2013年、小売にとっての重要な三つのポイント
2013年が始まりました。今年の小売業界にとって、どのようなポイントが重要になってくるのでしょうか。アメリカの経済誌フォーブスで紹介された記事を元に、海外事情も踏まえ、三つのポイントから占っていきたいと思います。
これにはモバイル開発業者も同意しています。ソフトメーカーの米Appceleratorと米調査会社IDCの調査によると、93パーセントのモバイル開発業者が2013年にはより多くの小売企業がモバイルコマースに乗り出すことは「ほぼ間違いない」と予測しています。背景にはますます多くの消費者が、実際の店舗においてさえも携帯やタブレットを使うようになっていることが挙げられます。同調査では三分の二の開発業者が2013年には消費者がクレジットカードよりも携帯電話を通じて商品を購入する額の方が多くなると予測しています。
モバイルコンテンツを提供する米Myxerが以下のような調査結果を出しています。
携帯電話とクレジットカードどちらでの支払いを好むかという調査ですが、若い世代ほど携帯電話での支払いを好むという結果が出ています。近い将来この若い世代が消費の中核を担うようになれば、ますます携帯電話での買い物と支払いが増えていくということが予想されます。
マーキンソン氏はオンラインとオフラインの対立という構図から脱却し、それらを統合することが必要であると語ります。
「消費者はそれらを区別しない。買う場所がどこであれ、可愛くて流行りのものをお手頃な価格で買いたいと思うだけだ。自分たちの趣味嗜好を理解してくれるブランドを贔屓にしたがるのであって、ウェブはこれからのファッションブランドにとって密接でなくてはならなくなる」
「今日では消費者はオンラインにもオフラインにも存在する。そして時には店舗でショッピングしながら同時にオンラインにも接続する」とマーキンソン氏は述べます。
オンライン上で情報を共有し、調査し、学ぶことで消費者の目は肥えてきます。オフラインでは実際に商品を触り、商品を比較し、自分が利用した姿を想像します。これらが小売の未来を形作っていくでしょう。オンラインとオフライン双方を利用するパターンを見つけることが重要になってくると思います。
「ソーシャルメディアの影響は2013年も高まっていく。ソーシャルメディアの役割は売上に直結することではなく認知度を高めることにある。ソーシャルメディアからのアクセスはまだ低いが(同社調査によれば5パーセント以下)、例年比では30%増である」
ケグリー氏は消費者の満足度を向上するためのソーシャルメディアを、小売企業は上手に使い始めていると指摘します。米小売のTargetは感謝祭の間、同社についてツイッターでつぶやいた人にギフトカードを配るという試みをしました。「ソーシャルメディアは小売にとって企業の認知度を高めるのにうってつけ。まず認知度を高めることが結果的に商品購入のきっかけとなる」と同氏は語ります。
それでは実際ソーシャルメディアはどのようにオンラインショッピングに影響しているのでしょうか。
RichRelevanceがFacebook、Pinterest、Twitterを比較した調査によると、オンラインショップの流入元としてはFacebookが圧倒的であり、Facebook経由でオンラインショップに入ってきたユーザーが最も多くのページを見ていて、購入確度(コンバージョン率)も高く、1セッションにおける購入額も高いことがわかっています。
先ほども述べたように、企業にとってソーシャルメディアは売上に直結した数字だけでなく認知度を高める点においても評価する必要があります。上記の数字の裏にはこれによりリアル店舗へと流入した売上もあることを頭に入れておかなくてはなりません。
Facebookがソーシャルメディアのトラフィックにおけるシェアを90パーセントに下げた一方で(2011年には95パーセント). Pinterestが昨年比二倍増という調査結果も出ています。
日本語にはまだ対応していませんが、もし日本でもブームが到来すれば小売にとっても無視できないツールとなるはずです。
スマートフォンの普及がこの流れをさらに加速させる可能性は高いと言えます。電子商取引に付随するプライバシーや情報保護の問題に関しても、若いデジタル世代が抵抗なく受け入れる土壌は育ちつつあると言えます。そうなればハードと使い手の両方がモバイルコマースに傾倒していくことは想像に難くありません。
Sociable Labsの調査によるとオンラインショップ上位500件のうち、Facebookのソーシャルログイン機能(ユーザーがFacebookのアカウントを使い簡単に手間なく登録・ログインできる)を採用しているのはわずか30件、つまり6%だけということです。これをもって企業が出遅れているとは断言できませんが、少なくとも選択肢として検討する必要性はあると言えます。
またソーシャルメディアの爆発的拡大と移り変わりは周知の事実ですので、新たなるソーシャルネットワークの登場とその利用価値についても注視する必要があります。
お気づきのようにこれら三つの要素はそれぞれが独立したものでなく、密接に関わり合ったものです。
店舗で商品を物色しながら片手には携帯電話を持ち、ソーシャルメディアで友人と情報交換し、そこからアクセスしたオンラインショッピングサイトで価格比較したりクーポンを探し、モバイル決済するという買い物姿は決して未来の姿ではなく、今見えつつある姿です。広い視野、先を見据える力を持って業界の現状と将来を見る必要があると言えます。
三つのポイント
モバイルコマースの拡大
全米小売業協会の機関紙STORES Mediaの編集長スーザン・レーダ氏はこう述べています。「2012年はモバイルが消費者の生活に浸透した年として記憶されるだろう。そしてそれは小売企業にとっても同じことである」これにはモバイル開発業者も同意しています。ソフトメーカーの米Appceleratorと米調査会社IDCの調査によると、93パーセントのモバイル開発業者が2013年にはより多くの小売企業がモバイルコマースに乗り出すことは「ほぼ間違いない」と予測しています。背景にはますます多くの消費者が、実際の店舗においてさえも携帯やタブレットを使うようになっていることが挙げられます。同調査では三分の二の開発業者が2013年には消費者がクレジットカードよりも携帯電話を通じて商品を購入する額の方が多くなると予測しています。
モバイルコンテンツを提供する米Myxerが以下のような調査結果を出しています。
携帯電話とクレジットカードどちらでの支払いを好むかという調査ですが、若い世代ほど携帯電話での支払いを好むという結果が出ています。近い将来この若い世代が消費の中核を担うようになれば、ますます携帯電話での買い物と支払いが増えていくということが予想されます。
オンラインとオフラインの統合
消費者直結型靴販売のSole Societyのブレット・マーキンソン氏は「次世代のイーコマースとして注目される消費者直結型モデルは、オートクチュールをデジタル世代に浸透させることの序章に過ぎない」と語っています。マーキンソン氏はオンラインとオフラインの対立という構図から脱却し、それらを統合することが必要であると語ります。
「消費者はそれらを区別しない。買う場所がどこであれ、可愛くて流行りのものをお手頃な価格で買いたいと思うだけだ。自分たちの趣味嗜好を理解してくれるブランドを贔屓にしたがるのであって、ウェブはこれからのファッションブランドにとって密接でなくてはならなくなる」
「今日では消費者はオンラインにもオフラインにも存在する。そして時には店舗でショッピングしながら同時にオンラインにも接続する」とマーキンソン氏は述べます。
オンライン上で情報を共有し、調査し、学ぶことで消費者の目は肥えてきます。オフラインでは実際に商品を触り、商品を比較し、自分が利用した姿を想像します。これらが小売の未来を形作っていくでしょう。オンラインとオフライン双方を利用するパターンを見つけることが重要になってくると思います。
高まるソーシャルメディアの重要性
米コンサルタントのRichRelevance主任研究員のダイアン・ケグリーはこう語っています。「ソーシャルメディアの影響は2013年も高まっていく。ソーシャルメディアの役割は売上に直結することではなく認知度を高めることにある。ソーシャルメディアからのアクセスはまだ低いが(同社調査によれば5パーセント以下)、例年比では30%増である」
ケグリー氏は消費者の満足度を向上するためのソーシャルメディアを、小売企業は上手に使い始めていると指摘します。米小売のTargetは感謝祭の間、同社についてツイッターでつぶやいた人にギフトカードを配るという試みをしました。「ソーシャルメディアは小売にとって企業の認知度を高めるのにうってつけ。まず認知度を高めることが結果的に商品購入のきっかけとなる」と同氏は語ります。
それでは実際ソーシャルメディアはどのようにオンラインショッピングに影響しているのでしょうか。
RichRelevanceがFacebook、Pinterest、Twitterを比較した調査によると、オンラインショップの流入元としてはFacebookが圧倒的であり、Facebook経由でオンラインショップに入ってきたユーザーが最も多くのページを見ていて、購入確度(コンバージョン率)も高く、1セッションにおける購入額も高いことがわかっています。
▲ソーシャルメディアからオンラインショップに流入したユーザーのデータ
(引用元:All Facebook『INFOGRAPHIC: Facebook Dominates Referral Traffic To Retail Sites; Pinterest Users Spend More』)
一方でcomScoreの調査によると、各ソーシャルメディアでユーザがフォローしているオンラインショップの平均アカウント数は、Pinterestは9.3アカウント、Twitterは8.5アカウント、Facebookは6.9アカウントとなっています。(引用元:All Facebook『INFOGRAPHIC: Facebook Dominates Referral Traffic To Retail Sites; Pinterest Users Spend More』)
先ほども述べたように、企業にとってソーシャルメディアは売上に直結した数字だけでなく認知度を高める点においても評価する必要があります。上記の数字の裏にはこれによりリアル店舗へと流入した売上もあることを頭に入れておかなくてはなりません。
《Pinterestとは?》
Pinterestという日本ではあまり馴染みのない名前がありますが、これは米国発祥のソーシャルメディアで、ウェブ上で見つけた気に入った写真や動画を、自分のページに貼り付け、他のユーザーと共有することができます。Facebookが自分の大事な人とつながるものだとしたらPinterestは『同じものに情熱を持っている人たちをつなげる』という特徴があります。他のビジネスの収益増加を手助けできる可能性があり、TwitterやYahooなどと比べても多くの外部サイトへのトラフィックがあると期待されています。Facebookがソーシャルメディアのトラフィックにおけるシェアを90パーセントに下げた一方で(2011年には95パーセント). Pinterestが昨年比二倍増という調査結果も出ています。
日本語にはまだ対応していませんが、もし日本でもブームが到来すれば小売にとっても無視できないツールとなるはずです。
日本におけるこれから
以上三つの点から2013年のトレンドを紹介してきました。この傾向は日本ではどのように結びつくでしょうか。モバイルコマースの拡大
モバイルコマースは日本でも年々着実に市場を広げています。
▲モバイルコンテンツ/コマース市場規模(2007年〜2011年)
(引用元:総務省『モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果』)
《2012年7月20日総務省調べ》(引用元:総務省『モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果』)
スマートフォンの普及がこの流れをさらに加速させる可能性は高いと言えます。電子商取引に付随するプライバシーや情報保護の問題に関しても、若いデジタル世代が抵抗なく受け入れる土壌は育ちつつあると言えます。そうなればハードと使い手の両方がモバイルコマースに傾倒していくことは想像に難くありません。
オンラインとオフラインの統合
これはО2О市場として日本でも注目されています。О2О市場については昨年12月のブログ「O2O市場の拡大と見えてきた課題」でも詳しく述べましたが、両者を対立するものとして競争するのでなく、互いが既に分かち難いものとして歴然として存在していることを認識し、むしろ互いの長所を結びつけることがこれから必要となるでしょう。
高まるソーシャルメデアの重要性
博報堂DYホールディングスの調査によるとスマホユーザーの内67パーセントがスマホを買い物に利用し、そのうちトップの57パーセントがソーシャルメディア上の口コミを見ています。ソーシャルメディアはオンラインショッピングにおいてプラットフォーム的な役割を強めていくと思われます。Sociable Labsの調査によるとオンラインショップ上位500件のうち、Facebookのソーシャルログイン機能(ユーザーがFacebookのアカウントを使い簡単に手間なく登録・ログインできる)を採用しているのはわずか30件、つまり6%だけということです。これをもって企業が出遅れているとは断言できませんが、少なくとも選択肢として検討する必要性はあると言えます。
またソーシャルメディアの爆発的拡大と移り変わりは周知の事実ですので、新たなるソーシャルネットワークの登場とその利用価値についても注視する必要があります。
お気づきのようにこれら三つの要素はそれぞれが独立したものでなく、密接に関わり合ったものです。
店舗で商品を物色しながら片手には携帯電話を持ち、ソーシャルメディアで友人と情報交換し、そこからアクセスしたオンラインショッピングサイトで価格比較したりクーポンを探し、モバイル決済するという買い物姿は決して未来の姿ではなく、今見えつつある姿です。広い視野、先を見据える力を持って業界の現状と将来を見る必要があると言えます。
この記事はForbesの記事をOrange Blogが日本向けに編集したものです。