Eビジネスを推進するORANGEシリーズ

EC-ORANGE
お役立ち資料ダウンロード ニュースレター登録

インターネット広告は新時代へ。オンラインとオフラインの融合で変わる広告配信


インターネット広告は、生活スタイルの変化によって急速に市場規模を拡大させています。



数年後にはさらに伸長すると予測されていますが、Googleのサードパーティcookie廃止に合わせた新しいかたちの広告出稿を検討する必要があるなど、来たる時代に合わせた「変革」もまた求められています。



これからのデジタル広告は、5Gの台頭、動画プラットフォームの普及によってますます動画広告の重要性が高まっていくと考えられています。



また、DX化によって「個人を特定しないかたち」でのデータ収集とその活用がカギになるでしょう。



本記事では、2020年度のインターネット広告市場規模を振り返るとともに今後の拡大傾向について解説しています。



また、リターゲティング広告に代わる新たなかたちの広告を目指すためのデータ連携、オムニチャネルとして広告をとらえることで展開できる可能性についてもお伝えします。



インターネット広告市場の動き



ひと昔は広告といえばTVや雑誌のイメージが強かったかもしれませんが、ここ数年はインターネット広告の市場規模が右肩あがりで伸びています。



特に、ネットとつながったTVであるコネクテッドTV、YouTubeやTikTok等の動画配信プラットフォームでの広告出稿が増えています。



2020年度のインターネット広告市場規模は、2兆1,290億円といわれています。これは、前年比7.4%増の数字です。さらに、2021年度は前年度比14.5%増と予測されていて、金額は2兆4,370億円に達するといわれています。



2018年度以降、インターネット広告出稿額は増加傾向にあります。



コロナウイルスの流行によって家で過ごす時間が増えたこと、多くの人がスマホとタブレット、PC等複数のデバイスを活用するようになったことで、2024年度には3兆2,740億円に達するという見通しもあり、今後もインターネット広告は拡大を続けていくと考えられています。



EC市場の伸長とともにインターネット広告市場も拡大



インターネット広告市場が拡大してきた理由には、EC市場の伸びも関係しています。



2020年度はステイホームの年であり、巣ごもり需要で通販利用が大きく増加した年でもありました。外出自粛の傾向が全世代で強まり、今まで通販利用が進んでいない年齢層もEC市場を利用するようになり、結果としてインターネット広告の需要も大きくなっていきました。



首都圏のシニア層に限っては、約8割がスマホを利用しているというデータもあり、多くの人が「ネットで情報を得る」という時代に突入しているといえるかもしれません。これまでTV広告を利用していた企業が、ブランドイメージの向上や企業イメージの向上を目的とするインターネット広告を出稿するケースも増加しています。



動画広告の増加も特徴的



インターネット広告で特に急成長を見せているのが、動画広告です。



動画は、文字の5,000倍の情報を伝えられるという説もあり、文字のみ、画像のみの広告よりもさらに高い効果をもつと考えられています。



また、YouTubeやTikTokといった動画コンテンツのプラットフォームが人気となり、多くのネットユーザーは文章よりも動画を身近に感じる傾向にあります。



以前であれば大きなデータである動画は、スムーズな再生に問題がある通信環境も少なくありませんでした。ですが、高速通信が可能になった5Gの台頭により、動画コンテンツの再生はより快適になっています。



再び問われる広告の意味



インターネット広告という新しい広告媒体が急成長を遂げたことにより、私たちは再び「広告とは何か」という点についても再考する必要がありそうです。



検索やcookie依存からの脱却



Googleは、2023年にサードパーティcookieの廃止を発表しています。廃止自体は2022年から一度延期されたかたちですが、すでにAppleは2020年3月にSafariにおけるサードパーティcookie廃止を実行しており、cookieに依存する広告からは脱却する時期がきているとみて間違いありません。



cookieとは、ユーザーがサイトを訪れた時の情報を一時的に保存しておく仕組みで、これ自体が悪質というわけではもちろんありません。



cookieは、サイトの利便性を高めるために開発された仕組みであり、ユーザーを困らせるシステムというわけではないのです。



しかし、サードパーティcookieはユーザーの訪問サイトとは異なるドメインが発行したデータであり、ユーザーの意図しないかたちで活用される可能性があります。



例えば、Aというサイトで検索したアイテムが、まったく別のBやCというサイトで広告として出現する、こうした現象はプライバシー保護の観点から問題視され廃止という方向に舵を切っています。



cookieを取り巻く環境や人々の感じ方が変化したことで、インターネット広告は次の段階へ進むことを促されているといえます。



■関連記事:サードパーティーcookie制限から考えるマーケティングのあり方



リターゲティング・リマーケティング広告を捉え直す必要性



サードパーティcookieを利用したリターゲティング広告、リマーケティング広告は法的にも技術的にも難しくなります。



サードパーティcookieは個人情報とみなされない時代もありましたが、近い将来に法案が改正され、施行されると、cookie等の識別子は個人情報の一部と位置づけられる可能性があります。



本人の同意なしに個人情報を収集できないとなれば、「個人情報の一部」と位置づけられたサードパーティcookieを利用したリターゲティング広告も見直しが必要になります。



また、さまざまな情報データを管理するプラットフォームであるDMP(Data Management Platform)についても注意が必要です。



令和4年に改正が予定されている「個人情報保護法」では、提供先で個人情報とみなされるDMPに関しても規制されると予想されています。



これにより、「外部DMPからデータを購入して、自社データと紐づけて連携すること」は、技術的・法的な規制によって実施不可となる可能性が指摘されています。



また、「パブリックDMPを使って顧客を可視化すること」も、法的に実施不可となる可能性があります。



なお、自社データだけを使うファーストパーティDMPは引き続き利用できます。



ただし、AppleがITP機能を使ってサードパーティcookieをブロックしたことで、Safariではすでに閲覧ベースでのリターゲティング広告は技術的にできなくなっています。



日本での法改正はまだ先かもしれませんが、リターゲティング広告・リマーケティング広告についての認識をアップデートする時期は今と考えて良いかもしれません。



広告出稿側の責任も明確化



消費者庁は、2021年6月にアフィリエイト広告等に関する検討会をスタートさせ法整備を視野に入れて動いています。



広告で特に気をつけなければいけないのは、「景品表示法」です。事実よりも著しく商品を良く見せる優良誤認表示や根拠の乏しい品質ランキングNo.1等の有利誤認表示は、いずれも景品表示法において禁止されています。



また、アフィリエイターが誇大広告を行なった場合、アフィリエイターではなく企業にも責任が生じます。



消費者庁では、化粧品に関する虚偽・誇大アフィリエイト広告に注意喚起を行い、「景品表示法」に基づく措置命令を出しました。インターネット広告をどのように運用していくかといった課題については、今後の法規制についても注視しながら進めるべきです。



新しい広告出稿は、個人を特定できない仕組みでどのように行うか、それがポイントになります。



これを解決する鍵となるのがDXです。







広告もオンラインとオフラインの垣根を超える



従来の広告は、雑誌広告や新聞広告といったオフラインと、インターネット広告等オンラインに分けて考えられていました。



しかし、リアル店舗と通販事業にOMOの概念が浸透し進化していったように、広告にもOMOが今や求められています。



OMOという概念は、リアル店舗の強み(商品を試せる、対面接客できる)とECの強み(立地と営業時間に縛られない販売が可能になる)を合わせた新しい売り方、在庫管理の仕方を実現しています。



これと同様に、広告にもOMOの考え方が必要とされています。



オムニチャネルの一部としての広告の役割



例えば、広告をオムニチャネルの一部として捉えることも「新しいインターネット広告」のひとつです。



オムニチャネルの要は、顧客との接点を複数作って購買経路を意識せずとも購入に至ってもらうための仕組み作りですが、これを企業として活かすためには効果的なデータ収集が不可欠となります。



顧客の行動は、リアル店舗でもECでもその一挙手一投足が貴重なデータとなり得ます。



リアル店舗でいえば、購入履歴や来店頻度だけでなく、売り場の立ち寄り、滞留時間、手に取っても買わなかった商品の一覧等も重要です。



これとECにおけるカゴ落ち商品、閲覧履歴等を組み合わせることで多角的な分析が可能になり、売上UP、現場改善等に役立てることができます。



そして、こうしたデータを基にデジタル広告配信を行うのが、オムニチャネルの一部として広告を用いる手法のひとつです。



店頭の購買データをインターネット広告配信と関連づけることで、より訴求力のある広告を多くの消費者に届けることができるはずです。



店舗の動線データ、アプリ、LINEを活用



世界のショッピングトレンドも、よりパーソナルな方向へと向かっています。



個人が特定されない広告配信のあり方がマストになっているのにパーソナル化する、というのは一見矛盾しているように感じられるかもしれません。



ですが消費者データを大量に収集してビッグデータ化、さらにデータに基づいて顧客にとって利便性の高い購入スタイルを提供できるなら、それは不可能ではないのです。



前述したように、顧客データにはリアル店舗での購入プロセス(入店、商品を見る、よりよく見るために滞留する、試す、購入等)と、ECでの購入プロセス(商品の比較検討、レビューチェック、商品関連の動画コンテンツ視聴、カゴ投入、再考、購入等)が取得され、適切に分析されなければなりません。



リアル店舗では動線分析ツール等を導入することで、顧客の行動データを取得したり多様なセグメントに切り分けて分析することが可能になります。



また、アプリやLINEを使うことで効果的に顧客データを取得できる場合もあります。動線分析ツールには、来店時にLINEのQRコードによって個人認証を行うことでOne To Oneレコメンドにつなげる仕組みが搭載されているものもあります。



また、アプリやメールによって帰宅後のレコメンドもOne To Oneで行うことができます。



パーソナルな購買行動は広告配信の前後が決め手に



次世代のパーソナルな購買行動を実現するには、適切なターゲティングによるインターネット広告配信、広告視聴後の行動といったアクションを的確に把握していくことが重要になります。



オムニチャネルとして広告を捉える第一歩は、購買データを使って適切なターゲットに広告を配信することです。



そして、ターゲットが広告を視聴した後の行動を収集、分析することも重要です。広告を視聴したユーザーは、来店するのかECを利用するのか、また商品を購入したのかしないのか、これら一連の行動が紐づけられることで広告はオムニチャネルの一部として活用できるのです。来店時の動線データも組み合わせることで、次第に広告ターゲットの絞り込みは精度を増していくと想定されます。これを追及していくことで、事業成長戦略としてデジタル配信を捉えることも可能になるでしょう。



サードパーティcookieに頼ることなく真に効果的な広告出稿を考える、それはDX化とも深く繋がっています。