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現代のトレーサビリティの確保はどのように行われているのか

最近ではあまり耳にしなかったトレーサビリティという言葉ですが、IT分野の発展とともに、これまでとはまた少し異なる形でこのトレーサビリティが注目を集めつつあるようになってきました。ニュースなどではよく耳にしていたこのトレーサビリティは、最初はどのように扱われ、そして今はどのように使われるようになっているのでしょうか。

今回はこのトレーサビリティが、従来の分野のみならず、ITやECの分野でどういった意味として扱われているのかについてご紹介します。
  • 流通分野では今や基本となったトレーサビリティ
  • ITにおけるトレーサビリティチェックの登場
  • 新しい運送手段とトレーサビリティ

一般的なトレーサビリティの意味

トレーサビリティは日本語に直すと追跡可能性とも呼ばれる単語で、主に流通分野で多用されています。世の中の生産と消費は流通があってこそ成立するシステムですが、その生産物が消費者の元に届けられるまでの経路、あるいは廃棄されるまでの経路を追跡できる状態、可視化できる状態にしておくことをトレーサビリティの確保と呼びます。

流通では常識のトレーサビリティ

トレーサビリティをはじめとする流通経路への注目は、当初は食品業界が発端となりました。20世紀末ごろからの有機野菜人気の高まりや、遺伝子組み換え作物の登場、そしてBSE問題や食品偽装・産地偽装問題の噴出から、消費者による生産者や流通経路への不信感を覚え始めたことで、各分野で自発的に流通経路の透明化、つまりトレーサビリティの確保に乗り出したのです。
現在では食品のみならず、工業製品や電化製品など、あらゆる分野の流通において、トレーサビリティの確保はスタンダードな取り組みとなりました。

どのようにして追跡するのか

では実際にどのように追跡可能性を確保していたかというと、基本的には対象の製品そのものと、製品を作るための部品・材料の流通履歴を確認できるようにすることが重要でした。その確認方法は、主にトレースフォワード・トレースバックの二種類に分けられます。
トレースフォワードは対象製品の製造過程に問題が見つかった場合、その問題が生じた箇所(例えば製品の部品不良)をピンポイントに特定し、不良を伴っていると思われる製品を回収するために用いられるシステムです。トレースバックは製品の出荷後に問題が発覚した際に用いられる方法で、問題が発覚した時点から時系列にさかのぼって原因を特定します。消費者の手元に渡ってから不良が確認された場合、きちんとトレーサビリティが確保されていれば、どの段階で問題が生じていたのかをスムーズに確認することができるため、ロットナンバーや製造工場を特定し、無駄のないスムーズな不良品回収と現場の改善を行うことができるようになるわけです。

逆を言えば、トレースフォワード・トレースバックがスムーズにいかない場合はトレーサビリティが確保されているとは言えず、流通経路の改善・見直しを図るべきタイミングということができます。トレーサビリティは取り組む人間のさじ加減でいくらでも調整が可能で、やろうと思えば改ざんなどの逸脱行為も容易にできてしまう側面も持っています。
だからこそトレーサビリティの確保はその企業の信頼性を確かめる上で重要なのであり、徹底したトレーサビリティの確保はブランドの信頼感に直結する取り組みと言えるでしょう。

ITにおける「新しいトレーサビリティ」とは

これまでは流通における追跡可能性を指していたトレーサビリティですが、近年ではIT分野においてもトレーサビリティという言葉が使われるようになりつつあります。ITにおけるトレーサビリティもまた、これまでの流通で使われていた意味と同様に追跡可能性を指しているのですが、この場合は「トレーサビリティチェック」と呼ばれ、主にシステム開発の面で品質管理の一環として行われる開発工程の可視化です。

トレーサビリティチェックについて

例えば設計書が完成した時点で、その設計が要件をきちんと満たしているかをチェックしたり、コーディングの際に要件通りの定義づけがきちんと行われているかを確認するなど、開発の際の各段階ごとに、軸がぶれないよう逐一「突き合わせ」を挟むことで、当初の設計から成果物が離れてしまわないよう取り組みがなされています。

追跡可能性という意味では流通分野で行われていたのと同様に、トレースフォワード・トレースバックが行えるよう、工程の管理を行うことも欠かせません。たとえ流通のように物質的に製品が上流から下流まで流れていかなくとも、システム開発のような案件では正しく仕様書通りに制作されているかどうかが全てになるため、従来の工業製品同様、開発プロセスを上から下まで管理し、少しのミスも見落とさない管理体制を維持することが求められているのです。

ECでのトレーサビリティへの注目

近年になって活発化・巨大化しつつあるEコマース分野においてもトレーサビリティは重要な役割を果たします。ECの分野で注目されるトレーサビリティは、主に宅配の分野に集中しています。

注目の集まる運送業者の対応

BtoB、BtoC、CtoCのいずれの場合でも、電子商取引に的を絞ると製品を配送する際の過程が最も受注者・発注者の両者から商品が最も遠ざかる過程になるため、配送業者のトレーサビリティは非常に重要です。幸いにも日本の配送業者は受注量が増加傾向にありながらも質の高いトレーサビリティを確保できており、商品の行方はいつでも追跡してリアルタイムで確認できますし、到着先に異常がないかも確認することが可能です。輸送そのものも丁寧かつ迅速なため、利用者からの評価も高いのです。

最近はamazonやフリマアプリの利用者の増加に伴い、配送業界は急激な流通量の増加に対応すべく、様々な対応が検討されています。いわゆるBtoC、CtoCでのECの活発化が発端となったのですが、これまでの体制では到底対処ができない量が配送業者になだれ込み、現場で実際に配送に携わるドライバーや配達員に負担が一挙にかかってしまうことで、これまで培ってきた配送業者のトレーサビリティの低下、ブランド力の低下を余儀なくさせるほどの影響をECは与えているのです。

たとえ商品の生産量は変わらずとも、個人間での商品の行き交いが増えれば増えるほど、流通の負担は大きくなっていきます。ECの普及により買い物がしやすくなった・いらないものを売りやすくなったということは、それだけモノを移動させる頻度も増えたということになり、流通技術が進んでいる日本ですら現在のシステムでは対応できなくなりつつあるというのが現状です。

新しい技術はいかにしてトレーサビリティを確保するのか

現在では配送業界の対応が進みつつあるとは言え、それでも増加し続ける流通量のスピード感についていけるかは議論の余地が残るでしょう。最近ではamazonが自社配送にも精力的に取り組んでいるようで、中でもドローンや自動運転車を用いた無人配送が実現できるようになれば、現在のパンク寸前の事態にも容易に対処できるようになるでしょう。

しかしここでも持ち出されるのが運送業が抱えるトレーサビリティの問題です。人の目の行き届かないところでトレーサビリティを確保するためにはどのような施策を導入すべきなのか。技術的には可能でも、配送中の予測不能なトラブルをいかにして最小限に止めるかが、配送業界においてamazonがブランド力を維持するための目下の問題と言えるでしょう。

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