店舗受け取りのメリットとは?対応ECサイト増加の理由と事例を徹底解説
店舗に行かずとも商品を購入できてしまい、なおかつ家にまで商品が送られてくる利便性が最大のメリットであるオンラインショッピング。最近の動向として、オンラインのECサイトで商品を購入し、自宅へ送り届けてもらうのではなく店舗へ配送してもらうという「店舗受け取り」が話題となっています。
オンラインで購入しておきながら店舗へ送ってもらうというのは一見するとあまり意味がないように思えますが、様々な理由からこのサービスが購入者にとっても販売者にとってもメリットのあるサービスであるとして、導入を開始するECサイト・小売店は増加傾向にあります。
今回はそんな店舗受け取りサービスがなぜ人気を集めているのかや、店舗受け取りによって売り手と買い手が得られるメリットを紹介していきます。
そして実店舗を持たないECサイト専門ショップでも、同様のメリットが得られるサービスも展開されており、そちらについても合わせてご紹介します。
- 大手が次々と採用する店舗受け取りサービス
- 購入者だけでなく企業にもメリットが
- コンビニ受け取りは個人ECサイトが活用したい配送サービス
各ECサイトが導入を始めている店舗受け取りサービス
ユニクロ・GU
例えばライフスタイルファッションを展開するユニクロ・GU(ジーユー)は先日より店舗受け取りサービスを開始し、話題となりました。
ユニクロとGUにおける受け取りサービスでは送料無料を特徴として取り上げています。これまでは5000円以上の購入時のみ450円の送料が無料になっていたところ、受け取りサービスを利用すれば5000円未満の購入でも送料が無料になるということで、受け取りサービス利用者の増加が見込まれます。
ショッピングの際にAIアドバイザーを導入するなどでも話題となっているユニクロですから、商品購入の窓口を広げるサービスはこれからも積極的に取り入れていくことでしょう。
ヨドバシカメラ
ヨドバシカメラも店舗受け取りを初期の段階で取り入れていた大手小売店の一つです。
ヨドバシドットコムで購入した商品を店舗受け取りできるサービスは人気となっており、引き続きこのサービスを継続していく様子です。
最近ではエクストリームサービスと呼ばれる配送サービスも導入しており、オンライン購入商品を最短2時間半で配達するという内容が話題を集めていました。
ヨドバシカメラはamazonの展開するお急ぎ便や送料無料配送に対抗するべく、様々な施策を積極的に講じている注目の企業と言えるでしょう。
店舗受け取りのもたらすメリット
このように大手小売店がECサイトにおいて積極的に店舗受け取りを採用していくのは、やはり通常配送とは異なるメリットが多く生まれてくることが理由として大きいでしょう。
購入者にとってのメリット
店舗受け取りはサービスの一環である以上、まずは購入者にとっての利点が注目されます。
1:送料
一つは送料の問題です。大手小売店では店舗受け取りサービスに送料がかからないことが多く、商品の値段に直接関係のない出費を節約することができるのは、購入者にとっては嬉しい要素です。
2:受け取りのタイミングと場所
二つ目に、購入者が受け取りのタイミングと場所を選べる点にあります。
直接配送形式の場合、配送の時間帯や予定日に家にいなければいけないという手間が発生し、結局受け取りのために時間を費やされてしまうというデメリットが発生します。
最近では宅配ボックスの導入も増えてきているものの、小さなアパートや一軒家では導入していないケースも多いため、やはり直接受け取りが未だ主流となっています。
しかしながら店頭受け取りが可能となることで、購入者は好きなタイミングで家の近くや通勤・通学の帰り道にある店舗で商品を受け取ることができるようになるため、配送のために制約を受けることなく商品受け取りが可能になるのです。
3:店頭で商品状態を確認
そして三つ目が、商品を受け取る前に購入者が店頭で商品の状態を確認できることにあります。
オンラインショッピングのデメリットとして、商品を直接目で確かめることができないというものが挙げられます。しかし、店舗受け取りサービスがあれば、あらかじめ購入手続きを終えた状態で品切れの心配もなく店頭へ赴き、商品の状態を落ち着いて確認できるため、満足度の高い買い物を実現することができるようになるのです。
このような利点を購入者にサービスとして提供できるのは、店舗を持つECサイトが大きなインセンティブを生み出すきっかけにもなりますが、店舗受け取りサービスは売り手にもいくつかのメリットをもたらしてくれます。
売り手にとってのメリット
1:送料
一つ目に、送料のコストを削減することに繋げられる点です。送料がかからないのは買い手にとっても嬉しい特典ですが、配送は運送会社への支払いのためのコストである以上、小売店にとっても送料を抑えることができるのは嬉しいポイントです。
特にユニクロやヨドバシのような大企業では自社ルートを使って商品のやりとりをするだけで良いため、各家庭に配送するためのコストを削減できるのは大きなインセンティブとなるでしょう。
2:機会損失の防止
二つ目に、購入機会の損失を抑えることができる点です。従来のオンラインショッピングであれば「詳細なスペックがわからない」「実際に目で見てから購入しよう」といった不安をユーザーに与えかねず、せっかく興味を持ってくれた商品を購入まで導けないというケースも少なくありませんでした。
しかしながら店舗受け取りを採用すれば、受け取りの前に実際に商品を目で見て確認し、受け取り手続きをすませられるため、ユーザーに不安を与えないで購入してもらうことが可能になります。
また、返品や返金の手続きも店舗で受け取り前に行うことができるようになるため、オンラインでの面倒な手続き対応に追われる負担も軽減することが可能になるでしょう。
3:実店舗でついで買い
三つ目に、店舗に直接きてもらうことで、さらなる販売促進へと繋げることができます。商品受け取りついでに別の商品を手に取ってもらったり、新着商品の紹介などオンラインではできなかった接客も行えるようになります。
これらのメリットから、店舗受け取りサービスは購入者の満足度の向上をもたらしてくれるだけでなく、店舗側にもコストカットやユーザーへの販売促進といったメリットをもたらすwin-winのサービスであることがわかります。
店舗がなければコンビニ受け取りも活用
とはいえこれらのメリットが得られるのは店舗を有する、それも複数の店舗をもつ大企業のみに限られていると思ってしまうものですが、ECサイトのみの運営、あるいは1店舗のみの個人経営のお店でも、コンビニ受け取りサービスを利用することで店舗受け取りに使いサービスを提供することができます。
ヤマト運輸はEC事業者向けのソリューションとして、コンビニ受け取りや各駅に設置されているロッカー配送サービスの利用を呼びかけています。
店舗受け取りのメリットとして、利用者は自宅ではなく好きな場所で商品を受け取るということを大きな利点として考えていますが、コンビニ受け取りやロッカー配送はそのメリットが生きた状態で個人ECや小規模小売店が導入できるサービスとなっています。
このサービスの導入により、リピーターの獲得や返品コストの削減実績も生まれつつあるということで、多くの大手ECサイトにおいて採用されています。
さいごに
店舗受け取りサービスは大企業のみ採用しているサービスであり、個人規模のECには関係がないと思われがちですが、きちんとメリットを整理してみることで、コンビニ受け取りの可能性に注目することもできます。
各企業の展開する店舗受け取りサービスを分析することで、個人ECでも採用できるような新しいやり方を生み出すことも可能になるのではないでしょうか。