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ECサイトの新常識!レコメンドエンジンの種類と仕組みを徹底解説

以前、ECサイトでは買い物中のお客様を接客することはできませんでした。しかし今では「レコメンドエンジン」の登場で、オンラインで接客することが可能となっています。
リアル店舗のように「こちらの商品はいかがですか?」とECサイト上でおすすめしてくれるのが、レコメンドエンジンという機能。購入履歴だけではなく閲覧履歴も基にして、その人に合ったアイテムをレコメンドしてくれます。
レコメンドエンジンには種類がありますし、導入しても効果が出にくい場合もあります。レコメンドエンジンが与えるメリットや、導入のポイントについてご紹介します。

目次

レコメンドエンジンはECサイトの常識となりつつある

「この商品を買った人は…」はAmazonだけではない

ネットショップで商品ページを開いたときに表示される、「この商品を購入した人は、こんな商品にも興味を持っています」というおすすめ商品のピックアップ。購入する気がないお客様も、ついクリックしてしまうという人は多いものです。

おすすめ商品のピックアップは、「レコメンドエンジン」という機能を実装することでECサイトに導入できます。2000年代からレコメンドエンジンの開発は進み、2010年初頭からAmazonが導入。今では多くのECサイトが導入しはじめています。

レコメンドエンジンはECサイトに限らず、ニュースメディアなどでも実装されています。特定の事件のニュース記事を開くと、「この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます」と関連記事が提示される。気づけばついネットサーフィンに時間を費やした経験がある人も多いことでしょう。

レコメンドエンジンは多様化しており、簡単にECサイトに実装できるサービスも増えています。すでに構築しているECサイトにも組み込めますし、企業側にもお客様側にもメリットがあります。
■特集:ECモール■

レコメンドエンジンの導入で期待できる効果

たとえばAmazonのように商品数が多いECサイトでは、お客様は商品を探している間に面倒になりがちです。「探すのが面倒」という利用者の心理は、“カゴ落ち”の原因に直結します。

レコメンドエンジンなら商品ページをクリックすると、関連性のある商品を複数提示できます。

>お客様がレコメンドされた商品を気に入ればクリックされるので、理想の商品を見つけてもらう確率が上がります。お客様が「こんな商品もあったのか」とECサイト内の他商品に興味を示せば、サイトの回遊率アップも期待できます。

サイトの回遊率がアップすれば、よりお客様に自社商品を見てもらえます。つまり別の商品購入のきっかけとなり、単価アップが期待できるのです。

詳しくは後述しますが、レコメンドエンジンにも種類があります。購入した商品に関連するアイテムのピックアップだけではなく、運営者のおすすめ商品をレコメンドするなど、データに基づかないおすすめもできます。

お客さまにも企業にもメリットがあるレコメンドエンジン

お客様側
レコメンドエンジンを実装したECサイトなら、お客様は商品を検索して探す手間を減らせます。リアル店舗なら店員さんに希望の色や素材・大きさを伝えることで、近しい商品をピックアップしてくれますが、ネットショップはお客様が自分で商品を検索するしかありません。

ECサイトに商品数が多いほど多数のデジタル画像を眺める必要があり、お客様は商品選びが煩わしくなるものです。

レコメンドエンジンで趣向を分析すれば、お客様のイメージする「理想」に近い商品を提示できます。レコメンドエンジンは、店舗の店員さんのような働きを持っているといえるでしょう。
企業側
レコメンドエンジンを実装すれば購入率や単価のアップだけではなく、運営者のコストダウンも期待できます。

レコメンドエンジンを実装せず手動でおすすめ商品をピックアップしているケースもありますが、意外と手間がかかるもの。特に商品数が多かったり入れ替わりが激しかったりするECサイトほど時間がかかり、その分コストがかかります。

レコメンドエンジンなら、おすすめ商品や関連商品のピックアップをオートメーション化。機械が自動でレコメンドするため工数を削ることができ、担当者の趣向に偏ることもありません。

レコメンドエンジンの導入前に知っておきたい種類・特徴

自社のECサイトに適した機能を選ぶ

レコメンドエンジンは関連商品のおすすめだけと思われがちですが、そんなことはありません。先ほどレコメンドエンジンは担当者の趣向に偏らないと紹介しましたが、人為的にレコメンドしたい商品を提示することも可能です。

それぞれの特徴を以下にまとめましたので、自社サイトに適しているレコメンドエンジン選定の参考になさってください。

「協調性フィルタリング」はもっとも一般的

Amazonの「この商品を買った人はこんな商品を買っています」をはじめ、レコメンドエンジンでもっともよく使われるのが協調性フィルタリング。「この商品を買った人は…」という文言通り、お客様の購入履歴や行動履歴をもとに、別のお客様にアイテムをレコメンドします。

協調性フィルタリングはシンプルで導入しやすく、導入にかかるコストも抑えやすいです。類似性の高いユーザー履歴を参照にするので、レコメンドの精度も決して低くはありません。そのお客様にとっては意外な商品をレコメンドすることもあり、大きな気づきとなるケースもあります。
ただECサイト上で行動履歴や購入履歴がないお客様に対するレコメンドの精度は低く、コールドスタートというデメリットはあります。(詳しくは後述します)

「コンテンツベース」なら行動履歴のデータが少なくてもOK

協調性フィルタリングがお客様の行動を基にするユーザーベースであるのに対して、コンテンツベースは文字通りアイテムを基にレコメンドしていくアルゴリズム。内容ベースフィルタリングとも呼ばれています。

コンテンツベースは、先に分析したユーザーの嗜好とアイテムの特徴を照らし合わせる手法。人気が低いアイテムや新着商品もレコメンドしてくれますし、レコメンドした理由まで教えてくれます。

ただ、協調性フィルタリングに比べると意外性のあるレコメンドに欠けます。一度設定したプロファイルを基にレコメンドしますので、プロファイルし直さない限り同じ商品をレコメンドし続けるという欠点もあります。

担当者のおすすめがあるなら「ルールベースレコメンド」

人が決めたルールを基にレコメンドしてくれるルールベースレコメンドは、「レコメンド自体は機械化せず、担当者に選んでほしい」という希望があるECサイトにおすすめです。新商品や限定商品、シーズンものの商品をレコメンドしてほしい時はルールベースを使います。

レコメンドエンジンは組み合わせて使うこともできますから、普段は別のレコメンドエンジンを使い、特定の商品をレコメンドしたい時期だけルールベースも使うといったハイブリッドタイプの手法も可能です。

ルールベースレコメンドは人為的なルール設定を基にレコメンドしますので、お客様に受け入れられるようなルールの取り決めが重要となります。

ランキングや「最近チェックした商品」もレコメンドエンジンでできる

ECサイトによっては、「最近チェックした商品」として直近で閲覧したページをレコメンドとして表示してくれるものもあります。Webブラウザに保存されているCookieを経由して閲覧履歴を出力しており、リマインダーとして大いに役立ててもらえます。

パソコン上で複数の商品を見比べて検討していると、「さっきの商品が良かったけれど、商品が多すぎて探し出せない」と困る方もいます。商品のレコメンドだけではなく、そういったお客様に便利な機能を追加することでECサイト上での“接客”も可能となります。

また、サイトの人気ランキングやアクセスランキングといった表示方法もレコメンド機能が使われています。ランキングに入っている商品は「多くの人が利用している」という安心感がありますし、商品のトレンドを知ってもらうこともできます。

レコメンドエンジン×AIでさらに効果的にレコメンドできる

機械学習でレコメンドエンジンはさらに精度が上がる

レコメンドエンジンは技術の進歩とともに精度が上がっていますが、最近では機械学習を取り入れることでさらに精度が上がってきています。

機械学習でお客様の購買履歴や行動履歴を学び、ディープラーニングによってさらに理解を深めることが可能。つまりリアル店舗でいう「顔なじみの店員さん」のようにお客様の趣向を理解することで、そのお客様に合った精度の高いレコメンドが可能になるのです。
消費活動もデジタル化されたことで、一人ひとりのお客様のデータが取得できるようになりました。そしてその人に合わせた「One to Oneマーケティング」という新しい手法が生まれ、お客様に一層寄り添ったサービスが展開され始めています。

LINEは機械学習でスタンプの売り上げUP

スマホユーザーのほとんどが使っているLINEは、有料のスタンプも人気があります。LINEでは機械学習チームがあり、統計やディープラーニングなどそれぞれ得意なものを持ったメンバーが集結。日々機械学習をシステムに活かす取り組みを行っています。

スタンプショップを見ると、“あなたへのおすすめ”という項目でユーザーごとにスタンプをおすすめ。さらに最近では「似ているスタンプで探す」という機能も搭載され、ユーザーの趣向に合ったスタンプをおすすめしています。

LINEスタンプのレコメンドエンジンでは協調性フィルタリングを使っており、なんとスタンプショップの売り上げの25%が「あなたへのおすすめ」から生まれているのです。スタンプの種類も膨大になっていますので、ユーザーとしては探す手間が省けて効率よく好みのスタンプが見つかるというメリットがあります。
参照:ログミーTech|LINEの機械学習チームが語る、「おすすめのLINEスタンプ」のレコメンドアルゴリズム
https://logmi.jp/tech/articles/320435

Amazonは自社で使っているレコメンドエンジンのサービス化

レコメンドエンジンの先駆けともいえるAmazonは、2018年からレコメンドエンジンサービス「Amazon Personalize」の提供を始めました。
参照:ZDNet Japan「アマゾン、自社で使ってきたAI機能をサービス化–レコメンドと時系列予測機能を提供」
https://japan.zdnet.com/article/35129388/
Amazon Personalizeは実際にAmazonのモールで使われているレコメンドエンジン。Amazon Web ServicesのCEOが「モデルを自分で手掛けるつもりがない企業やビルダー向け」と公言しており、機械学習を使って顧客ごとに関連性の高いレコメンドを作成してくれます。
小売業界に革命を起こしたともいわれるAmazonですから、Amazonが実際に使っているレコメンドエンジンということで権威性も感じます。

自社で開発チームがある場合は、Amazon Personalizeに自分のアルゴリズムの追加も可能。既存のツールにも統合できますから、すでにECサイトを運営している場合でも導入可能です。
Amazon Personalizeの詳細な特長については、AWSの公式サイトをご参照ください。
参照:AWS公式サイト「Amazon Personalize の特徴」
https://aws.amazon.com/jp/personalize/features/

レコメンドエンジンの導入で失敗を防ぐポイント2選

導入当初はレコメンドの精度が低い

レコメンドエンジンを実装した時に注意したいのが、導入したばかりのタイミング。特にお客様の行動や購入履歴を基に商品をおすすめする協調性フィルタリングは、最初だけですが精度が低くなります。
協調性フィルタリングはお客様の購買履歴や閲覧履歴を分析する「データありき」のシステムなので、レコメンドエンジンを導入したばかりでデータが少ない時は分析が上手くできません。

この現象を「コールドスタート」といい、特に蓄積されたデータを分析してレコメンドする協調性フィルタリングによく起こる現象です。もちろん利用者が増えてデータが蓄積されていけば、レコメンドの精度は上がっていきます。

商品ラインナップが少ないサイトには向いていない

レコメンドエンジンの本来の目的は、お客様がより効果的に商品を選べるようにすることです。

例えばAmazonのように商品が膨大にあるECサイトでは、全ての商品をチェックすることが難しいもの。嗜好に合った商品をレコメンドしてもらうことで、より効果的なショッピングを行ってもらえます。

ECサイトで取り扱う商品の数自体が少ない場合は、お客さまは「選びきれない」と困る可能性が低いです。

ECサイトを開設したばかりで商品が少ない場合であったり、アイテム数を増やさない方針であったりする場合は、レコメンドエンジンを実装しても大きなメリットは得にくいでしょう。

Amazonのように膨大な商品数でなくても「全ての商品をお客様に見てもらうのは難しいだろう」と感じるECサイトなら、レコメンドエンジンを実装する価値はあります。

自社のECサイトに必要な機能を見極めてアップグレードすることで、コンバージョン率を高めていきましょう。

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