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ビッグデータ分析は小売店舗をどう変えるのか?


▲出典:UC berkeley,School of information Management and Systems
(引用元:DIAMOND Online『2012年 ビッグデータ経営革命』

4月初めにGoogleは小売店舗からの即日配達サービスを始めることを発表しました。AmazonやeBay、他の多く

の新規参入業者と同様に、Googleも小売に関わってくるのです。優れたブラウジング、注文システム、24時間対応のサービスはどのように従来の小売に影響を与えるのでしょうか。小売店舗の凋落に拍車をかける可能性はないでしょうか?

しかし最近の調査では、多くのカテゴリで消費者は実店舗の方をオンラインよりも好むという結果が出ています。商品リサーチの段階でも購入の段階でもです。

それを踏まえ、小売はマルチチャネル戦略を取る中でも、実店舗を顧客の買い物体験における中枢機能として強化しなくてはなりません。鍵となるのは、実店舗を訪れた顧客に価値と喜びを提供できる、ユニークな買い物体験を創造することです。そのために昨今では多くの企業が「ビッグデータ」を活用し始めています。

ビッグデータとは?

今日では2.5EB(エクサバイト)もの大量データが日々生成されています。しかも、既存データの90%はこの2年以内に生成されたものです。このようなデータは、ICタグなどのセンサー、ソーシャル・メディアに掲載された投稿、インターネット上に保存されたデジタル写真、ビデオ、オンライン購入の処理レコード、携帯電話のGPS信号など、さまざまなソースで生成されています。このようなデータを総じて「ビッグデータ」と呼んでいます。
(IBMホームページより) http://www-06.ibm.com/software/jp/data/bigdata/

ビッグデータを構成する各種データ


▲出典:情報通信審議会ICT基本戦略ボード「ビッグデータの活用に関するアドホックグループ」資料
(引用元:総務省『平成24年版 情報通信白書』

ビッグデータの可能性に気づき始めた小売企業は、その可能性とメリットを店舗においても実践し始めています。

ビッグデータ分析の店舗への導入

1. それぞれの顧客に適した買い物体験の提供

顧客の行動をベースにしたパーソナリゼーションが、今日のデジタルメディア戦略の成否を分けるファクターとなっています。オンライン小売は顧客の名前、購入履歴を認識し、顧客の嗜好に合った商品情報を提供しています。同様に小売の実店舗このようなレベルでのパーソナリゼーションを実行しようとしています。

お気に入りのアパレルショップに行くことを想像してください。ドアについた監視カメラが即座に顧客を識別し、顧客情報を店員に提供する。店員はタブレットのアプリによって顧客の買い物傾向、過去の購入履歴、ソーシャルメディアの活用など、総合的な情報を把握する。この情報を基に、店員は顧客に近寄り、名前で呼びかけ、最近購入した商品の具合を尋ねる。

これらが可能になれば顧客の店舗経験は劇的に変化します。そしてそれは決してありえない未来像ではありません。顔認識機能とリアルタイム分析の技術進歩は、今や従来の店舗小売に一段階上のレベルのパーソナリゼーションを可能にしています。

◇Almaxは「スマートマネキン」を開発しました。マネキンの目はカメラになっており、顧客の顔を分析して性別、年齢、人種、その他様々な特徴を識別します。ある高級品販売の小売では試験的に運用し、新しいターゲット層の分析、ディスプレイの改善などのマーケティングに役立てようとしています。

◇NECはNeoFaceという名の同様のシステムを開発しています。ロイヤリティーの高い顧客や高額のお得意様が来店したことを店員に知らせるシステムです。

2. 顧客の関連商品への誘導

自動的に顧客を関連商品へ誘導する方法は、デジタルチャネル特有の買い物体験です。顧客の(オンライン上の)ショッピングカートに何が入っているかによって、リアルタイムでおすすめ商品が変更される機能です。

小売店舗も同様のことを試みています。おすすめ商品情報を提供するため、顧客と商品情報を結びつける双方向性のディスプレイやキオスクを活用するのです。

◇KraftとIntelはビデオ分析を利用した店舗キオスクの開発で提携しました。これは顧客の身体的特徴と過去の購入履歴からおすすめ商品を分析するというものです。

◇IBMはドイツの小売METROに協力し、インテリジェントな試着室を提供することで顧客満足度を18%も上げました。これは顧客が選んだ衣服を分析し、最適なアクセサリーをおすすめするというものです。

3. 顧客行動の追跡、分析

デジタルコマースの利点のひとつはすべての顧客行動を数値化できることです。クリック、ページ閲覧、閲覧時間、コンバージョンまでにたどった経路、といった顧客の行動を計測できるのです。これによりオンライン小売はページデザイン、配置、顧客へのメッセージを最適化することができます。

小売の未来。それは監視カメラ、RFIDタグ、POSシステムなど、様々な経路から顧客のデータを収集し、蓄積されたビッグデータを実店舗へ活用することです。現在のテクノロジーでは1人の来店から1万ものデータを集め、それを数兆パターンに変換することが可能となっています。アパレルのAmerican Apparelはこのテクノロジーを商品配置、内装、人員配置、商品発注の最適化に役立てています。

ビッグデータ分析は、積極的にオンラインと実世界の境界をなくしていくことと言えます。しかし、小売はこの試みに際してプライバシーとセキュリティの問題を考慮しなくてはなりません。実世界でデータを収集するということはこれまでデジタルの世界で行われてきたことは意味が異なり、より顧客にとってデリケートな問題となります。実店舗を持つ小売は透明性あるデータ収集を行い、顧客のプライバシーをないがしろにせず、顧客の意志を尊重することが求められます。

大きな課題となるビッグデータ活用

ビッグデータが注目される背景には、企業の中のデータベースの活用だけでは、絶え間なく変化する市場のスピードについていけないという企業の思いがあります。そうした背景があり、これまで扱っていなかった、しかし膨大に蓄積されたビッグデータに注目が集まっているのです。

しかしビッグデータはその八割が非構造化データと呼ばれる数値以外のデータです。
これらを扱う上ではこれまでのデータ分析とは違ったアプローチ、方法論を確立する必要があります。これまで以上にデータ、情報があふれていく中で、どのようにそれらを適切に整理し、役に立つ正確な分析結果を導き出すかが、小売を含めた企業の今後の大きな課題となると言えます。

この記事はClickZの記事をOrange Blogが日本向けに編集したものです。

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