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PayPalに続きアマゾンも「mPOS(モバイル決済)」で実店舗展開へ

2013年12月18日

このたびアマゾンはモバイル決済システムを取り扱うGoPago社の買収を発表し、モバイル商業スペースに対する同社の強い関心が改めて明らかにされると同時に、PayPalやeBayといった大手他社との競合への参入に対する意向も浮き彫りとなりました。

アマゾンの発表によると、これまで消費者側にはモバイルウォレットのアプリを、また販売側にはモバイルPOSシステムを提供してきたGoPago社の持つモバイル決済の技術を駆使した「大掛かりな」プロジェクトを現在進行中とのことです。

フロリダ州マイアミにあるRetail Systems and Research社の業務執行担当であるポーラ・ロゼンブラム氏は「アマゾンがPOSシステムを提供できるようになれば、特に小規模の業者にとってはかなり強力なオプションとなるはずです。」と話します。

また彼女は次のようにも述べています。

「すでにPayPalとの競合は開始されているのが見て取れますし、これからも加速していくでしょう。商業的視野で見てアマゾンがPayPalの価格を下回るサービスを展開してくるのは間違いありません。」

「このような薄利多売的な手法はアマゾンの専売特許ですから、このマーケットで主導権を握るためにはどんな手段も辞さない姿勢で臨んでくるはずです。」

GoPagoとは

GoPagoはiOSのスタートアッププログラムならびにアンドロイド対応アプリで、消費者が店舗で実際に商品を受け取る前に支払いを済ませることの出来るシステムです。

創設者は当製品を開発するために2009年にシリコンバレーに移住してきたイタリア人で、創設初期にはJPモルガン・チェースグループも投資者として名を連ねていました。

Square Registerや NCR Silverなどのライバルと並んで、小売業者を対象としたモバイル決済システムのサービスを提供してきたGoPago社を傘下に収める事で、アマゾンはモバイルPOS決済の分野においても独自の展開が可能となりました。

ボストンにあるYankee Groupのアナリスト、ジョーダン・マッキー氏は
「GoPagoがクラウドを活用したPOSを取り扱ってきたという事実とKindleが急速な発展を遂げているアマゾンの現状を考えると、近いうちにアマゾンから新しいPOSサービスが登場したとしても不思議ではありません。」と話し、
「GoPago社は独自ではあまり成功を収められませんでしたが、アマゾンが舵取りを行うことで既存のリソースをフル活用してより価値のあるサービスを提案することができる可能性を秘めています。」と続けています。

アマゾンの戦略

これまでのところアマゾンはモバイル商業スペースにおいては比較的静かな動きをいくつか見せてきました。

例えば幾つかのサイトは同社の「アマゾンで買う」ボタンを取り入れており、Gogo社の機内Wi-Fiアクセスサービスもそのうちの一つです。このように同サービスの購入がアマゾンのシステムを通して行うことが出来るというのはPayPalの「ワンクリック決済」サービスに大変似ています。

この他にもアマゾンのアプリショップを通して購入したアプリにはアプリ内決済システムが内蔵されていたり、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通して第三者が自分のアプリ内でアマゾン製品の販売をすることも可能にしています。

これによりアプリのユーザーもアンドロイド対応アプリを通して膨大な在庫を誇るアマゾン製品の数々を購入することが出来るようになり、支払いも簡単なワンクリック決済で済ませられるほか、アマゾン・プライム配送サービスなどにもしっかり対応しています。

モバイルコマースの拡大

一方でPayPalも先頃モバイルアプリ開発と製品環境を提供するStackMob社のエンジニアチームの買収合併を発表しました。このことでPayPalとしても将来的なモバイルウォレットや決済サービスにおける機能性の向上が可能となったのです。

モバイル決済マーケットでは販売側ならびに消費者側において非常に多くの企業がしのぎを削っている現状ですが、このような吸収合併が続く中でひとつの強力な企業が生まれてくることになるのかどうかが注目されるところです。

前出のマッキー氏は「現在、Eコマースからスタートした企業の多くが実世界への展開を目論んでいます。PayPalは急速に実店舗における存在感を増してきており、アマゾンもここにきて同様の動きをみせています。」と話します。

さらに同氏は「Shopifyまでもが今年始めにPOSシステムを用いた店舗内展開に照準を当て始めましたし、アマゾンのような企業は実店舗への進出を通して複数の商業分野形態における影響力と存在感の拡大を狙っているのです。」と続けます。
GoPagoの買収によってアマゾンは強力なサービスの提供を展開してくるでしょうが、それが販売側と消費者に支持されるようなものであることが第一です。

というのも、消費者は未だに個人情報や支払いに関する情報を異なるウォレットサービスプロバイダに登録することに抵抗がありますし、このように消費者に浸透していないプログラムは販売側もなかなか採用に踏み切れないのが実情なのです。

Forrester社のリサーチによると、北米のオンライン消費者のうち23%がアマゾンのデジタルウォレット・サービスを信頼できると答え、38%はPayPalを信用できると答えています

ノースカロライナ州、シャーロットにあるCarlisle & Gallagherグループで消費者の購買経験などの研究を主導するDrパトリシア・サーム氏によると「モバイルコマースにおける市場競争はマラソンのようなもので、まだレースは始まったばかりです。アマゾンはモバイル決済分野において優れた人材を数多く採用していますし、CEOのジェフ・ベソスは自分が信じたアイデアはとことんやり抜くタイプです。」ということで、
「アマゾンとしては購買行為の全ての段階で支配権を握りたいところですし、消費者がいつでもアマゾンで購入が出来るようなシステムを確立させたいのです。」

「ですから自社の力でこれら両方を可能にさせようというのはもっともな流れです」とも述べています。

この記事はAmazon follows PayPal into mPOS for in-store presenceをOrange Blogが日本向けに編集したものです。