコンや携帯電話をはじめとするIT技術が身近にあった初の世代で、FacebookなどのSNSとの親和性が高い世代ともいわれています。
Z世代はこのジェネレーションYの性質を受け継ぐ、1990年代後半〜2000年代生まれのことで、Y世代よりもさらにデジタル技術が身近な若者をさします。

以前は、Y・Z世代を総称してミレニアル世代とすることもありました。Y世代から個人主義が広がりはじめ、多様な価値観を当たり前に受け入れる傾向がみられました。Y世代以前の活発な消費活動、他者との違いを忌避する傾向とは大きく異なっています。
しかし、次第にZ世代だけを見ても、Y世代とは異なる特徴や要素が確定できるようになったため、1990年代前半と後半以降で世代を区別する動きが広がっています。

価値観から働き方まで:Z世代の7つの特徴

Z世代の特徴は7つ。なかにはY世代と共通の特徴や行動傾向もあります。

Z世代はデジタルネイティブ

ひとつ前のY世代がデジタルネイティブなので、次代であるZ世代も当然ながらデジタルネイティブです。
教わらなくても直感的にデジタル機器を操作することが可能で、小さな頃からスマホでゲームをしたり、TVよりYouTube動画をよく視聴したりする傾向もあります。

Z世代はプライバシー保護の意識が高い

幼い頃からSNSが当たり前に存在するZ世代は、ネットリテラシーが高く、プライバシーを重視する傾向もあります。
海外では、親が子どもだった自分の写真をSNSに無断でアップロードしたとして実の親を訴えるという事例も。SNSが当たり前にある環境で育ったため、Z世代には「知らない人が家に来てもドアを開けない」という基本的な防犯レベルで「プライバシーに対する自衛意識」が育まれているのかもしれません。

Z世代はオンラインで音楽を大量消費する

Z世代は、YouTubeやサイトで音楽のPVやライブ映像を楽しむ世代でもあります。
近年の、音楽や動画のサブスクリプションサービス拡大傾向に伴って、ますますオンライン視聴の流れは強まっています。日本ではまだCDの売上と拮抗していますが、海外ではオンライン消費がすでに市場の主流となっています。

Z世代は反ブランド主義

Y世代、Z世代はともに多様な価値観の存在を認め、自身と他者との違いを当たり前に受け入れる人の多い世代でもあります。
それ以前の世代が、マイホームやマイカーに憧れを抱いたのとは異なり、シェアリングエコノミーにも前向き。モノの消費よりも、体験型への投資やコト消費を好む傾向にあります。
そのため、ブランドよりも本質に価値を置きやすい世代と分析されています。Y世代以前には、物のない時代も長く続き、所有することが幸せや成功のステータスとみなされていました。一方でそうした親をもって育ったZ世代は物のあふれる幼少期を過ごしたため、すでに当たり前の「モノ消費」にそれほど心を動かされないのかもしれません。

Z世代はオンタイムで仲間と交流する

Z世代は、相手の時間が無尽蔵ではないことを本質的に理解しています。また、相手の時間も自分の時間も「有料」と考えます。そのため、オンタイム(時間通り/勤務時間中)でしっかりとコミュニケーションをとり、引き伸ばしたり延長したりするのを回避する傾向があります。
デジタル化によって時間通りにスケジュールをこなすことが容易になった時代を過ごしているため、こうした特徴があるのかもしれませんね。

Z世代は起業家精神が高め

起業家精神は、勤めて働くのではなく自ら動き、興そうとする精神をいいます。起業家精神旺盛な人の傾向には、

  • 何かあっても自分で解決しようとする
  • 自己管理能力が高い
  • 自己責任の思考をもっている
  • 正確に自己を評価することができる
  • 他者への信頼、支援を惜しまない

というものがあります。
個人主義でありそれぞれの多様性を容認する一方、SNSで多くの人とつながって共感を得るというZ世代の特徴とも、合致しているのではないでしょうか。

Z世代は社会課題への意識が高い傾向

Z世代は、それ以前の世代と比較すると社会的な課題に対して意識が向いている傾向にあります。
米国の場合は、ワールドトレードセンターが爆破された9.11を経験した世代であり、世界の平和や人権の問題について考える機会をもつことが多かったのではないかと考えられています。
スウェーデンの環境活動家として世界的に知られるグレタ・トゥーンベリ氏も、2003年生まれのZ世代です。彼女の環境保全を呼びかける声は、世界中のZ世代に大きな影響を与えています。
日本でのZ世代は、東日本大震災など大きな災害を多感な時期に経験した人が多いので、環境や地域活動について考える世代といえるかもしれません。

日本のZ世代の特徴は?

では、日本のZ世代にはどのような特徴がみられるでしょうか?
米国の傾向と同様のものもありますが、「Z世代会議」の調査からかんたんにまとめました。

・ソーシャルネイティヴの「いま」と「本音」を知るメディア Z世代会議
https://speakerdeck.com/zkaigi/genz-report-2018?slide=11

家庭での家事・育児負担は男女平等を希望

Z世代は共働き家庭で育つ若者が多数派。親の姿を見て思うところがあるのかは分かりませんが、家庭を築く上では男女ともに家事や育児を分担すべきという考えが広がっているようです。家庭のあり方は、「夫は働いて家族を養うべき」、「妻は家庭にいて子育てと家事に専念すべき」という考え方から、互いに分担して働き、家事を担うというスタイルに少しずつ移行しつつあります。
ジェンダーレスがトレンドになったように、男女の両方で「男らしさ」、「女らしさ」の息苦しさを表に出す若者が増えてきました。

買い物好き、特典好きの反ブランド思考

米国のZ世代と同様に、日本にもブランド志向はあまりみられません。一方でショッピング自体は楽しいと考えている人が多く、クーポンや割引券といった特典を嬉しいと感じる消費者が多いという傾向がみられるようです。

他人から好かれたい:仲間や親を大事にする傾向

個人主義といっても、他人からどう見られているか気になるという傾向がみられます。親や仲間を自分にとって頼りになる存在と意識して、大切にしています。
SNSで「いいね」をはじめとする共感を得ようとする傾向も、こうした他人から好かれたい、共感を得たいという心があらわれているといえます。

人生に悲観的で孤独?冷めた傾向も

いけいけどんどんの世代から離れて、日本のZ世代は人生に悲観的な傾向がみられます。ふとした時に孤独を感じる、人生にはどれだけ頑張っても達成できないことがあると思うなど、どこか冷めた印象も。
日本のZ世代は、幼い頃から少子化傾向が続いており、ネットの影響で地域や家庭環境などの格差を身近に感じながら成長してきたのかもしれません。
「努力すれば何でも叶えられる」、「根性主義」に対して懐疑的な姿勢をとる姿も見受けられます。

Z世代よりも少し年齢の幅が広いですが、日本の若者(子ども)は国際比較で自己肯定感を感じている人の割合が低く、悲しみやゆううつを感じている人の割合が高いという調査結果が出ています。

・内閣府「日本を含めた7カ国の満13〜29歳の若者を対象とした意識調査(平成25年度)」
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26gaiyou/tokushu.html

Z世代のEC消費行動は?

ペイパルは、調査会社イプソスとともにモバイルコマースに関するグローバル調査を実施しました。調査機関は2019年7月〜8月の約1ヶ月間で、対象国は11ヶ国(日本/米国/英国/ドイツ/フランス/イタリア/スペイン/オーストラリア/ブラジル/メキシコ/インド)です。

その調査の中で、日本のZ世代(調査対象18-24歳)の34%は、ソーシャルメディア経由でショッピングをしたことがあると回答しました。
Y世代(25〜36歳)もZ世代に次ぐ32%がソーシャルコマースを利用したことがあると回答しています。

また、モバイル端末からのEC利用が多いことも同様の調査結果により、明らかになりました。
日本の国内ECにおけるモバイル端末利用の割合は73%で、11ヶ国4位でした。ほかにモバイル利用の高い国はメキシコ、ブラジル、インドなど。
一方で北米や欧州はPCでのEC利用が多数派となっています。

しかし、こうした結果とは裏腹に、日本のEC事業者がショッピングサイトのモバイル最適化やアプリ対応を実施している割合は49%にとどまりました。モバイル最適化のグローバル平均は63%なので、モバイル偏重の国としては対応が後手に回っている印象は否めません。
今後、Z世代を顧客として取り込むためには、彼らが日常的に活用しているモバイル端末へのサイト対応が必須となるでしょう。

Z世代の消費行動におけるトレンドは

Z世代の大きな傾向とは別に、消費行動における特徴があります。
それは、

  1. SNSを通じた高い共有意識
  2. 信頼性、透明性の重視
  3. 利便性を求めるマルチタスク

の3つです。

SNSを通じた高い共有意識

かんたんに他者のショッピング行動を見られるTwitterやInstagramに日常的にふれているため、インフルエンサーや友人のすすめる商品が欲しいと思ったら、オンライン、実店舗を問わず、積極的に購入する傾向がみられます。

信頼性、透明性の重視

Z世代は、フェイクニュースや都市伝説がネットで大々的に拡散される状況に適応しています。ゆえに、「詐欺」や「虚偽」といった不正をはたらく企業やサービスに対する嫌悪感が強い傾向もみられます。CMに起用される芸能人よりも身近な読者モデルやYouTuber、ブロガーのレコメンドを参考にする姿勢にも、それは現れているといえるでしょう。

利便性を求めるマルチタスク

真のデジタルネイティブとの異名をもつZ世代は、複数台のスマホ、PCとスマホなどを同時に使って商品を探すことが当たり前になっています。相関関係があるかは不明ですが、一説にはZ世代の関心を惹ける時間は8秒間ともいわれています。Y世代は12秒間とされていましたが、比べるとさらに短い時間になりました。瞬間的に心をつかみ、興味関心を惹く工夫が必要になります。
また、購入までの手続きが複数だと、途中で購入をストップしてしまういわゆる「カゴ落ち」の状況を招きやすくなるため、注意が必要でしょう。
それを防ぐためにも、モバイル最適化やキャッシュレス決済への適応は急務といえます。

まとめ

Z世代は、ショッピング自体を好む傾向にありながらブランド偏重ではありません。また、環境に配慮した商品、社会貢献に寄与する企業を選択的に利用する傾向にあります。これは欧米で特に顕著な動きですが、日本でも今後はZ世代に対するPRの一貫として必要とされる可能性があります。
Z世代は次々と進化するデジタル技術に追随し、リードしていく真のデジタルネイティブといえるため、ECも彼らのスピードに合わせた戦略が求められるでしょう。