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2023年は越境ECの始め時!市場の動向や売れ筋商品をご紹介


円安やウィズコロナといった要因により、2023年以降は越境ECを始めるのに良い流れが生まれています。すでに越境ECで売り上げを伸ばす国内企業も増えており、本格的に検討している企業も少なくありません。



越境ECで成果を上げるためには、ターゲットとするエリアの消費者の好みやニーズ、そして社内での税制・法規制や多言語化といった対応が必要です。



この記事では最新の越境ECの動向や売れる商材、グローバル化を目指すポイントについて解説します。越境ECをご検討の方は、ぜひ参考になさってください。



日本企業にとって追い風状況である越境EC



経産省の推計によると、中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は、2020年時点で前年比17.8%増となっています。そしてアメリカからの消費者の購入額は前年比7.7%と、こちらも好調です。※



※参照:NHK 円安を追い風に 越境ECに注目

https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/20220706/504/


世界の越境ECの市場規模は年平均で成長率が約30%ずつ拡大するという予測データもあり、日本にとっても良い状況となっています。



さらに円安とウィズコロナ、この2つの要素によって日本企業における越境ECは追い風状態です。円安で“稼ぎ時”ともいえるこの状況について、詳しくみていきましょう。



円安とウィズコロナが大きな変化



1ドル130円台と歴史的な円安状況によって国内では値上げラッシュが続いていますが、海外の消費者にとっては良い状況となっています。そのため、円安をきっかけとして越境ECをはじめる日本企業も少なくありません。



この状況を逆手に取り、世界的に大きい中国市場やアメリカ市場に向けて越境ECをスタートする企業も増えています。



EC市場において圧倒的な市場規模を持つ中国ですが、新型コロナウイルスの感染拡大やゼロコロナ制作による厳しい行動制限、世界的なインフレでその成長は減速気味です。



しかし中国では新興ジャンルであっても日本で成熟している業界は、日本企業の強みを発揮しやすく高い伸びしろが期待できます。



すでに日本の越境ECでは釣り具メーカーである「ダイワ」、ヘルメットを製造販売する「アライヘルメット」などが人気となっており、質的消費を得意とする日本には良い状況です。



アリババの越境ECプラットフォーム「Tモールグローバル(天猫国際)」のマネージャーであるドン氏は、「中国人が買い物をしなくなったのではなく、欲しいものや買う動機が変わった」といいます。そしてこの変化こそが、日本企業にとって越境ECのチャンスなのです。



中国における低所得者層は、感染対策グッズの購入額が上がっています。しかし中間層や富裕層は環境に配慮した商品やヘルスケア商品といった質的消費に向かっており、Z世代を中心にアウトドアやスポーツ用品、バイク用品の売り上げが伸びています。



地方活性化策として注目



越境ECは地方活性化策としても注目されています。その理由は、以下の3つです。



  1. 地方には“日本ならでは”の商品が多い
  2. 差別化が容易で魅力をアピールしやすい
  3. 越境EC支援制度が充実している



海外の消費者が越境ECで日本の商品を購入する理由のトップは、「地方の商品にはないオリジナリティがある」で77%でした。訪日外国人においても都会よりも日本らしさの濃い地方を好む消費者は多く、越境ECでも大きなポイントとなります。※



※参照:大和総研 越境ECが地方創生活性化のビジネス機会になる3つの理由

https://www.dir.co.jp/report/consulting/other/20221117_023405.html


すでに越境ECで成功している企業は「日本限定モデル」「2022年モデルかつ数量限定」といった枠を作り、海外消費者にアピールしています。



さらに品質に定評がある日本製品を直接購入することで、海外にありがちな類似品などの粗悪品を送られるリスクもありません。



また同じカテゴリの商品であっても地域によって特色が異なり、差別化しやすい点も魅力の1つです。ふるさと納税の返礼品が良い例で、気候・製法・製造過程などさまざまな点で差別化を図っています。



そして、中小企業や地方企業を対象とした越境ECの支援サービスが増えている点も特徴です。



例えば神戸市では地元企業のグローバル展開の支援を目的として、越境EC事業に取り組む市内中小企業にたいして費用の補助制度を設けています。上限を150万円として補助対象経費の1/2を補助するとしており、自治体も越境ECに積極的です。※



※ 神戸市公式HP 越境EC事業支援補助の公募開始

https://www.city.kobe.lg.jp/a31812/press/959095440051.html


そのほかにも、地元産業の活性化やインバウンド需要の取り込みのために越境ECに挑戦する企業は増えています。「越境EC=大企業」ということはなく、地方の特色が色濃い中小企業や地元企業こそチャンスです。







越境ECで「売れる」商品と手法



これから越境ECをスタートさせようとしている企業に向けて、ねらい目の商品と手法について解説していきます。



高価格帯商品



越境EC支援において3,000件以上の実績を持つBEENOS株式会社では、購買データに基づき「BEENOS 越境EC ヒットランキング 2022」を発表しています。「商品ジャンル別ランキング2022」によると、売れ筋商品ジャンルは以下の通りです。※



  • 1位:ブランド腕時計(前年比74.58%UP)
  • 2位:フィルムカメラ(前年比67.68%UP)
  • 3位:ゴルフグッズ(前年比55.14%UP)



※参照:PRTIMES BEENOSが「越境ECヒットランキング2022」を発表

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000507.000035599.html


2022年の特徴として、高価格帯であるブランド腕時計やフィルムカメラ、ゴルフグッズといった商品が人気となりました。これらはもともと海外消費者に人気でしたが、円安によって「割安感」が協調されたことで、高価格帯である上記3アイテムの消費が拡大しています。



【ホビー分野】ゴジラ特大フィギュアの3割が海外消費者



日本におけるアニメ文化は海外の消費者からも評価が高く、越境ECにおいて大きな成果を上げています。



例えば映画などのエンタメ事業を展開する東宝の子会社が運営するオンラインショップでは、2022年4月から越境ECとして海外向け商品の販売も始めています。



なかでも同年5月から国内外で販売をスタートした全長約83センチと特大の「ゴジラ」のフィギュアは、越境ECで人気となりました。海外からの注文が相次ぎ、全体のおよそ3割が海外からとなっています。



また前述の株式会社BEENOSの調査による【BEENOS 越境ECヒットランキング2022】では、商品ジャンル別ランキング2022年(購入金額)において、以下のホビー商品がランクインしています。



  • 2位:トレーディングカード
  • 3位:アニメフィギュア
  • 4位:テレビゲーム
  • 8位:陶芸
  • 10位:特撮フィギュア



販売手法とマーケティング



日本における越境ECの課題は、SNSやデジタルマーケティングへの取り組みです。実は日本企業共通の弱点として、「商品のコンテンツ化」があります。



国民性が影響しているのか商品のアピール力が他国より弱く、マーケティングにおける課題の1つです。



越境ECの販売手法としては、越境EC向けのプラットフォームやSNSがあります。特に若年層を中心にSNSで情報収集する習慣があり、日本企業はデジタルマーケティングへの注力が急務です。



自社がターゲットとする海外消費者に刺さるストーリーや品質の高さを伝えるマーケティングを行えば、越境ECで大きな成果が期待できるだけでなく、将来の訪日外国人に対する動線づくりにもなります。



依然としてコロナ禍による警戒モードは続いていますが、日本も水際対策が緩和されて訪日外国人の受け入れも解禁しています。訪日外国人も越境ECにおいてターゲットとなり、事業者の70%以上が越境ECの売り上げ増加に期待しているのです。



越境ECで成果を上げるために必要なポイントについては、次で解説していきます。



越境ECでグローバル化を目指す



訪日外国人の受け入れ再開に伴い、企業は越境ECの売上増加に期待しています。越境ECで成果を上げるためには、以下の3つがポイントです。



  1. EC企業と手を組む
  2. 帰国後のフォロー施策でインバウンド需要の増加を目指す
  3. 3年はコストをかけて努力を続ける



それぞれについて、順番に解説していきます。



EC企業と手を組む



欧米のグローバル企業はECを単なる「チャネルの1つ」とせず、マーケティングチャネルとして活用しています。



越境ECでグローバル化を目指すためには、EC企業と戦略的パートナーシップを結び、EC企業をも巻き込んだイノベーションを起こすことも有効な手段の1つです。



EC企業は越境ECプラットフォームを提供していますが、事業者が活用できるのはこれだけではありません。プラットフォーマーとして、EC企業は消費者に関する膨大な「データ」を保有しているのです。



消費者の行動データや広告データなどその種類は豊富で、膨大なデータを活用したプロモーション開発を行う事業者も少なくありません。事業者はEC企業が持つデータを使いこなし、海外消費者の動向やインサイトを分析してグローバル化を目指すのもいいでしょう。



帰国後のフォロー施策でインバウンド需要の増加を目指す



越境EC事業者を対象としたアンケートによると、インバウンド需要の増加に向けて実施するマーケティングとして最も多いのが「帰国後を想定したフォロー施策」(72.2%)でした。※



※参照: インバウンド需要で、担当者の70.1%が越境ECの「売上増加」を想定

https://internal.shopee.jp/news-2022-10-31/


帰国後の訪日外国人に向けたマーケティングでは、越境ECサイトに人を集めるのではなく、来日した時のことを思い出してもらう点が特徴です。



具体的には実店舗ならサンプルを渡して持ち帰ってもらう、SNSの投稿で帰国後も日本を思い出してもらうといったアプローチで、インバウンド需要の拡大を目指します。



3年はコストをかけて努力を続ける



越境ECで成果を出すためには、1つの目安として「3年」は腰を据えて取り組む姿勢が必要です。



カートの多言語化やSEO対策をはじめ、越境ECには法規制や税制の知識も欠かせません。インハウスで越境ECを始めるなら、これらの知識やノウハウを積み重ねていく必要があります。



昨今では国によって個人情報の取り扱いも大きく違いますし、法規制も同じではありません。



「円安の今のうちに越境ECを軌道に乗せたい」と思うことは当然なのですが、国内のマーケティング以上に勝手が異なること、成果が出る前には忍耐が必要ということも知っておくべきです。



国内企業にとって追い風となっている越境ECについて、最近の動向やグローバル化を目指すポイントについて解説しました。



円安となり国内では値上げラッシュとなっている昨今、海外マーケットに目を向ける企業は少なくありません。自治体が積極的に後押しするケースもあり、越境ECをはじめる良い流れが生まれています。



日本は訪日外国人からも人気の国の1つであり、アニメや地方の特産品など越境ECに向いた商材も豊富です。ぜひ自社の強みを分析して、越境ECを始めてみませんか?