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レンタルサービスが流行する理由と注目のサービスについて

ここ数年の消費動向で最も目新しく、かつ注目を集めているのは何と言ってもシェアリングエコノミーの登場です。モノを直接購入するのではなく、商品をレンタルすることでニーズを満たし、消費者同士でのもののやり取りも活発な市場の勃興は、CtoC市場の発展だけでなくBtoC市場にも新たな可能性をもたらしたと言われています。

シェアリングエコノミーにおいて、企業の役割はシェアするための仕組みや場を提供するサービスに特化すべきという意見もありますが、Eコマースの発展形としてレンタルサービスが徐々に浸透しているというケースもあります。

商品を売るのではなく「貸す」ことによって消費者を満足させるレンタルサービスは、現在どのような分野で見られるのでしょうか。
今回はそんなレンタルサービスについての概要や、シェアリングエコノミーの現状などについてご紹介します。

【目次】

シェア経済におけるレンタルサービス

これまでもレンタルサービスそのものは私たちの生活の中でも身近な存在でした。レンタカーやレンタサイクルといった車両のレンタルは今でも現役の便利なサービスですし、TSUTAYAに代表されるレンタルビデオやレンタルCDのサービスにお世話になった人は多いはずです。

あるいは住居の賃貸サービスもレンタルの一環ということもできるでしょう。固定資産を仲介業者が消費者の斡旋を行い、持ち主と借主の関係が契約によって結ばれています。

それがなぜ今になって話題になっているかといえば、インターネットの普及によってレンタルサービスがより身近に受けられるようになったことが大きな理由の一つです。


オンラインショッピングが普及したことで、家にいながらいつでも好きなものを購入することができるようになり、同時にいらなくなったものも自由に販売できるようになったため、モノをずっと持っておく意識が薄れつつあるのが現代です。
どうせ買っても売ってしまうのなら、初めから買わずにレンタルした方が良いのではないか。こういったニーズを読み、新たに誕生したレンタルサービスは、実に多くの分野で展開している様子が伺えます。

これはインターネットがスマートフォンの普及によっていつでもどこでも使えるようになったことも背景にあるのですが、そもそもシェアリングエコノミー拡大の原因がここにあると言えるでしょう。

シェアリングエコノミーの市場規模

シェアリングエコノミーは単なる流行り言葉ではなく、すでに次世代の消費形態として国内では定着しつつあります。総務省が発表したシェアリングエコノミーに関するまとめを見ると、興味深いデータがいくつか確認できます。

参考:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc242110.html

2025年には3350億ドルの市場に

コミュニティ機能を活用したシェアリングエコノミー市場は、世界全体で2013年には150億ドル程度のものであったのが、2025年には3,350億ドルにも上ると試算されています。
アメリカのシリコンバレーを中心にサービスが発展してきた市場ですが、今や日本でもアメリカ発のシェアサービスが散見されるだけでなく、日本独自のシェアリングサービスも数多く見られます。

シェアリングエコノミーのニーズは若年層に集中

シェアサービスの先駆けといえばAirbnbのような宿泊システムやUberやLyftといったシェアタクシーサービスが挙げられます。まだ、登場して間もないサービス形態でもあるため、今の所利用したいという前向きな回答を行なっている人は比較的少ないといえます。

しかしそれでも、10~30代の年齢層には比較的シェアリングに対する好奇心は強く、そのほかの高年齢層に比べると利用してみたい人は多いうという回答になっています。アンケートによると20台以下でシェアサービスを利用してみたいと答えた人は約3割ですが、40台以降は20%を前後するような数値となっています。

これには人の家に泊まりたくないなどといった意識などが働いているとも考えられますが、それでも今後このようなサービスが普及していけば、次第にシェアリングエコノミーがスタンダードとなり、利用ユーザーも増加していくことになるでしょう。


シェアリングサービスで提供するのは信頼

誰とでも必要ないものを交換し、支え合う社会を実現するというシェアリングエコノミーは、聞こえこそ良いものの問題点も抱えています。

一つは誰か個人のものを借りるとなると、それが汚れていたり、思っていたデザインと違うといったケースです。新品ではなく借りられるのはあくまでも誰かのお下がりとなってしまうケースも大く、個人同士でのインターネットを通じた物々交換は意外と難しいものです。

そこでCtoCをつなげるサービス提供者は自分が第三者であることを自覚し、何かトラブルが生じた際の保険としても機能しているのです。

ネット上のサービスに限らず、普段目にするシェアサービスは、たいていの場合このような仲介業者としての役割を担い、他者の物品と消費ニーズをマッチングさせ、安全に取引させるというのが仕事となっています。


街中で見かけるシェアリングサービス

日本でも見かけることの増えたシェアリングサービスといえば、一つはカーシェアリングサービスが挙げられるでしょう。

シェアリングサービス例:カーシェアリング

タイムズカープラスが提供するライドシェアサービスは車を所有しづらい都内では多くの利用者を集めており、休日だけ車を使いたいという人もわざわざレンタカーショップへ行かず、タイムズの駐車場を探すだけで良いという利便性が人気を博している理由の一つです。

出典:https://plus.timescar.jp/


車のように購入も維持も大変なものはシェアサービスで輝く資産の一つと言えます。

シェアリングサービス例:コワーキングスペース

あるいはコワーキングスペースも街中ではよく見かけるようになったサービスです。個人事業主や小規模で事業を展開したい組織が仕事場を確保するために、オフィスを丸々一つ確保するとなると相当な予算がかかってしまいますが、シェアオフィスを共有することで安定した職場を高いコストパフォーマンスで実現できます。

アメリカ発のWeWorkが名古屋や福岡など地方の主要都市でも展開を始めており、コワーキングスペース事業は今後も拡大が見込まれています。

オフィスビルの持ち主も家賃収入が入ってこない状況を打開できるため、お互いにとってメリットのあるサービスと言えるでしょう。

出典:https://sharing-economy-lab.jp/share-coworking-space-wework


ECとレンタルサービスの融合

個人が使っていない資産を有効活用するというアイデアから生まれたシェアリングエコノミー。インターネットが身近になったことで活発になったのがECとレンタルサービスの融合です。
EC市場はここ数年で大きな成長を見せていますが、中でもアパレル・ファッション関連のECの伸びは目を見張るものがあります。オンラインでアパレルが売れない時代から、アパレルはオンラインで売る時代に変わったとも考えられます。

ECでアパレルが売れるということは、消費者はインターネットを通じてファッションアイテムを手に入れることに抵抗がなくなったということです。そこで今次々と誕生しているのがファッションレンタルサービスで、メンズ・レディースを問わず、ジャケットやバッグ、時計といったアイテム単品から、コーディネートを丸ごとレンタルしてしまうサービスも賑わっています。


売れないアイテムはレンタルに

ファッションレンタルサービスもまた、消費者からアパレルアイテムの提供を募り、サービス内で自由に貸し借りができる場を提供することが一般的ですが、中にはアパレルショップやファッションブランドから直接商品提供を受け、アパレルサービスとして提供するケースもあります。


売れ残ったアイテムをレンタル品に回してしまうことで、減価償却を行えるというわけです。

まだあまり見かけることはないのですが、今後ECサイトやブランドからレンタルサービスが提供されることになれば、無駄のない商品サイクルを実現することにもつながるでしょう。

注目のレンタルサービスについて

レンタルサービスはファッションを中心に、すでに数多く展開されており、米国などでは新サービスが現れては消えを繰り返すレッドオーシャンになりつつあるともされています。

日本でも似たような現象が起こりつつありますが、安定したサービスを提供しているものも存在します。

Air Closet(エアークローゼット)

アパレルレンタルサービスの先駆けでもあるエアークローゼットは、月額7000円弱で毎月スタイリストが選んだ洋服が届くというサービスを展開しています。

ユーザーにパーソナライズされた形で商品が届き、レンタルした服はそのまま返却し、クリーニングの必要もありません。どんな服やスタイルが好きかといったリクエストも可能なため、まるで自分で購入するかのようなショッピング感覚を味わうこともできます。

また、弁償金サポートや借り放題が可能なプランも存在するため、好みに応じてプランを使い分けることも可能です。

出典:https://www.air-closet.com/


Laxus(ラクサス)

ラクサスはラグジュアリーブランドのバッグを貸し出すレンタルサービスです。

ブランドバッグは値段もさることながら、場所も取る上に定期的なケアが必要なため、個人で所有するには手間がかかることも多いものですが、このサービスでは1日あたり219円でブランドバッグをレンタルすることができるところがポイントです。

取扱ブランドはルイ・ヴィトンやフェンディ、セリーヌなど幅広く、一度借りたものは返却期限無制限で利用することができます。

また、ブランドバッグのユーザーによる提供も募集しており、送料・保管費用無料、さらにレンタルでの利用があった場合には手数料が持ち主に支払われるということで、多くのユーザーからバッグが提供されています。

出典:https://laxus.co/#


CLAS

こちらはファッションアイテムではなく家具を月額500円か提供するレンタルサービスです。家の間取りに合わせて必要な家具を自由に組み合わせながら選ぶことができ、種類に応じた利用料金でインテリアを楽しむことができます。

送料や保険料は無料で、通常の使用の範囲内での傷や汚れであれば修繕費などを取られることもありません。

家具は買うものであるという常識を覆したいという思いからタンジュしたサービスとのことですが、引越しを頻繁にするなど、移動の多い人にとってはありがたいサービスとなるでしょう。

出典:https://clas.style/


レンタルサービスの普及を後押しする消費の変化

レンタルサービスは仲介業者を通じて、商品をサービス利用者同士でシェアすることが主な使い方です。

フリマアプリの登場

メルカリをはじめとするフリマアプリによってCtoCが活発になったことは、レンタルサービス利用のハードルを低くする効果をもたらしたと考えられます。
すでに他の人が使った中古品であっても、最低限のニーズさえ満たしてくれれば安くて手間のかからない商品で十分という意識が根付きましたし、ネットを介した中古サービスへの信頼性も消費者に培われたためです。


レンタルサービスも常に新品を提供するわけではありませんので、時として使用感のある製品が送られてくることもあります。特にアパレル関係のレンタルサービスは汚れなどの懸念から敬遠されることも多かったのですが、フリマアプリを介して他人の古着を着ることに抵抗がなくなったことや、たとえお古であっても思っていたより状態は良かったというケースに触れた経験が前向きに作用しているためです。


サブスクリプションサービスの浸透

また、映画や音楽などはサブスクリプションで見放題という形式が新しい消費として定着してきたこともレンタルサービスを後押ししていると考えられます。

商品にお金を払うというよりも、商品を利用する権利を購入するという感覚は、ますますポピュラーになっていくでしょう。


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