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Googleショッピングが進化!Google Expressとの統合による効果

Googleは、Googleショッピングと、配送サービスのGoogle Express(グーグル・エクスプレス)の一部を統合しました。
また、ショーケースショッピング広告「Showcase Shopping Ads」については、ブランドが小売業者のECの中で自社製品を宣伝できるような改変をおこなっています。
またInstagramで見かけるスワイプ式の新たな広告のかたちや、YouTubeの動画から直接商品を購入できる広告などにも取り組んでいます。
この記事では、Googleが発表したECに対する新たな施策について解説し、今後のECの勢力図がどのようになっていくのかを考えてみたいと思います。

【目次】

GoogleショッピングとGoogle Express

Googleショッピングは、検索画面のショッピングタブから「スーツ ツーピース」などと検索することで、該当する商品が結果として表示されます。
近くの店に在庫があるかどうか、価格、ブランド名などで絞り込み検索が可能。新品だけでなく質店などで取り扱っているUSED商品も結果に表示されます。
Google Expressは米国のみで展開しているサービスで、Googleストアだけでなくウォルマートやコストコ、ターゲットなどの商品を選んで購入することができました。注文から配送までスピーディなのが特徴でしたが、今年に入ってウォルマートをはじめとした初期の提携先が次々に撤退をしたため、一部ではGoogle Expressの行く先を危ぶむ声もきかれていました。
しかし、GoogleはGoogle ショッピングとGoogle Expressの一部を統合するとともに、大量の広告枠を用意し、新たな形でEC領域に攻め込もうとしています。

ローンチ予定の新しいGoogle ショッピングとは

Googleがローンチ予定の新しいGoogle ショッピングは、ショッピングタブにパーソナライズされたホームページを表示させる仕組みとされています。
探している商品の価格だけでなく、機能やブランドをフィルタリングした検索が可能で、検索するだけでユーザーの好みにマッチした商品を見つけることができるようになるでしょう。 例えば、自転車を探している場合、ブランド名だけでなく「電動アシスト」や「変速ギア」などの機能からもフィルタリングすることができます。

店頭受け取りとGoogle購入を選べる

オンラインで購入した商品は、店頭で受け取ることも可能です。
商品をGoogle ショッピングに出品する小売事業者は、次の2つに店頭受け取りの可否を記載することができます。

  • 商品ランディングページ
  • Google ローカル在庫広告に使用しているマーチャントセンターのフィールド
ローカル在庫広告は、2014年9月から日本でも利用できるようになっています。実店舗の在庫をユーザーの商品検索結果として表示する機能で、該当商品と併せて店舗内の別の取り扱いアイテムを見たり、電話で直接店舗に問い合わせたりすることができます。
新しいGoogle ショッピングでは、検索ユーザーが商品をひとつに絞り込むと、

  • 小売業者のECサイトで購入する
  • Googleで直接購入する
  • 近くの店舗で購入する

のいずれかの方法を選択可能になります。


・Google ローカル在庫広告の概要
https://support.google.com/merchants/answer/3057972?hl=ja

Google Expressとの統合によって配送状況も表示

Google ショッピングの検索結果の横には、青色のショッピングカートが配置されています。この青色のカートに商品を入れると、Google Expressの配送サービスを利用できるようになっています。
Googleは、自社の配送システムやカスタマーサポートを整備することで、消費者であるユーザーに保証や安心を提示しようとしているようです。一方で、Google Expressの利用企業はそのほとんどが世界的なシェアのある大手企業のため、消費者は購入に際してGoogleの保証が必要と思わないのではないか?と予想するアナリストもいます。
つまり、Google ショッピングで利用される購入先は充分に信頼されている企業のため、Googleの保証は大きな付加価値としては認識されないのではないかという懸念です。こうした意見については、今後のサービス展開を見守りたいところですね。

Showcase Shopping Adsのリーチ拡大

Showcase Shopping Ads(ショーケースショッピング広告)のリーチ拡大も、今回の刷新ポイントです。
各ブランドは必要な費用を支払うことで、小売事業者のGoogle ショッピングキャンペーン内で自社製品の宣伝ができます。


YouTubeからも購入可能:Googleの新しい大量の広告枠

Google ショッピングの改革は、Google Expressの一部機能との統合だけではありません。広告と取引を1つのプラットフォームにまとめるという発表も、大きなポイントです。
まずは、Googleのショッピング広告についておさらいしておきましょう。
Googleのショッピング広告は、旧称を「商品リスト広告」といいます。
ユーザーが検索したキーワードに対して関連性の高い商品広告を表示する仕様で、上手く活用すればEC運営にとって効率的な広告運用になるものです。
Googleは検索最大手として、オンライン検索だけでなく、YouTube、ディスカバーサービスで新たに大量広告枠を設けると発表しました。

これらの新たな広告枠によって、検索、画像、YouTube、かつ新たなGoogle ショッピングというさまざまなシーンで情報検索から商品購入へとスムーズに移っていけるとGoogleの担当者は述べています。

YouTube広告

YouTubeからの購入は2019年中に提供がスタートする予定です。
動画の視聴を中断することなく、メイク動画で使われている商品をYouTubeから購入したり、紹介されている便利グッズを購入したりできる未来はすぐそこまできているのかもしれません。

Discovery広告

Discovery広告(ディスカバリー広告)は、Googleアカウント、利用端末から収集される情報を機械学習などで解析し、ユーザーが興味を示しやすいトピック、求めている可能性が高いトピックを自動的に表示させる仕組みになっています。
Google ディスカバーは、TwitterやFacebookのフィードのようなもので、Googleによるコンテンツ提供手段のひとつです。旧来はGoogle Feedと呼ばれていましたが、2018年9月に名称が変更されていました。
GoogleアプリのニュースフィードであるDiscoverだけでなく、YouTubeのフィード、GmailのプロモーションタブにもこのDiscovery広告が挿入される予定ということです。

・Google Discover
https://support.google.com/webmasters/answer/9046777?hl=ja

Gallery広告

Gallery広告(ギャラリー広告)は、Google検索に新しく表示される予定の広告です。
Instagramに表示される広告のようにスワイプできる写真を使って、広告を展開していく予定とのこと。近年、GoogleはAmazonやFacebook、Instagramらにオンライン広告のシェアを奪われているとみられていました。しかし、これらの新たな広告枠によって、ECを取り巻く広告の勢力図に変化が見られるかもしれません。


テスト中のGoogleショッパブル広告など新しい広告が次々と

Googleは、さらに新しい広告もテスト中です。ショッパブル広告と呼ばれる新しい広告フォーマットは、小売事業者が複数の商品をハイライト表示できるもので、Google イメージの検索結果に表示するテストをおこなっている最中と発表されました。
また、ECサイトを持っていなかったりEC規模の大きくない、中小規模以下の小売事業者も、Googleのショッピングキャンペーンで商品宣伝がおこなえるよう、検討しているとのことです。


広告と店舗、取引が1つに集約される「統合」

Shopping Actions(ショッピングアクション)を利用している小売事業者は、Google ショッピングをはじめとする新たな購入体験に自動的に組み込まれることになっています。
Shopping Actionsとは、スマートスピーカーのGoogle Homeからアクセス可能なユニバーサルカートを利用することで、洗剤や歯ブラシといった日用品を購入できるサービスです。ウォルマートやターゲットといった企業が初期の小売パートナーとして参加しており、それぞれの会員アカウントとリンクさせることでポイントを貯めることもできます。
小売業者は、Shopping Actionsに売上金の一部を支払う契約をすることで、Google Actionsの検索結果に商品を表示させることが可能。なお、Shopping Actionsは、Google検索のスポンサーセクションかGoogle ショッピングに表示されるため、自然検索結果の順位に影響を及ぼすことはないといわれています。
この広告商品によって、広告と店舗、取引はひとつの場所に集約されます。よって、小売事業者やブランドが消費者と適切なタイミングでエンカウントできる可能性が高まると、Googleはコメントしています。

なおこれらの広告モデルはクリック単価であり、Shopping Actionsモデルはトランザクション単価が設定されています。
このサービスは、現在米国のみで運用されていますが、ニーズが高まれば日本や諸外国にも普及していくかもしれません。


GoogleはAmazonに、AmazonはGoogleに?競合する巨人たち

ニューヨークタイムズ紙は、Googleはこうした取り組みによってAmazonと競合状態になるのではないかと考察しています。
実は、オンラインショッピング(EC)の巨人であるAmazonは、広告業も担っています。その広告は、Amazonの圧倒的知名度によって広告媒体として高い評価を獲得しています。これは、Amazonを閲覧しているユーザーは商品を探しているというよりも買い物の最中であるというシチュエーションが大きく関係しているとみるアナリストも。

一方で、広告が主な収入源であるGoogleは、その成長率が思わしくありません。2019年4月におこなわれた直近四半期の決算報告では、広告収入の成長率が39%でした。過去と同じ水準である50〜60%が期待されていたため、報告後に株価は下落。ゆえに、広告以外の収入源を構築することが求められたと予想されています。
ショッピングの大手であるAmazonが広告業に進出し、広告業の巨人であったGoogleがショピング機能強化を打ち出す、つまり互いのテリトリーに進出する動きを、世間は注視しているのかもしれません。
とはいえ、こうした直接的になりつつある競合状態が、小売事業者や消費者ユーザーにどのようなことをもたらすのかは今のところ未知数です。

ショッピングアクションにおけるリーチを増やす試み

Googleが今回発表した広告のアイデアは、すでにFacebookが同様の施策をおこなっており、専売特許や新規的なアイデアというわけではありません。

小売業者は、オンライン広告でクリックシェアを多く獲得したいと考えています。また、売上を上げるためには、オンラインと実店舗の在庫をフレキシブルに活用し、消費者の購買欲や購買の機会を逃すことなくキャッチすることが求められます。 Googleの新たな広告改革は、小売事業者と消費者の出会うチャンスを最適化して、双方に利便性を感じさせるものになるでしょうか。

まとめ

オンライン広告は、近年AmazonやFacebook、Instagramが多くのシェアを獲得しており、Googleは押され気味という評価がされていました。
今回の、大量の広告枠や新たな機能という改革は、EC分野におけるGoogleの攻勢のあらわれではないかとみられています。
Googleと小売事業者の双方が使いやすい新たな仕様、国内での導入が始まるとどのように使いこなされていくのでしょうか。現在ではテスト段階のもの、米国のみで運用されているものもありますが、国内でどのようにユーザーが関わっていくか、今後の動きに注目しましょう。