eCPMで最適な広告を見つける
ネット広告の売上がテレビ広告の売上をついに超え、テレビよりもインターネットがPRの主な場となりました。それに伴い、デジタル分野でのマーケティングが普及し、分析のために様々な指標も作られています。
- インターネット広告は数値を取得しやすく、安価で広告出稿ができる
- 代表的なインターネット広告分析指標はCPI、CPC、CPMである
- 課金方式ごとに分析に使う指標は異なるため、一度eCPMに変換して比較すべき
- eCPMに変換することでシンプルに広告の価値を比較・検証できる
インターネット広告は数値化・分析しやすい
テレビ広告よりもインターネット広告の方に企業がお金をかける理由はどこにあるのでしょうか。まだまだメディアというポディションや広告力ではテレビ広告の方が力は強いように感じますが、それでもインターネット広告に移っているのはなぜでしょうか。
目標と結果を数値で得られる
インターネット広告の特徴は数値を設定できる点にあります。1000名のユーザーにページを閲覧してもらう、100名のユーザーにクリックしてもらうなどと事前に設定して広告が打てます。結果も同様でそのユーザーのうち、何名が具体的アクションを起こしたか(例えば、メールで問い合わせをした、電子書籍をダウンロードした、商品を購入した)も仕組みをしっかりと構築すれば数値の取得が可能です。しかしテレビ広告は、そのテレビ広告の成果でユーザーが増えたのか、他の理由なのかが分かりません。検証がしづらいのです。
広告を打ったのに検証ができないのであれば、次への広告戦略も立てられません。
分析ツールが充実している
目標と結果を数値で得られたとしても、それを分析するツールがなければせっかくのデータを活かしきれませんが、デジタルマーケティングには役に立つツールが多数あります。しかも無料です。その代表格がグーグルアナリティクスです。グーグルアカウントを取得し、アナリティクスに登録するとウェブを訪れたユーザーのアクションが分かります。インターネット広告で誘導したユーザー以外のネイティブユーザーも数値対象となりますが、この分析ツールのおかげでインターネット広告が全アクセスに占める割合など総括的に情報が分析できます。
安価かつ、手続きがカンタンなので試しやすい
テレビ広告を出すときは何か月もかけて広告代理店と打ち合わせを行い、動画を作っていざ広告出稿ですが、実際に流れる時間は数秒です。にもかかわらず、何百万円、何千万円といったコストが発生します。しかしながらインターネット広告は金額の上限設定ができますし、その金額は1万円前後でも設定できるためお手軽にお試しで実施できます。そして申し込みは単純にインターネット上で必要情報を申し込むだけです。わざわざ外出して広告代理店や動画制作会社との打ち合わせは不要です。(もちろん、動画のインターネット広告もありますが)かなり楽に広告を打てるのがインターネット広告です。
代表的なインターネット広告の指標は三種類
インターネット広告の価値を分析する代表的な指標にCPI、CPC、CPMがあります。
課金方式ごとに使う指標は違っていて、クリック型広告はCPCを使いますし、インプレッション型広告はCPMを使います。
CPIには2つの意味がある
CPIは2つの言葉があって、一つはコスト・パー・インクワイアリー(Cost Per Inquiry)の略です。これは一回の問い合わせや資料請求当たりにかかったコストを表す指標です。ウェブサイトのコンバージョンを問い合わせや資料請求に設定することは多いので、この指標はウェブマーケティング上、とても大切な指標です。
他にコスト・パー・インストール(Cost Per Install)の略でCPIを表す場合があります。これはスマホアプリなどを、1インストール当たりいくらコストが発生したかを測る指標になります。
CPC
CPCはコスト・パー・クリック(Cost Per Click)の略であり、クリック1回あたりに発生するコストです。クリックの対象はバナー広告やURLになります。
CPM
CPMはコスト・パー・マイル(Cost Per Mille)の略であり、 インターネット広告を1000回表示させるコストを表す指標です。CPMはクリック数に依存しないため(クリック数を担保されない)、比較的広告コストも安く抑えられます。
CPMとeCPMは似て非なるもの
CPMと似た言葉にeCPMがあります。この最初に付くeはeffective(効果的な)の意味を表していて、CPMを逆の面からとらえたものです。CPMが1000回表示させるコストを表すのに対して、eCPMはこの広告が1000回表示された場合に発生するだろうコストを予測するために使われる指標です。
eCPMは以下の計算式で表すことができます。
コスト÷実際に広告が表示された回数×1,000
どんな指標もeCPMに変換して比較できる
さきほどまで紹介してきたように広告は課金方式ごとに使う指標が異なりますので、そのままではどの広告が最適か判断できません。そのため同一の指標に変換して、広告の価値を測定する必要があります。それがeCPMです。クリック型広告もインプレッション広告もeCPMに変換し直すことでそれぞれを平等に比較できる状態にします。
eCPMはこのように使う
では具体的にeCPMをどのようにマーケティングに活かすのかを見ていくこととします。
例えば、御社が2つの広告を出したとします。一つはCPCが500円(表示回数800回)の広告、もう一つはCPMが600円の広告です。
CPI、CPC、CPMのそれぞれの指標で分析した場合、どのような結果になるか見ていきましょう。
CPC500円を分析
CPCが500円ということは、表示される回数に関わらず、1回クリックしてもらうのに500円のコストが発生することを意味します。そのため5回クリックしてもらうと2,500円のコストが発生します。
CPM600円を分析
こちらは何回クリックされたかは分からないけれども、1,000回ユーザーに表示された場合、600円のコストが発生することを意味します。CPMは名称の通り1000回表示された場合です。これは1回クリックされようが、5回クリックされようがコストは600円です。
CPC500円とCPM600円をeCPMで分析
それではこの2つの広告をeCPMで比較してみることとします。まずはCPCをeCPMで分析すると、
500÷800×1000で計算できるためeCPMは625となります。
次にCPMを分析すると、
600÷1000×1000で計算できるためeCPMは600となります。
CPC500円(表示回数800回)の広告は、1000回表示されると625円のコストが発生することを意味し、CPM600円の広告は、1000回表示されると600円コストが発生することを意味します。
そのためこの2つの広告を比較すると、CPM600円の広告の方が効果的であることが分かります。
eCPMは表示回数ベースでコストを比較するため、クリック数を重視する場合はあまり役に立たないかもしれませんが、ただ異なる指標の数値を見比べても意味はありませんので、特に決まった比較指標がないのであれば、eCPMに変換して比較することでシンプルに広告効果の検証ができるようになります。
eCPMのまとめ
インターネット広告は結果を数値化しやすく、また多様な分析ツールも用意されているため、効果測定がしやすい広告です。またテレビ広告と比べると圧倒的にリーズナブルで広告出稿ができます。
多様な広告形態があり、それに伴って効果判定の分析も多様な切り口で行われているため、どの広告を選択するのがベストかなかなか分かりません。
そんな時は一旦、すべてをeCPMに変換して比べるのも選択肢の一つです。
eCPMは広告が1000回表示された場合に発生するだろうコスト予測に使われる指標です。一度すべてをeCPMに変換して比較検討すれば、フラットな状態で広告比較ができます。
困った時はeCPMをぜひ活用してみて下さい。