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楽天が送料無料ライン「3980円」を決定。施策の背景と店舗の対策について

楽天が「3980円以上を送料無料にする」と2019年8月に発表してから4ヶ月。送料無料ラインの施行は2020年2月ごろとされ、楽天内の店舗運営者に大きな衝撃を与えています。

楽天が送料無料ラインを設定した背景には、競合の巨大ECサイトとの競争や新しい顧客の取り込みなど前向きな姿勢が伺えます。しかし、店舗運営者にとっては不安も大きいものです。

この記事では、楽天の送料無料ラインの概要と楽天の意図、そして送料無料ライン施行後にできる対策についてご紹介します。

目次:

楽天が送料無料ラインを設定

全店舗で「3980円以上」を送料無料にする

楽天は2019年8月、全店舗で「3980円以上の購入で送料無料」という“送料無料ライン”の施行を発表しました。

送料無料ラインは楽天市場内の全店舗が対象です。食品やファッションといったジャンルを問わず、全店舗が3980円以上の購入で送料無料にしなくてはいけません。

導入は2020年2月ごろ

送料無料ラインの導入時期は2020年2月~3月ごろとなっていますが、2019年12月時点で具体的な日付については未定です。

楽天は送料無料ラインを施行することは、当然店舗にとっては大きな変化です。店舗側は送料無料ラインが導入されるまでに、送料分の利益をどうやって確保するか検討する必要があります。

送料無料ラインを設定した楽天の意図とは

現在楽天は、送料無料ラインの導入を決めた背景について店舗運営者に丁寧な説明を行い、同意を求めていますが、具体的にはどのような意図があるのでしょうか。

送料統一による“わかりやすさ”を追求

まず楽天が送料無料ラインを設定した理由として、「わかりやすさの追求」があります。

楽天市場内では店舗ごとに送料が異なり、顧客の「商品価格が安いと思ったら送料が高かった」「送料が店舗ごとに異なるのはわかりにくい」という意見を汲んだ結果と説明しています。

ECサイトショッピングで顧客が知りたいのは、「結局、全部でいくら料金がかかるのか?」という総額です。「3980円以上で一律送料無料」は、たしかにわかりやすさにつながるでしょう。

若年層を取り込みたい

デジタルネイティブ世代は、中高生になるとスマートフォンで当たり前のように商品の売買をはじめています。

中高生などの若年層には安価で取引できるフリマアプリが特に人気ですが、長い目で見るとその若年層も楽天市場のターゲットとなり、彼らに受け入れられるシステムを整える必要があるのです。

古くからの楽天ユーザーは、「店舗ごとに送料が違う」という事を理解してくれます。しかし送料について若年層が理解してくれるとは限りません。特にフリマアプリは送料を出品者が負担するケースが多く、「送料がかかるなら買わない」という顧客が増える可能性もあります。

そこで楽天市場は「わかりやすさ」「送料無料」を追求することで、若年層もターゲットにしていこうという思惑があるのです。

楽天側は約10%売上アップの見込み有と説明

そもそもなぜ「3980円」を送料無料ラインに設定したのでしょうか。それは、楽天がこれまでの販売に関するビッグデータを解析した結果が「3980円」だったためです。

3980円というラインなら注文単価の減少も起こりにくく、送料無料にメリットを感じて注文頻度が増えると楽天は予想しています。

楽天三木谷社長はこの3980円以上送料無料ラインを設定することで、楽天全体で「10%」以上の売上アップが見込めると明言しました。

「送料分の利益が減ってしまう」「3980円という送料無料ラインは低すぎる」という店舗の意見も承知しているものの、結果としては店舗型にもメリットがあると楽天は確信しているようです。

参照:楽天の担当者に聞く「送料無料ライン3980円以上の施策」を実行する理由
https://netshop.impress.co.jp/node/6836

楽天の送料無料ラインに戸惑う店舗側

3980円以上送料無料は「安い」と感じる

楽天に出店している企業では、今まで店舗ごとに送料無料ラインを自由に決めることができました。「5000円以上送料無料」としている店舗もあれば、「10000円以上で送料無料」という店舗もあります。

上記のような店舗が、急に楽天側から「3980円以上の購入で一律送料無料にすること」と決められると、採算が合わないケースも予想できます。

楽天モール内の店舗は、商材や値付けによって利益率がバラバラです。利幅の少ない商材を扱う店舗にとっては、「3980円以上で送料無料にするのは厳しい」と感じるのは無理もありません。実際に、「送料無料ラインが低いのではないか?」と感じている店舗も多く存在します。

離島でも送料無料になる

さらに楽天の施行する送料無料ラインは、離島も対象となります。

今まで離島の場合は「中継料」といって、通常の送料とは別に送料の上乗せがありました。北海道や沖縄で離島料金が発生することが多かったのですが、楽天の送料無料施策ではこの中継料も無料になってしまいます。

離島料金こと中継料金は、下は300円、上は2000円以上と場所で大きく異なります。一律で送料無料になると、店舗側としてはさらなる利益ダウンにつながってしまうのです。

そこで楽天側の対策としては、離島の場合は「9800円」(税込)を送料無料ラインにすると発表しています。しかしバラつきの大きい中継料金だからこそ、どこまで店舗側の理解が得られるか、果たして本当に利益が確保できるかは未知数でです。

独占禁止法に抵触する恐れもあり

実は楽天の送料無料ライン施策は、公正取引委員会から独占禁止法に違反する恐れがあると“物言い”が入っていることがわかりました。

参照:朝日新聞 楽天の「送料無料」、独禁法違反のおそれ 来春導入予定
https://www.asahi.com/articles/ASMDL5H91MDLUTIL045.html

独占禁止法といえば、昨今では「GAFA」といわれるプラットフォーマーの規制が進んでいます。楽天も今や国内を代表する巨大プラットフォーマーであり、今回の送料無料ライン施策はGAFAに適用されたような独禁法に触れるという見方が強まっているのです。

もし公正取引委員会が独占禁止法に違反していると判断すれば、楽天は送料無料ラインの内容を変更せざるを得ません。

楽天側の見解とは

ネガティブな影響も承知している

送料無料ラインの設定は少なからず店舗側に負担が発生するので、楽天側もネガティブな見方も出ることは最初から予想しています。

前述したとおり、楽天側は「店舗に負担がかかる」というネガティブな影響を無視したわけではありません。顧客が購入しやすい環境を作ることで、ポジティブな影響が上回ると予想しているのです。楽天の考えるポジティブな影響とは、前述したような売り上げの10%アップや若年層の取り込みなどを指しています。

店舗側の意見も聞きながら施策内容を調整すると説明

2020年2月ごろと、楽天の送料無料ラインの導入は目前に迫っています。

現在楽天は店舗運営システム(RMS)などで店舗側に理解してもらえるよう対応しているものの、「3980円で送料無料は安すぎる」「離島料金も取れないのは店舗の負担が大きい」など店舗側の不安はつきませんし、楽天も状況を理解しているはずです。

楽天側は送料無料ラインについて「まだ調整の余地はある」という姿勢を見せていますし、独占禁止法に抵触していれば再検討する必要があります。今後も店舗側の意見を聞きながら調整を行うなど、内容に変更が生じる可能性もあるでしょう。

楽天はAmazonを追いかけているという見方もある

Amazonが送料無料にできる理由は配送システムにある

送料無料といえばAmazonの印象が強く、「楽天はAmazonに対抗している」という見方もあります。

Amazonでは、年間4,900円(税込)のAmazonプライム会員になれば2000円以下の商品が送料無料になり、お急ぎ便や日時指定も無料になります。

実はAmazonは以下の2つの特徴があるため、送料の優遇が可能となっているのです。

フルフィルメントセンターでコストカット

Amazonのフルフィルメントセンターは全国16か所に拠点を持っており、北は宮城県、西は九州地方と全国に幅広く設置しています。
配送拠点一覧:https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=6054631051

Amazonの出品者はフルフィルメントセンターに在庫を置くことができ、配送にかかる送料は無料というメリットがあります。(別途FBA手数料は発生します)また、海外発送もできるので、海外にまで販路を広げることも可能です。

Amazonのフルフィルメントセンターについては、「結局どうなの?フルフィルメントby Amazon(FBA)のメリットデメリットを解説します」もぜひご参照ください。

IT化でコストカット

またフルフィルメントセンターは、「物流革命」ともいわれるAmazonの最先端技術の宝庫です。倉庫内で商品をピックアップするのは人ではなくロボットで、徹底した効率化が行われています。

効率化といっても、商品を規則通りに並べたりピックアップ商品の二重チェックを行ったりということはしません。Amazonは徹底的なIT化によって独自ロボットを導入しており、作業スタッフが動くことはほとんど無いのです。

倉庫の中では商品棚が縦横無尽に動く自動ロボットが走り、人件費の節約に貢献しています。

余談ですがAmazonはドローンによる配送「Prime Air」の実用化も開始しました。日本への導入時期は未定ですが、AmazonのIT技術開発には枚挙にいとまがない状態です。

参照:Amazon、ドローン配送「Prime Air」を実用化。数カ月内に開始
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1188713.html

楽天は配送センターの増設が課題か

Amazonのフルフィルメントセンターが全国16拠点あるのに対し、楽天の配送センターは2019年12月時点で6拠点です。さらに6拠点中4拠点が千葉に設置されているという偏りもあり、Amazonと同等とは言い難い状態となっています。

配送拠点一覧:https://logistics.rakuten.co.jp/location/index.html

前述した通り、送料無料ラインを施行した後は離島料金も請求できません。(例外あり)楽天は「北海道や九州に小規模配送拠点の設置も考えている」と明言していますが、店舗側としては早く実現してほしいものです。

楽天がAmazonに対抗して送料を優遇するためには、配送センターの増設やITを活用した効率化などが課題となるでしょう。

楽天の送料無料施策に店側はどう対応したらいいのか

送料無料施策でも楽天に出店するメリットはある

楽天が全店舗3980円以上を送料無料とすれば、店舗側が利益ダウンを気にするのは当然です。中には、「もう楽天への出店は中止しようか」と検討するケースもあるかもしれません。

しかし楽天が送料無料ラインを設定しても、楽天市場に出店するメリットは残っています。

たとえば自社ECサイトを立ち上げるより初期費用が抑えられるので、設立して間もないECサイトには大きなメリットとなります。さらに「楽天」というネームバリューは大きく、集客効果は圧倒的です。

そのほかのECショッピングモールに出店するメリットはこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考になさってください。

本体価格の上乗せも楽天は想定内

顧客から送料が支払われないとなると、店舗は利益を確保するための方法を考えなくてはいけません。そこで多くの店舗が決断することといえば、「商品代金の上乗せ」が考えられます。

送料無料を確保するために、商品の本体代金が上がる…。一見すると本末転倒のように見えますが、この商品代金の上乗せも楽天側は見越しており、そのうえで送料無料に設定しても影響は少ないと考えています。

多少商品が値上がりしても「顧客離れ」が起こらないラインとして、3980円で送料無料という線引きを行っているのです。

商品の事情によっては送料の追加徴収も可能

独占禁止法に抵触するという指摘があっても、楽天は送料無料施策を実施する意向を見せています。

しかし、配送する商品の中には別のセンターから配送される「荷別れ」もあります。本来2重で送料が発生する荷別れも送料無料になっては、店舗の負担が大きくなるばかりです。

そこで楽天側は、荷別れなどで通常より配送料がかかる場合は送料を徴収してもよいとしています。つまり、商品が同梱できないことを顧客に説明して納得してもらえれば、送料の支払いを求められるのです。

まとめ

店舗にとって影響が大きい、楽天の送料無料ラインについてご紹介しました。「送料分の利益が減る」と考えると不安感の強い施策ですが、楽天側は購入率の上昇を見込んでいます。

2020年に施行されますが、その前後で内容が変更になる可能性もあります。楽天市場に出店している企業は、今後も動向をチェックするようにしましょう。

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