JD.comがブロックチェーン活用のためのプログラムを開始。Eコマースとブロックチェーン、何が変わる?
「ブロックチェーン」といえば暗号通貨、仮想通貨を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、それだけではありません。ブロックチェーンはいろんな面で私たちの生活を便利にしてくれる可能性を秘めています。
Eコマースにおいても、同様にブロックチェーン活用の動きが見られます。
中国巨大ECサイト「京东(ジンドン、以下JD)」はブロックチェーンを活用したアクセラレータプログラム(※大企業がスタートアップなどの小規模な企業と提携し新規事業の提携や投資をおこなうこと)の開始を表明しました。
同じく中国ECサイト大手Alibaba(アリババ)もブロックチェーンやAIをはじめとした最新技術を開発・活用するための投資や研究をおこなっています。
Eコマースでブロックチェーンを活用することはいったいどのようなメリットをもたらすのでしょうか。JDのアクセラレータプログラムの概要について説明したあと、ブロックチェーンをEコマースに適用するとどのようなことが可能になるのかについて解説していきたいと思います。
北京に拠点を置くAI Catapultは、すでに各分野で進歩を遂げている企業も含んでいます。
中国のフィンテック・パイオニアBankorous(前MiCai)、オーストラリアの暗号通貨のリーダーCanYa;シンガポールに拠点を置くブロックチェーンベースのデータベースサービスBluezelle、Eコマースにおける支払いとデータ侵害を防ぐためのブロックチェーンに関する情報を格納するIDプラットフォームを提供しているロンドンのNaggets, オープンソースかつ非中央集権型ダークプール取引をおこなうRepublic Protocol, ブロックチェーン技術により製品の偽造を回避できる検証技術を提供するオーストラリアのDeveryなどが含まれています。
JD.comが2018年2月に25億ドルの資金を調達し、この資金は上記のアクセラレータプログラムおよびロジスティクス部門の大幅な強化のために用いられます。今回の投資はセコイアチャイナ、チャイナマーチャントグループ、テンセント、中国生命、中国開発銀行キャピタルFOF、中国構造改革ファンド、ICBCなどの投資家から資金を調達しました。
JDは各業界のパイオニアと協力して新しい技術の開発・活用を進めることでより便利な買い物環境を顧客に与えようとしています。
最近のニュースでは、アリババのECサイト・T-Mallのプラットフォームで物流企業のCainiaoと提携しクロスボーダーサプライチェーンでブロックチェーン技術を採用することを発表しています。これにより商品の原産国、出荷港、荷揚港や税関での詳細情報をより正確に把握できるようにすることを目指しています。
アメリカのウォルマート、オランダのユニリーバなどはIBMとブロックチェーン活用についてコラボレーションをおこなっており、世界的に有名な小売企業がブロックチェーンを活用するというニュースはもはやひとつのトレンドのようになっています。
中小規模のECサイトがブロックチェーンの活用について大々的に関わることは難しいでしょうが、大手ECサイトが前例をつくり、ブロックチェーンを活用したプラットフォームがより手頃にかつ身近になれば、多くのECサイトでブロックチェーン技術を適用したプラットフォームを利用できるようになっていくかもしれません。
Eコマースにおいても、同様にブロックチェーン活用の動きが見られます。
中国巨大ECサイト「京东(ジンドン、以下JD)」はブロックチェーンを活用したアクセラレータプログラム(※大企業がスタートアップなどの小規模な企業と提携し新規事業の提携や投資をおこなうこと)の開始を表明しました。
同じく中国ECサイト大手Alibaba(アリババ)もブロックチェーンやAIをはじめとした最新技術を開発・活用するための投資や研究をおこなっています。
Eコマースでブロックチェーンを活用することはいったいどのようなメリットをもたらすのでしょうか。JDのアクセラレータプログラムの概要について説明したあと、ブロックチェーンをEコマースに適用するとどのようなことが可能になるのかについて解説していきたいと思います。
JDのアクセラレータプログラムの内容とは?
JDのプレスリリースによると、アクセラレータプログラムの概要は以下のように紹介されています。2018年3月から、JDのAIプログラムの一部であるAI Catapultは新しいビジネスを築くため、また大規模な技術を現実世界でのアプリケーション応用をテストするために、革新的なブロックチェーンスタートアップと提携します。参加しているスタートアップは、国内市場で最大の小売企業かつ全国的な規模で最大のラストマイル・ロジスティクスネットワークを運用しているJDの多種多様なオペレーショナルチームと協力し、働く機会を得ることができます。同社はAI Catapultを通してサプライチェーンにおけるブロックチェーン技術の使用と、製品のトレースを可能にするサプライチェーンの透明性イニシアチブを通じて製品の安全性を高める技術や関連技術をより広範囲に、より多くの分野で展開し、効率性を高めて顧客の満足度の向上を目指しています。
参考:京东プレスリリース
https://corporate.jd.com/whatIsNewDetail?contentCode=fol%2BdxdvCjWWctWZOoGhZw%3D%3D&pagePath=inTheNews
AI Catapultとは何か?
AI Catapult(AI カタパルト)は中国・北京に拠点を構えるコホート。コホートとは、仲間や群といった意味です。ジンドンのプレスリリースでは以下のように紹介されています。北京に拠点を置くAI Catapultは、すでに各分野で進歩を遂げている企業も含んでいます。
中国のフィンテック・パイオニアBankorous(前MiCai)、オーストラリアの暗号通貨のリーダーCanYa;シンガポールに拠点を置くブロックチェーンベースのデータベースサービスBluezelle、Eコマースにおける支払いとデータ侵害を防ぐためのブロックチェーンに関する情報を格納するIDプラットフォームを提供しているロンドンのNaggets, オープンソースかつ非中央集権型ダークプール取引をおこなうRepublic Protocol, ブロックチェーン技術により製品の偽造を回避できる検証技術を提供するオーストラリアのDeveryなどが含まれています。
JD.comが2018年2月に25億ドルの資金を調達し、この資金は上記のアクセラレータプログラムおよびロジスティクス部門の大幅な強化のために用いられます。今回の投資はセコイアチャイナ、チャイナマーチャントグループ、テンセント、中国生命、中国開発銀行キャピタルFOF、中国構造改革ファンド、ICBCなどの投資家から資金を調達しました。
JDは各業界のパイオニアと協力して新しい技術の開発・活用を進めることでより便利な買い物環境を顧客に与えようとしています。
Eコマースでブロックチェーンを活用して得られる効果
ところで、ブロックチェーンはいったいどのような働きをおこない、この技術を活用することでEコマース分野においてどのようなメリットが期待できるのでしょうか。メリットは次のようなものが挙げられます。1.商品のトラッキング
ブロックチェーンにより、Eコマースに関わる複数の企業が顧客に商品が配送されるまで一貫してトラッキングすることができるということが最大の特徴としてあげられます。企業だけでなく、顧客側からも商品情報をトラッキングすることができます。2.高いセキュリティ
安全な環境下で情報にアクセスできる点や、オンラインショッピングをする際に盗み見などによって個人情報を抜き取られる可能性を低くすることができる点も挙げられます。複雑な暗号化で情報が保護されるため、これを悪意のある第三者が解読することは非常に難しいと言われています。3.仮想通貨支払いが選択できれば、さらに快適な買い物環境に
もし仮想通貨が支払い手段として選択できるようになれば、これまで以上に快適なオンラインショッピングを体験することができます。購入者側は即時支払いが可能になり、販売者側はすぐに着金を確認することができます。返金処理もクレジットカードに着金するまでに日数を要することなく、即時におこなうことができるようになるでしょう。4.過去の買い物記録が全てブロックチェーン上に格納、検証も可能
過去顧客が買い物をした商品は全てブロック上に格納され、削除されることがありません。このため、過去のものから最新のものまで全てのトランザクションを検証に使用できます。トランザクションの閲覧権限がある企業や個人がマーケティングや紛争の解決のために用いることができます。5.スマートコントラクト
スマートコントラクトでは当事者間の契約を自動的に実行することができます。契約の内容はほぼどのようなものでも対応でき、支払い、手形や書類の譲渡、商品の送付といった期限つきの契約を確実に実行・遂行することができます。Eコマースにおいては毎日大量の注文や期限指定の配送物を扱うことになるため、このスマートコントラクトの自動化によって、業務の大幅な効率化につながると見られています。Eコマース業界ではブロックチェーン技術活用のニュースが続く
ブロックチェーンの活用はJDだけに限ったことではありません。同じく中国Eコマース大手のアリババはブロックチェーンに関する会社との研究開発のために巨額の資金を投じています。最近のニュースでは、アリババのECサイト・T-Mallのプラットフォームで物流企業のCainiaoと提携しクロスボーダーサプライチェーンでブロックチェーン技術を採用することを発表しています。これにより商品の原産国、出荷港、荷揚港や税関での詳細情報をより正確に把握できるようにすることを目指しています。
参考:Coindesk、Alibaba’s T-Mall Is Moving Cross-Border E-Commerce to Blockchainモノの動きがよりわかりやすく、またモノの売買をよりスピーディにできるようになることから、実際に運用されるようになれば越境ECはさらに活発になっていくことでしょう。
https://www.coindesk.com/alibabas-t-mall-moving-cross-border-e-commerce-blockchain/
アメリカのウォルマート、オランダのユニリーバなどはIBMとブロックチェーン活用についてコラボレーションをおこなっており、世界的に有名な小売企業がブロックチェーンを活用するというニュースはもはやひとつのトレンドのようになっています。
まとめ
小売業界、特に世界的にも有名なECサイトでは主導してブロックチェーンの活用のための投資や技術開発が活発に行われています。こうした動きは大手のECサイトで積極的に進められており、まだ実用化には至っていませんが将来的にはブロックチェーンを活用した技術が利用されていくことになるでしょう。中小規模のECサイトがブロックチェーンの活用について大々的に関わることは難しいでしょうが、大手ECサイトが前例をつくり、ブロックチェーンを活用したプラットフォームがより手頃にかつ身近になれば、多くのECサイトでブロックチェーン技術を適用したプラットフォームを利用できるようになっていくかもしれません。
この記事はChinese E-Commerce Giant, JD.com, Launches Accelerator Program for Blockchain Start-upsおよび、JD.com’s new accelerator focuses on blockchain startupsを本ブログが日本向けに編集したものです。