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地方創生の鍵となる可能性を秘めているD2C、その成功条件とは

一口に「地方創生」と言っても、それを実現する施策は多種多様です。当然ながら、何か一つの施策を実施すれば成功するというものではありません。
ふるさと納税などは、その中でも直接寄付金を集められる重要な施策として位置付けられてきましたが、最近ではエスカレートする返礼品合戦に批判が集中し、ついには法規制が入るなど、地方創生への貢献という観点からすると、まだまだ目覚ましい結果に結びついていないのが現状です。

そんな中で、長崎県の波佐見町がリリースした「Hasami Life」というメディア型ECサイトが注目されています。同サイトは、「地域と消費者をダイレクトに繋げる」というコンセプトのもと、波佐見町の伝統工芸品である波佐見焼の魅力を発信しつつ、その場で商品を購入することができるD2CのECとしても機能するサイトになっています。

本稿では、波佐見町での取り組みを参考にしながら、D2Cがなぜ地方創生の一翼を担うポテンシャルを持っているのかについて考察していきたいと思います。

目次:

長崎県波佐見町の「Hasami Life」に地方創生のヒントが

https://hasamilife.com/



「Hasami Life」は長崎県波佐見町で陶磁器製品の元卸販売を手がける西海陶器株式会社が手がけるメディア型ECサイトです。

波佐見焼は、400年以上の歴史を持つ波佐見町の伝統工芸品であり、手頃な価格ながら丈夫で質がいいことから「普段使いの食器」として人気が高く、ブランドごとに様々なデザインが味わえます。

Hasami Lifeでも複数の波佐見焼の人気ブランドを中心に幅広いプロダクトを扱っているのですが、同サイトの特徴は、単に販売するプロダクトを掲載するだけではない、という部分に現れています。

波佐見焼に盛り付ける料理のレシピや、波佐見焼を使ったテーブルコーディネート、波佐見焼に関わる人々のインタビュー、波佐見町そのものの魅力を読み物にした取材記事——サイトを開けば、波佐見焼の知識が深められるコンテンツ、波佐見焼をライフスタイルに取り込むために役立つコンテンツが満載で、波佐見焼を好きな人はもちろん、初めて波佐見焼に触れた人も、きっとワクワクすることでしょう。

「地域と消費者をダイレクトに繋げる」というサイトコンセプトが表すように、波佐見町のこの取り組みは、「D2C」という手段を地方創生の一翼として活用する一例として見ることができます。

実は、波佐見町の波佐見焼に限らず、農作物やお酒、そして地域地域の伝統工芸品など、そもそも地方で育まれてきたプロダクトというのは、D2Cという手段に乗り易い(成功し易い)特徴を兼ね備えているのです。

そして、それについて考察することは、地方創生という文脈以外でD2Cに取り組む場合にも役立つはずです。

成功するD2C、3つの条件とは

「D2Cって、早い話が自社ECでの直販のことでしょう?」と考える人は少なくないでしょう。しかし、それは流通チャネルの部分だけを見た話に過ぎません。自社ECによる直販チャネルはD2Cの必要条件ではありますが、十分条件ではないのです。

たとえば、現状直販チャネルを持たない大規模メーカーが、大量生産のプロダクトでD2Cをやろうとしても、直販チャネルさえ作れば売れるというものではありません。

それでは、D2Cで成功するための条件とはどのようなものなのでしょうか。


1:プロダクトに消費者が共感できるストーリーがあること

今の世の中は、物や情報が溢れており、プロダクトのスペックや品質だけで差別化することが非常に難しい時代です。品質の良さは大前提として、別の言い方をすれば、スペックや品質は消費者が「買う理由」になりづらいのです。プロダクトが生まれた背景やカルチャー、製作者の顔、社会との関わりなど、そのプロダクトを取り巻くストーリーこそ、消費者が共感し、買う理由に直結するのです。

2:そこでしか手に入れられない希少性・独自性があること

大量生産ではなく手作業である、気候風土の関係でそこでしか生産できない、原料の調達法が独特だったり、ファウンダーやデザイナーが強固なポリシーを持っているなど、プロダクトの希少性・独自性は、「買う理由」を加速させます。場合によっては、プロダクトの希少性や独自性そのものが、消費者の共感を呼ぶストーリーになり得るでしょう。

3:ブランドに対するロイヤリティが感じられること

これは、[1]や[2]の発信を続けた先に生まれるもの、という側面があるかもしれません。言い換えればそのブランドが持つ「世界観」を好きになってもらうことで生まれるのがロイヤリティなのです。消費者にブランド・ロイヤリティが生まれれば、リピート購入に繋がるだけでなく、一人一人が「ブランドの伝道師」として動いてくれるかもしれません。

上記に照らし合わせてみると、それぞれの地域で育まれてきたプロダクトたちは、これらを満たすものが多く存在しています。今はまだ世の中に知られていなかったり、情報発信のやり方が成熟していないだけで、本気でD2Cに取り組んだらヒットする可能性を秘めているものもたくさんあるでしょう。

もちろん、地方創生という文脈を持っていなくても、これらの条件を満たせるプロダクトを生み出せれば、D2Cで成功するチャンスはあると言えます。たとえ歴史や伝統がない後発のプロダクトでも、消費者の強い共感を呼ぶストーリーや独自性は作ることができるからです。

そのためには、D2Cを実施するにあたり、誰をターゲットにして、どのように情報発信していくのかという緻密なマーケティングプランと、細部に渡ってそのプランに沿った世界観を再現するクリエイティブのエクゼキューションが大切なことはいうまでもありません。

 

 
 
 
 
 
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D2Cで押さえておきたいマーケティング手法

ターゲットとする消費者にブランドやプロダクトの情報を届け、共感され、興味を持ってもらうためには、どのようなマーケティング手法を用いればいいのでしょうか。

D2Cと相性のいい手法としては、例えば以下のようなものが挙げられます。

オウンドメディア(メディア型EC メディアコマース)

これはまさに、本稿で紹介している「Hasami Life」がメインで実施している手法です。また、同様な取り組みとして、KIRINは大企業でありながらメディア型ECの「DRINX」を展開しています。

どちらのメディアにも共通しているのが、売りたい商品を全面に押し出すコンテンツだけではなく、あくまでもターゲットに据えた消費者の興味関心があるコンテンツ政策に徹している、ということです。

D2Cにおけるオウンドメディアでは、PVを稼ぐためにSEO対策キーワードを入れただけでコンテンツの内容が薄くなってしまうと逆効果にもなり兼ねません。読んでよかった、もっと読みたい、定期的に覗いてみたいと思えるコンテンツ制作を心がけ、オウンドメディアの世界観=ブランドの世界観となるようコンテンツのトーン&マナーのコントロールに留意する必要があります。

そういう意味で、クオリティを保ちながら継続的に運営していくことに対する人的リソースやコストの確保のハードルが比較的高いとも言えるでしょう。

SNSを中心としたコミュニティ形成

今の時代、消費者は自ら情報を取捨選択し、自分の好きなものに囲まれて生活する傾向にあります。その行動の中心となるのがスマホであり、SNSです。したがって、D2Cにおける情報発信もSNSを中心に据える必要があるでしょう。そして、Twitterでは速報性やテキストで共感を呼べる投稿、Instagramではアカウントを眺めているだけで充足感を満たせるような画像や映像における投稿といったように、コミュニケーションの内容自体もチューニングが必要です。

ただし、発信内容において、常に一貫したブランドのコンセプトはブラさないことがもっとも大切です。時間はかかりますが、そうやって集まったフォロワーは、すでにブランドやプロダクトのファンになってくれた人から、まだ購入経験はないながら興味関心が高い人たちまでを網羅した一種のコミュニティとして活用することができます。
また、オンライン上だけでなく、そのようなフォロワーに向けたワークショップやリアルイベントなど、フォロワーのライフスタイルを豊かにする体験を定期的に発信していくことで、その繋がりをさらに強固なものにすることができるでしょう。

インフルエンサーの活用

SNS上でのインフルエンサーマーケティングはすでに多くの企業が実施しているものですが、D2Cにおいても、インフルエンサーは非常に相性がいいはずです。ただし、絶対的に気をつけなければいけないのが、誰をインフルエンサーとして迎え入れるか、という選定の部分です。

よく見られる単発のキャンペーンのように、ギャラにものを言わせてジャンル問わずフォロワー数の多いインフルエンサーを集めるようなことをしては逆効果になってしまいます。

あくまでもターゲットに定めた消費者が憧れを持てる人物、あるいはプロダクトを本当に、心の底から好きになってくれる人物を立てることが大切です。なぜなら、ブランドが発信する世界観を好きになってくれた消費者は、プロモーショナルな、嘘の発信を簡単に嗅ぎ分けるからです。そして、そのような発信をするブランドやプロダクトに対する信用はすぐに失墜してしまうでしょう。

逆に、“本物の”インフルエンサーの発信は、消費者のエンゲージメントやロイヤリティをより深いものにしてくれるはずです。そういう意味では、適任の人に正式な「アンバサダー」として就任してもらう、という手法も考えられるでしょう。

ただし、何れにしても商品提供や出演費の支払いが発生する場合は必ずインフルエンサーとの関係性やPR表記を明示し、いわゆるステマにならないように気をつけなければいけません。

さいごに

本稿では、地方創生という文脈から「成功するD2C」について考察してきましたが、本文中でも述べたように、これらのポイントはこれからD2Cを手がける場合にも留意しておきたいポイントになります。

自社ECで直販チャネルを構築する場合も、それらのポイントを意識することでコンテンツの在り方や仕様の考え方がまとまり、D2Cを成功に導ける可能性が上がるのではないでしょうか。



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