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Eコマースからマルチチャネル、そしてオムニチャネルへ

インターネットをはじめ、最近のコミュニケーション・テクノロジーにおける技術進化はこれまでにない形で小売販売のカタチを変えてきました。しかし、このような商品販売における新しい技術革新に関しては、まだまだ多くの可能性が隠されているとも言えます。

この新しいテクノロジーを利用するにあたって、消費者側の買い物スタイルも変化してきており、特にスピードがより求められるようになってきているのです。従って、これから先は消費者にとってはいつでもどこでも必要な時に簡単に買い物ができるようなシステムも当たり前のようになってくると予測されます。

インターネットが世に出回りだした時代から、情報処理のスピードを最大限活用したEコマースの可能性には大いに期待が寄せられていました。そして10年以上が経った後、流れはEコマースからマルチチャネル(店舗・オンライン・電話)へとシフトしていきました。さらに現在では、世界中の消費者がこれら全てのチャネルが連携された小売販売サービスを求めるようになってきており、それに応えるのがオムニチャネル式販売という訳です。

この新しいアプローチにおいては、消費者はオンラインでネットサーフィンをしながらでも、実店舗で買い物をする場合においても、または電話やソーシャルメディアを通してオーダーする場合にも「サービス」に対する要求値は高く、販売業者側は全てのチャネル間ならびに供給チェーンでの連携を徹底し、スムースなサービスの提供を実践することが求められてきます。

オムニチャネル化の成功例

アメリカ国内小売業界における成長率1位・3位の企業はオムニチャネルに対応しており、小売販売に対する革新的なアプローチならびにオムニチャネルモデルへの迅速な適応の結果、その成長率は目を見張るものがあります。

成長率250%のAlex and Ani

「Alex and Ani」はカーメン・ラファエリアンによって2004年に設立され、オリジナルのバングル、イヤリング、ネックレス、ならびに指輪をデザイン・製造・販売しています。ラファエリアンの父によって1966年に建てられた工場で商品制作をはじめ、現在では40の実店舗とオンラインショップを運営し、年間売上250%アップという決算報告が出ています。

同社の大きな特徴としては、意識の高い企業哲学が挙げられます。Alex and Aniという名前は企業者の2人の娘の名に由来し、長く愛用できて美しいデザインのハンドメイドジュエリーの制作に情熱を注ぎこんでいるのです。同社の商品には幅広いリサーチから得た情報に基づき正確に作り上げられたデザインのシンボルが「プラスのパワー」を宿らせていると言われ、購入者は「それぞれの個性がもつクオリティ」が反映された特殊な力に包まれるということです。全製品が100%アメリカ製で、特別な愛情とプラスのパワーが十分に注ぎ込まれています。
(引用元:Alex and Ani
Alex and Aniのカスタマーサービスは他の追随を許さず、オムニチャネル化した販売スタイルのほかにも、店舗内におけるモバイル端末決済も採用しています。具体的にはMobiquity社と提携してモバイルPOSシステムを採用し、固定式POSシステムとは別に会計を行ったり顧客の質問に答えたりすることが可能となっているのです。ハードウェアのスタイルはiPod半分・モバイル決済システム半分といった感じで現在は各店舗に25台配置されています。これにより、通称「バングル・バーテンダー」と呼ばれる専門スタッフがより素早く適切に買い物客のニーズに応えるサービスを提供できるのです。

Alex and Ani販売実績
2009年の1号店オープン時は年間売上290万ドル
2012年には3年間での成長率3569%となる7980万ドルを達成
2013年の販売実績は2億3000万ドル

成長率341%のユニクロ

日本で最も資産を有する(2014年の資産額176億ドル)柳井 正氏が創設したユニクロは、今やアメリカ国内においてもオンラインショップが急成長を遂げています。

広島で生まれたユニクロブランドは30年後の現在、世界有数の大企業へと成長し、新しいカタチでの小売販売において業界のリーダー的存在となっています。

1985年、広島市袋町に男女兼用のカジュアルウェアを取り扱う「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」として操業を開始し、後に「ユニーク・クロージング」を縮めた「ユニクロ」と名称を変え積極的な店舗展開を行い、その人気を徐々に高めていきました。
(引用元:Uniqlo / Yukiko Matsuoka
今ではユニクロはファスト・リーディンググループの傘下に入り、世界的なカジュアルウェア大手企業であるGAP、H&M、Victria’s Secret、さらにはZaraブランドなどと肩を並べる存在となっています。都市部における第一号店は1998年にファッションの街原宿にオープンし、その後すぐ日本国内において約780店を展開し、後に海外にも進出しました。
2002年には中国、2005年にアメリカに進出したユニクロは、アメリカ国内において着実に店舗展開を進めており、2020年までに200店舗をオープンし販売目標額は100億ドルに設定しています。現在はわずか18店舗で日本の790店、中国の260店には遠く及ばないものの、洋服販売業者がひしめき合うアメリカの市場を考えると十分健闘していると言えるでしょう。

ユニクロは2020年までに成長率20%、総売上高612億の業界最大企業への成長を目指していますが、これまでの実績を考慮すると不可能な目標ではないと言っても過言ではありません。

ユニクロのアメリカ国内オンライン販売実績
年間成長率:341%
2013年販売実績:2200万ドル

マルチ・オムニチャネル化のヒント~考慮しておきたい重要ポイントとは

供給業者・供給チェーンの管理

小売業界は競争の激しいマーケットですので、優れたアイデアを生かして買い物客の流れを確保して販売に結び付けることが必要となってきますが、そのためには良い商品を魅力的な価格でしっかりと配達できるシステムが大前提になってきます。

Eコマースにおいて供給業者の重要性は増す一方で、必要な商品を提供することだけでなく販売店の在庫保持の必要も軽減させる役割を担っています。例えばAmazonは市場における業務パートナーとの提携により商品在庫を購入することなく、掲載商品数を増やすことを実現しています。
ヒント:Eコマース事業を始める前に以下の点が重要となります
1.十分な数のしっかりした商品供給業者と提供を結ぶ
2.供給業者が資金面やオペレーション面での安全であることを確認する
3.供給業者がリアルタイムで在庫状況を提供できることを確認する
4.供給業者が購入商品の迅速な配達サービスを提供できることを確認する

在庫管理倉庫オペレーション

近代オンラインビジネスのカギと言えば、電子コミュニケーションと商品ディスプレイです。しかし、忘れてはならないのが商品を保管し、梱包・出荷までを担当する在庫管理倉庫の重要性です。

これは一見シンプルそうに見えますが、効率的なオムニチャネル企業においては管理倉庫には何千もの商品が保管され、梱包や出荷を担当するスタッフも多く抱えることになるため、大規模企業の中には第三者の運送企業に倉庫管理事業を委託するケースも多くみられます。Amazonの場合はAnchor3PL社などに依頼することによって、Amazon自体は低価格で商品を仕入れたりカスタマーサービスやマーケティングに業務を集中させることが可能になるのです。
ヒント:
1.在庫管理システムなどのテクノロジーを駆使して、どこに商品があるかを常に把握し、効率的に出荷手続きや梱包を行う方法をしっかりと理解する必要があります。
2.繁忙期を把握し、長期休暇のシーズンなどは追加の人員を確保してオーダーの増加に対応しましょう。
3.追跡調査やモニターシステムを整備し、セキュリティー面や信頼性の面において上手に管理することがこのような大規模のビジネスでは必須です。

配送ならびに返品

オンラインショップでのディスプレイやマーケティングが重要であるというのはすでに触れましたが、実際に購入された商品はしっかりと梱包されて間違いなく配達されなければいけません。従って、在庫管理倉庫のマネジメントや配送サービスの充実が必要となってくるのです。

配送は通常外部に委託することが多く、予算に大きな余裕がある場合やFedExやDHLに対抗しようなどという気がある場合以外は、配送会社と提携を結び適切な配送費用を交渉するのが一般的です。この先長くに渡って関わってくるポイントですから慎重に決定しましょう。

配達業者との提携がまとまったら両社間でのシステムをリンクさせ、梱包から配送まで一体化させていきます。配達された商品が気に入らず返品・返金を求められるケースも出てきますが、配送業者に全てを丸投げするのではなく、該当顧客との連絡は自社で行うことになります。
(引用元:Correiooooo! / Doug_Dax
ヒント:
1.自社で配送も取り扱う利点はあまりないので、配送業者を利用しましょう。
2.オンラインショップ~在庫管理倉庫~配達までの流れのシステムの一体化を効率化します。
3.返品に対する対応を適切に行うことで、その顧客がこの先も長く懇意にしてくれる可能性が出てきますので、不満足にさせるような雑な対応は絶対に避けるようにします。

顧客関係管理(CRM)におけるソフトウェアと会社方針

モノを売ることを考える前にまず取り組まなければならないことは、どのように顧客に上手に対応しリピーターになってもらうかということで、ここに顧客関係管理(CRM)が関わってくるのです。CRMとは一般的にはソフトウェアのタイプを指しますが、ここではどのようなカスタマーサービスを展開するかに関する会社方針をまとめてこう呼びます。

CRMの基本は「顧客中心」であり、かみ砕いて言うならば「小売業者が行うこと全ては顧客のためである」という事です。例えば購入パターンを把握して最も適切な商品をおすすめしたり、購入履歴や興味の対象、主な購入チャネルを記録したりして少しでも多く顧客のことを知るという事が大切になってきます。

その後になってはじめて、分析したデータを基にカスタマーケア部門、管理倉庫部門、さらに配送業者や決済部門まで、全ての担当部署で顧客の細かな情報を共有できるようにする必要があります。

ヒント:
1.CRMはソフトウェアを指すだけではなく、顧客対応における会社方針を含みます。
2.顧客情報をできるだけ多く収集することで「顧客中心」のサービスを言葉だけでなく常識として実践することができるようにします。
3.顧客サービス担当部署などといった概念は捨て、Eコマースにおいてはどの部署においても顧客の情報を共有し、必要に応じてその場で対応することが必須となってきます。

Eコマースカタログと商品ディスプレイ

多くの業者が力を入れるオンラインショップでの商品カタログは確かに重要ですが、これまでの流れからも分かる通り、Eコマース店舗ビジネスにおいてはほんの一部にしか過ぎません。

ヒント:
1.オンラインショップのデザインは凝り過ぎないようにします。最も重要なのは商品ですから、商品が際立つように工夫しましょう。
2.予測分析によって、ユーザーの行動傾向やその時にどのような商品を購入する可能性があるかといったところを明らかにします。常に消費者はオンラインで検索をしているものだという事を頭に入れオンラインショップを最適化して、探し物があるときには検索をしようとする気になるようなシステムを構築しましょう。その際に検索システムが正常に機能することを徹底し、商品発送が済んだ後も商品到着までは常にどの配達段階にあるのか調べることができるようにする必要があります。

マーケティングと会員プログラム

定期的に購入をするリピート客の獲得は特にオムニチャネル小売では簡単ではなく、消費者は最安値で質のいい製品が購入できれば購入先はほとんど気にしないものです。しかし、ブランドイメージ戦略を徹底し、会員プログラムを工夫することで顧客獲得に効果を発揮させることが期待できます。
例)商品購入者にポイントを与えるシステムは、購入者も悪い気はしませんし、顧客獲得・維持につながります。
また、家族や友人とシェアできる割引券や景品などを提供することも、顧客が特別な扱いを受けているとの認識を与えることができ効果的です。

さらに現在はソーシャルメディア全盛の時代ですから、購入者に商品を自分のソーシャルメディアページ上で宣伝してもらい、それと引き換えに景品や割引を提供するのもいいでしょう。場合によっては「ありがとうございました」の一言でも大きな意味を持つことがあります。

商品のマーケティングに関しては非常に多くの種類が利用できますが、それぞれ異なった特徴がありどれもが効率的であるとは限らないため、「検索エンジン最適化と購入に結び付いた検索結果」、「Eメールマーケティング」、「ソーシャルメディア」、「ブランド戦略」のエリアにターゲットを絞ると効果的です。
この記事はThe future of Retail. Ecommerce to Multichannel to Omnichannel.を海外小売最前線が日本向けに編集したものです。