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中国の動画コマースは抖音、快手小店のショートムービー +(プラス)ECが流行中!

IT先進国にして、世界最大の経済市場を持つ国が中国です。中国のIT分野の成長は著しく、IT分野の成長率でも世界トップクラスではないでしょうか。新しいIT技術やサービスは、良いものであればすぐに世間に浸透します。

そして、中国のITサービスの中で際立って成功している分野がコマース分野です。巨大な国土を持った中国では移動する手間なく、遠方の商品が手に入るECは広がるべくして広がったサービスです。12億人とも言われる中国人の消費欲を満たすためにEC企業が続々と参入し、企業間競争が激しく、それがさらに革新的かつハイレベルなECサービスを生み出しています。

今、そんな中国のEC市場において、メキメキと頭角を現しているサービスが抖音(tiktok)、快手小店などのショートムービーを活用した動画コマースです。

中国ECでは静止画を用いたコマースは時代遅れとなり、5年ほど前から動画コマースが存在感を発揮しています。また動画コマースの中で一時はライブ動画が流行りましたが、昨今はショートムービーを用いた動画コマースのシェアが増え始めています。

【目次】

中国動画コマースの実態

中国はECに限らず、動画サービスがとても浸透している国です。来日する中国人旅行客の手元を見ると、スマートフォンで動画を見たり、トークライブをしていたりすることからも分かるように、動画を見る行為は日常生活の一部となっています。

さらにクロス・マーケティング社の調査によれば、「街中の買い物でスマートフォンを使って決済する人」は中国人で80%を超えています。日本人は5%ほどに過ぎないので、中国人は圧倒的にスマホ決済のハードルが低いです。この2つの事象を考察すれば、動画で商品を見つけて、手元のスマホで決済できるサービスは中国人にぴったりのサービスと言えます。

https://www.cross-m.co.jp/report/global/pm20180220/

ECプロモーションは静止画SNSと動画SNSが混在

中国の2017年EC売上は122兆円以上で、これは世界2位のアメリカの2倍以上になります。アメリカの2倍とは驚きです。

しかし、さらに驚くべきは未だにEC市場が伸びていることです。中国では貧富格差や地域格差が大きく、スマートフォンやPCを持てない方やEC利用ができないエリアに住んでいる方も多くいました。
公共投資のおかげで、今までECを利用してこれなかった方々もEC利用が可能になり始めています。この格差が縮まれば、さらにEC利用者は増え続けます。

シンガポールの大手銀行が試算したところによると中国のEC利用者は2022年には9.3億人に達するというデータもあります。EC運営側もこの市場でシェアを伸ばそうとしのぎを削っています。そのためには写真や文字コンテンツを主とする静止画SNSや動画を主とする動画SNSがプロモーションに活用されます。

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190228/mcb1902280500004-n1.htm

動画コマースのシェアは少しずつ伸びている

世界一のEC市場には続々とEC企業が参入しています。中国のEC市場は天猫(アリババのECサービス)や京東(京東商城のECサービス)の2サービスがEC全体の70%近いシェアを誇っています。

アリババは誰もが知る中国一のEC企業ですが、京東商城もアリババに負けず劣らず、中国EC市場を昔から引っ張ってきた企業です。この2社が飛びぬけていますが、それでもシェア自体は横ばいもしくは少し下がっており、未だにシェア争いは激しい状態です。

そして市場が成熟化してきた今、シェアアップのカギは顕在客よりも潜在客の囲い込みにあります。
この潜在客に自社ECで消費してもらうためにEC各社は中国人の日常生活に浸透しきっている動画を使って潜在客をEC市場へ導こうとしています。具体的にはEC各社は動画SNS企業と提携することで動画によるECプロモーションを加速しています。

中国で動画コマースが拡大する背景

中国で動画コマースが拡大し始めたのは目新しいサービスだからではありません。動画が静止画にはないニーズを満たしたために拡大したのです。

加工がしづらい

動画コマースは加工がしづらいという特徴があります。
静止画の場合、画像は専用ソフトを用いれば華美に加工できますし、添える文章もセールスライティングを用いれば、ユーザーの購買意欲をそそる様な商品紹介ができます。いわゆる、「盛った」商品紹介が可能です。

そのため、手元に届いた商品は紹介されていた内容とは大きく異なっていた場合もしばし起こり、クレームの元となっていました。このように緻密に計算された、「盛った」プロモーションにユーザーは辟易し始めています。

一方の動画は現物そのものの商品紹介が持ち味です。配信者がカメラの前に立ち、現物商品を手に持って自らの言葉で身振り手振りを交えながら紹介します。
時には間違った発言もするでしょうが、そんな人間味あふれるシーンも動画コマースの醍醐味です。

つまり、動画コマースは実際に店頭で受けるリアルな商品説明にとても近いのです。

膨大な情報量

動画の情報量は静止画(写真)の5000倍とも言われています。圧倒的に多くの情報量が動画には詰まっているため、商品をより細部まで知ることができます。

消費者は隅々まで商品情報を知ったうえで購買決定ができるため、購入後も不満が生まれにくい傾向です。
静止画では情報量は静止画と文章なので、情報を細かく提供しようとすればするほど、大量の文字と静止画が埋め込まれ、全体が見づらくなってしまうというジレンマがありましたが、動画ではこのような心配は無用です。

さらに動画の場合は、意識的に情報を取りに行こうとする必要もなく、ただ動画を流すだけで商品情報が直感的に取得できるメリットもあります。

動画コマースに登場する動画の種類

中国の動画コマースは基本的に2タイプあります。1つはライブ動画、1つはショートムービーです。それぞれに特徴があるため一概にどちらが優れているとは言えませんが、最近ではショートムービーを用いた動画が流行の兆しを見せています。

ライブ動画EC

ライブ動画ECは配信者がライブ中継をしながら商品を紹介する手法です。テレビで言うこところの生中継です。

基本的には今現在の動画しか閲覧できないため、希少性が生まれます。また配信者と買い手がスマートフォンを隔ててリアルタイムに繋がれるので、買い手が配信者にリアルタイムで質問を投げられる機能などもあり、双方向的に情報のやり取りができる点が特徴です。
そのため「質問を投げたい人」の動画閲覧は高まる傾向にあり、アイドルやタレント、SNSのインフルエンサーが配信者には適しています。一方でデメリットとしては生放送なのでやり直しが利かないということです。

間違った情報を発信してしまっても訂正ができませんし、しっかりとコンテンツの中身を考えておかないと、ダラダラと中身の薄い動画になってしまうリスクがあります。

ショートムービーEC

ショートムービーECは15秒~1分ほどの編集された短い動画で商品を紹介する手法です。配信者は撮影した動画を編集してムダな箇所をそぎ落として、短い動画を完成させます。テレビCMに近いですが、テレビCMと大きく異なるのはそのまま商品が購入できることです。テレビCMで見た商品を購入したいと思ってもその流れで購入はできませんが、ショートムービーECでは商品ボタンが設置されていて、そのボタンを押すと提携するECプラットフォームの該当商品ページにつながります。
編集できるのでライブ動画より動画の質が高く、さらにいつでも手軽に閲覧できる点がショートムービーの特徴です。

ショートムービー +(プラス)EC

中国では昨今ショートムービー +(プラス)という言葉が良く使われています。これは今の中国ITを言い表した造語で、ショートムービーと何かをくっつけるという考えです。
実はこの言葉は自然発生的に生まれたわけではなく、中国政府が5年ほど前に*「インターネット +」という政策を発表し、それになぞらえて作られた言葉です。

ショートムービー +人材サイト、ショートムービー+Q&Aサイトなどショートムービーと何かを掛け合わせたサービスが続々と登場しており、ショートムービー + ECもその一つです。

ショートムービー + ECで躍進しているサービスは主に抖音( Douyin=ドウイン)と快手小店です。おススメのお買い物商品を知りたい中国人はこのアプリをダウンロードし、ショートムービーを見つつ、買い物をしています。

抖音と快手小店はEC用のアプリですが、ベースはSNS要素を持ったショートムービーアプリです。抖音も快手小店も自身でECサイトを運営しているわけではなく、ECプラットフォームと連携する形でショートムービー +ECを実現しています。

*「インターネット +」とは「ラウドコンピューティングやAIなどのIT技術と異分野産業を付加して発展させる」意味です。
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/05/08356337.html?p=all

抖音( Douyin=ドウイン)

日本ではTik Tokというサービス名で展開していますが、オリジナルサービス名は中国で展開している抖音です。
マックス60秒の動画を編集、投稿できる動画サービスで、2018年にアップルが発表したベストアプリランキングでは日本の無料アプリ人気No.1を獲得。抖音は2018年5月に淘宝などのECサイトと連携を開始して動画コマースに参入しました。

TikTokアプリ内から直接ECサイトへページリンクを設定できるようになったので、Tik Tokから即商品購入に繋げられます。アリババが出資しており、リンク先のECサイトはアリババ系のECサイトになります。

https://www.douyin.com/

快手小店

Tik Tokと同様、若者に人気のショートムービーアプリが快手です。その快手内で配信者がショートムービーに宣伝したい商品を載せられる機能が快手小店です。ユーザーはその商品をクリックすると連携するECプラットフォームに飛んでいく仕様となっています。

https://www.kuaishou.com/

動画コマース分野の日中比較

動画コマースが中国ではじわりと増加していますが、日本では未だ利用者が少なく、市場としても不透明なところがあります。2019年、楽天市場では動画コマースが開始されましたが、反面、メルカリは自身の動画配信サービス「メルカリチャンネル」の終了を発表するなど、動画コマースへのアプローチは企業ごとに異なります。
中国では普及しているのに、日本ではまだまだ普及していない、その大きな理由とは何なのでしょうか?

ネットワーク技術

中国はファーウェイを筆頭に5Gネットワーク技術が優れています。5Gは、インターネット通信を爆発的にスピードアップさせてくれるのでユーザーのインターネット利用がストレスフルになり、読み込みに時間のかかる動画コンテンツもサクサク視聴できるようになります。
一方で日本はそもそもIT分野への投資が少ないのでネットワーク技術の進歩が中国に追い付いていません。いずれ5Gネットワークの導入は始まるでしょうが、いまだ未知数なところがあります。その間に中国の動画コマースはかなり成熟しているでしょう。

利便性の高い支払い方法の導入

動画コマースにはシンプルな決済方法が必要不可欠です。動画コマースの支払い方法がクレジットカード決済やコンビニ支払いしか選択肢がなければ、中国でおそらく動画コマースはここまで流行っていないでしょう。

中国ではスマホ決済や電子マネーなどスマートフォン1つで決済ができる仕組みが出来上がっています。スマホで即購入可能な金融インフラが確立しているのでその恩恵を受けて、ショートムービー +ECの市場が伸びているのだと感じます。
日本でもスマホ決済や電子マネーの利用者が増えつつありますが、いまだ現金主義の日本人も多く、導入スピードは決して速くありません。

行政のサポート

中国政府のIT分野後押しも語らずにはいられない点です。中国政府はハイテク企業などへの低所得税率適用や研究開発費の優遇的な控除などでIT企業を含むハイテク企業を優遇してきました。これにより財務体力に余裕を持ったIT企業は技術や広告への投資拡大が可能となり、サービスの質の向上が実現しています。

さらに道路などのインフラ整備も動画ECを後押しするポイントです。昨今の中国EC市場の伸びをけん引しているのは、農村部在住の方々です。

もともと中国の農村部は道路やインターネット回線などのインフラ網が十分ではなかったためECを利用したくてもできませんでしたが、中国政府のインフラ整備により、農村部へ配送トラックが入れるようになったために農村部でもEC利用が可能となりました。EC市場規模が拡大することで動画コマースも自然と拡大しています。

日本は政府によるIT分野の投資がまだ活発とは言えません。そもそも中国と比べると人口も市場規模も大きな開きがあり、かつ超高齢化社会に突入しつつあるため、国の財源をITなどの新しい技術に割り振れないのが現状です。しかしながら、このままだと中国との経済格差は開く一方です。

中国の動画コマースはまだ伸びるが、日本は不透明

ECの入り口として重要なポジションの一役を担っている動画ですが、中国の動画コマース市場はまだまだ伸びると思います。というより、ようやく動画コマースが世間に認知されてじわじわ伸び始めているところなので、まだ動画コマースを体験していない消費者層が経験し始めたら動画コマースは確実にもっと大きな市場となります。

加えて5Gが中国全土に張り巡らされて、全国どこでも高速な動画再生が可能となれば動画環境が快適になるので、動画がもっとポピュラーになります。今後、中国で商売を始めようとする企業はまず動画コマースありきでプロモーション戦略を考える必要がありそうです。

日本の動画市場の先行きは不透明ですが、中国動画コマースの伸びを見れば、多くの可能性を秘めた市場であることは疑う余地がないので、早期にでも動画コマースに対する官民の投資を加速して、日本にもハイパフォーマンスなEC市場を構築してほしいものです。

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