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オムニチャネルでカスタマーサービスの質が向上した7つの事例

近年では、テクノロジーの進歩と共に、我々の日常生活の中にインターネット接続デバイスがより多くあふれてきていますが、テクノロジー自体もよりリアリティーの高いものとなる中で、現実とオンラインの世界の区別が付けづらくなっているほどです。

このような状況に影響されることで消費者の行動傾向も変化することは必然的ですので、マーケティングを行う側もそれに合わせた対応が求められてきます。例えば単にデスクトップパソコン、携帯端末、タブレットなどの違いごとに個別対応するのではなく、それらを連携させたオムニチャネルのスタイルでのアプローチが必要となってくるのです。

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オムニチャネルとは?

基本的にはオムニチャネルとは複数の販売チャネル間で統一したサービスを提供することを目的とします。デスクトップパソコンで買い物をしても電話や実店舗で買い物をする場合でも、消費者には常に同じレベルのカスタマーサービスの提供を実施しようという具合です。

ただ、ここで重要なのは「オムニチャネル」と「マルチチャネル」を混同しないことです。つまりオムニチャネルサービスはマルチチャネルを用いて展開しますが、マルチチャネルでのサービスを提供するときに必ずしもそれがオムニチャネルであるとは限らないのです。あくまでもモバイル機器、ソーシャルメディア、ウェブサイトなどが連携して効果を発揮するのが「オムニチャネル」なのです。

マルチチャネルサービスには今日では多くの企業が力を入れており、ウェブサイト、ブログ、Facebook、そしてTwitterなどが代表的です。しかしこれらの各販売チャネルが独自にカスタマーサービスの提供を実施するだけで、チャネル間の連携はあまり見られません。

一方でオムニチャネルでのアプローチでは各チャネル間の連携を中心に企業と消費者がつながっていく形になり、そこで得られた情報を有効にカスタマーサービスに還元していく事が出来るのです。このシステムでは企業の達成目標やブランドイメージといった点がチャネル間でしっかりと統一されているのも特徴です。

これらの点を踏まえて、ここでは実際にどのようにオムニチャネルサービスを取り入れていくべきか、オムニチャネルサービスをすでに効果的に採用している企業の例を挙げながら掘り下げて見ていきます。

オムニチャネル戦略の構築

オムニチャネルといっても各企業によってその形は様々ですが、基本的には会社内の各部署間での連携を徹底させることが重要です。具体例としては以下の部門が挙げられます。

最終決定権を持つ重役クラス
IT部門
マーケティング部門
カスタマーサービス統括部門
接客部門

ここでは、まずは各部門がしっかりとオムニチャネルサービスにおける達成目標を理解することが大切です。これらの部門の協力を早い段階で徹底することができれば、その後の過程をスムースに進めることができるようになるのです。

partnership 繰り返しますが、オムニチャネルサービス戦略成功のカギは各販売チャネル間の質の高い連携を実現させるかどうかにかかっています。

今の時点ではオムニチャネルサービス自体が発達段階にあることも考慮して、まず小さい規模で始めつつ将来的に規模を拡大していくというアプローチが現実的です。そこで最初の一歩を踏み出す上で参考となる実例を次から見ていきましょう。

オムニチャネルサービスを効率的に活用する7社から学ぶ

オムニチャネルのカスタマーサービスについては机上論理を展開するのは簡単ですが、実際に採用するとなるとそれほど簡単にはいきません。そこでここでは実際にオムニチャネルを有効活用している企業を紹介しつつ、参考にしていきたいと思います。

1)ディズニー

ディズニーは非常に細部にわたるまでオムニチャネルを有効活用しています。代表的なのはビジュアルに訴えかけるモバイル機器対応ウェブサイトで、来園の計画を立てる上で便利なページもモバイル機器に対応しているというのは非常に珍しいことです。

具体的に見ていくと、入場券を予約したあとで「My Disney Experience」というツールを使ってレストランの予約や列に並ばずに済むFast Passの購入が可能です。また、園内ではアトラクションの場所表示はもちろん、待ち時間も確認することができます。
加えて、Magic Bandプログラムというシステムではアプリをホテルの部屋のカギの代わりに使ったりディズニーのキャラクターと一緒に撮った写真を保存するだけでなく、食事のオーダー用のツールとしても使えます。

これこそまさにオムニチャネルサービスの真髄で、その上手な活用の仕方はさすがディズニーと言えます。

2)Virgin Atlantic

ある人がVirgin Atlanticのオムニチャネルサービスについてその経験談を話していたことがあります。

この人物はVirgin Atlanticのスタッフとアポイントメントが突然キャンセルされたことを不満として、カスタマーサービス責任者に抗議の意を示しましたが、その際に「別の部署に連絡するように」などとたらい回しにされるどころか、むしろ社内ネットワークを駆使してアポイントをキャンセルしたそのスタッフの連絡先を教えられ、次回以降は直接連絡が取れるように手配してくれたということです。

このように、お客様からの不満が出た際に他では真似のできないスピードと効率性で問題を解決できるのがオムニチャネルサービスの魅力でもあります。

Virgin Atlanticは間違いなくこの分野の先駆者的存在ですが、その背後には部門間のしっかりとした連携対応できてこそという点を忘れてはならないのです。

3)Bank of America

Bank of Americaもオムニチャネルサービスに力を入れて取り組んでいる企業の一つで、チェックブックの発行や入金作業にはじまりアポイントメントの取り付けに至るまでアプリを通して簡単に済ませることが可能です。

確かにローンの申し込みなど複雑な取引はまだ実際に銀行を訪れたり電話を通して行う必要がありますが、公共料金の支払いなどの簡単な手続きの場合はオムニチャネルサービスを通してその場で終わらせることができるのは利用者にとっては嬉しい限りです。

4)Oasis

U.KのファッションブランドであるOasisはEコマースサイト、モバイルアプリ、そして実店舗を一つにまとめたサービスを展開しています。

例えば、買い物客が店内に足を踏み入れるとスタッフはiPadを利用しつつ正確かつ最新の商品状況を提供できるほか、iPadはそのままレジの機能も持つため店内のどこにいても会計を済ませることができるのです。

万が一店舗に在庫が無い場合でも、その場でオーダーをして後日自宅に直接配送されるように手配することも簡単に行うことができます。

まさにこれこそ質の高いカスタマーサービスの手本と言っても過言ではありません。

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5)REI

ある調査では買い物客の少なくとも43%が店内で携帯電話を使用しているという結果が出ています。従って、もしサイト上では品切れという表示が出ているにもかかわらず店内では販売されているという事があれば、消費者の信頼を得るに当たっては大きな痛手となるのは間違いありません。

そこでREIは店内にタッチ式パネルを設置してリアルタイムかつ正確な商品情報を提供し、顧客満足度の上昇させることでリピーターの獲得を実現させているのです。

6)スターバックス

スターバックスではポイントカードを無料で配布してアプリを通して管理できるよう工夫しています。つまりこれまでのポイントカードと違って、携帯やサイト、店舗内でもポイントをチェックしたりチャージすることができるのです。また登録情報の変更もリアルタイムに全てのチャネルに反映されます。

注文をするため列に並んで待つ間にポイントが足りないとわかったら、その場であっという間にチャージして利用できる、そんな便利なシステムは特筆に値します。

7) Chipotle

レストランで到着前にオーダーをしておいて、着いたころには料理がテーブルに用意されているという便利なアプリがこのChipotleです。携帯デバイスを通してどこからでもオーダーを通すことができ、お気に入りのオーダーを保存しておくことも可能です。
「利用者の便利さを第一に」というオムニチャネルサービスの基本をしっかりと押さえ、シンプルで使いやすいシステムを構築したChipotleから学べるところは多いはずです。
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最後に

現在オムニチャネルサービスは全体的に見て発展途上であることは否めません。また規模の小さい企業にとってはこのサービスの採用はあまり現実的ではないというのも事実です。

しかしこの10年でどれだけテクノロジーが進歩したかを考えると、近い将来必ず企業の規模に関わらず「一歩上のサービス」を実現させるオムニチャネルサービスが幅広く一般化される日が来るのは間違いないと言えるでしょう。



この記事は7 Inspiring Examples of Omni-Channel User Experiencesを海外小売最前線が日本向けに編集したものです。