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【メーカー必見】デジタル・シェルフは小売業界の新概念

小売店に商品を卸すメーカーにとって、「棚のどこに並べられるか?」は重要なこと。
最近はPBの登場などで、メーカーの棚割りは苦戦を強いられています。

デジタル・シェルフという新しい概念では、小売店の棚割においてデジタル上の評判も重要視されるといわれています。

デジタル・シェルフの概念と、デジタル時代を切り抜けるポイントをご紹介します。

【目次】

シェルフ(棚)の評価もデジタルの時代へ。「デジタル・シェルフ」という概念

「棚取り」はデジタル領域の影響も強くなっている

小売店に商品を卸すメーカーにとって気になるのが“棚”の存在。その棚について変化が起きています。

メーカーが気にする「棚割り」

小売店に商品を卸しているメーカーにとっては、自社商品が棚のどこに陳列されるかという点が非常に重要です。

小売店で商品を販売する際、棚(ゴンドラ)に他メーカーの商品と一緒に陳列されます。どこにどの商品を並べるか決めることを「棚割り」といいますが、この棚割りによって売り上げが大きく変わるため、売り場担当者は棚割りを適当に決めることはありません。

消費者が商品を手に取りやすい位置を「ゴールデンゾーン」と呼び、小売店が“売れ筋”と判断したおすすめの商品が並びます。メーカーとしては、なるべく自社商品をゴールデンゾーンに置いてほしいものです。

「棚取り」に勝つにはデジタル領域での成功が必要な時代

複数のメーカーで「自社商品を棚の良い場所に陳列してほしい」と場所を取り合うことは「棚取り」とも呼ばれますが、今ではその棚取りにもデジタル領域の影響が出ているのです。

メーカーは、デジタルの分野で消費者から支持されて人気を得ることで、小売店に「良い商品」と認識してもらう。そして、デジタルの分野で人気を得たらリアル店舗でも棚を確保してもらう…この新しい構造を、EC事業支援を行う株式会社いつも.が「デジタル・シェルフ」と名付け新しい概念としています。

参照:株式会社いつも.公式ブログ 「デジタルシェルフ」シェアという概念が新潮流に
https://itsumo365.co.jp/blog/post-7468/

メーカーを脅かすPB商品

デジタル・シェルフという概念ができたのは、「競合メーカー以外」の棚取りライバルが出現した影響もあります。小売店が自ら開発したPB(プライベートブランド)の登場により、第2のライバルが出現したのです。

PBとは小売業者が製造から販売まで手掛ける商品のことで、スーパーやコンビニでも小売業者のロゴがプリントされた商品が出回っています。PBの反対語としてメーカー商品は「ナショナルブランド商品(NB)」と呼ばれることもあります。

メーカーを介さないPBはコストダウンしやすく、メーカーよりも安価な価格で販売できます。さらに最近のPB商品は品質が良くなっているため、消費者としては「安いほうがいい」としてPBを好む傾向が強くなっています。

スーパーやコンビニのPBは、以前は棚の隅や下の方に陳列されていました。しかしPBの種類が増え品質も向上した今では、棚の占有率が上がってきているのです。

デジタル・シェルフという概念が生まれた現代ではPBも棚取りの競争相手となりますし、PBの製造元が小売店である以上勝ち目が少ないのも事実と言わざるをえません。

デジタル・シェルフ時代はネットの評判も重要

小売店が自社で開発したPB商品に力を入れると、販売棚の一番いい位置にPB商品を配置することになります。そうなると、メーカーの商品はどんどん目立たない場所に置かれるようになり、さらには棚に陳列されない可能性も出てくるのです。

デジタル・シェルフとは、直訳すると「デジタル領域の棚」。消費者がデジタルの影響を受けることで小売店までもが「ネットの評判」を意識しており、棚取りに勝つにはデジタル領域で評価を得ることが条件の1つとなりつつあります。

今ではリアル店舗に行くと、「ネットで話題」「大手口コミサイトNo.1」というポップも目立つようになりました。メーカーが小売店にアピールするためにはインターネットの領域で成功し、消費者を味方に付けるという作戦が必要といえるでしょう。

Amazonの急成長で小売市場にも変化

日本のネットショップ利用状況は右肩上がり

総務省の調べによると、日本の2人以上の世帯でネットショッピングをする世帯は2016年時点で27.8%となっています。10年前の2006年は12.7%でしたので、10年間の間に倍以上の世帯がネットショッピングを利用している計算になります。

参照:総務省29年度版「特集 データ主導経済と社会変革」より
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc112320.html

ネットショッピングの利用者が増えてきた要因の1つとして、スマートフォンの普及が大きく関係しています。パソコンのように高性能なスマホの普及により、今ではパソコンよりもスマートフォンからショッピングをする人の割合が増えています。

今の時代1人1台のスマートフォン所持が当たり前となっていますし、各企業がスマホユーザーに向けた販売戦略を立てています。
カード形式のポイントカードからスマホアプリに移行するなど、デジタルマーケティング施策を進めている企業も増加する一方、これらの企業努力も、ネットショッピング利用者の増加に影響しているのでしょう。

ネットショップは口コミが重要

ひと昔前は、インターネット上の口コミ(レビュー)は匿名性が高く信ぴょう性が薄いといわれていました。今ではユーザーの本人確認を行ったり、購入者しか口コミを投稿できないシステム構築をしたりと工夫しており、インターネット上の口コミを参考にする消費者も増えています。

ネットショップでは、実際に使用した人が忌憚のない意見を書き込んでくれます。その商品の購入を真剣に考えている消費者は、実際に購入した人の良い口コミも悪い口コミも両方読み冷静に検討しているのです。

ECサイトのようにインターネット上で商品販売を行う企業にとって、特に購入者の口コミは軽視できません。インターネット上で良い口コミを集めた商品なら、このデジタル・シェルフ時代にも小売店は棚の良い場所に配置してくれるでしょう。

Amazon・インスタ・YouTube…よりリアルなレビューが出回る現代

今まで購入したことがない商品に興味を持った時、現代の消費者はすぐインターネットで情報を収集します。「良かった」「悪かった」という経験者の口コミにとどまらず、最近では一般の人が動画で詳しく商品を紹介するなど、リアルな情報が収集可能となりました。

利用者の多いAmazonなら、よりたくさんのレビューをチェックできます。そして人気YouTuberがおすすめした商品は飛ぶように売れますし、インスタのようにSNSを使ったインフルエンサーマーケティング施策に乗り出す企業も増えています。

一般の人がYouTubeやインスタグラムで行う商品紹介は、画像や動画ありきのコンテンツなのでよりイメージしやすいというメリットがあります。そして、これらのレビューを参考にするという消費者の趣向は、企業に関係ない人が商品紹介するという“忖度なし”のリアルなレビューを求めていることが伺えます。

インターネット上のコンテンツが増え、SNSマーケティングをはじめデジタル施策が増えたことで、消費者も情報を見極める目が養われています。YouTuberも、「企業の回し者ではありません」と率直に伝えるケースが増えていますし、企業とのタイアップでは提供元を明記しています。

レビューの効果に乗じて問題視されるのが「ステマ」

デジタル・シェルフ時代に問題となっているのが、ステマことステルスマーケティングです。ステマは宣伝していることを隠して商品を紹介する手法。企業から報酬をもらっていることを隠しながら、「自分のおすすめ」として宣伝する芸能人が多数いたことで一時期問題視され、謹慎騒動にまで発展しました。

ステマは芸能人に限らず、一般の購入者を装って関係者がレビューを書く行為もステマに当たります。ステマは消費者にとってはヤラセやサクラ行為であり、偽造に他なりません。発覚すれば炎上に発展しますし、過去にも国内外問わず多数の企業が評判を落としてしまいました。

デジタル・シェルフという概念によってネット上の評判が重視される現在では、ステマによって炎上したメーカーや製品は小売店が扱ってくれる可能性は低いものとなります。

デジタル・シェルフに勝つためにはAmazonの攻略も必要

Amazonの登場は、小売店にも大きな打撃を与えています。そもそも小売店がPBの開発に注力しはじめたのも、Amazonの影響が大きいといわれています。

日用品や食品が何でもそろい、Amazonプライム会員であればPrime商品を送料無料で翌日発送してくれる。「お米やお水といった重いものは通販」という消費者も、Amazonの品ぞろえの豊富さに魅了され、小売店で気軽に購入できる商品も気づけばAmazonで購入するようになりました。

ただ、Amazonはメーカーや小売店にとって敵対するばかりではありません。上手に付き合っていくことで、集客ツールの1つとして活用することが可能です。

Amazonもデジタル・シェルフの1つとなる

Amazonはマーケットプレイス型のECサイトプラットフォームでもあります。Amazon公式アカウントに限らず、今では大手メーカーも自社のアカウントとAmazon内に作って製品を販売しています。

越境ECサイトとして海外の製品も購入できますし、Amazon内に出品する方法はECサイトの立ち上げやデザインの必要がなく、デジタル施策に不慣れなメーカーも出品しやすいというメリットがあるのです。

Amazon内で出品して購入者のレビューが付けば、そのレビューを参考に新しい購入者も現れるでしょう。Amazonの一覧に製品が並んでいる様は、まさにデジタル・シェルフ(棚)を可視化した状態といえます。

DtoCでデジタル・シェルフを切り抜ける

デジタル・シェルフという概念により、小売店に棚を奪われてしまった…そんな時は、「DtoC」という手法が残されています。

DtoCとはDirect-to-Consumerの略。ECサイトの出現により、小売店を介さずに、メーカーが製造に限らず直接販売まで行うビジネスモデルも登場しています。小売店が商品の企画・製造から手掛けるPBに注力しはじめた結果、メーカーは販売までを行うDtoCにという流通スタイルを生み出しました。

ECサイトをはじめネットショッピングの普及に伴い、メーカーでデジタル上の棚(シェルフ)を作るという流れが始まっているのです。

ネットで人気が出れば「デジタル・シェルフ時代」は成功する

CMを使わずデジタル施策で成功したボタニスト

シャンプーやトリートメントといえば、有名女優やモデルを起用したCMがよく使われます。

そんな中、認知度が決して高くない企業が作った「BOTANIST」というヘアケアシリーズが、CMを一切使わずにヒットしました。今ではドラッグストアなど多くの小売店が販売しています。

BOTANISTは2015年にEC専業からはじめ、インスタグラムを活用してヒット。「植物と共に生きる」というメッセージのもとブランディングを行いファンを獲得。インスタグラムのコメント欄では、ファンともしっかり交流しています。1本1000円以上という高めの価格設定ながら楽天ベストコスメで1位を受賞しており、小売店も“売れ筋”と判断しています。

BOTANIST公式サイト:https://botanistofficial.com/

あのサントリーもデジタル施策で成功

大手飲料メーカーとして知られているサントリーも、デジタル施策に積極的に取り組み効果を出しています。

小売業への卸が主体であったメーカーなので、消費者の購入データは小売店しか持っていませんでした。そのため、サントリーは店頭で購入した人の個別データを紐づける独自のメソッドを考案。

ビッグデータの分析を行い、主力製品である「ザ・プレミアム・モルツ」のブランドの評判を明らかにして戦略を練り直すなど、トップにあぐらをかかずにデジタル施策に邁進。消費者が求める商品を探りつづけ、デジタル・シェルフ時代を生き抜いています。

https://www.suntory.co.jp/recruit/fresh/strategy/digitalinnovation.html

 

オムニチャネルで成功した無印良品

無印良品は卸から小売りまで手掛けていますが、一時期コンビニエンスストアでも取り扱われていました。無印良品を手掛けている良品計画は、デジタル施策が成功していることで知られています。

良品計画は2003年にネット戦略を大きく転換していますが、その際に「ネットで気になる商品や情報を調べ、そのあと店舗に買いに行く」という消費者の行動を発見。複数のチャネル(経路)が対立するのではなく、相乗効果が生まれるような施策を行ってきました。

そこで誕生したのがスマホアプリの「MUJI passport」。新商品や定番商品の情報だけでなく、ポイントカード機能も搭載されています。すでに980万ダウンロードを突破しており、店舗ではスマホアプリを提示する消費者が60%ほどいるそうです。

「ネットで情報を収集し、買うものを決めてから小売店へ向かう」という流れや、「ネットで情報を収集し、そのままネット上で購入まで完結する」という流れなど、インターネット上の情報が消費者の行動に大きく影響するようになりました。

すでにECサイトなどでデジタル施策を始めている企業は、ネット上の棚である「デジタル・シェルフ」を持っているといえます。デジタル施策を進めて、リアル・インターネット両方の棚を獲得していきましょう。

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