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デキる小売はやっている!店舗は「観光資源」に育てるべし

リアルとネット。本ブログでも既に何度も取り上げているテーマですが、先日、リアルとネットの関係は地方と都会の関係によく似ているという興味深い話がありました。
一体どういうことでしょうか?
目次
  • ■リアルとネットの関係と地方と都市の関係は似ている
  • ■店舗が「地方」から学べること
  • ■小売企業も「観光資源」を持つべき
  • ■「観光資源」となった店舗の強み
  • ■まとめ

「リアルとネットの関係」と「地方と都市の関係」は似ている?

似ているといっても、何がどう似ているのか。それは、選択肢の数、およびアクセスだといいます。

リアルとネットの関係

ここでのリアルは小売店の実店舗を指し、ネットはWeb上のECサイトのことを指しています。

リアルとネットの比較

・選択肢の数

商品の選択肢の数は圧倒的にネットの方が多いです。店舗内の商品展示数には限りがありますが、Web上にはいくらでも商品を展示できます。また、店舗の場合、複数の店舗の商品を比較検討するには移動を伴うため大変ですが、ネットであればWeb上に販売されている商品を比較検討することができますし、その中でどこで購入するのが最安値なのかもわかります。

・アクセス

店舗へ行くには、実際に足を運ぶ労力が必要になります。一方、ネットならPC・スマホがあれば、どこからでもサイトへアクセスすることができます。

続いて、地方と都市について同様の観点で整理してみます。

地方と都市の関係

地方と都市の比較

・選択肢の数

地方出身で都市へ出てこられている方は、よく分かると思いますが、地方と都会では選択肢の数がまるで違います。飲食店を考えてみても、都市には無数にありますし、競争も激しいので他との差別化ができないと生き残りは厳しくなります。これは飲食業に限らず、小売も同じです。都市部は選択肢で溢れかえっており、常に新しいものや他との差別化が求められています。

選択肢が多いことは当然良いことなのですが、多すぎることで、選択することが困難なることもあります。どれを選べば良いのかわからない、そのようなニーズに答えるために、口コミサイトやレビューサイトが多く広まっていると言えます。

・アクセス

地方は物理的な交通もそうですが、モノや情報へのアクセスも地方は都会に劣ります。ネットが普及して、地方と都会に情報格差は無くなったと言いますが、まだまだ地方と都市での差はあります。情報は届いても、実際のモノ(新製品やイベント)に触れるには、タイムラグが発生します。

以上のように、選択肢の数、アクセスという2つの観点から見たとき、リアル⇔ネットの関係と地方⇔都会の関係は同じと言えます。

店舗が「地方」から学べること

地方は、選択肢の多さ・アクセス等の利便性で都市に勝つことはできません。それを踏まえた上で、各地域は都市にないものを提供することで、人を呼びこむ方法を日々考えています。

これからの店舗を運営していく上では、この地方の考え方が必要です。店舗も選択肢の多さ、アクセス等の利便性でネットに勝てないことを踏まえ、ネットが提供できない価値を提供する必要があります。

小売企業も「観光資源」を持つべき

では、地方に人が訪れるのはなぜでしょうか。理由は簡単で、訪れる「観光資源」があるからです。「観光資源」は美味しいものや、観光スポット、さらには人の温かさであったり様々ですが、全て「そこに行かないとできない」という点で共通しています。

小売企業も同じで、「観光資源」を持ち、「そこに行かないとできないこと」を提供していくべきです。そして、その「観光資源」となり得るのが、店舗なのです。

実際に、店舗が観光資源となっている事例を紹介します。

★代官山蔦屋書店

代官山蔦屋書店

カルチュアコンビニエンスクラブ(CCC)が運営する代官山蔦屋書店は、2011年12月にOPENしました。「大人のTSUTAYA」をコンセプトにしており、他のTSUTAYA店舗とは趣が異なります。代官山蔦屋書店は、まさしく観光資源となっており、開店以来代官山駅の乗降者数が大幅に増加したと言います。
店内には、様々な分野に精通したコンシェルジェいたり、様々なイベントが企画されたりと、単なる本の販売だけの店舗ではありません。店舗の雰囲気含め、今までの店舗とは違った体験を提供することができています。
※「大人TSUTAYA」代官山T-SITE 蔦屋書店 情報まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2132562522724825101

★無印良品

無印良品 モデルハウス http://www.muji.net/mt/modelhouse/yurakucho/cat122/

無印良品の店舗の中には、家センターなるものがあります。家センターには、モデルハウスがあり、一種のショールームのようになっています。

併設されているMEAL MUJI(http://www.muji.net/cafemeal/)では、飲食が可能ですし、蔦屋書店と同様、店舗でのセミナーやワークショップといったイベントを開催しており、様々な体験を提供する機能を備えています。

★タワーレコード渋谷店

タワーレコード 渋谷店

タワーレコード渋谷店も、観光資源となっていると言える店舗の1つです。ほぼ毎日アーティストのライブや、握手会等のインストアイベントが開催されています。また、アーティストのサインが店舗に展示されていますが、このサインがあるだけでファンにとっては、足を運ぶ理由になります。

TOWER RECORDS CAFE

また、タワーレコード渋谷店には、全店舗で唯一カフェが併設しています。

蔦屋書店、無印良品にも共通することですが、商品の販売することだけが目的なのではなく、その場に滞在してもらう、という視点に立つと、カフェの併設という判断に至るのかもしれません。

以上のように、ジャンルは異なりますが、店舗が観光資源となっている小売企業があります。

こうした店舗をもつことの強みは何でしょうか。

「観光資源」となった店舗の強み

観光資源となった店舗は、以下のようなメリットを持ちます。

・購入意思のない顧客を呼び込むことができる

販売のみを目的とする従来の店舗の場合、顧客に購入意思がなければ店舗へ訪れることはありません。しかし、セミナーやイベント、もしくは良さそうな雰囲気という「観光資源」があることで、商品の購入意思がない顧客も店舗に呼びこむことができます。

・良い体験と提供することでブランドのファンを獲得できる

実際に体験したことは記憶に残ります。例えば、旅行先ですごく良い体験をした場合、地名を聞くだけでもポジティブな印象を受けます。店舗でも同じで、一度良い体験を提供できれば、顧客はその店舗のファンになってくれますし、良かったという評価はSNSですぐに広まっていきます。

・顧客の選択を助ける場を作ることができる

何を選べばよいかわからない。それくらいネット上には選択肢が溢れかえっています。選択を手助けするために、ネットのレビュー・口コミサイトなどがありますが、代官山蔦屋書店のコンシェルジェのように、直接アドバイスを貰えるものには勝てません。またレビューよりも、人からのアドバイスよりも、自分の手で触って見ることで得られる情報には勝てません。百聞は一見に如かずと言いますが、百見は「一触」に如かずと言えます。この「一触」を提供できることは、店舗の強みだと言えます。

・消費が発生する

観光資源をもつ地域は、観光客がその地域へ足を運ぶだけでなく、そこで消費も生まれることです。店舗も同じで、来店し滞在してもらうことで、消費が発生します。商品の購入だけでなく、飲食の消費も発生します。MEAL MUJIやTOWER RECORDS CAFEは、この消費を上手く取りこもうとしていると言えます。

まとめ

今回は、「リアルとネットの関係は地方と都会の関係によく似ている」という話から、これからの店舗のあるべき姿は何か、を考えてみました。

最近、楽天やYahooといったWeb専業の企業が実店舗を持つ動きは、こうした店舗だからこその強みを求めてのものだと考えています。

店舗の強みとネットの強み。それぞれの良さを各企業の中で改めて考えてみるのも良いかもしれません。
この記事を書いた人
大工 峻平

エスキュービズムにて、タブレットPOSシステム導入を担当。タブレットPOS、Handyシステムの導入営業からはじまり、納品・教育・保守まで幅広い業務領域に携わっています。