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サプライチェーンマネジメントの独立系ベンダー、マンハッタン・アソシエイツが予想する 2013年の小売トレンド

米国のSCMのベンダー、マンハッタン・アソシエイツによる2013年の小売トレンド予測をご紹介したいと思います。ウェブ、モバイル、ソーシャルメディアにおける商取引が国内外の市場を変化させていく中、2013年はどのような年となるでしょうか。

「全体的に見てオンラインに特化した小売はこれまでのところ勝利を収めている。しかし従来の店舗型小売も、利益を生むサービスやテクノロジーに投資することにより盛り返し始めている」とはマンハッタン・アソシエイツ、イギリス担当ディレクターのクレッグ・シアーズ=ブラック氏の弁です。

2013年、七つの小売トレンド

オンライン小売が直面する熾烈な競争

上記の図は米国におけるオンライン販売額と全小売におけるオンライン販売のシェアの推移です。オンライン販売の売上とシェアは着実に伸びてきており、この傾向は今後も続くと予想されます。

一方で店舗販売型小売が販売チャネルのマルチ化に投資していけばマーケットのシェアの奪い合いが今後展開されていくと予想されます。オンラインでしか販売チャネルを持たない企業はそのときシェアを死守する必要に迫られるでしょう。

モバイルコマースの普及

2013年度のスマートフォンの出荷台数は初めて世界で10億台を突破し、タブレットは1億7200万台を越えると見込まれています。これによりモバイルショッピングの需要は高まり、小売企業はウェブサイトやショッピングサイトをスマホやタブレット向けに最適化する必要が出てきます。またQRコードやギフトカード内蔵のモバイルアプリやバーコードスキャンに対応したアプリ、配送における即時見積もりなどに対応したサービスを提供していく必要があります。

ショールーム化

店舗を訪れ商品を手にとって確かめてからオンラインで低価格で買う、といった消費者行動が増えています。クリスマス商戦にかけてイギリスの24%の消費者が「ショールーム」へ行き、そのうち40%が価格を比較した後でオンラインで購入しました。このような消費者は米国だけでも2013年には5900万人に、2014年には6900万人に、2015年には7800万人に増えると見られています。

こうした競争に打ち勝つために、小売企業は消費者の購入履歴をもとにしたデータを作成し、将来につなげていく必要があります。消費者のロイヤリティを高める方策を取り、自社ブランドや独占販売、販売チャネルを横断したサービスを手がける必要があります。

実店舗における設備・技術投資の促進

今後は店舗と他の販売チャネルをつなげ、消費者が店舗にいる際に欲しいものを確実に手に入れられるようなテクノロジーの統合が進んでいきます。初期段階ではタブレットやアプリ、QRコードやインタラクティブ・スクリーンが検索、支払い、その他実店舗におけるサービスを促進させるものとして利用され、最終的にはサプライチェーンツールやオーダー、倉庫管理システムが在庫の効率化に利用されていくと見られています。

販売チャネルを横断したシームレスな買い物体験

消費者は実店舗であれウェブサイトであれアプリであれ、まとまりのあるものを求めます。すべての販売チャネルで一貫性のある商品、価格、支払い方法、販売促進が求められ、この複雑化する欲求に応えるため、受注管理システム構築によって買い物体験の一元化、簡素化が必要となります。

これにより商品の受注から入金管理に至るまでの一連の作業に柔軟性が生まれ、さらに高度化されたサプライチェーンマネジメントが店舗や配送センターの商品の一元管理を可能にします。こうした商品の流れの可視化により販売機会の増加が見込まれます。

新たな競合相手の出現

今年度は消費者対消費者の市場が広がると予測されます。オンライン上で売買や交換する消費者同士が同時に買い物情報も共有するという様式がひとつの例として挙げられます。またメーカーがエンドユーザーにソーシャルメディアやウェブサイトを通して、直接商品を販売し始めていることも挙げられます。

グローバリゼーションの拡大

ビジネスの成長チャンスはまだまだオーストラリアやブラジル、ロシア、インドや中国などに眠っています。中国ではオンライン販売の人気が高まり、2012年には利用者が約2億2千万人にまで達しました。これは米国の1億5千万人を上回る数字です。海外での成長を目指す出発点として、商品の海外への発送を可能にすることが挙げられます。

2013年小売の傾向のまとめ

以上今年度の7つのトレンド予測をご紹介しました。これらは次の三点にまとめられると考えられます。

1.販売チャネルのマルチ化とチャネル横断に向けた取組

2.新たな販売形態とライバルの出現と発展

3.グローバリゼーション
1.販売チャネルのマルチ化とチャネル横断に向けた取組 スマートデバイス普及によるオンライン販売の増加が顕著です。オンラインの販路を持たない企業にとってはオンラインにおける顧客開拓が危急の問題となり、さらにその上で実店舗とのサービスやシステムの統合、整合性も課題となっていくと思われます。マルチ化した販売チャネルを横断的に再構築し、顧客本位の買い物体験を提供するという考えで「オムニチャネル・リテイリング」として注目されています。

詳しくは「オムニチャネル・リテイリング」の項を参照していただきたいと思います。

そしてこうした販売チャネルのマルチ化の裏返しとして必然的に進むのが、実店舗のショールーム化です。販売コストを中抜きできるオンライン販売に実店舗が価格で対抗するのには限界があり、こうした現象が進んでいます。対策としては主に二つの方向性が考えられます。

1.品揃えや利便性追求により、直接の価格競争を回避する。
2.商品だけでなく商品と送料の総支払金額で専業通販サイトと競う。
2は具体的にはウォルマートによる店舗引き取りサービスが挙げられます。(ウォルマートの通販サイトで購入した商品を、最寄りの店舗で引き取ることができる。もちろん送料は掛からず、購入日と同じ日に引き取ることができる)

いずれにせよ今後オンライン市場も飽和していく可能性があるとして、そのときに実店舗という経営資源をいかに活用できるかが将来を見据えた経営戦略のカギとなると思われます。

2.新たな販売形態とライバルの出現 消費者同士での商取引ですがC to C(Customer to Customer)ビジネスとして、注目を集めています。通常、インターネット上ではオークションとして実現され、ネット上でオークションを行うためのシステムや「場」を提供し、出品者から手数料を徴収する事業が急速に伸びています。オークションを運営している事業者は、eBay社などの独立系や、Yahoo!などの大手ポータルサイトなどがあります。

上記は2011年時点での予測ですが、この市場が順調に拡大していくことが予測されています。小売全体から見れば小規模かもしれませんが、ユーザー同士での商品情報の活発なやり取りの場所となれば、企業にとって好都合、不都合な情報も展開される場所として無視できないものとなるはずです。

3.グローバリゼーション 国内市場の飽和を受けた企業が海外に市場を求めるのは常であり、中国は成長が鈍化したと言われてもまだまだ魅力的な市場です。中国のオンライン市場は急成長を続けており、中国での消費者向け電子商取引サイトでは80%のシェアを占める淘宝網(タオバオワン)を運営するアリババグループの売上は、2015年にはアマゾンを抜くと予測されています。

Euromonitor International 調べ

(引用元:China Business News『Alibaba’s Tmall Set to Overtake Amazon by 2015』
こうした予測はまだまだ中国が魅力的な市場であることの裏返しであり、そしてこうした販売チャネルにおけるオンラインの比重の高まりが世界的な基準であることの証明と言えます。世界中で増えるだろうオンラインショッピングユーザーに対応したプラットフォームと発送体制の構築が求められていくと思われます。

以上2013年の小売トレンド予測をお伝えしました。変遷を続ける業界の情報とトレンドを今後も引き続きお伝えしていきたいと思います。

この記事はOnWindowsの記事をOrange Blogが日本向けに編集したものです。