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「Login and Pay with Amazon」に見るAmazonの自信と思惑

今年10月にAmazonは「Login and Pay with Amazon」というサービスを発表しました。このサービスのパート

ナーとなったオンラインショップへの訪問者が、ログインから決済までをAmazonのアカウントで済ませることができるというものです。新たにアカウントを作成したりPayPalサイトに移動したりする必要がありません。オンライショップからすればアカウントから決済までのAmazonへのアウトソーシングと言えます。

これはPayPalを始めとする決済事業者にとっては新たな脅威の出現です。
Amazonはこれまで顧客の個人データを蓄積し、それを信頼感のある方法で利用してきました。この巨大な顧客ベースを背景に、Amazonは異業種で行われる何百万件の取引に介入しようとしているのです。

これまでの支払機能にログイン機能を追加

Amazonは2007年以来、子会社Amazon Paymentsを通して決済サービスを提供してきました。これはオンラインショップの決済画面で「Amazon」を選択し、Amazonに登録したクレジットカードやユーザー情報を使って簡単に決済できるサービスです。
またAmazonは最近デベロッパー向けにオンラインゲームやコンテンツなどのサイトでのユーザー認証にあたってAmazon IDが利用できる「Login with Amazon」というサービスを開始しました。Login and Pay with Amazonはこの2つのサービスを巧みに結合したものといえます。

オンラインショップ利用者から見た「Login and Pay with Amazon」

面倒だったアカウント作成が解決

顧客はオンラインショップを利用するためにはアカウントを作成する必要があります。その面倒さゆえに、ゲストアカウントのままショッピングを行うか、他の購入しやすいオンラインショップに移行するか、あるいは購入しない場合も多かったと考えられます。
この部分に頭を悩ませてきたオンラインショップは少なくありません。
Login and Pay with Amazonでは、利用者が使い慣れたAmazonログインとAmazon決済を同時に利用できます。これによりアカウント作成という障壁がなくなり、顧客はスムーズに買い物をすることができるようになります。
また、購入顧客は「Amazon A-to-z Gurantee」というAmazon利用顧客と同じ保証を受けることができます。

オンラインショップ側から見た「Login and Pay with Amazon」

オンラインショップがこのサービスを利用するには複雑な手続きはいりません。Login and Pay with Amazonをデスクトップ、タブレット、モバイルウェブサイトに簡単に組み込むことができる開発者向けAPIやウィジェットが公開されています。

Amazonはログインした顧客情報の一部(氏名、メールアドレス、郵便番号)をオンラインショップ側に提供します。ただしこの過程でクレジットカードをオンラインショップ側に提供することはないとAmazonは強調しています。
オンラインショップは顧客に独自アカウントを発行・管理する必要なく、顧客の把握、購入履歴の提供、クーポンなどの特別割引の発行、荷物追跡サービスなど付加的なサービスを顧客に提供できるのです。

セキュリティの面ですが、Amazon自身が利用している不正詐欺防止システムを費用なしに利用できます。
手数料は初期費用不要で、月額取引総額が3000ドル未満の場合、一回あたりの取引では2.9%+0.30ドルと最大のライバル米PayPalの最低ランクとほぼ同額になっています。

「Login and Pay with Amazon」を導入するとどうなる?

 Amazonが傘下の企業にこのログイン機能を拡大した際には、こうした企業のサイトで顧客が増加しました。Amazonによると、Zappos(2009年にAmazonに買収されたアパレル関連の通販サイト。買収後も独立したブランドとして存続)の新規顧客の40%は、AmazonアカウントでZappos.comにサインインする方法を選択しているとのことです。

Zapposのログイン画面。アカウント作成とLogin with Amazonのボタンが並んでいる。

Woot(Amazonが買収したソーシャルショッピングサイト。買収後も従来通り運営)では、このログイン機能が初めて導入された5月、Amazonアカウントでのログインを選んだ顧客が、他のソーシャルログインを選んだ顧客の2倍だったと同社の広報担当者は述べています。


(引用元:Woot『Account.Woot』

Wootのログイン画面。Amazonやその他のソーシャルサイトのログイン画面が並ぶ。

「Login and Pay with Amazon」から見えるAmazonの自信と思惑

Amazonはこのサービスの目的を、小売業者の決済プロセスを「効率化」し、自社サイトの顧客層によって他のサイトの顧客層を強化するものとしています。
本来であれば何故ライバルの顧客層を強化するのかと疑問に思われますが、これは同社が業界においてもはや他企業に脅かされる位置にはない、という自信の表れであると伺えます。
また同時に、全てのオンラインショップがAmazonなしに成立しないようにしたいという思惑も見て取れます。
Amazonは2013年に入って、アクティブな顧客のアカウントが2億1500万件を超え、そのすべてが同社サイトにログインして決済していると発表しました。膨大なアカウントを背景に、Amazonは着々と業界制覇を進めています。

この記事はWhy payments providers can beat AmazonをOrange Blogが日本向けに編集したものです。

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