Eビジネスを推進するORANGEシリーズ

EC-ORANGE
お役立ち資料ダウンロード ニュースレター登録

BIにAIが搭載される未来:経営分析も機械が行う時代に

ビジネスにおける重要な意思決定をサポートするシステムにビジネス・インテリジェンス(Business Intelligence, 以下BI)と呼ばれるものがあります。
近年はAI技術の進歩により、BIのエリアにもAI(人口知能)が搭載される動きとなっています。AIはご存知の通り人の力では無理に思うような膨大なデータを読み込むことができ、かつそのデータに対して分析を行うことができます。
今回はBIが具体的にどのようなはたらきをするのか、また今後AIとどのように関係していくのかという点について述べていきたいと思います。

BIの最大のメリット

私たちは仕事を行う上で日々膨大な量のデータに接しています。これらの膨大なデータは項目別に分類され、その後有益な情報になるように図やグラフなどに編集・加工されます。データを一目で見てわかる情報にするために、月次分析や売上報告、次月見込み、期末処理、来期の予測など、様々な報告書をあげる必要があります。これらの情報は企業の上層部に行き、さらに分析が行われます。

経営上の決定をする際は、必要な情報とそうでない情報があります。その違いは余計な情報を削ぎ落としたものであり情報に誤りがないことは前提条件ですが、「どうして売上がこれだけ上がったのか」「どのような要因で売上増もしくは減となったのか」「過去の実績と比較した際に現在の実績はどのように読み取れるか」といった明確な理由が必要です。

BIの最大のメリットは、過去のデータも含め有益な情報に変換した後、経営上の決定を行う際に精度の高い情報を示唆するはたらきをします。また、様々な角度から情報を分析することができる便利なツールです。

BIの具体的なはたらき

さて、BIツールでは具体的にどのようなことができるのでしょうか。BIツールはすでにある情報の中から特定の情報を切り取って分析することができます。昔は熟練した情報処理技術者しか扱えませんでしたが、今ではBIツール入門といった初心者向けの取り扱い説明教本やウェブサイトもあるので、それほど敷居が高いものではなくなりました。

BIにおいて、見たい情報についてデータを加工して分析することができるツールをOLAP(Online Analytical Processing、通称オーラップ)と呼びます。このOLAPを用いることによってどのような分析の方法があるのか見ていきたいと思います。

スライス&ダイス

スライス&ダイスと呼ばれるデータの切り取り方は、部分的なデータを見たいときに用います。それぞれ異なる項目の特定の情報を切り取ることによって、別の項目の情報と組み合わせて比較分析することができます。

(参考:Power BI Forum データをさまざまな角度から見て分析する!Power BIのスライサー機能を紹介)
http://bi.pasona.co.jp/technique/analyze-data-from-various-angles-introducing-slicer-function-of-power-bi

ドリルダウン

ドリルダウンとはカテゴリ別に分けられているもので、ある分類にたいしてさらに詳細なデータを掘り下げていくことを指します。
例として、世界各国のカテゴリ別のデータがあるとします。それぞれ北米・中米・南米・アジア・オセアニア・ヨーロッパ・中東・アフリカと地域別に分かれています。日本はアジアの一国であるので、日本について詳細な情報を知りたいときはアジアの項目をドリルダウンするといった具合です。

BIを用いることで作業を効率化できる可能性も

月次分析を行う際、Excelで複雑な数式を用いたり、マクロを組んだりしている企業も多いと思います。もしくは複雑なピボットテーブルを作成するのに時間がかかっているかもしれません。これらのツールを用いた分析でももちろん問題はないのですが、作業に非常に時間がかかるのと、間違いがないか慎重に作業する必要があるため人手が必要です。データが複雑であればあるほど、またデータのボリュームが大きければ大きいほどさらに人手が必要となります。人間が行うことなのでミスも当然起こります。

これに対して、BIはExcelなどで行う分析について分析ツールを用いて行うことができます。もし月次分析で非常に時間がかかっており、さらにデータの正確性に満足できないのであれば、BIを導入することによって解決できるかもしれません。

将来はBIにAIが搭載されることによってさらに便利に

BIはアメリカで生まれた考え方です。

BIという考え自体を初めて考案したのはアメリカIBMのエンジニアであったハンズ・ピーター・ルーン(Hans Peter Luhn)であると言われています。ハンズ氏は溜まってしまった企業や組織に関する膨大なデータに共通する関連性を見つけた上で、役立つ情報へと変換していく能力のことをBIと呼びました。
(出典;Boxilマガジン BIのそもそもの起源)https://boxil.jp/mag/a1907/
1989年にアナリストのハワード・ドレスナーが提唱し、BIツールは改良を繰り返してきました。

BIは以前、分析の専門家が用いるツールでしたが、現在はセルフサービス型BIで一般の人でも使えるようになっています。

BIはAI(人工知能)と融合していく

近年BIは新たな展開を迎えています。AI(人工知能)との融合です。AIはビッグデータの分析によく用いられています。BIが分析のために人手を要するのに対し、AIは蓄積されたデータからそれほど人手を介さずに分析できる点が特徴と言えます。

BIツール開発・販売しているアメリカのクリック・テクノロジーが2017年6月に新製品Qlic Senseを発表しました。今回の製品においてはBIツールの利用に不慣れな人であっても使いこなせる新機能を搭載しています。
CTO(最高技術責任者)兼製品担当シニア・バイス・プレジデントであるアンソニー・デイトン氏は、2017年6月に行われた製品説明会において新商品の発表とともに今後の製品展開についても言及しており、1年後にはAI搭載のBIをリリースする予定と語りました。

新版は既存機能の強化という“正統進化”といえるが、今後は既存機能とは非連続的な大きな進化を予定しているとした。その一つがAIや機械学習を利用した「認知規則エンジン」の開発という。1年後をメドに製品に搭載予定と明かした。

(出典:日経BP 「1年後にBIにAIを搭載」、米クリックのCTO明かす)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/061601685/?rt=nocnt
今までのBIツールは人間によるデータの編集・加工が必要でしたが、AIを搭載することによって人間が思いつかなかった側面からのアプローチを提案することができるようになります。

AI・IoTによって可能になるデータの集積・分析

以下のIT Readersの記事にAI・IoTによって可能になるデータの集積・分析について非常に興味深い内容が記載されています。以下の記事の一部に、店舗に置かれているPOSシステムのデータであるID-POSにAIが読み込む行動データ(顔認証によって消費者の属性や感情を解析)を追加することができ、また販売時点での売り場の状況データも残すことができるため、分析において役立つことを説明しています。

出典:IT Readers IoTから最大限の知見を得るための、“AI in BI”のアプローチ
http://it.impressbm.co.jp/articles/-/14372
AI・IoTを活用することによって今までなかった項目をデータとして分析できるようになり、新たなアイデアで改善を行うことができるようになります。

まとめ

BIとAIはデータの分析という面において似通っていますが、最大の違いはAIが過去のデータを分析して新しい提案を行うという点です。分析結果を見た上で問題点を改善するアイデアというのは優れた情報処理能力を持った人でないとできません。情報分析において広い知見を持っている人材は非常に限られており、また大量のデータの保存も可能になった現代では、正確な分析を行うことが難しくなります。AIを搭載したBIを活用することで情報分析・提案を代用しようという流れになってきています。

今のところBIは人の情報分析や判断をサポートするツールですが、将来は今ほど人手を要することがなくなるかもしれません。今後のBIの技術の進歩に期待が高まります。

PR:エスキュービズムによるDX推進アプローチ