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オムニチャネルにおける7つのロジスティクス戦略

マトリクス・コマース

Amazonがリードする今後のeコマースの柱はクラウドインフラストラクチャの成長と、大量のデータストリームおよび

コンテンツと言われており、これをConstellation ResearchのRay Wangは、もはやeコマースではなく、マトリクス・コマース(matrix commerce)であるとしています。( matrix:新しいものが生み出されるもととなる、環境や状況を指す)
マトリクス・コマースを導入しようとしたときに、まず考えなければならないのはオムニチャネル・コマース・ロジスティクスです。

オムニチャネル・コマースとは端的に言えば顧客が効率的に様々な方法(PC、モバイル、タブレット、キオスク、バーチャルストア、店舗)で商品を調べ、購入できるようにし、顧客が好きな時に好きな場所で商品を引き取ることができるということです。これには商品が陳列、保管されている全ての場所を明確化し、正確かつタイムリーな在庫情報を管理する必要があります。

そこで今回は配送や顧客による引き取りのための商品の保管、引き取り、発送に関するロジスティクス戦略を(カナダを例にして)扱います。
取り扱うロジスティクス戦略は以下となります。
・全国向けフルフィルメントセンター
・地方拠点フルフィルメントセンター
・配送センターからの配送
・全店舗からの配送
・地方の店舗のハブ化
・引き取りセンターやロッカーボックス
・販売元からの直送

これらを簡潔に説明するとともにそれぞれの潜在的な長所と短所に触れていきます。そしてもちろんこれらは独立したものでなく、相互に関係し合っています。

①全国向けフルフィルメントセンター

これまで最も広く使われてきたモデルが、一つのメインとなるフルフィルメントセンターにより全国に商品を発送するというものでした。ほとんどのフルフィルメントセンターはカナダ東部、特にトロントやモントリオールに置かれています。しかしカナダ西部、バンクーバーやカルガリーに置かれているものもあります。
全国向けのフルフィルメントセンターを置くことはeコマースの配送を行う上で最も一般的な方法です。

これら全国向けのフルフィルメントセンターのほとんどは小売店舗の配送ネットワークとは別であり、外部の運送業者によってまかなわれています。また、ほとんどは従来型の方法で稼働しており、自動化はなされていません。しかし、eコマースの業量が増えていくにつれ、自動化されていくことが予想されます。

長所
・コストが最も低い
・在庫の設備投資額が最も低い
・自動化した際のROI(投資利益率)が高い
・在庫、注文における現場のオペレーションが容易い

短所
・遠隔地への配送スピードが遅い
・施設が稼働しなくなった場合の企業リスクが高い
・交通量の増加により二酸化炭素排出量が多い

②地方拠点フルフィルメントセンター

顧客がより迅速な配送スピードを要求するにつれ、企業は今後全国各地にフルフィルメントセンターを置き、eコマースの注文商品の在庫、引き取り、包装、配送に対応することが予想されます。

長所
・迅速な配送スピード
・交通量の減少により二酸化炭素排出量が少ない
・施設が稼働しなくなった場合に互いに補完し合える

短所
・複数施設を稼働させるためコストが高い
・在庫設備投資が著しく増加する
・在庫の注文や管理が複雑化する

現在の環境保全に対する関心の高まり、そして即日配送に代表される配送スピードへの要求の高まりがこのタイプのロジスティクス戦略を導入する大きな誘因となっています。

③配送センターからの配送

既存の配送センターをeコマースに利用する企業もあります。既存の建築物、人員、在庫を使用するという考え方です。一般的にこのタイプは商品の動きの激しくない、大型の商品に適していると考えられます。

eコマースの商品が個別のピッキングを求められるのに対し、多くの場合、従来型の配送センターではパレットやケースでのピッキングに対応するシステムや設計となっています。

長所
・既存の流通在庫を応用できる
・スタッフが熟練している
・商品が包装や配送に適している
・運搬車両に適したアクセス及び搬入口

短所
・個別ピッキングでなくパレットやケースでのピッキング向けに設計してある
・遠隔地への配送スピードが遅い
・eコマース向けに最適化されていない

④全店舗からの配送

フルフィルメントセンターや配送センターからでなく、顧客に一番近い店舗からオンライン注文商品を直接顧客に発送するモデルもあります。

このモデルを上手く利用している企業であっても、注文品の30~50%はフルフィルメントセンターのバックアップが必要なのが現状です。店舗からの配送を100%にすることは顧客サービスをリスクにさらす可能性があります。

長所
・顧客に近いため迅速な配送が可能
・店舗在庫を利用できる
・既存の店舗スタッフを利用できる
・既存の店舗スペースを利用できる
・低賃金が可能

短所
・顧客サービスに影響大
・店舗在庫の正確性が問題となる
・店舗顧客への商品が在庫切れとなる
・注文を受けてから処理をして発送するまでの時間がかかる
・店舗スペースのコストが高い
・運搬車両のアクセスや搬入口
・二重配送

店舗からの配送はまだまだ新しい形態であり、成熟するにつれこれらの短所を改善する補法が生まれると思われます。

⑤地方の店舗のハブ化

地方の店舗のハブ化とは、全店舗から配送する代わりに、地方のある特定の店舗をeコマース・フルフィルメントに対応させるというものです。

全店舗からの配送における短所の全てが解決するわけではありませんが、解決している部分もあります。多くの点でこれは地方拠点フルフィルメントセンターと類似していますが、運搬車両の搬入の難しさは残っています。

長所
・配送スピードを上げるため最適な店舗選択が可能
・店舗の混乱を避けれる
・店舗からの配送における短所を最小化できる

短所
・さらなる店舗スペースが必要
・専門スタッフが必要
・在庫管理及び引き取りのシステム化必要
・フルフィルメントセンターより5倍から10倍の空間コスト

⑥引き取りセンターやロッカーボックス

これは空港の無人のロッカーボックスのような形態で、バーコードやコードを用いて顧客は好きな時間にオンライン注文した商品を引き取れるというものです。

長所
・配送コストが低く二酸化炭素排出量も少ない
・24時間対応可
・配送忘れがない
・店舗への誘引となる

短所
・インフラの問題
・引き取りに来ない商品の問題
・商品が満杯になる可能性

このモデルは各顧客の家に配送せず、集約した箇所に配送すればよいのが利点です。顧客が何かのついでにこれらの商品を引き取れば二酸化炭素量を減少させることができます。

⑦販売元からの直送

オンライン業者が商品ジャンルを広げるにつれ、ウェブサイトに商品をリスト化して元の販売業者と接続し、商品がウェブサイトで注文されると注文情報は販売元に伝えられ、販売元から顧客に直接商品を配送する形が広まると思われます。

長所
・在庫設備投資なし
・小売りの配送コストやハンドリングコストの減少
・商品ジャンルの多様化が可能

短所
・多くの販売元のオペレーションやシステムはB2B向け
・顧客体験が販売元次第となる
・将来的に販売元が直接販売することを促す

おわりに

様々なモデルを観てきましたがオムニチャネルにおけるロジスティクス戦略の正解はどれになるのでしょうか。結論を言えば、それぞれの企業によって正解は異なります。これらを組み合わせ、コスト、サービス、顧客体験の観点から最高の解を見つけ出すことが必要なのです。

この記事はEmerging Options for Omni-Commerce Logistics Strategyを海外小売最前線が日本向けに編集したものです。

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