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これからのECサイトに必要なデザインと構造について考える


いくら商品のクオリティが高くても、それを販売するECサイトのデザインや構造がまずければ、期待された売上を作ることは難しくなります。



しかし、それらに「これ」という正解はありません。一度完璧と思えるECサイトを構築すればそれで安泰かというと、そうは行かないのがECサイト運営の難しいところ。流行やテクノロジーの進化など、時代が進むと共に変化する様々な要素を折り込みながら、常にアップデートすることが求められるのです。



本稿では、2020年時点で、これからのECサイトに求められるデザインや構造について考察していきます。



目次:




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ECサイトをデザインする理由



まず、ECサイトデザインの基礎的な考え方については、時代の変化に左右されない普遍的な要素として押さえておきたいところです。



どうしても「デザイン」という言葉を聞くと、見た目の良さを追求してしまいがちです。しかし、そもそも「見た目の良さ」とは個人の感性に委ねられるもの。ECサイト制作担当者にとって「良い見た目」のサイトであっても、顧客にとってそれが使いづらいECサイトになってしまっては本末転倒です。



プライオリティは、自社の顧客が「使いやすいか」にあります。



探している商品をすぐに見つけられるか、購入手続きを迷わず済ませられるか、次々とページを回遊したくなるコンテンツはあるか、回遊しやすい構造になっているか——などなど、使いやすさを追求すべきポイントはたくさんあります。



それらを押さえた上で、サイトの見た目についても、「自社の顧客」にとって好みのものを作れるのがベストです。



全てはペルソナの設定から



お気づきかと思いますが、全てはどんな顧客がECサイトを訪れ、買い物をするのか。またはどんな顧客にECサイトを訪れて欲しいのか。



何をもって使いやすいとするかも、見た目の良し悪しも、なんども訪れたくなるサイトになるかどうかも、全てはそのペルソナ設定が軸となって決まっていきます。



その根幹の部分を飛ばしてしまっては、表面上のECサイトトレンドをいくら押さえたところで、思うような成果が出ないものになってしまうため、ペルソナの作り込みには十分な時間をかけるべきでしょう。



一方で、今、世の中にあるECサイトの構造やデザインは、長い時間をかけて各社がPDCAを回した結果到達した、成果が出やすい集大成の形とも言えます。したがって、目先の売上に影響する、今のトレンドに合ったECサイトの使いやすさを追求するためには、それら現存する、よくできたECサイトの研究を重ねることも必要です。







従来のECサイトに縛られない新しいタッチポイント



これまでは、オンラインチャネルと言えばECサイトのことを指していました。オンラインチャネルを構築するときの選択肢は、せいぜい「自社ECを構築するか、アマゾンや楽天などのECプラットフォームを活用するか」という二択があるぐらいだったと言えます。



しかし、これからの時代は、販路として機能するオンラインチャネルはECだけに止まりません。



顧客とのあらゆるタッチポイントがインターネットに繋がるアフターデジタルの時代、これまでは単にメディアとして、あるいはエンターテインメントとして認識されていたタッチポイントは、今後「直接プロダクトが販売できるチャネル」になっていくと予想されます。



SNSコマース



Instagramの「ShopNow」や、Facebookの「Facebook Shops」に代表されるように、これまでマーケティングコンテンツやプロモーションコンテンツを配信するだけの場所だったSNSで、直接プロダクトが販売可能になる機能がどんどん登場しています。



ライブコマース



三越伊勢丹がライブコマースでお歳暮を販売したり、資生堂が三越伊勢丹のECをプラットフォームにしてライブコマースを配信するなど国内の話題に加えて、「Amazon Live」や、上で挙げた「Facebook Shops」でもライブショッピング機能が実装されるなど、ライブコマースも今後さらなる市場拡大が見込まれるタッチポイントです。



動画コマース



静止画像コンテンツだけでなく、動画コンテンツから直接プロダクトを購入できる動画コマースも、実例は少ないものの今後伸びる余地が十分に残されているタッチポイントです。VRコンテンツなども同様に、活用の仕方にはまだまだ多くの可能性が秘められていると言えそうです。



音声メディア



最近注目され、「Voicy」や「Stand.fm」など様々なプラットフォームが新たに生まれている音声メディアも、決済リンクをプラットフォーム上で貼り付けるなどして聴取者にシェアすれば、十分にEコマースのタッチポイントとして成立するでしょう。



現状では、上記タッチポイントはECへの導線の入り口、という使われ方がほとんどです。しかし、今後の理想としては、それぞれのチャネルで決済まで済ませることができる仕様にすることでしょう。



そうすれば、企業が用意した全てのタッチポイントは、それぞれの場にふさわしいコンテンツを顧客に提供しながら、直接的な販路としても機能させることができます。それはつまり、わざわざ「特定のECサイト」へ顧客を誘導する必要がなくなることを意味します。



このように、時代が進むとともに増え続けるタッチポイントに対応するのに欠かせない考え方が「ヘッドレスコマース」です。


■特集:ヘッドレスコマース■


ヘッドレスコマースが主流になる未来



もし、現状のECサイトを、増え続けるタッチポイントに逐一対応させようと思ったらどうなるでしょうか。



極端なことを言えば、タッチポイントが増えるたび、それに対応するためのリプレースを繰り返すことになり兼ねません。



しかし、変化に対して素早い対応ができなければ、今後まだまだ増えていくであろう、販路として大きなポテンシャルを秘めたタッチポイントを有効に生かすことができないでしょう。



このような課題を解決するための新しいECサイト構造の考え方が「ヘッドレスコマース」なのです。



「ヘッド(頭、顔)」とはECサイトのフロントエンドを指しています。つまり、「ヘッドレス」とは「顔がない」状態を指しており、簡単に言えば、従来一心同体だったフロントエンドとバックエンドを分離し、それぞれを独立させた状態で動くECサイトが「ヘッドレスコマース」なのです。



「ヘッド」は、様々なタッチポイントで顧客に最適な体験を提供する役割を司ります。これまでのECサイトで言えば、商品紹介ページや、商品に関連する記事コンテンツなどもこれに当たります。



しかし、タッチポイントの多様性が広がっている今、「顔」はもっとたくさんあってもいいわけです。もし顧客が大好きなSNSアカウントにECの決済機能を持たせられれば、それは「いい顔」になるでしょう。他のタッチポイントも同様です。







あらゆるタッチポイントを販路に変える、OMO時代に最適なECの形?



これまでのECサイト顔をすげ替えたり付け足したりするには、体も一緒に手術をしなくてはならなかったと言えます。



しかし、ヘッドレスコマースでは、「高度なAPI連携」を通じて、ECの心臓部とも言えるバックエンド(決済機能や顧客管理、在庫管理、ロジスティクスなど)にメスを入れることなく、統合された状態を保ったまま、開発にそこまで時間をかけることなく、素早く「顔」となるタッチポイントを増やせるのです。



ヘッドレスコマースを実現できれば、「ECベンダーが用意したいくつかのテンプレートからフロントデザインを選ぶしかない」というフラストレーションはなくなります。なぜなら、フロントで顧客に様々な体験(プロダクトの魅力を伝えたり、関連したライフスタイルの提案をするなど)を提供することを、ECサイトだけの役割に制限する必要がないからです。



それはつまり、好きなタイミングで、その時に一番便利なチャネルを選びたいアフターデジタル時代の顧客にとって、より良質な購買体験を提供できることを意味します。



もちろん、それを実現するには、最初により高度な開発が必要となり、その分コストもかかります。しかし、今後、その必要性がますます大きくなると考えられるOMOとの相性を考えても、ヘッドレスコマースを自社に取り入れることは一考の価値があると言えるでしょう。