AIチャットボット開発のすすめ
【目次】
AIによってアプリを操作させたり、検索を行ったりと便利な機能です。
LINEの公式アカウントやFacebookメッセンジャーなどのメッセージツールにはチャットボット機能を連携させることが可能です。
よくある質問をさばいたり、問い合わせ内容を確認して適切な対応を行うための一次受付をチャットボットが担ったりしています。
横浜市では「イーオ」というAIチャットボットが対話形式でごみの分別に関する質問や、収集日などを案内してくれます。
複雑なシステムよりもはるかにコストを抑えて容易に構築できますが、決められたプログラムどおりにしか応答することができません。
チャットボットは、会話のやり取りを行うメッセージツール(SNS、Webチャット等)に、応答メッセージを生成するチャットボットを実装し、連携させた構造となっています。
実際にどのような動きになるかを人の会話の流れの例で見てみましょう。
3、4の部分(★)を自動化したものがチャットボットとなります。
ルールベース型では、問合せメッセージのキーワードに対してあらかじめ決められた応答メッセージを発信するという対応になりますが、機械学習型では問合せメッセージの内容をAIにより解析し、応答メッセージを生成することになります。また、機械学習型の場合、問合せメッセージの解析結果を蓄積し、その後の問合せのために学習するという特徴があります。
大手のコンピューターメーカである日立製作所や富士通も独自のAI技術を用いてチャットボットサービスを展開しています。
ここでは、富士通のAI技術(Zinrai)を活用したチャットボットサービス(CHORDSHIP)について簡単に紹介します。
CHORDSHIPは、コンサルティングから導入、運用支援、そしてAIデータのチューニングまでの全てをサポートするコンタクトセンター向けのサービスです。
チャットボットの種類としては、「AIチャットボット」と「有人チャット」を合わせたハイブリッド型(複合型)となっており、AIチャットボットによって自動応答で対応できない場合は、オペレーターのチャットに切り替える仕組みを持っており、ユーザーに対して適格に応答することができます。
また、オペレーター対応時の対応ログもAI学習データとして蓄積され、AIチャットボットに活かされる仕組みになっています。
なお、ほとんどのフレームワークはフリーのオープンソースとして提供されており、誰でも無料で利用することができます。
フレームワークとはAIアプリ/サービス開発時に使用する部品集です。フレームワークを使用することにより、効率よく開発を行うことができます。具体的なフレームワークの使用方法としては、python等のプログラミング言語よりフレームワークの各部品を呼び出すことにより行います。
自然言語処理に強いと言われ、音声変換などチャットボット以外のAIツールも充実しています。
無料から使用でき、有料版も月額5,000円から使用できます。
仕組みを学ぶと、各ツールの特徴も理解しやすくなると思います。どちらにせよ、あまり難しく考えなくても、チャットボットは気軽に開発できる時代になりました。 自然対話市場は、まだまだ発展途上な分野ではありますが、この機会に開発ツールを利用したチャットボットの導入を検討されてはいかがでしょうか。
チャットボットとは
「チャットボット」とは、「チャット」と「ボット」という言葉を組み合わせた造語です。「チャット(chat)」はご存知のとおり文字を入力して複数の人が会話することです。「ボット(bot)」は「ロボット」の略で、処理を自動的に実行するプログラムを表しています。つまり、チャットボットは人に代わって自動で会話を行うプログラムのことです。文字で会話をするものをいうことが多いのですが、「AIスピーカー」のように音声で会話するものもあります。チャットボットの導入メリット
近年、多くの企業がチャットボットを導入していますが、チャットボット導入のメリットは何でしょうか。人的コストの削減、24時間・365日対応
ユーザーからの問合せを人に代わって24時間・365日、自動で受け答えを行うので、人件費や工数の削減が可能です。顧客接点の追加
ユーザーは問合せや資料請求のように手間を取らせずに、チャットボットを通して、リアルタイムに企業からの回答を受け取ることができます。また、チャットボットを利用したユーザーに対して、企業側からアプローチをかけることも可能です。検索ニーズとのマッチングと顧客満足度向上
ユーザーはサイトを検索しなくても、チャットボットを使うことにより欲しい情報を直ぐに入手することができます。ユーザー側の手間を省くことは、顧客満足度の向上にもつながります。チャットボットを使用したサービス
次に、チャットボットのサービスについて代表的なものをいくつかご紹介します。1、AIアシスタントのチャットボット活用
OSに搭載されているAIアシスタントを活用してチャットボットとして利用している方も多いでしょう。- Siri
- Googleアシスタント
- Cortana
AIによってアプリを操作させたり、検索を行ったりと便利な機能です。
2、LINEの公式アカウント、facebookメッセンジャー
ユーザーとの1to1コミュニケーションを行うためにチャットボットを活用している企業もあります。LINEの公式アカウントやFacebookメッセンジャーなどのメッセージツールにはチャットボット機能を連携させることが可能です。
- ヤマト運輸 公式LINEアカウント
- ライフネット生命 公式LINEアカウント
- NAVITIME 公式LINEアカウント
- りんな
3、WEBサイトのサービス
WEBサイトではカスタマーサポートの窓口としてチャットボットを活用している事例があります。よくある質問をさばいたり、問い合わせ内容を確認して適切な対応を行うための一次受付をチャットボットが担ったりしています。
- マナミさん(ロハコお客様サポート)
- マカナちゃん(JALハワイ旅行サポート)
- WOWOWサポートコンシュルジュ
4、自治体の実証実験
自治体ではごみの分別をチャットボットで案内しているところもあります。横浜市では「イーオ」というAIチャットボットが対話形式でごみの分別に関する質問や、収集日などを案内してくれます。
参考:イーオのごみ分別案内
http://www.city.yokohama.lg.jp/shigen/sub-shimin/dashikata/smartphone.html
チャットボットの種類と仕組み
チャットボットには、大きく分けて2つの種類があります。ルールベース型(人工無脳型/シナリオ型/一問一答型)
ルールベース型は、あらかじめ想定される単語や質問に対してシナリオを登録(プログラミング)しておくことで、応答を行うというものです。複雑なシステムよりもはるかにコストを抑えて容易に構築できますが、決められたプログラムどおりにしか応答することができません。
機械学習型(人工知能型)
機械学習型は、決められた動作しかできないルールベース型とは違って、人工知能(AI)の技術を用いることで、会話ログを自動的に解析/蓄積/学習することにより、正答率を上げていくというものです。チャットボットの仕組み
次に、チャットボットの仕組みについて説明します。チャットボットは、会話のやり取りを行うメッセージツール(SNS、Webチャット等)に、応答メッセージを生成するチャットボットを実装し、連携させた構造となっています。
実際にどのような動きになるかを人の会話の流れの例で見てみましょう。
ユーザーからの問合せに企業の担当者が対応する例
- ユーザー:問合せメッセージを発信
- 担当者 :問合せメッセージを受信
- 担当者★:問合せメッセージの内容を解析
- 担当者★:応答メッセージを考える
- 担当者 :応答メッセージを発信
- ユーザー:応答メッセージを受信
3、4の部分(★)を自動化したものがチャットボットとなります。
ルールベース型では、問合せメッセージのキーワードに対してあらかじめ決められた応答メッセージを発信するという対応になりますが、機械学習型では問合せメッセージの内容をAIにより解析し、応答メッセージを生成することになります。また、機械学習型の場合、問合せメッセージの解析結果を蓄積し、その後の問合せのために学習するという特徴があります。
AIチャットボットのはじめ方
AIチャットボットを始めるには、以下のような方法があります。- 開発ツールを利用して独自に開発を行う
- 各社のサービスを利用する
開発ツールを利用して独自に開発を行う
独自に開発を行う場合、プログラミング言語(python)を使用して独自にチャットボットを開発するということも可能ですが、プログラミング不要で無料で利用できる開発ツールが多く提供されていますので、これらを利用することで気軽に開発することができます。各社のサービスを利用する
また、多くの会社がチャットボットサービスを提供しています。独自に開発を行うのではなく、これらのサービスを利用するという方法もあります。大手のコンピューターメーカである日立製作所や富士通も独自のAI技術を用いてチャットボットサービスを展開しています。
ここでは、富士通のAI技術(Zinrai)を活用したチャットボットサービス(CHORDSHIP)について簡単に紹介します。
CHORDSHIPは、コンサルティングから導入、運用支援、そしてAIデータのチューニングまでの全てをサポートするコンタクトセンター向けのサービスです。
チャットボットの種類としては、「AIチャットボット」と「有人チャット」を合わせたハイブリッド型(複合型)となっており、AIチャットボットによって自動応答で対応できない場合は、オペレーターのチャットに切り替える仕組みを持っており、ユーザーに対して適格に応答することができます。
また、オペレーター対応時の対応ログもAI学習データとして蓄積され、AIチャットボットに活かされる仕組みになっています。
チャットボットの開発
オープンソース・フレームワーク
AIチャットボット開発のためにはプログラミング言語や機械学習アルゴリズムなどの知識が必要で、実際の開発作業に欠かせないのがフレームワークです。なお、ほとんどのフレームワークはフリーのオープンソースとして提供されており、誰でも無料で利用することができます。
フレームワークとはAIアプリ/サービス開発時に使用する部品集です。フレームワークを使用することにより、効率よく開発を行うことができます。具体的なフレームワークの使用方法としては、python等のプログラミング言語よりフレームワークの各部品を呼び出すことにより行います。
AI向けの主要フレームワーク
AI向けの主要フレームワークについて紹介します。TensorFlow(Google)
圧倒的な利用者数と巨大なコミュニティ/豊富なライブラリ/高速処理Chainer(Pregerred Networks)
日本製のフレームワーク。python向けで初心者に優しいKeras
構築が簡単な反面、処理の複雑さが隠蔽されておりコード記述からはその処理内容を理解できないCognitive Toolkit(Microsoft)
高速処理に強みをもつPyTorch(Facebook)
論文を発表する研究者が多く、ディープラーニング手法の実装例が入手可能開発ツール
プログラミング不要での開発を実現するための開発ツールについても紹介します。IBM Watson
Watsonは、IBMから提供されている人工知能で、医学論文を読み込ませて病気の診断をしたり、クイズ王に勝利したりという実績を持っています。自然言語処理に強いと言われ、音声変換などチャットボット以外のAIツールも充実しています。
DialogFlow(旧:api.ai)
Googleが提供しているチャットボット開発ツールです。チャットボット作成初心者でも、無料でプログラミング不要で簡単にチャットボットが作れるので、何ができるかを理解したい方にお勧めします。Repl-AI
NTTが提供しているチャットボット開発ツールで、曖昧表現の認識や過去の会話の記憶、雑談機能で自然な会話を継続できることが特徴です。また、ドラッグ&ドロップの簡単操作でプログラミングが必要なく簡単にシナリオを作成することも特徴です。無料から使用でき、有料版も月額5,000円から使用できます。
開発手順
それでは、今紹介したIBM Watsonを使ったチャットボットの作り方について、大まかな手順を紹介します。1:IBM Cloud(Bluemix)にログインする
まず、IBMクラウドのアカウントを作成します。2:Watson Assistantを使ってシナリオを作成する
Watson Assistantの画面から対話型でシナリオを作成します。- Intents(インテント)にユーザーからの質問を登録
- Entities(エンティティー)に辞書データを登録
- Dialog(ダイヤログ)で会話を組み立てる
- テストをおこなう
3:アプリ(API)と連携する
メッセージツール(SNS等のアプリ)側で連携を設定します。さいごに
以上、AIチャットボットについて、始める方法から開発までをご紹介しました。仕組みを学ぶと、各ツールの特徴も理解しやすくなると思います。どちらにせよ、あまり難しく考えなくても、チャットボットは気軽に開発できる時代になりました。 自然対話市場は、まだまだ発展途上な分野ではありますが、この機会に開発ツールを利用したチャットボットの導入を検討されてはいかがでしょうか。