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消費者が買いたい時に買えるECを。購買までの動線をどう設計するか


リアル店舗に客足が戻り始め、消費者はオンラインとオフラインを自由に行き来するようになりました。オンラインにおけるタッチポイントも増え、購買動線の見直しが必要です。しかし、購買動線が多様化しすぎて対応しきれていない方も多いでしょう。



そこでこの記事では、ECにおけるタッチポイントや設計のポイント、起点別の動線の特徴などを解説します。


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EC購入における最初のタッチポイントを考える



ユーザーが自社とかかわりを持つタッチポイントは、購買の動線設計で重要なポイントです。まずはユーザーのEC購入におけるタッチポイントについて、検討すべき媒体と目的について見ていきましょう。



デジタルマーケティングでタッチポイントを作る



顧客と企業の接点である「タッチポイント」といえば、一昔前はCMや雑誌・チラシ、フリーペーパーなどの媒体が一般的でした。しかしインターネットが購買行動に大きな影響を与え、今はオンラインでのタッチポイントが急増しています。



オンラインにおけるタッチポイントでは、以下が挙げられます。



  • SNS(Instagram、TikTok、Twitter、Facebook、YouTubeなど)
  • メッセージアプリ(LINEなど)
  • 公式HP
  • ECサイト
  • Web広告
  • 比較サイト



スマートフォンやインターネット環境が当たり前に使える昨今では、消費者は「○○が欲しい」と思った時、まずオンラインで情報収集をはじめます。ユーザーがチェックする媒体は1つに限らず、SNSを見たり比較サイトを見たり…と複数の媒体を行き来して検討を進めます。この情報収集の段階でタッチポイントを作り、自社のサービスや商品を候補に入れてもらうことが重要です。



各媒体でユーザーの年齢層に違いがあるので、購買動線を設計する際はどの媒体にするかを見極めなければいけません。



例えばFacebookはSNSの中でも比較的年齢層が高く、若年層がターゲットの場合はあまり向いていません。TikTokやInstagramの方が若年層の利用率が高く、費用対効果も期待できます。



まずは「ファン化」を目的とする



デジタルマーケティングにおけるタッチポイントの設計では、すぐに購入をゴールとするのではなく、まずは顧客にファンになってもらうことが重要です。



一般的な顧客よりも高いエンゲージメントを持つ「ファン」は、自社に対して応援や愛着を寄せてくれます。いわゆる“優良顧客”となりリピート回数も単価もアップが期待できるなどメリットが大きいものの、その形成に悩む企業は少なくありません。



オンラインにおけるタッチポイントは企業のブランディングにも効果的で、顧客のファン化に向いています。



オウンドメディアやSNS、公式アプリといった様々な媒体で、企業はブランドイメージの確立を図っています。



リターゲティングもOMO施策の1つと捉える



ECの離脱やカゴ落ちなどで購入に至らなかったユーザーに対しても、動線を考えて再度アプローチを試みます。オンラインならユーザーの動線を追いやすく、リターゲティングもOMOの一環と捉えられます。



例えばリターゲティングを目的として、株式会社N2i(本社;愛知県名古屋市)では、株式会社インティメート・マージャー(本社:東京都港区)とOMO施策で業務提携を行いました。



N2iはジェンダーレスコスメと体験型ストアを掛け合わせた「my GAKUYA」を提供しています。インティメート社は国内DMP市場で導入トップシェアを誇っており、提携によりOMO起点によるD2Cブランド向け集客サービス「my GAKUYA 集客フォローパッケージ」の提供を始めています。



参照: 株式会社N2i プレスリリース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000027317.html


【起点別】購入意思決定までの動線設計



購入するチャネルによって顧客の購買意思決定や動線は様々です。ここではライブコマース、レンタルコマース、ショールーミング・Webルーミングという起点別に、購入意思までの主な特徴をご紹介いたします。



ライブコマースは「衝動的に買う」



リアルタイムかつ双方向のコミュニケーションが成立するライブコマースは、中国で爆発的な人気を得ています。



ECでは実現しにくい双方向のやりとりや動画による商品説明は、「想像と違ったらどうしよう」という消費者の不安を軽減することで衝動買いを促します。中国ではECに次ぐ重要な小売チャネルとなっており、2022年のライブコマース流通額はおよそ48.7兆円にものぼっています。



中国の消費者がライブコマースに熱狂する理由の1つに、高い割引率があります。定価の1/3以下で販売する商材も多く、例えばコップなら64.6%と半額以下の割引率です。※



※参照: 網経社電子商務研究センター 統計



過去には日本でもメルカリなどがライブコマースに挑戦していましたが、収益が取れず撤退した企業も少なくありません。しかしコロナ禍における生活様式の変化や5Gの普及などライブコマースに対する追い風が吹いており、今後日本でも伸びると期待されています。



レンタルコマースは「試してから買う」



フリマアプリの普及などを背景として、一般消費者の間では二次流通企業が急激に広がりました。“サブスク”や“シェア“というワードが飛び交い、消費者の中でも「試してから購入を考える」という新しい選択肢が生まれています。



ECサイトでも大型家具や高額商品を購入する消費者が増えましたが、「実物を確認できない」という状況に抵抗感を抱く消費者も少なくありません。そこで人気となっているのが「レンタルコマース」という方法です。



レンタルコマースはお試しができるという特徴から、家具や高額商品など購入意思決定までの時間が長い商材に向いています。



例えば国内の大手寝具メーカー「株式会社西川」では、マットレスや羽毛掛け布団をレンタルできるSleep Chargeを展開しています。サブスク型長期レンタルサービスとして、月額1,100円から定額で商品を試せます。



株式会社西川 Sleep Charge公式サイト

https://sleepcharge.nishikawa1566.com/


またメディアショップ「GEO」を運営する株式会社ゲオでは、カメラやスマホ、ベビーカーなどを試せる「ゲオあれこれレンタル」を提供しています。消費者は気に入った商品は購入でき、その際は販売価格から支払い済みのレンタル料金を差し引かれる点が魅力です。



ゲオあれこれレンタル公式サイト

https://geo-arekore.jp/kaerurental


リユース起点の購入という動線は新しいわけではありません。しかし最近ではサブスクリプションやレンタルといったシェアリングエコノミーが浸透しており、その手法も多様化しています。



オンラインが発達した現在ではスマートフォンで簡単に申し込める動線も確立され、一般消費者にへの浸透も進んでいるのです。



リースといえばユーザー・リース会社・サプライヤーの3者取引が基本でした。しかし今ではリース会社を介さず、西川やゲオのようにメーカーやベンダーが直接サービスを提供するケースも珍しくありません。



ショールーミング・Webルーミングは「比較して買う」



消費者には、「商品や価格を複数の店舗で比較検討してから購入したい」という心理があります。EC購買においても、比較購入をするために自然と様々なサイトを見比べる消費者は多くいます。



オンラインだけでなく、オフラインの情報も組み合わせた購買行動もあります。



店頭で商品を見た後にECサイトで購入する「ショールーミング」は、一時期小売店舗の利益を脅かす消費者行動として対策が取られてきました。 また昨今ではインターネット上で商品を探して店頭で購入する「ウェブルーミング」という購買行動も生まれています。



ショールーミング・Webルーミングという購買動線も考慮に入れておく必要があります。







ヘッドレスコマースなら「買いたい時に買える」を実現できる



多様化する購買動線に有効な対応として、「ヘッドレスコマース」があります。ヘッドレスコマースとはユーザーのタッチポイントそのものをECに買えるという新しい考え方で、細分化する購買動線や顧客ニーズの対応に効果的です。



フロントエンドとバックエンドを切り分けるヘッドレスコマースなら、多様化するECチャネルもカバーできます。「買いたい時に買える」という動線を構築できるヘッドレスコマースなら、ユーザーの購買体験の向上手段としても期待大です。



リアル店舗のデジタル化も重要



コロナ禍における自粛要請がなくなったことで、消費者は再びリアル店舗に戻り始めています。旅行や遠出をする消費者も増えたことで、新型コロナウイルスのパンデミック前のような活気が戻り始めている店舗もあるでしょう。



電通が2022年12月に発表した調査結果によると、生活者が商品を知る場所・日常的な購買はともにオフラインチャネルである店舗利用が強い傾向があることが分かっています。※



※参照:電通デジタル ECと店頭を横断した生活者の購買行動を調査

https://www.dentsudigital.co.jp/news/release/services/2022-1221-000065


しかし、電化製品やインテリア、ファッションや美容といったカテゴリではオンラインでの商品認知の割合が高いのです。オンラインチャネルでは購買だけでなく、購入検討や比較の利用として重要な役割を担っています。



リアル店舗に顧客が戻り始めても、オンラインでのタッチポイント維持や動線設計は欠かせません。



電通の調査によると、購買チャネルは依然オフラインが優勢でした。しかし主要購買場所としてオンラインも多く入っており、購買行動のデジタル化が進んでいます。



「前回はオンライン、今回はリアル店舗」と消費者はその時の都合に合わせて選ぶようになっており、小売店は購買行動の多様化に追いつかなくてはなりません。



特にECの場合は、「欲しい」と一番熱量が高まった時にどれだけスムーズに対応できるかがポイントです。購買欲求が高まったのに購買までの動線が長いと消費者の気持ちは下がってしまい、ECではカゴ落ちや離脱に直結します。



だからこそ、ヘッドレスコマースでいつでもどこでも買えるチャネルづくりが重視されるのです。



今では企業のメディアも、公式サイトではなく公式アプリが人気です。特にZ世代を中心とした若手をターゲットとするなら、オンラインにおける販路の拡大は欠かせません。モバイル端末1つで購買行動ができるため、モバイルコマースの実現も可能です。



ECのフロントサイトを意味する「ヘッド」。ヘッドレスコマースは、ECサイトに訪問せずともタッチポイントから購入できる点が大きな魅力です。購買動線の多様化にもっと対応したいとお考えなら、ぜひヘッドレスコマースを検討してみてはいかがでしょうか。