Eビジネスを推進するORANGEシリーズ

EC-ORANGE
お役立ち資料ダウンロード ニュースレター登録

実用化は2030年?世界を一変させる次世代通信「6G」のコンセプトが早くも登場

今年の春頃から、各キャリアで順次サービスが開始されるとされているのが5G。4Gとは比べ物にならないほどの大容量、低遅延、大量接続というスペックで、夢のような世界を実現することが期待されているわけですが……

まだ5Gの実力を私たち生活者は誰も体感していないというのに、早くも「6G」(第6世代移動通信システム)の研究開発が進んでいるのです。
目次:

気が早いとも言っていられない?6G実現を急ぐ理由

5Gのサービスもまだ始まらないうちから(米国や韓国ではすでに始まっていますが)6Gを語るのは気が早すぎる気もします。2019年の2月には、米国のトランプ大統領が、当時この世に存在していなかった「6G」を可能な限り早く実現するように要求するようなツイートをポストしたことでも話題になっていたものです。

Array

訳:アメリカでは、できるだけ早く5G、さらには6Gの技術が必要です。現在の標準よりもはるかに強力で、高速で、スマートです。アメリカ企業は努力を強化するか、取り残されなければなりません。遅れをとるべき理由はありません。

しかし、テクノロジーの進化スピードや、爆発的に増え続けるIoTデバイスの数を考えると、そうも言っていられないのかもしれません。

IT専門調査会社のIDCによると、2025年には世界のインターネット接続機器は1500億台に達し、その多くがリアルタイムデータを生成するようになると言います。2017年時点では23ゼタバイト(=23兆ギガバイト)だった世界のデータ量は、2025年には175ゼタバイト(=175兆ギガバイト)へと増加する見通しです。


まだ産声を上げたばかりの5Gですが、このような状況下では、すでにIoTの数を処理しきれなくなると目されているのです。

そのため、5Gからさらにスペックを上げた6Gの実現が急務であるというわけです。トランプ大統領の呟きは、ある意味、世界の課題に鑑みて的を射たものだったと言えるかもしれません。

実際、世界各国における6Gの研究開発の動きは活発になっており、ITU(国際電気通信連合)は「FG NET-2030(Focus Group on Technologies for Network 2030)」の構築を始めています。そこに2030とあるように、6Gの商用化時期のターゲットは2030年となっています。

実用化は2030年がターゲット。NTTドコモが公表する6Gの世界

日本においても、NTTドコモは2020年1月22日に、6Gの技術コンセプトを発表しています。ドコモが公表した6Gの「全貌」は、以下の通りです。

1、超高速・大容量通信

  • さらなる大容量化
  • ピークデータレート向上(毎秒100ギガビット以上)
  • 新たな周波数帯開拓

2、超カバレッジ拡張

  • どこでも毎秒ギガビットレベルのサービス提供、エリアカバー率100%
  • 新たなサービスエリアとして、空(高度1万メートル)、海(200海里)、宇宙

3、超低消費電力・低コスト化

  • 充電不要な超低消費電力端末
  • 低価格ミリ波デバイス

4、超低遅延

  • エンドツーエンドでの超低遅延(1ミリ秒以内)
  • 常時低遅延

5、超高信頼通信

  • クリティカルなユースケースに対応可能な品質保証、高信頼性信頼度99.99999%

6、超多接続&センシング

  • 超多数AIデバイス(1㎢あたり1000万デバイス以上)
  • 超高精度位置情報サービス(誤差10cm以下)
ドコモが公表したコンセプトを一読すると、6Gが目指すスペックはだいたい5Gの10倍であることがわかります。

具体的には、6Gが掲げる超高速・大容量通信は毎秒100ギガビット(5Gでは毎秒10ギガビット)、超低遅延はエンドツーエンドで1ミリ秒以内(5Gでは10ミリ秒以内)、超多接続では1㎢あたり1000万デバイス以上(5Gでは1㎢あたり100万デバイス以上)を目標にしています。

また、特筆すべきなのはサービス提供エリアを一気に宇宙レベルにまで拡大しようと目論んでいる点と、無線信号による充電を可能にして、デバイスのバッテリー切れの心配をゼロにしようとしている点でしょう。

6Gによって実現する未来の小売サービスとは

当然、これらは現時点での「目標値」であり、どこまで実現されるかわかりませんが、これから10年で形になるとしたら、生活者の利便性が飛躍的に向上するのはもちろん、流通小売業にとっては、今は夢物語として考えられている仕組みの構築やサービスの提供が一気に現実味を帯びてきます。

VRコマース

言うまでもなく、VRは必要とする通信データ量が膨大になります。なおかつ、ユーザーの動きに合わせてリアルタイムでコンテンツに変化を与える必要があります。つまり、大容量、超低遅延は、クオリティの高いVRコンテンツにおいて必須条件となるわけです。

さらに、超多接続を実現する6Gの環境下であれば、VR空間に置かれたプロダクトを仮想体験しながら、そのままVR上で購入まで実行できるVRコマースの実用化も夢ではありません。

16Kの3D映像でさえ高速で通信できる6Gであれば、VRで再現する空間への没入感も最大限醸成できるでしょう。それはもはやリアルとの境目が分からないぐらいの再現度になるかもしれません。

そうすれば、例えば、ブランドの“聖地”として認知されているフラッグシップショップをVR空間上に再現して、遠方のユーザーが自宅にいながらフラッグシップショップでの買い物を体験できるようになったり、アウトドアギアの使用シーンを限りなくリアルな仮想のアウトドア空間で再現することで購買意欲を高め、そのままコンバージョンに繋げる、といった仕掛けも可能になるでしょう。

スタッフ接客のOMO化

例えば、商品知識が豊富な販売スタッフの接客を、時と場所を選ばず3Dのライブ映像で提供する、ということも可能になるかもしれません。具体的には、以下のようなイメージです。

遠方の店舗を訪れた顧客や、EC上で商品を検討している顧客に対する行動・感情分析をIoTデバイスとAIで瞬時に行い、その顧客との相性がぴったりな販売スタッフを、全国の店舗からリアルタイムでマッチングして、遠方にいる場合でも3D映像で即座に接客する、しかも、実際に対面しているようなクオリティの映像で——。

これも、超大容量、超低遅延の6Gだからこそ生める顧客体験となりそうです。

特に、テクノロジーが進化しきった先の小売業では、体温を感じさせる生身のコミュニケーションがより重視されると言われていますから、自らコミュニティを形成したり、インフルエンサーと同等のパフォーマンスを出せる販売スタッフであれば、絶大な効果を発揮するのではないでしょうか。

さいごに

これから10年で、ここまで劇的に環境が変わる可能性があると考えると、流通小売業関係者にとっては、自社の事業をどのようにそのスピードにアジャストさせていくか、という悩ましい課題に直面すると思います。

まずは、足元の技術である5Gが普及した時にどこまでのことが可能になるのかを見極めて、テクノロジーの進化の波に遅れずに乗って行きたいところですね。


PR:エスキュービズムによるDX推進アプローチ